2020年9月30日水曜日

年収1000万のタクシードライバー?

 栗田シメイさん(東洋経済)記事のフォローブログみたいになってきたが、

「流転タクシー」シリーズ 第7回

「個タクじゃないのに年収1000万」荒技師の流儀

こちらの記事もなかなか面白かった。

現実的にタクシーで年収1000万て可能なの?

と聞かれたら、業界人としては(業界とか言うな)

無理やろ

と言わざるを得ない。

記事にもあるようにタクシードライバーの歩率(歩合給の率)は、法人で50~60%,個人なら経営すれば70%くらいにはなるのかもしれない。

ちなみに記事に「個人タクシーは時間の縛りがない」とあるが、タクシードライバーは法人・個人に限らず「改善基準」なる時間制限があって、

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040330-12.pdf

基本的には月の労働が約300時間(299時間)に制限されている

年収1000万を稼ぐためには、歩率が60%程度として、年に1700万、月に140万近くの営収をあげなければならない

隔日勤務(いわゆる隔勤)の場合は月の乗務日数が12~15日として、1乗務10万を大きく超える数字が必要で現実的でない。

日勤で25日乗務するとして、記事にもあるが、

1乗務約7万

これは不可能ではないかもしれない。

しかしこれを雨の日も風の日も(雨風吹いてたら営収上がるやろ)、平均して上げていくのはまた現実的でない。

また月に140万を稼ぐとして、299時間の制限いっぱい働いたとすると、

1時間約5千円

の営収が必要になる。

数字だけ見ると大したことないかもしれないが、

東京のタクシー料金が現在初乗り1052mで420円

タクシーの料金を計算する上で初乗り(フラッグシップ)はあまり関係ない

加算は233mで80円

ここから計算すると1キロの料金は343円、初乗りの色付け(乗車料)を考慮すると

東京のタクシーの1キロは約350円

5000円の営収のために走る距離は約14キロ

実車率50%として、1時間に28キロ走ることになる

これを1乗務14時間続けると約400キロほど走ることになる

がんばればそのくらい…と言いたいところだが、

日勤の距離制限は270キロ(近畿で280キロ)

高速走行は距離から減算することは出来るとは言え、毎乗務400キロを続けるのは現実的でないというより、ほぼ不可能である

と締めてしまうと、

タクシー業界に人材を呼び込みたい

というこのブログの意図からブレてしまうが…

どちらにしても、営収歩合だけで1000万も稼ごうというのは、心身ともにボロボロになり、事故の危険も大きい

もっと違うところでタクシーの魅力と社会的価値を引き出し、収入を上げていきたいというのが俺の願いである

やっぱい広告かな

2020年8月31日月曜日

心霊タクシー

 東京を中心に営業展開されている三和交通の企画が面白い。

この企画タクシーに乗りたくて三和交通に入社する若いドライバーもいるとか。

この8月は暑い日が続いて心霊話も盛り上がった?かもしれないが、

タクシーに乗っていて不思議な体験をするのは、別に夏の夜に限らない

たまに思うのだが、タクシーって不特定多数の人間が乗っていて、その一人一人がその時間、匂い、そして誰もが持つ霊的なものを車内に置いていく。

それはストレートに葬式の仕事で乗られた客だったり、そのタクシーに乗った数日後に亡くなってしまう客だったり…

生きてきた中で背負って来た荷物みたいなものを車に置いていく人もいる

それはいわゆる「霊感」のないドライバーには全く感じないものかもしれないが、

霊感の強いドライバーにとっては常にいろんな奴らが夜になると車内に常にいる

みたいなすごい世界になってる

三和交通の心霊タクシーのように、タクシードライバーに心霊話を聞くのもまた面白いのかもしれないが、

タクシーの運転席に乗ってみないと分からない世界

若い人は是非体験してみてください(意味不明な勧誘やな)

2020年7月31日金曜日

大阪のタクシー事情

というタイトルを書いても、また栗田シメイさんの記事からの引用になるが


上の記事では、大阪のワンコインタクシー(まだあったんやな)と、長距離割引について「流転タクシー」シリーズとして、ドライバーとの生のやりとりと共に書かれている。

「ほかの地域はある程度統一されているけど、大阪のタクシー料金は見事なまでにバラバラ」

まさにこれは大阪名物というべきか。

そもそも利用者にとって料金の選択が出来るということが良いことなのか(利用しやすいか)どうかというのはこの業界において興味深い議論であり、長くなるので置いておこう。

しかし、

「大阪のタクシーの安さはたぶん日本一」

これは恐らく間違いではないだろう。

タクシー研究の上で、料金の分析の仕方はいろいろあるが、おそらく単純に「料金÷距離」としても大阪はかなり上位に来るはずである(料金バラバラだから分析難しいけどな)。

ただ高度な計算式で物価指数などを加えたら、大阪は間違いなくぶっちぎりでタクシーが日本一安い地域と言い切れるだろう。

「ただ、ドライバーにとってうまみはなく、実入りは少ない」

これも間違いないと思っていた(そう思って、大阪から逃げてきたんやからな)。

ただ栗田さんの記事の興味深いところはここからである。

タクシー白書によるタクシードライバーの年間収入によれば2000年は316万円で全国平均(338万円)を下回り、東京の数字(443万円)も大きく下回っている(誰かが逃げてきたころやな)。

しかし、2019年の同白書のデータでは413万円と20年近くで100万以上も増加している(全国平均は360万円)

しかもこの白書の数字というのは、あくまでタクシードライバーという格差の大きい(特に都市部は大きいよな)職業の「平均」を示している。

大阪のタクシーは高齢化が進んでいて、平均年齢は約65歳と既に年金をもらっている世代である。

要するに多くの、おそらく半分以上が年金をもらいながら「余裕を持って(ゆっくり休みながら)」仕事をしている「平均」なのである。

数少ない若い世代は間違いなく平均を大きく上回る数字を上げていたはず…である(大阪帰ろうと思ってたのにな)

このコロナウイルスが出てくる前までは・・・

記事にもあるように、大阪はインバウンドによる恩恵が大きく、逆に今回のコロナ禍におけるダメージも大きい。

なんとかまた平和の時代が戻ってきてほしいと願うばかりである。




2020年6月10日水曜日

栗田シメイさんの記事

東洋経済の栗田シメイさんの記事が面白い

このところ「流転タクシー」シリーズとして、タクシーに乗り込み、「今」のタクシーの現状を文字にしてくれていると感じる臨場感がある。

今回は、東京でタクシーに乗りながら、弁護士を目指しているという森田さん(仮名、40代)の話↓

https://toyokeizai.net/articles/-/354483?utm_source=author-mail&utm_medium=email&utm_campaign=2020-06-07

森田さんは高卒後、派遣社員として職を転々とし、一時は年収1000万近くまで稼いだそう…(ほんまか?)

その後は語学力を活かし、青年海外協力隊としてジャマイカへ、そこで底抜けに明るいタクシーに魅力を感じた(日本のタクドラ暗い人多いもんな…)。

そしてまた日本に帰ってIT関係の職に就くが、退職後に法科大学院へ通い、今は東京でタクシーに乗りながら司法試験を目指している(栗田さん、よくこんなおもろい人見つけたな…)。

森田さんの最後のコメントが良いね。

「司法試験に合格しても、私はタクシードライバーを辞めません。この仕事が好きなんです…」

この業界の「今」にネガティブな面が多いのは否めないが、こんな面白い連中もたくさんいて、(会ったこともないが)こんな仲間とこの業界の「未来」を創っていきたい。

森田さん、司法試験がんばってください!

栗田さんの記事に注目である。
(栗田シメイ記事一覧)

2020年5月12日火曜日

今回のコロナ騒動について思うこと

基本的にこんな業界の一個人の意見は誰も興味はないかもしれないが(分かってるんなら書くな)、

今回のコロナ騒動について思うことは、外出自粛要請が続く中で当然タクシーの利用もとんでもなく減ってるわけで、

政府が「7~8割の接触(移動)を減らすように」

と言ってる中で、データ的にもタクシーの利用は実際7~8割減ってるわけなんですよ。

これはえらいことで、通常のサラリーマンなら基本固定給で働いてるわけやけど(ちょっとしたインセンティブはあるやろけどな)、タクシーってほとんど完全歩合やから、収入が7~8割減るわけですよ(そこ敬語か)。

そんな中やはり7~8割はきついから、政府の「雇用調整助成金」やらを使って多くのタクシー会社が休業手当を使ってドライバーを休ませている。

現状多くの地域でタクシーの量はえらい減ってるはず

このゴールデンウィークはそれでも良かった。

うまく休業を使ってコントロール出来てる業者は凌げたかもしれないし、それに間に合わなかった業者は痛手を被ったのかもしれない。

それも「利用者目線」で言えば大きな問題でもないのだろう

問題はここからや

当たり前のことだが、人は少しづつ動き出す。

人が動けば、当然タクシーは必要になる。

繰り返すが、人が動く限りタクシーは必要なのである。

しかし、今タクシーは動いていない

何故なら助成金があるから

業者はそれを使う

動くかどうか分からない利用者より、確実な60%を取る

これから緊急事態宣言なるものが解除されて、人が動き始めるのは良いが恐らくタクシーは動き始めない。

人が動くのが先か、タクシーが動くのが先かと考えたら、恐らく前者だろう。

これから来月にかけて、間違いなく

タクシー難民

が生まれるだろう。

この流れの中でロイヤルリムジンではないが失業や解雇もあるだろうし、多くの高齢ドライバーはこれを機に運転席を離れるだろう。

その後に残るのは何かと言えば、

タクシーに乗りたくても乗れない

逆に言えば、

ドライバーにとっては利用者が溢れている売り手市場である。

率直に言って、今はタクシーにとってひどい状況だが、これが過ぎれば

タクシーは変わるのではないか

と前向きに捉えたい。

話は変わるが、東洋経済で今回の新型コロナ騒動を通じてタクシーについて追ってくれている記者(栗田シメイさん)がいる。

フォローしていきたい。

https://toyokeizai.net/list/author/%E6%A0%97%E7%94%B0+%E3%82%B7%E3%83%A1%E3%82%A4

2020年4月19日日曜日

ロイヤルリムジン問題について考える

4月8日に流れた、今回の新型コロナウイルスに絡んだタクシー業界にとっては衝撃的なニュース

ロイヤルリムジン、全乗務員一時解雇し失業保険勧める…

いろいろと考えることはある。

もちろん、これはない

という前提の下に、

この混乱状況の中で、苦しんでいる経営者の気持ちも分かる

安倍さんが突然マスクを配る決断をしたように、

誰かの生活を担っている人間というのは、

ものすごいストレスを背負っているのだろう

判断力がおかしくなるのも分かる。

何より我々下々の人間はそもそもそこで何かを決断しなければならないというストレスの存在さえ分からない(安倍は人間じゃないみたいに好き放題言われてるしな)

この際俺の立場では、この業界を守りたいし、

今でもこの業界の社会的地位を高めたいという強い想いがある

ロイヤルリムジンの金子社長すみません

苦しかった中で迷いがあったのかもしれません。

決して保身での決断ではなかったのは分かります。

あなたが乗務員を想っていた気持ちも伝わってきました。

しかし、他の方法があったと言わせてください(中小企業なら雇用調整金で昨年度平均賃金の9割助成されるわけやから、過去3か月平均で休業補償すればぶっちゃけプラスになるんやからな)。

今回のあなたの決断は間違いなく、若者をまたタクシー業界から離れさせるきっかけになりました

今回のコロナ禍で片手が届きそうやったタクシー業界の光がまた遠のいたことは否めない。

しかし俺もまだ40台(後半か)

人生をかけて、この業界の地位をあげてやるという決意を強くさせている

来年の東京オリンピックは無理かもしれない…(せっかくチケット当たったのにな)。

しかし、10数年後にまた日本にオリンピックが来るだろう(大阪か神戸なら良いな)

そのときには、そこで現場でタクシーに乗っている60台のいけてるドライバーでありたい

若い奴らに、

「昔はタクシードライバーなんて近所にも親戚にも言えない職業やったんやで」

と笑いながら話せる日が来るまで。





2020年4月2日木曜日

9年前の投稿 「ある警備員との絆」

長いことブログ書いてるけど、我ながら傑作と思える9年前の投稿をアップしよう(ここまで言われると突っ込みようがないな…)
※9年前やから、「うつってしまった(感染してしまいました)」は新型コロナではありません(もうその頃にコロナかかってて、免疫出来てるんかもな)

年度末
この時期の切なさというのは独特なものがある。
何かが終わり、何かが始まる・・・
その積み重ねが人やものをやがて大きく変えていくだろう、という想像力も逞しくなる。
俺も何年か前のこんな時期に運転手を始めた。
タクシーに乗り始めた頃は楽しくて、今思えば売上とかどうでも良かったように思う。
運転手になって間もない頃、ある日駅前の工事現場の脇に車を停めて待機していたら、工事現場の警備員が近づいてきた。
身体はでかく日焼けしていて、俺と同年代だろうか、警備員にしては目立って若く見えた。
「すみませーん、トラックが出るんですこし車動かしてもらっていいですか?」
「はーい」
誘導されるままに車を動かす。
「どうもありがとうございます!」
そもそも違法停車である。お礼を言われる筋合いはない。
しかし彼はなんというか交通誘導員らしくなく
やる気に満ちていた
こんな奴もいるんや
その日からその工事現場を通る度に彼のことが気になった。
恋愛対象としてではない(断らんでいい)
目が合えばお互いに手をあげ、ときどきちょっとした会話をしたりもした。
そしてある日またゆっくりと会話できる機会があった。
普通の同世代の男同士がするような他愛もない会話の中で俺が言った。
「なあ、何でこんな仕事(警備員)してるん?自分もタクシー乗ったらいいやん」
するとそれまでのフレンドリーな空気が明らかに変わり、彼は仁王様のような顔を真っ赤にして言った。
「俺は好きでこの仕事してるんや。これからも、出来ればずっとこの仕事を続けたいと思ってる」
当然俺は必死に謝った。
タクシー運転手として、自らが誇りを持ってやっている職業を見下され悔しい思いをすることは今でもある。
なのに俺は彼の職業(警備員)を見下していた
タクシーに乗っていると、本当に様々な職業の人と接する機会がある。
一流企業の社員、中小企業の経営者、医者、教授、スポーツ選手・・・
人の羨むような社会的地位や収入の高い仕事をしている人も多い。
しかしどれだけの人が胸を張って言えるだろうか。
「俺はこれからもずっとこの仕事を続けていく」
「しがみついていく」、というのはよくあるだろうが・・・
今の俺は言えるだろうか?
ハンドルを握りながらよく考える。
そのうち彼の現場が変わり、道で会うこともなくなった。
彼は彼の仕事について、
いろんな現場で、いろんな状況があって、いろんな人の対応がある。
そんな風に
人を見て、人と接することができる
そんな面白さがあると話していた。
なんかタクシーとつながるとこがある。
数日前空車で走っていたら、
何年ぶりに道でたまたま彼を見かけた
暖かい日で、年がいもなく短パンで歩道を歩きながらでかい体を縮めて携帯をいじっていた。
クラクションを鳴らすと、すぐに俺とわかったようだ。
向こうから大きく手をあげてきた。
信号で止まって、運転席の窓を開ける。
「おう!久しぶり、休み?」
「うん、ほんまに久しぶりやな。やっぱりまだタクシー乗ってるんや」
あのときと変わらない日焼けした顔で、うれしそうに言った。
「なかなかここ(運転席)から離れられへんわ。そっちは今はどこの現場行ってんの?」
3月31日(木) 景気指数50 晴
23:30売上 14,530 9回
最終売上 34,640 18回(7回) 11.75時間 MAX 4,070
かみさんと上の子供が風邪でダウンしていたので、
16時頃には仕事を切って子供の保育園の迎えに行ったり、
家で晩飯を作ったりしていたら
うつってしまった・・・
らしく夜はしんどかったが、
さすが年度末、
夜のタクシー乗り場はすごい行列やった
22時過ぎから約4時間で11回はすごい。