ちょっと真面目な投稿になってしまうかもしれないが(こういうこと断る時点で乱れてるな、お前のブログ)、
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タクシーにおける給与制度について
これは非常によく聞かれる。
「タクシーって歩合制やんな」
大きく3つに分けることが出来ると思うが、
①固定給制
②歩合制
③リース制
①については、この業界では非常に少ないが、
田舎の営業所などで、
1つの駅に、または待機場所に、2台や3台で並んで仕事をしているような場合。
もう完全に順番制で、戦略も何もない
こんな場合は実際固定給制が取られていることもあると聞く。
運転手にとってはあまり面白くないが、
収入は(低水準かもしれないが)安定するし、
経営側に取っては、管理しやすい体制を取れるというメリットはある。
そして②の歩合制だが、
日本では都市部から郊外まで、
形式は異なっても、多くはこの制度が採られていると言って問題はないだろう
ただしよく誤解されるところでは、
「タクシーって完全歩合やんな?」
確かに、単に「歩合制」という言葉だけを取れば、今どき多くの業界で取られている制度である。
しかしタクシーにおいては、単なる「歩合」ではなく、
「完全歩合ではないか」
と思われている。
完全歩合とは、説明するまでもないかもしれないが、
例えば歩合率(歩率)が50%やったとして、
1ヶ月の営業収入が60万円なら、
給料はその50%、要するに半分の30万円になる
ということであり、非常にシンプルでわかりやすいのだが、
このやり方だと、営収20万なら10万円しかもらえないことになり、
200時間の労働をしていたとすれば、
時給換算すると500円になってしまうわけで、
労働基準法28条(最低賃金法) に触れる可能性があり、
大っぴらに完全歩合を謳う業者はほとんどないだろう。
それならどうなっているかというと、
1ヶ月の営業収入が60万なら、
12乗務として、1乗務5万円となる
そして、その1乗務に対して乗務給(基本給)なるものをつけるのである。
1乗務1.2万円の乗務給がつくとする
そしてその上に歩合を加算するという(ことにしてある)わけである。
それなら1ヶ月の営収が20万円しかなくても、
1.2×12=14.4
15万程度は保障されるということだろうか
そうは問屋が卸さない。
タクシーにはノルマならぬ「アシキリ」というものが(多くの場合)存在する。
「1乗務最低でも3万円は揚げてくださいね」
そうすれば、ちゃんと乗務給は保障しますよ
ということである。
そして、それ以上揚げた分には65%の歩合をつけます
というインセンティブを与える。
そうすると、
1ヶ月12乗務の営収が60万とした場合。
全ての乗務で3万円(アシキリ)を超えていたと仮定すると、
まず、3×12=36万円の営収に対して、14.4万円が与えられる。
ちなみに、ここまでの歩率はたったの40%である
そして、アシキリを超えた分(24万円)の65%
24×0.65=15.6万円
ということで、
14.4+15.6=30万円
結果的に営収60万に対して50%の歩率となるわけである
しかしこのパターンにおいて、いくつかのシュミレーションしてみると、
営収40万円 給与17万円(歩率42.5%)
営収50万円 給与23.5万円(歩率47%)
営収70万円 給与36.5万円(歩率52.1%)
営収80万円 給与43万円(歩率53.8%)
営収が多ければ多いほど歩率も上がっていく、
これを俗に「累進歩合」と言う
注:道路運送法では(過度な)累進歩合は禁止されている
そして上のシュミレーションでは、全ての乗務でアシキリをクリアしていると仮定しているが、
運転手なら分かると思うが、日々移り変わる現場でそんなにうまくいくことはない
それならアシキリをクリア出来なかったらどうなるか?
大抵は乗務給(基本給)が削られる。
この場合は、乗務給を3分の2(8千円)に削られるとしよう。
ここがカラクリというのかな、所詮最低賃金なんて表面的なものでしかない。
極端な例として、仮に全ての乗務で千円ずつアシキリに届かなかったとすると、
営収34.8万円 給与9.6万円(歩率27.6%)
とんでもないことになるので、
毎回千円ずつ自腹で払うとすると、
営収36万円 給与14.4万円
1.2万円の投資で、給与が5万近く増えることになる
まあ結論として、
「タクシーって完全歩合やんな?」
答えは、
「いえ、そんなこともないですよ」
もっと厳しいとも言えるし、もっとやりがいがあるとも言える。
そして③のリース制だが、
とりあえずこちら↓を参照してください。
http://cooldriver-in-kansai.blogspot.jp/2011/06/blog-post_07.html
まあいろいろ言われるけど、適正なリース料金が与えられれば「稼ぐ運転手」にとっては最も有利なシステムではある。