2012年9月30日日曜日

9月29日(土)34点~地熱発電


思えば、久々の土曜勤務

事実上2ヶ月ぶり(7月28日以来、A駅番9月1日除いて)か・・・

9月29日(土) 日照1.3 雨1.5 気温26.0-15.4
営収 34,860(16,040) 12(4)回 11.75(5.75)時間
MAX 13,030-5,510

この日は、昼過ぎまで子どもの世話で、

13時過ぎから休憩なしで勝負!

昼間に珍しくゴルフ場(Lカントリー)から遠方で、

気持ちよく夜の闘いへ、

21時過ぎに無線でCタウンへ

20代らしき若い男性の乗車

「S駅までお願いします。どのくらいかかります?」

「時間ですか?」

こういうとき利用者は金額のことを聞いているんだろうが、

「金額ですか?」と聞くのは失礼になることがあるので、

大抵上のような対応をする。

「・・・はい」

「10分くらいですかね。この辺(の方)やないんですか?」

ちなみに上のような質問をすると、

地元の人間でない

とういことがばれてしまうので、

場合によってはぼられることもあるので要注意である。

「はい、西宮なんですけど。この近くの大学に通ってたんですよ」

「『通ってた』?過去形ですか?」

「はい。この秋から長崎の方へ行きます」

「長崎・・・就職ですか?」

「はい・・・そんなようなもんです」

こういうとき、これ以上突っ込むかどうか迷うのだが、

相手が年下やし、

突っ込んでほしいのかな・・・

みたいな空気もあるので行ってみる。

「長崎行って、何かすんの?」

いきなりタメ口

「はい、やりたかった仕事があって、それで行くことにしたんです」

ビンゴや、聞かれるの待ってたな。

「やりたかった仕事って?」

「地熱発電の事業なんですけど」

「地熱発電?」

「はい。長崎の小浜温泉って知ってますか?」

「オバマ?」

「はい。前回の大統領選挙(2008年)ではちょっと話題になったんですけど、オバマ大統領と同じ名前なんですよ」

「そこで地熱発電をやってるん?」

「いえ、これからするんですけど。小浜温泉って、熱量が100度以上あって世界一高いとも言われてるんです。普通温泉地で発電するって言うと地元の人が反対するんですけど、こちらでは珍しく地元の方が乗り気で賛成してくれてるんですよ」

「その熱を使って発電するわけか・・・。でも大体地熱発電の将来性っていうか、実際どうなのかなって素人的には思っちゃうんやけど」
 
しかし、調べてみたら地熱発電って、風力や太陽熱より設備投資も小さくて(コンビニ程度の設備らしい)発電量も多いみたい。

こんな客に出会わなければ知ることもなかったことやけど。

「将来性があると思ってるから賭けてみたいんです」

「そうなんやろね。機会あったら小浜温泉行ってみたいね」

「是非来てくださいね!」

9月28日(金)31点~転勤の季節


  
 
9月28日(金) 日照11.3 雨0 気温28.0-12.9
営収 31,200(7,010) 17(5)回 13.00(6.00)時間
MAX 2,200-8,790

半期末にあたる金曜日で、期待したものの

昼間からさっぱり

夜はさらにひどく、

こんなはずやなかった・・・

とひざまずいていたとき(車の中で?)

最後に乗り過ごしの客

見た目50前後の男性

「いやぁ、乗り過ごしたわ」

「夜は寒くなってきましたからね(意味わからんフォローすんな)」

「明日から東京転勤やねん。朝イチで向こういってイベント参加せなあかんから」

「イベント?」

「東京駅のオープンイベントや」

「あぁ、そんなこと言ってましたね」

「送別会で飲みすぎて電車乗り越しや。アホやろ。これで明日から東京行って、定年までずーっとあっちや。もう帰って来れへん」

「やっぱり関西がいいですか」

「いや、向こう(関東)の方がええわ」

「・・・」

2012年9月27日木曜日

9月25日(火) 31点 26日(水)20点〜どんなときも自分のけつは自分でふいてきた

昨日の午後、ある私鉄の駅から

杖をついたご老人が乗車

「いやぁ!電車2回も乗り間違えてしまったわ。もう(電車乗っても)待ち合わせに間に合わんからO駅まで大急ぎで行ってくれるか?」

「わかりました」

先日引っかかってるので(何に?)、昼間から飛ばす気など全くないのだが、とりあえず了解しておく。

「いやぁ…田舎もんちゅうか、年取ったらあかんわ。もう81やからな」

「えぇ!80ですか!全然見えませんね」

聞いてもないのに年齢を言われたら、とりあえず大げさなリアクションを取るのは基本である。

リアクションが良かったのか、おじいさん、このあと延々と続く身の上話を始めた。

「そうやで。もう80や。あんたら知らんやろな。第二次大戦のときはな、戦闘機の飛行訓練させられたもんや」

「戦闘機ですか!…(戦争のときは)おいくつくらいだったんですか?」

「終戦が14や」

「えぇー!うっそやーん!」という言葉はとりあえず飲み込む。

いくら終戦前の日本が切羽詰ってても、14歳の子どもに戦闘機乗せて訓練するわけないやん。

「そんで何とか戦地までは行かずに済んだんや。8月に戦争が終わって、地元の福井に帰ってな、次の年の6月28日、あの福井大震災があったんや」

調べると、「福井大震災」は「1948年」の6月28日。終戦の3年後である。

「戦後に福井で地震があったんですか…知りませんでした」

「あんた福井の震災を知らんのか!去年東北であった地震なんかよりでかかったんやで」

「えぇ!あの東北の地震よりもですか…」

「原発は大丈夫だったんですか?」というセリフも飲み込んだ。

調べると、福井大震災のマグニチュードは7.1(東北は9.0)、死者は3769人。

しかし、関西電力の原子力発電所は福井県に集中しているが、60年余り経っているわけだから、周期的に考えたらそろそろ危険なのかもしれない。

「実家は農家やったんやけどな、震災で家も何もかもなくなって、どっちみち次男やったからな、大阪のおじきのところ頼ってこっちに出てきたんや」

「その頃の大阪はどうでしたか?」

「いやぁ、活気があった。福井の田舎から出てきたら全く別世界やったなぁ」

おじいさんは昔を思い出すように話続けた。

「おじきが豊中で本の卸の事業やっとってな。夜間の学校行きながら、おじきの手伝いしとった…O駅までなんぼほどかかる?」

「…4千円は超えるかと」

「そんなにかかるんか!障害者手帳あるから割引してな…そんでおじきは子どもがおらんかったから結局その跡取りにな、わしがなったんや」

「でも、その頃大阪で事業されてたんなら、そこそこ儲かったでしょう」

「せやな、羽振りのいい時期もあったけど、心やすうしとった絵本の会社に義理尽くしてな、手形の保証してしまったんや」

「…保証ですか」

「そのうちその会社が不渡り出して、俺も真っ裸になったわ」

「おいくつのときですか?」

「ちょうど後厄、43や」

「そこから立ち直られたわけですか」

「さすがにわしも首吊りかけたけどな、やがて世間はバブルの時代に入っていくわけや」

終戦(1945)が14なら、後厄の43は1974年か…バブルまで少し時間差あるような。

「豊中のおじきの家をわしが相続しとったんやけど、ある日指のないやつらが二人家に来てな、立ち退きを迫って来よったんや」

「…地上げってやつですね」

「せや。わしも事業畳んで丸裸になっとるからな、家だけは守ろう思って徹底的にやつらとやりあったわ」

ちょっと待ってくれよ。

保証でどういう整理の仕方したのか知らんけど、家があって「丸裸」とは言わんやろ、普通。

「そんでそいつら…親指はあったけどな、両手であと二本づつしかあらへんねん。二人ともな」

「うっそやーん!」いくらなんでも、そんなに指つめへんやろ。指2本づつって、バルタン星人じゃあるまいし、しかも二人揃って。

「最後には上のやつも来て、おじきのところが100坪あったからな。坪81万で話つけたんや」

「8100万ですか!そんな金額で売れたんですか」

どうでもいいけど、このヤクザよほどヘボやな。豊中辺りで坪80万て、地上げになってないやん。

ちなみに現在の豊中で60〜70が相場やろか。

その後も老人の話は延々と続いたが、やがて目的地が近づいてきた。

「とにかくうまくいったときも、いかんかったときもあるけどな、失敗したときも、いつも必ず自分のけつは自分でふいてきたわ…運転手さん。O駅にな、連れがおるからそいつらんとこ行ってくれるか。ガード下におるらしいわ」

「わかりました」

O駅に着くと、おじいさんの言うとおり、ガード下に男性が3人立っている。

「おぉ、おったおった。あそこに停めてくれるか」

「わかりました」

「おーい!待たせて悪いな。電車乗り間違えてしまってな。タクシー代(4,710円)、こんなに持ってないから、払ってもらえへんか」

9月25日(火) 日照7.4 雨0 気温26.5-15.6
営収 31,530(15,380) 17(9)回 12.50(7.50)時間
MAX 4,710-4,390


前日(24日)のみんなの売上表をチェックすると、

ひどい売上が並んでいたので、

この日は苦しむだろうなぁ・・・

と覚悟していたら、

思いのほか、うまくいって

時間も、最近にしてはしっかり入れて、

遠方なしの30点

気持ちの良い乗務だったが、

寝不足で、帰庫後に車庫で爆睡してしまった。

9月26日(水) 日照11.3 雨0 気温26.4-14.2
営収 20,870(6,430) 9(5)回 10.75(5.25)時間
MAX 2,310-8,950


前日(25日)うまくいったのと、

天気も良く、A駅番(1年の記念日)ということで、

今日は稼ぐぞ

と期待して臨んだ水曜日だったが、

記憶に残るほどの玉砕・・・

最終のミドルがなければ15点ペースやった。 

何年乗ってもタクシーはわからんわ。

ちなみに、この日東京マラソンの落選メールもゲット・・・(ゲットとか言うな)
  

2012年9月22日土曜日

9月21日(金) 29点~タクシー運転手の資質


そばの花がきれいに咲き始めた。

秋の新そばが楽しみになるほどに歳を取ってきたと感じる・・・

先日70を超える長老ドライバーと話していた

長老は文字通り「長老」で、

元は本社採用で、事務所で長年仕事をして、所長まで経験していた

いわゆる「キャリア社員」である

そんなおじいさんに昔の話を聞くと、裏も表もなかなか面白い話が多い。

「昔佐々木(仮名)っていう運転手がおってな、そいつはよう稼いだもんや。かなうやつはおらんかった」

このセリフの中では全く触れていないが、何故かこれだけで

佐々木さんは嫌われ者だった

ということが分かってしまうから不思議である。

「その佐々木の口癖がな。

『タクシーなんてもんは、誰にでも出来る。小学校さえ出てればいいんや。足し算と引き算出来ればこんな仕事できるんや』」

「一応中学校も義務教育ですから出ておかないとまずいでしょう(そういう話をしてるんじゃない)」

「まあ、あいつは学歴に対するコンプレッションがあったんやろな。それで負けん気でがむしゃらに働いとったんやと思う」

「・・・コンプレックスのことですか?」

「やっぱりその時代時代で稼ぐやつってのはおるけど、みんな何かしら、その、コンプレッションを抱えてるわ」

「(コンプレッションて)なんかの機械ですか・・・それで、その佐々木さんはその後どうなったんですか?稼ぎ続けたんですか?」

「そのうち辞めていったわ」

「何でですか?」

「わからん。足し算がでけんようなったんやろ」

9月21日(金) 日照7.7 雨0.5 気温17.6-28.0
営収 29,990(10,430) 18(9)回 11.00(4.75)時間
MAX 3,670(1,910)


期初の金曜乗務で、

ちょっとがんばりたかったんやけど、

あかんかった。

ホテル待ち(20~22時)の外れが痛かった。


 

2012年9月21日金曜日

9月19日(水)29点 20日(木)27点~期限切れのチケット


4連休明けの乗務は、

午後に息子が熱を出して、

長い休憩(15~17時)を取ったりして

2万円に届かずに終わるところだったが、

最後の客が、

「伊丹まで、山の方通ってもらえますか」

同年代(30代)の男性だろうか。

これは「山の方」が、近道と思って指示して来たのだろうが、

実際は、高速通っても金額はほとんど変わらないし、当然早い。

しかしもう最後の客になるだろうから、

急ぐ必要はないし、

正直言って、乗客が道を指示してくれるのは歓迎である

乗客の指示であれば、遠回りだろうが何だろうが関係ない。

そして目的地の、最近建てられたばかりのきれいなマンションに着くと、

「クレジットカードいけますか?」

「すみません。カードだめなんですよ」

「そんならタクシーチケットは?」

「・・・チケットなら大抵いけますよ」

チケット持ってるんなら、最初からカード聞く必要ないやん。

「このチケット『1万円未満』になってるけど」

「あぁ、それじゃあ『9,990円』書いてもらって、残り(1,680円)現金でもらえますか?」

「現金・・・ですか」

渋々2千円を出してきた。

どうやら、どうしても現金を出したくなかったようだ。

釣りを渡して、

「どうもありがとうございます」

ドアを開けて、

チケットを確認すると、

有効期限が『2010年11月』になっている

急いで車を降りて、

「すみません!お客さん!」

男性はマンションの入口に入りかけていた。

新しいマンションはセキュリティが充実していて、

入口に入ってしまったら、もう客にアクセスすることは不可能である。

チケットを見せて、有効期限のことを伝えると、

表情ひとつ変えず、

「あぁ、そうですか。部屋行って金取ってきます」

「そうですか。また戻ってきてもらって支払いしてもらうのも悪いんで、お部屋まで着いて行きますよ」

会社発行のチケットならともかく、

個人の期限切れチケットはやばい。

ギリギリやった・・・

マンションの16階の部屋の前で待ちながら、深夜2時の夜景を見下ろしていた。

9月19日(水) 日照10.1 雨0 気温23.5(28.7)
営収 29,780(7,400) 17(7)回 11.00(3.50)時間
MAX 11,670(1,510)

そして今日(20日)締め日は、

朝子どもを送って、ひと眠りしようと思ったら2時間近く寝てしまい

起きると昼前・・・

急いで出勤して、

13時過ぎにやっと一回乗せたところで電話

息子がまた熱

しかたなく保育園に迎えに行って(14~15時半)、

最後追い込んだが、詰めが甘く30点に届かず。

ちょうどこの日の出庫前、同年代の同僚と話していた。

「タクシーって独身の人が(時間の融通利くから)絶対有利ですよね」

「ふん・・・でも子どもがいるからがんばれるってのもあるからね(かみさんはいなくてもいいけど)」

9月20日(木)A 日照3.3 雨0 気温21.6(26.7)
営収 28,050(9,700) 15(5)回 9.50(4.50)時間
MAX 6,390(2,870)

洗濯物干そ

2012年9月15日土曜日

9月14日(金) 41点~エキスパート観光ドライバー

転職するつもりなど、

正直言ってもう全くないのだが・・・(企業側もお前のようなやつ取るつもり全くない)

一応転職サイトなんかに登録してたりして、

たまにメールが来る。

大抵はスルーしているが、

今日はちょっと目に留まる求人があった

(あなたのスキルに)マッチ度 83%
企業名/日本交通株式会社

なんだよ・・・運転手かよ(お前運転手やろ)

しかしその下に、

職種名/エキスパート観光ドライバー

とある。

なんやろそれ?

「・・・弊社では、業界で初めての試みとして、2011年8月に
海外からの観光客や、子供の送迎、介護向けの新しいサービスを導入しました。
多用化するお客さまのニーズにお応えしながら
業界トップの座にふさわしい企業であり続けるために
新しい人材を募集することになりました。

今回募集するのは『エキスパート観光ドライバー』です。


弊社のベテラン・ドライバーは、豊富な経験と技術だけでなく

個々のスキルを活かして、観光を楽しむお客さまをもてなしています。」

ほぉー・・・

「海外からの観光客や、子供の送迎、介護向けの新しいサービス」

何気に何のつながりもなさそうだが・・・

まあいいか、仕事内容は・・・

「外国のお客さまに、エキスパート・ドライバーならではのサービスをご提供。あなたのキャリアと知識の見せどころです。勤務しながら、語学力のブラッシュアップもできます!

その名も、EDS(エキスパート・ドライバー・サービス)」

EDS・・・(ええドライバー・サービス・・・)

「EDSとは、日本交通グループに所属する約7000名の乗務員の中から選抜された、精鋭乗務員=エキスパート・ドライバーによるサービスです。
現在、42名のエキスパート・ドライバーが、観光・介護・キッズ・陣痛などの専門分野に分かれて、勤務しています。・・・」

「陣痛」の専門ドライバー・・・

まあいいか、給与は、

「◆月給18万2000円+歩合
 ※配属後、試用3~5ヶ月は月給17万5000円+歩合

◆研修期間◆

 ◇未経験者◇
  日給1万円交通費支給(勤務日数23~30日)
 ◇経験者◇
  日給7500円+交通費支給(勤務日数10~15日)

◆賞与年3回(3月・7月・12月) 」

普通と変わらんような・・・(歩率も書いてないな)

おっ、下に給与例が、

「◆44歳(入社2年目)◇年収514万円 月平均42.8万円◆
◆23歳(入社1年目)◇年収504万円 月平均42万円◆ 」

20年働いても変わらなそう・・・(それがタクシーや)

9月14日(金) 日照4.8 雨0 気温24.8(31.7)
営収 41,810(13,270) 18(7)回 10.50(4.50)時間
MAX 11,510(5,430)

まあいい感じやった。

夜帰ったら、中小企業診断士の更新登録証(5年更新)が届いてた。

うれしー

明日から4連休や!

2012年9月14日金曜日

9月13日(木) 33点~ネズミ捕り

どの場所で、どんな時間にネズミ捕りをしているか

そんなことを知りたければ、

その地域のタクシー運転手を一人捕まえたら、きっと詳しく教えてくれるだろう

そう、我々運転手は警察の動きを誰よりも早く感知し、

情報を共有しているのである。

だから運転手が、

よりによって自分の働く地域でネズミ捕りにかかるなんてことはありえない

あるわけない・・・(1点で良かったな)。

9月13日(木) 日照8.3 雨0 気温25.2(31.4)
営収 33,750(11,420) 16(9)回 11.75(6.00)時間
MAX 9,990(2,470)

昼間も、夜もそこそこ動いたし、

つきも悪くなかったが、

こんな日はどんなに仕事しても空しい・・・(何があった?)

2012年9月12日水曜日

9月11日(火) 22点〜「タクシーほど気楽な商売はない」

一週間ほど前、点呼の後に所長に呼ばれた。

「あんたこの人知ってるか?」

デスクのパソコンの画面に写っていたのが、

ネット上では、「カリスマ運転手」でならしている下田大気さんだった。

「あぁ、知ってますよ。志茂田景樹の息子で、東京でタクシー運転手やってるらしいですね」

「めちゃめちゃ稼ぐらしいやんか。そんで最近本書いて、またベストセラーなってるらしいで」

「本書いたいうのも知ってますけど…買ったんですか?」

「何でわしが買うねん。わし運転手違うから読んでもしゃーないやろ」

「…それで?」


「うちの社長も、こういう本運転手に読ませ言うてんねん」

…業務命令かよ。

「わかりました。買いますよ」

「読み終わったら貸してな」

「…わかりました。所長もそろそろ運転手に下りる頃(リストラされる)でしょうからね」


そんな行きさつで、業界でも話題になっている下田さんの本を先週アマゾンで購入した。




本の内容は主に、カリスマと自称するほどに稼ぎまくっている著者が、

東京というフィールドで、どのように稼いでいるか

というのを具体的な地名なども入れて、詳細に描いているものである。

そういう意味では、よくあるタクシー本のように、「タクシーであんなことありました、こんな人おりました」みたいなものとは一味違って(第3章にはそのような記述もあるが)、

運転手や運転手になろうと思っている人たちにとっては実用的と言える

「はじめに」で書かれている文章を引用しよう。

「ぼくは30代に入るまで役者に始まり、会社員、会社経営といった仕事を経験しましたが、いちばん気楽に楽しくできているのがタクシー運転手なのです。

…中略

でもぼくはまだまだタクシー運転手をやめる気にはなりません。だってタクシーの仕事は面白くて金になる。時間の融通だって利く。やめる理由がまったくないんです。

だから今の時代に仕事で悩んでいる人にはぜひ、タクシー運転手をお勧めします。

ぼくのように毎日楽しくお金を稼ぎましょう!」

現役の運転手として、非常に共感できる文章である。

本は4部構成で、

第1章が、彼が運転手になる前の話

第2章が、「業界ナンバーワンになった業務方法はこんな感じ」

第3章は、タクシー車内外での面白エピソード

第4章は、タクシーにまつわるQ&A


ということで、コアになる部分はやはり80ページ余りを充てている(全200ページ弱)第2章の、「東京のタクシーで稼ぐノウハウ」編だろう。

この章には、具体的な駅名などを包み隠さず書いており、東京の運転手でなくても読んでいてワクワクする。

例えば、タクシー激戦区であろう新宿での彼の攻め方の一部を引用すると、

「新宿に着いてすぐに車を回すのは西武新宿駅そば、大ガードを通過してすぐのパチンコ店の前あたりです。ここでは西武新宿線で新宿まで来て、そこから丸の内方面にタクシーで向かう乗客が拾いやすいのです。

…ちなみにJR新宿駅では、タクシーを利用して丸の内方面に向かうお客さんはほとんどいません。こちらはJR各線はもちろんのこと、東京メトロなどほかの交通機関へのアクセスが充実しているからでしょう。」


これは東京に限らずよくある話だが、交通機関が整備された大きな駅の、正面の正規の乗り場にタクシーは大量に並ぶ傾向にある。

新宿で言えば、西口のタクシー乗り場のようなところや羽田空港のようなところもそうだろうが、こういうところでは、

タクシーに乗る人も多いが、並ぶタクシーも多い

要するに、なかなか差別化できないというか、「人より稼ぐ」というような野望を持っている彼のような人物は戦いにくいだろう。

そしてちょっと離れた不便な場所、

利用者にとっては必要な場所にタクシーがまったくいないということもよくある

そうした利用者側からみた穴場ポイントを彼は「50ヵ所ほど」頭に入れているそうである。

彼の「稼げる」営業ノウハウを大きくまとめると、

①(流しより)主に上のような場所での「付け待ち」の繰返し

②周りと違う動きをする

③短距離乗車を多く乗せる回数勝負

④営業パターンを固定化させない


ひとつひとつ簡単に説明すると、

まず①、「流しより付け待ち」ということだが、

流しというのはやはり行き当たりばったり的なところもあるし、他のタクシーとの瞬間の争いや危険性もある。

本の中にも書かれているが、マナー違反で割り込まれても客を乗せられてしまえばどうにもならない。

しかし、ニッチな付け待ちポイントをいくつか知っていれば固く稼げるし、争いも避けることができる

もちろんいわゆる「手上げ乗車」も、その間にあればラッキーということである。

そして②、「周りと違う動き」だが、

彼は多くの運転手が避ける新宿歌舞伎町に乗り入れて、自分のものにしている。

「運転手が避ける」というのは、当然それなりの理由があるわけだが、

「ライバルが少ないところを狙う」


のは、タクシーだけでなくビジネスの鉄則である。

新宿歌舞伎町は大阪では西成辺りにあたるのだろう。

自分も大阪で新人時代に、苦し紛れに何度か乗り入れて、何度もひどい目にあっている(西成の方が厳しいんちゃうか)。

この戦略はまさに「言うは易し行うは難し」

彼が2年経っても歌舞伎町から逃げないのは、

精神的な逞しさと運の強さを物語っている

そして③と④、これもどこでも同じかもしれないが、

この世界本当に稼ぐ奴は臨機応変に営業エリアやパターンを変えていって、短いのをどんどん乗せていく

「タクドラはみんな遠方を狙っている」、なんてのは一部の利用者の偏見で、ある程度乗ってる運転手はみな回数勝負というのはわかっているはずである。

遠方乗車なんてのは狙って取れるもんでもないし、よく動く時間帯には逆に遠くに飛んだら非効率になることもある。

そして、ワンパターンな動きをしていたら回数乗せることはできない


人の動きは経済であり、流れのあるところ、波が来ているところを見極め、先読みして常に動いていくことが短期的にも長期的にも重要になる。

そして動けば動くほど流れが見えてくるという好循環を作ることができる

あと面白いのが、

彼は2009年10月に運転手になって2年間で、「大台」と言われる、1乗務10万円超えを4回も経験しているらしいが、その4回すべてを初乗務から1年以内に達成している(09年12月、10年1、6、7月)。

タクシーってのは、その気になれば乗り始めてすぐに稼ぐことが出来る

とはよく言うが(何年かすると、「その気」にならなくなるからな)、まさにそれを証明している実例と言える。

逆に最初にネガティブな先輩たちに捕まって手なずけられると、なかなか動きにくくなるということもあるので要注意である。

あいさつくらいはもちろんしなくてはいけないが、そういう連中とはある程度距離を置いて、輪の中に入らないこともこの世界で生きていくのには大事なテクニックのひとつだろう(放っておいても、何年かしたらいなくなるからな)。

あとがきで、そのようなことにも遠まわしに触れている。

「タクシー業界全体を見渡すと、この仕事をしょうがなくやっている方は決して少なくありません。でも、そういうノリでやっていると当然成績も上がらないでしょう。

何の仕事をやるにしろ、それをいかに自分が楽しめるかが重要だと思います。」


タクシー乗ってると、ほんまに何故かついてる運転手っていて、

そういう人はどこに行っても、いい仕事がうまい具合に当たる

この本を読んでいると、もちろん彼の努力はあるものの、

何よりこの人持ってるわ

と感じさせられる。

その運を引き寄せる秘訣が、最後の文章で公開されていた。

「僕のように毎日楽しんで仕事ができれば、物事は必ずいい方向に転がっていくはずです。」





9月11日(火) 日照3.9 雨4.5 気温23.3(27.3)
営収 22,870(13,990) 15(11)回 10.75(7.25)時間
MAX 4,710(1,830)


昨日今日と、

昼間は健闘しているものの、夜はさっぱり

サッカー観戦(日本対イラク)で3時間抜けたこともあるが・・・

2日連続で崩れたのは痛い

「カリスマ運転手」への道は遠いなぁ・・・

2012年9月11日火曜日

9月10日(月) 23点~帯状疱疹

どこかに旅行でも行ってきたのか?

と思うかもしれないが、

乗務中に、普通に通った道で撮った写真である。

9月10日(月) 日照0.7 雨1.5 気温24.6(29.0)
営収 23,410(16,080) 14(8)回 10.75(5.50)時間
MAX 7,670(※1,830)

この日は一発目でいきなりミドルが当たって、

その後も前半はいい流れで、

夕方に常連のご老人、Hさんからの無線

マンションの入口につけると、

乗ってきたのは(常連の奥さんではなく)ご主人一人、

ご主人の乗車も初めてではないので、

「お久しぶりです」

ご主人は80も半ばだろうか、相変わらずテンション低い。

「実は今から入院することになってね・・・」

この仕事しているとわかるが、老人でも女性は元気で前向きだが、

男性はネガティブで下向きな人が多い。

平均年齢に差がつくのも理解できる。

「入院ですか!元気そうに見えますけど・・・(心にもないことを言うな)」

「帯状疱疹いうて、身体に水疱瘡みたいな『できもの』が広がってきてな」

「・・・疱疹ですか」

「医者に言うたら、周りの人に移るからすぐに入院しなさいって」

「・・・」

「入院なんてしたくないけど、人に迷惑かけたらあかんからな」

「(運転手はいいんかい!)・・・空気感染とかするんですかね?」

「医者があんだけむきになって入院すすめるんやから、あるんかもしれんな」

注:調べたら、空気感染はしないらしい。

「ありがとうございます。1,670円です」

「はい、これ」

「あの・・・ここに置いてもらえますか?」

2012年9月10日月曜日

9月4日(火)29点 5日(水)43点 7日(金)33点~好調は続く 

ブログ更新は乗務の後にしないと、

新鮮味がない

と思い、

今月からはなるべく乗務の後に書いておこうと思っていたのだが、

最終に遠方に飛ぶことが多く、

帰りも遅くなり、

疲れもたまって、

しかも今月は

1ヶ月間禁酒

という人生最大の挑戦をしているので(大げさやな)、

深夜のテンションも下がりがちである(あまり上げてほしくないな)。

9月4日(火) 日照4.7 雨0 気温25.4(30.0)
営収 29,590(6,580) 13(5)回 11.50(4,75)時間
MAX 12,070(2,870)

この日は前日(4日)の帰庫が遅かったので、

昼過ぎの出庫

前半から苦しんで、

夜もさっぱり

17点で終わりかけたところで、

25時過ぎに無線で遠方

9月5日(水) 日照7.4 雨0 気温26.2(32.2)
営収 43,130(11,760) 15(5)回 12.50(5.50)時間
MAX 20,150(3,350)

この日は前半から悪くなかったが、

夜の伸びがイマイチで、

25点ほどで終わりかけたときに、

駅から桜ノ宮まで、

60前後の男性やったかな

表情一つ変えずに、

「ありがとう!」

と2万円超の代金を払って降りていった。

男前や・・・

9月6日(金) 日照9.4 雨0 気温26.0(32.2)
営収 33,450(17,060) 16(9)回 10.75(5.75)時間
MAX 7,590(4,150)

この日はA駅番

前半はかなり良い流れやったのだが、

後半出て、20時半から22時過ぎまで干され、

「タクシーほど気楽な商売はない(下田大気著)」

なんていう景気の良い本を読んでいた。

やっと乗ってきた客は870円で、

近いのは一向に構わないが、

5分も小銭を探し続けた挙句に1万円札・・・

終電まで流れは悪く、

終わって、回送中に手を上げられて、

7千円口

道で手を上げていても(田舎道なので)

どのタクシーも止まってくれなかったらしく

年下の30代の男性やったが、

「もう泣きそうでした。(8千円近く払うのに)世の中金ではどうにもならないことがあるってわかりましたわ」

そう、田舎の夜道では

タクシー運転手は神さま(?)なのである。


2012年9月4日火曜日

9月3日(月)49点〜タクシー運賃の値引きは法律で禁じられています

夏休み明けの月曜日

周囲の苦戦をよそに、

景気にあまり左右されない病院などでコツコツ稼いでいたが、

終電前に酔客乗車

「大阪まで」

「大阪のどちらまで?」

「交野(かたの)」

「かなりかかりますよ」

「どのくらい?」

「2万円以上は…」

「いいから行って」

そのまま寝てしまった。

目的地近くなって大声で起こしてからは、

「まっすぐ…いや(来た道)戻って…左…いや右」

なんて具合に、よくある行ったり来たり。

やっとのことで着いて、

「えー…高速料金込みで2万8千…」

「ごめん2万6千円しか持ってないわ」

「えー…困りましたね」

「困ったって、あんた2万6千円だってすごい金やで」

「…いや、それは確かにおっしゃる通りですけど…(安いツアーなら海外旅行行けるよな)」

参考までに、家電屋なんかと違って、タクシー運賃の値引きは法律で禁じられています(それでどうしたん?)。

9月3日(月)
営収 49,270(12,020) 19(9)回 14.00(6.25)時間
Max 27.030(2,470)

2012年9月2日日曜日

9月1日(土)22点~タクシー怪談「ミラーアプリ」

その日は、G駅の待機当番だった。

G駅は山に囲まれた田舎駅で、

昼間は周辺のお寺の観光客などがタクシーを利用するものの、

夜になると、駅の周りに乏しく灯る外灯の他には、

全く灯りのない寂しい駅となる。

「こんなとこで夜待ってても仕事あるわけないよなぁ・・・」

なんて一人つぶやいたり、

それでも寂しいので、

ワンセグで「踊る大捜査線」を観たりして、時間をつぶしていた

犯人に扮する広末涼子が、王さんに拳銃を向けられているクライマックスのところで、

向こうから客らしき女性が歩いてきた。

「なんだよぉ・・・よりによって、こんなときに客が来なくても・・・」

なんてブツブツ言いながら、ワンセグを消して、

ドアを開けた。

乗ってきた女性は、

髪が長く、目が少しギョロっとしていたが、

美人と言ってよいジャンルに入っていた。

「M谷まで」

「県道の・・・M谷・・・ですか」

確かに、そういう地名はあるが、

あんなところに家なんかあっただろうか

女性は何事もなかったかのように、スマホの画面に目を落とした。

俺も何も言わずに、車を走らせた。

それにしても、どこから歩いて来たんだろう。

30分に一本しか来ない電車は、夜になると降りてきた客一人一人まで確認できる。

この女性は電車から降りてきたのではない。

「月がきれいですねぇ・・・」

「・・・」

何となく会話を振ってみるが、スマホの画面に目を落としたままである。

メールを打っているわけでもない。

何かを読んでいるようにも見えない。

ただ、下を向いて、光る画面を見つめているだけに見える

やがてM谷に入ってきた。

「えーと・・・どの辺まで走りましょうか」

「・・・この坂道登りきったところにカーブがありますから、そこで」

やっと言葉が返ってきた。

ホッと一息ついて、またゾクっとした。

この坂道登りきったとこって、峠のど真ん中ではないか。

そんなとこで降りてどうすんの?

家があるわけもないし・・・

坂道を登りながら、向こうにそのカーブが見えてきた。

家が一軒ある

うそだ、あんなところに家はなかったはず。

目を疑いながら、カーブを曲がろうとハンドルを切ると、

・・・ガクン!

ブレーキも踏んでないのに、車が停まった。

「あれ?・・・すみません」

後部座席を見ると、女性はやはりスマホに目を落としている。

しかし少し様子がおかしい。

目を落としたまま、全く動いていない。

もしかしたら、さっきの停車のときの衝撃で・・・

「お客さん?お客さん?」

返事がない。

暗闇の中で、スマホの画面だけが光を放っている。

女性は下を向いたまま動かない

そして画面を覗くと、

そこには血まみれの女性の顔が写っていた



9月1日(土) 日照2.7 雨25.5 気温25.0
営収 22,890(11,380) 13(5)回 10.00(6.00)時間
MAX 3,590(※3,110)

昨日までの3乗務の好調もかき消す最悪の4日目

夜は自治会の用事(18半~21半)で抜けたものの

まあひどかったわ。

2012年9月1日土曜日

8月31日(金)43点~ワンスインナブルームーン

川の水が少ない・・・8月まともに雨降ってないからな。

今日は乗務前にメールで(JR情報メール設定してるので)、

電車が止まってる

という情報を得て、胸を膨らませて出勤(みんな困ってるのに喜ぶな)。

急いで出るも、

それほど動きもなく(そんなもんや)

電車のことなんて忘れかけていたとき、

住宅街のバス停から無線配車

バス停からの配車は近場が多い(大抵最寄の駅まで)

行くと、若い女性がバス停の椅子に座っている

悪くない・・・(何が?)

と思いつつ、バス停が反対車線だったので、窓を開けて声をかける。

「すんませーん。タクシー呼ばれました?」

「はい」

「どちら方面行きます?」

タクシーに乗る客って結構方角に無頓着で、ユーターンしてバス停につけたら、行き先は実は反対で、またユーターンさせられるなんてこともしばしばあるので一応確認。

「えーと・・・どっちですかね。大阪のリーガロイヤルホテルまで行きたいんですけど」

8月は満月の2回ある、いわゆる「ブルームーン」の月。

そして、こういう出来事を英語で、

Once In a Blue Moon (めったにない珍しい出来事)

という。

8月31日(金) 日照10.4 雨0 気温27.7(33.9)
営収 43,570(17,710) 17(4)回 12.00(5.75)時間
MAX 4,390(14,870)

ブルームーンの後は、

3時間ほど(15~18時)干されたが・・・

夜は結構、いやかなり動いた。

8月の速報値・・・

17乗務 総営収 510,790 1乗務平均 30,046

8月に平均3万超えるなんて・・・数年前なら考えられへんかったな。

いやすごいわ、ほんまに。