2013年6月26日水曜日

タクシー運転手のリクルート


「今週一件も問い合わせないわ・・・」

タクシー会社というのは、

基本的に常に求人をしていると言っても良い

会社としては、稼働率を上げる(車を遊ばせない)ことが重要であり、

給料は歩合制が多いので、

ぶっちゃけその分仕事があろうが、なかろうが関係ない

例えば10台の車が1日6万円づつ持って来るとする。

この日の会社の売上としては60万円

歩合率50%とすれば運転手個人としては1乗務3万円もらえることになる

会社には上の人件費を引いた30万円が入り、

そこからさらに経費等が差し引かれ、残った金額が利益となる

この会社が台数を5台増やした(または稼動を5台増やした)とする

15台の車の売上は5万円づつ、

運転手個人の身入りは約5千円減る(これは結構大きいよな)

しかし会社の売上は75万円と15万円増える

これは1日の話なので、一ヶ月なら450万円のキャッシュフローがプラスとなり、

人件費経費等を差し引いても、利益増が期待出来るわけである。

要するにタクシー会社というのは、

常に稼働率を上げたい、

出来れば車を増やしたい(増車は運輸局の認可が必要になる)

そのためには運転手を増やしたいのである

ちなみに10年ほど前のいわゆる「小泉竹中構造改革」により、2002年にはタクシーも規制緩和の標的となり、この増車規制が大幅に緩められた。そのため路上にタクシーが溢れかえり、主に都市部の運転手が困窮した事例があり、現在も大阪などではダンピング競争(55割引)などその後遺症に苦しんでいる。

「(いくら求人かけても)これから運転手の確保はそう簡単ではありませんよ」

「なんでや?景気がよう(良く)なったからか?」

どうやら景気が悪くなるとタクシーに人が流れてくるというのがこの業界の共通認識のようだが・・・

「・・・違います。構造的な問題です。数年後にタクシー運転手は確実に不足します。多くのタクシー会社が人を集めることが出来ずに撤退していく(または大手に吸収される)でしょう」

10年前の規制緩和(道路運送法の改正)はひどいものだったが、

なぜあれほどタクシーが増えたのか

あの時期いわゆる「団塊の世代」が50代前半

各企業では年齢に見合った報酬やポストを用意出来ず、

人員整理(リストラ)需要が高まっていた

タクシーの規制緩和は「渡りに舟」だったわけである。

水が流れるように、多くの年頃(?)の人材が業界に流れ込んできた。

一般企業になじめなかったとしても、

優秀な人たちもたくさんいたし、

何よりまだ50代、一生懸命働いたわけである

当然供給はパンパンに膨れ上がり、

市場は混乱した。

しかし、あれから10年が経った

団塊の人たちは60代に入り、

ついに年金をもらう年齢に突入した

まあこの(年金をもらえる)65歳でみなさん働き方がガラっと変わるね

比較的長く働けるのがこの仕事のメリットでもあるのだが、

やっぱりみんなトーンがグッと下がる

「トーンが下がる」というのは、

この場合「仕事量を減らす」という意味で、

仕事時間をコントロール出来る自由なタクシーだからこそでもある。

しかもタクシーというのは、言葉は悪いが、

仕事の奪い合いの闘いみたいなところがあるが、

65を過ぎたら、とりあえずそういう闘いからは引退する運転手が多い

ギスギスしたところがなくなって、

びっくりするくらい人柄が変わる人もいる

要するに、職場の雰囲気は良くなるよね。

「わしらはもういいから、若い人たちがんばりや」

みたいな。

そして、リクルートの話に戻るが、

現在(2013年)の労働市場では50代の労働者が少なく、我々40前後の、いわゆる「団塊ジュニア世代」が多いという非常にバランスの取れた状況になっている

整理(リストラ)需要は少なく

20代はまた少ないので、

今後多くの業種で人手不足になる

要するに入ってくる運転手は少なく

上の「団塊ドライバー」が今後大量に退出(引退)していく

そして大量の「団塊世代」は(高齢者として)利用者となり、

タクシー需要は増える

供給が減って、需要が増える

これが何を意味するかは誰でもわかるだろう。

「ぼくは10年前からこれから起きる状況を予測していました。だから若くして(20代で)タクシー運転手になったんです。

これから運転手を確保できなくなってくる中で、女性や若手を業界に引き込む必要があります。

そのためには何とかして業界のイメージを変えなくてはいけません。

さらに事務所機能をスリム化して、運転手を兼務させるシステムが必要になってくるでしょう。それは会社としてのコスト削減や効率化はもちろんですが、内部のオペレーションまで手がけることで若い人材のモチベーションを高め、現場を活性化させる効果もあります。」

そして事務所の椅子に座ってパソコンいじってるよりも、

運転したくて仕方なくなってくるわけです(メッセージ多いな)。 

最後に大事なことやけど、

若い人若い人と書いてるので、「わしらは必要ないんかい」と思われそうやけど、

次世代のために業界のイメージを変えるのは、我々ベテランドライバーなんですよ

がんばりましょう! (どさくさにお前いつから「ベテラン」になったんや)

5 件のコメント:

  1. ドライバーさんへ


    6月のブログは5連ちゃんで面白い。
    こういう業界ブログはいいですね。

    他業種と共通項もあり、独特な部分もあるけど
    どちらも目指すべき処、必要な策は同じかな。

    ほんの少し先を見渡せる管理体制で牽引できればいいですね。
    許せる範囲での続投を楽しみにしています。

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    1. ありがとうございます!

      最近アクセスが増えてまして、何か本当にタクシーが好きで、タクシーを変えていきたいという空気を感じています。みんなよくわかってますよね。

      SNSが急速に普及している昨今ですが、ブログって面白くて、届くはずのない人に声が届いたりするんですよね。

      例えば大好きな女優さんがいたとしても、SNSでその女優さんとコンタクトを取るのはほぼ不可能です。しかしブログのタイトルにその女優さんの名前を入れて、徹底的に語る。するとそれはかなりの確立でその女優さんに届くんですよね。「XXさんは赤が一番似合う」と書き続けたら、赤いブラウスを着ることが増えたり(・・・この例えほんまに適当なのか)。

      わかる人にはわかる。そんなことを信じて、メッセージを発していきたいと思っています。

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  2. どもです!
    私の会社でも今年はドライバーで大学の新卒の方が数名入社したそうです。団塊世代の大量退社で常に人手不足のようですね。
    色々システムもこれからは変えていかないと生き残れない状況のようですね。

    私はやっとすべての条件をクリアーしてやっとスタートラインにたてそうてす。
    これからが大変ですが、思い切って飛び込んだ世界なので頑張らないとあかんすね!

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    1. kenさん

      >今年はドライバーで大学の新卒の方が数名入社したそうです

      そういう時代になって来るかもしれませんね。
      今までは年配のドライバーにとって若い人材は脅威(自分たちの居場所がなくなるという被害妄想)だったところがあり、入ってきてもいじめやネガティブ話などあらゆるモチベーション低下策により何年も持たずに辞めていくことが多かったようです。

      しかし上に書いたように職場の雰囲気は変わってきています。これから入ってくる若い人たちはちょっと違う空気を感じられるかもしれません。

      ちなみに浪人留年なしの大卒者の場合は、少なくとも大学1年生のとき(19歳のとき)には普通免許を取得していないと、2種免許の受験資格を得られません。

      大学入学したばかりで、「卒業したらタクドラなったるぞー!(そんなやつおるか)」という若者は早めに準備しておくことをお勧めします。

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  3. お初です。
    古い投稿にコメント、すみません。
    検索していましたら、気になる記事が出ていましたので、コメントさせていただきました。

    >常に稼働率を上げたい、
    >そのためには運転手を増やしたいのである

    私も、それを実感しております。

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