神戸でタクシー現場に戻ってきました! 運転席からの景色を最高に楽しんでいます。 いつかタクシードライバーが世間に認められる、社会的地位の高い職業になり、若者の憧れの職業になる日を夢見ています。
2014年3月25日火曜日
2014年3月19日水曜日
おすすめ本~東京タクシードライバー
こちらのストーリーは一休みして、
いやぁ・・・読書の季節ですねぇ(なんやねん)。
タクシーの車内ほど読書に適した場所はないと思ってます
空車待機時は誰にも邪魔されず(暇な運転手が窓たたいて、しょうもない会話振ってくるやん)
読書に疲れた頃に客が乗ってきてくれたりして(お前一度も客乗せずに本一冊読んだこと何度かあるやろ)
まあ、とにかく年度末で学生さんなんかも時間あるやろし(学生はお前のブログなんかチェックしてないわ)
おすすめのタクシー本を紹介します
山田清機さんのノンフィクションタクシードラマで、
10話のショートストーリーになっている
「東京タクシードライバー」というタイトルは正直広すぎる感じもするが(SEO的な匂いがあるな)、
副題が良い。
「夢破れても人生だ。夢破れてから、人生だ」
「一台のタクシーに1人の人生(ドラマ)が乗っている」
解説はあえてしないが、良いコピーやねぇ。
さらに10話のタイトルも中々掴みがある。
第1話 奈落
第2話 福島
第3話 マリアと閻魔
第4話 「なか」
第5話 ひとりカラオケ
第6話 泪橋
第7話 缶コーヒー
第8話 愚か者
第9話 偶然
第10話 平成世間師
長いあとがき
見ただけで読みたくなるようなタイトルが多いが、
とりあえず今回第1話の「奈落」をここで紹介しよう。
東京日本交通新木場営業所の荒木徹さんという運転手の物語りである
現在は営業所で班長まで勤める荒木さんは45歳と、ドライバーとしては比較的若い部類に入る。
会社員から32歳で脱サラして稼業の飲食業を継ぎ、結婚して子供も生まれるが、
奥さんとうまくいかずに離婚、調停で子供も連れていかれ、
そのことで両親ともギクシャクして、
36歳で家を飛び出す
その後地元の茨城から東京へ出て、
職を転々とする((カッコ内は収入)
新聞拡張員(歩合給、食事代1日500円)
↓
ホームレス(0円)
↓
NPOの生活保護施設(賄い付き施設、「就職活動費」月4万円)
↓
テレクラチェーン(暴力団系で面接のみ)
↓
ソープランドの呼び込み(記載なし、リンチを受けて1週間で逃げる)
↓
人材派遣会社(愛知県の自動車部品製造業、手取り18万円)
↓
読売新聞配達員(手取り12万円)
職業に貴賎はないが、それにしても収入が厳しい。
そんな生活を1年半経て、
彼が辿りついたのが、タクシーやったわけで
37、8歳かな、タクシー会社ではピチピチの「若者」、大歓迎ですよ。
初年度からいきなり営収750万
歩率60(%)ちょっととして、月収約40万になりますね
1年半で180万あった借金を全部返して、
しかも150万の貯金を作ったそうです。
これだけ見ると、
荒木さんは何故もう少し早くこの仕事(タクシー)に気付かなかったのか
と思うよね。
荒木さんに限らず、
「なんでもっと早く・・・」
日本中のタクシードライバーが感じていることだと思います。
ここでは表面を紹介したけど、
ストーリーとして中々いけてますよ、
特にこの話では最期の1行がグッときました
良かったら是非読んでみてください。
また機会あれば、他のストーリーもここで紹介させてもらいます。
いやぁ・・・読書の季節ですねぇ(なんやねん)。
タクシーの車内ほど読書に適した場所はないと思ってます
空車待機時は誰にも邪魔されず(暇な運転手が窓たたいて、しょうもない会話振ってくるやん)
読書に疲れた頃に客が乗ってきてくれたりして(お前一度も客乗せずに本一冊読んだこと何度かあるやろ)
まあ、とにかく年度末で学生さんなんかも時間あるやろし(学生はお前のブログなんかチェックしてないわ)
おすすめのタクシー本を紹介します
10話のショートストーリーになっている
「東京タクシードライバー」というタイトルは正直広すぎる感じもするが(SEO的な匂いがあるな)、
副題が良い。
「夢破れても人生だ。夢破れてから、人生だ」
「一台のタクシーに1人の人生(ドラマ)が乗っている」
解説はあえてしないが、良いコピーやねぇ。
さらに10話のタイトルも中々掴みがある。
第1話 奈落
第2話 福島
第3話 マリアと閻魔
第4話 「なか」
第5話 ひとりカラオケ
第6話 泪橋
第7話 缶コーヒー
第8話 愚か者
第9話 偶然
第10話 平成世間師
長いあとがき
見ただけで読みたくなるようなタイトルが多いが、
とりあえず今回第1話の「奈落」をここで紹介しよう。
東京日本交通新木場営業所の荒木徹さんという運転手の物語りである
現在は営業所で班長まで勤める荒木さんは45歳と、ドライバーとしては比較的若い部類に入る。
会社員から32歳で脱サラして稼業の飲食業を継ぎ、結婚して子供も生まれるが、
奥さんとうまくいかずに離婚、調停で子供も連れていかれ、
そのことで両親ともギクシャクして、
36歳で家を飛び出す
その後地元の茨城から東京へ出て、
職を転々とする((カッコ内は収入)
新聞拡張員(歩合給、食事代1日500円)
↓
ホームレス(0円)
↓
NPOの生活保護施設(賄い付き施設、「就職活動費」月4万円)
↓
テレクラチェーン(暴力団系で面接のみ)
↓
ソープランドの呼び込み(記載なし、リンチを受けて1週間で逃げる)
↓
人材派遣会社(愛知県の自動車部品製造業、手取り18万円)
↓
読売新聞配達員(手取り12万円)
職業に貴賎はないが、それにしても収入が厳しい。
そんな生活を1年半経て、
彼が辿りついたのが、タクシーやったわけで
37、8歳かな、タクシー会社ではピチピチの「若者」、大歓迎ですよ。
初年度からいきなり営収750万
歩率60(%)ちょっととして、月収約40万になりますね
1年半で180万あった借金を全部返して、
しかも150万の貯金を作ったそうです。
これだけ見ると、
荒木さんは何故もう少し早くこの仕事(タクシー)に気付かなかったのか
と思うよね。
荒木さんに限らず、
「なんでもっと早く・・・」
日本中のタクシードライバーが感じていることだと思います。
ここでは表面を紹介したけど、
ストーリーとして中々いけてますよ、
特にこの話では最期の1行がグッときました
良かったら是非読んでみてください。
また機会あれば、他のストーリーもここで紹介させてもらいます。
2014年3月11日火曜日
タクシーストーリー④~面接
タバコの匂いがした。
地域ではそれなりに知られているタクシー会社で、利用したことも何度かあるが、
プレハブ作りの事務所に来るのは、もちろん初めてだった。
(タクシー会社って意外と儲かってないんかな・・・)
イメージとはちょっと違ったが、意外とテンションはそれほど下がらなかった。
「AIPソリューション?何する会社これ?」
プレハブの狭い事務所の隅に、セパレーターで囲ってあるだけのスペースで面接は始まった。
電話で横柄な対応をした「所長らしき人物」は、電話での印象とは違い、小柄で神経質そうな表情で、老眼鏡のような眼鏡をかけて履歴書に目を落としていた。
「はい、海外の企業が日本に拠点を構える際に、自国で使用しているシステムと日本のシステムとの互換性を構築して・・・」
所長らしき人物は顔の前で大きく手を振って遮った。
「よくわからんから、もういい。タクシーに全く関係ないことだけは分かった。アメリカの大学出てるんか?」
「はい」
「それで何でまたタクシーに乗りたいと思ったの?」
やっぱりそこ聞くか。
なんて説明しよか・・・
「はい・・・今は技術系の仕事してるんですけど、一日中コンピューターに向かって仕事してるとなんか世間に取り残されているような気がしてきて。今の会社でもいろんな提案はするんですけど、ほとんど聞き入れられずに、パターン化してきてるようなところもあって。そういった部分で上司とぶつかることもあって・・・
なんかこう、うまく説明出来ないんですけど、外の景色を見ながら、生きてる情報に接しながら仕事がしたいと思って、それがタク・・・」
「よく分かった、要するに人間関係ね。よくあるよ。っていうか、ここに来る連中そればっか。まあ、とりあえず免許証見せてくれる?」
「め、免許証ですか?」
いきなり免許証の提示を迫られ、俺は「聞いてないよ・・・(電車で来てるし)」と思いながら、ポケットに手を入れた。
「まさかドライバーになろうっていう人が免許証持ってきてないなんてことはないやろね」
鬼の首でも取ったかのように満足気な笑みを浮かべる「所長らしき人物」の横に座っていたのは、見た目40代の、色の黒い小太りの男性だった。
その小太りの男性は何も言わず、ずっとただ目を下に落として何かをメモしているようだった。
ポケットを探っている俺を横目に、所長らしき人物は続けた。
「免許証も持ってないんなら、今日の面接は出来へんけど・・・」
「いえ・・・あ、ありました」
俺はポケットのカード入れから免許証を出して渡した。
所長らしき人物はじっとその免許証を見ていた。
「ふん・・・ふん、分かりました。2種は持ってないんやね?」
「はい」
セパレーターの向こうから、パートらしき女性が俺の免許証をコピーするために入ってきた。
ずっと話聞いてたんかよ・・・
「まあ、免許取って7年経ってるから(2種)取得は可能ですよ。うちの提携の教習所で取ることも出来るけど、どうする?」
「どうするって・・・求人欄に書いてあったんで、取らせて頂こうと思って来たんですけど」
「自分で取って来てもええんやで」
「いや・・・自分でって、こちらで取らせてもらえるもんだと・・・」
「金かかるよ」
「金??ですか。『2種取得可』って書いてあったんで」
「『無料』なんて書いてあったか?」
「いえ・・・それは」
「あんたが教習所に行って、あんたの名前で免許証作るわけやから、当然金はかかりますよ」
ちょっと戸惑ったが、言われてみれば確かにそうだ。
2種免許取得をちょっとした企業研修みたいな感覚で捉えていたが、考えてみれば2種免許を取ればそれはこの会社だけでなく、日本中のタクシー会社で通じることになる。
「どのくらい(お金が)かかるもんなんですか?」
「そりゃ、あんたの頑張りかたにもよるけど、20~30万かな」
えー!そんなにかかるの?
講習受けて、2~3万で取れるもんやと思ってた。
「自分で行ったら、もっとかかるわけですか?」
自分で取りに行くなんて考えてもなかったが、一応聞いてみた。
「いや、自分で飛び込みで行ったら、(となりの男性に聞きながら)一回7千円くらいか? うまく行けば諸費用込みで数万で取れるんちゃうの」
そこで初めて「となりの男性(トトロか)」が口を開いた。
「飛び込み受験は実際は1回で受かることはほとんどありませんし、最近は年々厳しくなっているのが現状です。こちらで取得した場合も、もちろん費用はかかりますが、2年間で償却していく形を取らせてもらってます」
「償却?ですか」
「はい、例えば取得費用が24万円かかったとします。
何らかの事情で3ヶ月で辞められたときには、3か月分の3万円を差し引いて21万円を負担してもらいます。
しかし、2年間24ヶ月勤められたときには全額が償却されて負担はなくなります」
なんだよ。先に言ってくれよ。
最初から、数ヶ月で辞めるっていう設定で(自費取得)迫るなよ。
それにしてもこの「となりのトトロ」、見かけによらず出来そうやな・・・
「あぁ、そうなんですか。それならこちらでお願いします」
所長らしき人物は、眼鏡の奥の目をきつく光らせた。
「本当に、大丈夫?」
俺はその目をしっかり見て、言った。
「はい・・・多分」
地域ではそれなりに知られているタクシー会社で、利用したことも何度かあるが、
プレハブ作りの事務所に来るのは、もちろん初めてだった。
(タクシー会社って意外と儲かってないんかな・・・)
イメージとはちょっと違ったが、意外とテンションはそれほど下がらなかった。
「AIPソリューション?何する会社これ?」
プレハブの狭い事務所の隅に、セパレーターで囲ってあるだけのスペースで面接は始まった。
電話で横柄な対応をした「所長らしき人物」は、電話での印象とは違い、小柄で神経質そうな表情で、老眼鏡のような眼鏡をかけて履歴書に目を落としていた。
「はい、海外の企業が日本に拠点を構える際に、自国で使用しているシステムと日本のシステムとの互換性を構築して・・・」
所長らしき人物は顔の前で大きく手を振って遮った。
「よくわからんから、もういい。タクシーに全く関係ないことだけは分かった。アメリカの大学出てるんか?」
「はい」
「それで何でまたタクシーに乗りたいと思ったの?」
やっぱりそこ聞くか。
なんて説明しよか・・・
「はい・・・今は技術系の仕事してるんですけど、一日中コンピューターに向かって仕事してるとなんか世間に取り残されているような気がしてきて。今の会社でもいろんな提案はするんですけど、ほとんど聞き入れられずに、パターン化してきてるようなところもあって。そういった部分で上司とぶつかることもあって・・・
なんかこう、うまく説明出来ないんですけど、外の景色を見ながら、生きてる情報に接しながら仕事がしたいと思って、それがタク・・・」
「よく分かった、要するに人間関係ね。よくあるよ。っていうか、ここに来る連中そればっか。まあ、とりあえず免許証見せてくれる?」
「め、免許証ですか?」
いきなり免許証の提示を迫られ、俺は「聞いてないよ・・・(電車で来てるし)」と思いながら、ポケットに手を入れた。
「まさかドライバーになろうっていう人が免許証持ってきてないなんてことはないやろね」
鬼の首でも取ったかのように満足気な笑みを浮かべる「所長らしき人物」の横に座っていたのは、見た目40代の、色の黒い小太りの男性だった。
その小太りの男性は何も言わず、ずっとただ目を下に落として何かをメモしているようだった。
ポケットを探っている俺を横目に、所長らしき人物は続けた。
「免許証も持ってないんなら、今日の面接は出来へんけど・・・」
「いえ・・・あ、ありました」
俺はポケットのカード入れから免許証を出して渡した。
所長らしき人物はじっとその免許証を見ていた。
「ふん・・・ふん、分かりました。2種は持ってないんやね?」
「はい」
セパレーターの向こうから、パートらしき女性が俺の免許証をコピーするために入ってきた。
ずっと話聞いてたんかよ・・・
「まあ、免許取って7年経ってるから(2種)取得は可能ですよ。うちの提携の教習所で取ることも出来るけど、どうする?」
「どうするって・・・求人欄に書いてあったんで、取らせて頂こうと思って来たんですけど」
「自分で取って来てもええんやで」
「いや・・・自分でって、こちらで取らせてもらえるもんだと・・・」
「金かかるよ」
「金??ですか。『2種取得可』って書いてあったんで」
「『無料』なんて書いてあったか?」
「いえ・・・それは」
「あんたが教習所に行って、あんたの名前で免許証作るわけやから、当然金はかかりますよ」
ちょっと戸惑ったが、言われてみれば確かにそうだ。
2種免許取得をちょっとした企業研修みたいな感覚で捉えていたが、考えてみれば2種免許を取ればそれはこの会社だけでなく、日本中のタクシー会社で通じることになる。
「どのくらい(お金が)かかるもんなんですか?」
「そりゃ、あんたの頑張りかたにもよるけど、20~30万かな」
えー!そんなにかかるの?
講習受けて、2~3万で取れるもんやと思ってた。
「自分で行ったら、もっとかかるわけですか?」
自分で取りに行くなんて考えてもなかったが、一応聞いてみた。
「いや、自分で飛び込みで行ったら、(となりの男性に聞きながら)一回7千円くらいか? うまく行けば諸費用込みで数万で取れるんちゃうの」
そこで初めて「となりの男性(トトロか)」が口を開いた。
「飛び込み受験は実際は1回で受かることはほとんどありませんし、最近は年々厳しくなっているのが現状です。こちらで取得した場合も、もちろん費用はかかりますが、2年間で償却していく形を取らせてもらってます」
「償却?ですか」
「はい、例えば取得費用が24万円かかったとします。
何らかの事情で3ヶ月で辞められたときには、3か月分の3万円を差し引いて21万円を負担してもらいます。
しかし、2年間24ヶ月勤められたときには全額が償却されて負担はなくなります」
なんだよ。先に言ってくれよ。
最初から、数ヶ月で辞めるっていう設定で(自費取得)迫るなよ。
それにしてもこの「となりのトトロ」、見かけによらず出来そうやな・・・
「あぁ、そうなんですか。それならこちらでお願いします」
所長らしき人物は、眼鏡の奥の目をきつく光らせた。
「本当に、大丈夫?」
俺はその目をしっかり見て、言った。
「はい・・・多分」
2014年3月4日火曜日
タクシーストーリー③~俺がタクシー会社に行ったとき
次の日、俺はあるタクシー会社の前に立っていた。
前日に酔ってタクシーに乗って帰ったわりにはその日は早く目が覚めて、
朝から「タクシー 求人」で何度も検索していた
最初に電話した会社に面接に行こうと決めていた。
どうせ悩んでも切りがないし、どこも同じやろと・・・
ただ営業所が自宅から近い会社を探して電話してみた。
「あの・・・ネットの求人広告見たんですけど」
「・・・ネット・・・ですか?」
電話を受けた女性は、電話越しに誰かに伺いをたてていた。
(うち、ネット求人なんてしてるんですか?)
「すみません・・・ちょっと担当者に代わりますね」
「・・・はい」
代わって電話に出た男性は、恐らくその営業所の所長らしく、かなり横柄な対応やった。
「もしもし?タクシー乗りたいの?年いくつ?」
最初に電話を受けた女性から「(電話主は)若そうや」ということを聞いていたのだろう。
それにしても、いきなりタメ語はカチンときた。
「はい・・・27歳です」
また電話の向こうで声が聞こえた。
(おい、20代やって)
笑い声もかすかに聞こえた。
「27歳かぁ。若いねぇ。またどうしてタクシーに乗りたいと思ったの?」
「はい・・・あの・・・今の仕事でいろいろあって、もっと自分のペースで仕事がしたいっていうか、ブログとか見てたら『自由な仕事』なんて書いてあったんで」
鼻で笑う声が聞こえた。
「・・・ブログですか。いやぁ、若い人は見るところが違いますねぇ(笑)。まあ、とりあえず履歴書持って一度面接に来てもらえますか?」
言葉は敬語に変わったが、明らかに見下したというか、トゲのある敬語やった。
「分かりました。いつ頃お伺いしたらよろしいでしょうか?」
「あぁ、いつでもいいよ。今日空いてるの?」
「あ、はい」
「仕事は?」
「ちょっと・・・休みました」
ため息のような空気を受話器越しに感じた。
(これは、ダメやな)
「じゃあ、昼過ぎに来れる?」
「あ、はい」
信号の向こうに、タクシー会社の事務所のドアが見える。
歩行者信号が青になった。
俺はその信号を渡らずに、事務所のドアをじっと見つめていた
信号が点滅した。
赤になった。
目をつむった。
いろんなことを考えた
信号がまた青になった。
俺はその信号を渡った。
前日に酔ってタクシーに乗って帰ったわりにはその日は早く目が覚めて、
朝から「タクシー 求人」で何度も検索していた
最初に電話した会社に面接に行こうと決めていた。
どうせ悩んでも切りがないし、どこも同じやろと・・・
ただ営業所が自宅から近い会社を探して電話してみた。
「あの・・・ネットの求人広告見たんですけど」
「・・・ネット・・・ですか?」
電話を受けた女性は、電話越しに誰かに伺いをたてていた。
(うち、ネット求人なんてしてるんですか?)
「すみません・・・ちょっと担当者に代わりますね」
「・・・はい」
代わって電話に出た男性は、恐らくその営業所の所長らしく、かなり横柄な対応やった。
「もしもし?タクシー乗りたいの?年いくつ?」
最初に電話を受けた女性から「(電話主は)若そうや」ということを聞いていたのだろう。
それにしても、いきなりタメ語はカチンときた。
「はい・・・27歳です」
また電話の向こうで声が聞こえた。
(おい、20代やって)
笑い声もかすかに聞こえた。
「27歳かぁ。若いねぇ。またどうしてタクシーに乗りたいと思ったの?」
「はい・・・あの・・・今の仕事でいろいろあって、もっと自分のペースで仕事がしたいっていうか、ブログとか見てたら『自由な仕事』なんて書いてあったんで」
鼻で笑う声が聞こえた。
「・・・ブログですか。いやぁ、若い人は見るところが違いますねぇ(笑)。まあ、とりあえず履歴書持って一度面接に来てもらえますか?」
言葉は敬語に変わったが、明らかに見下したというか、トゲのある敬語やった。
「分かりました。いつ頃お伺いしたらよろしいでしょうか?」
「あぁ、いつでもいいよ。今日空いてるの?」
「あ、はい」
「仕事は?」
「ちょっと・・・休みました」
ため息のような空気を受話器越しに感じた。
(これは、ダメやな)
「じゃあ、昼過ぎに来れる?」
「あ、はい」
信号の向こうに、タクシー会社の事務所のドアが見える。
歩行者信号が青になった。
俺はその信号を渡らずに、事務所のドアをじっと見つめていた
信号が点滅した。
赤になった。
目をつむった。
いろんなことを考えた
信号がまた青になった。
俺はその信号を渡った。
2014年2月25日火曜日
タクシーストーリー~俺がタクシーに乗ったわけ②
「こう見えても、前の仕事では”プロジェクトリーダー”みたいなことやっててな、
製造ラインの中で、人間がネジを締めるのと機械で締めるのと、どっちが早くて正確かをいろんな角度からな、測定すんのや。
ぼくらには分からんかもしれんけどな。難しい仕事やってんで。
そしたら、やっぱり機械の方が早くて正確やっていうことを、そのプロジェクトの結果としてプレゼンしてな
結局我ら人間はお払い箱や。ハハハ!」
やばい・・・(ツボは違うけど)ちょっと面白い。
しかしこっち黙ってんのに、いつまで話続けるんやこの運ちゃん。
このまま聞き続けるのもしんどかったので、こっちから質問してみた。
「運転手さん・・・この仕事楽しいですか?」
こっちから話しかけたら、また倍返しで怒涛(どとう)のような演説が始まりそうやとは思いつつ・・・
「え・・・?この仕事って・・・タクシーか?」
「はい。タクシー運転手って楽しいですか?」
年配の運転手の反応は意外やった。
以前の仕事について自慢げに話まくっていたのだから、現在のタクシーという仕事についてまた息つく間もないくらいに唱えるのかと思ったのだが、
「・・・楽しいかって、お兄ちゃんアホなこと聞くな」
明らかにテンションが下がったというか、そんな質問されたことがなかったかのように戸惑っていた。
「『アホなこと』って、仕事を楽しんでるかどうかって大事なことなんちゃいますか。
俺ちょっと今の仕事に行き詰まってて、それで彼女とケンカして・・・」
そのとき、運転手はやっと安心したような表情をして、
そして全てが分かっているかのような感じの悪い笑みを浮かべた。
「お兄ちゃん、若いなぁ・・・。若い。
楽しい仕事なんて、この世の中にあらへんで。
タクシーなんて最悪な仕事やで。
職業人の墓場みたいなもんや。
お兄ちゃんがほんまにそんな”エディオンの園”みたいな仕事を探してるんなら・・・」
「”エデンの園(楽園)”ですか?」
「そうそう、そのエディオンや。
そんなアホなこと考えてるんやったら、タクシーは言うたら”失楽園”やな」
「失楽園?」
「人生の途中で、ヘビにだまされて禁断の実を食べてしまった人間の来るところや」
そっちか・・・(これこそ”俗”で行ってほしかったな)。
そのとき何故か俺は思った。
タクシーに乗ってみよう
タクシーの運転席に。
何も見えなくなってる今の状況で。
何かが見える気がしたから。
製造ラインの中で、人間がネジを締めるのと機械で締めるのと、どっちが早くて正確かをいろんな角度からな、測定すんのや。
ぼくらには分からんかもしれんけどな。難しい仕事やってんで。
そしたら、やっぱり機械の方が早くて正確やっていうことを、そのプロジェクトの結果としてプレゼンしてな
結局我ら人間はお払い箱や。ハハハ!」
やばい・・・(ツボは違うけど)ちょっと面白い。
しかしこっち黙ってんのに、いつまで話続けるんやこの運ちゃん。
このまま聞き続けるのもしんどかったので、こっちから質問してみた。
「運転手さん・・・この仕事楽しいですか?」
こっちから話しかけたら、また倍返しで怒涛(どとう)のような演説が始まりそうやとは思いつつ・・・
「え・・・?この仕事って・・・タクシーか?」
「はい。タクシー運転手って楽しいですか?」
年配の運転手の反応は意外やった。
以前の仕事について自慢げに話まくっていたのだから、現在のタクシーという仕事についてまた息つく間もないくらいに唱えるのかと思ったのだが、
「・・・楽しいかって、お兄ちゃんアホなこと聞くな」
明らかにテンションが下がったというか、そんな質問されたことがなかったかのように戸惑っていた。
「『アホなこと』って、仕事を楽しんでるかどうかって大事なことなんちゃいますか。
俺ちょっと今の仕事に行き詰まってて、それで彼女とケンカして・・・」
そのとき、運転手はやっと安心したような表情をして、
そして全てが分かっているかのような感じの悪い笑みを浮かべた。
「お兄ちゃん、若いなぁ・・・。若い。
楽しい仕事なんて、この世の中にあらへんで。
タクシーなんて最悪な仕事やで。
職業人の墓場みたいなもんや。
お兄ちゃんがほんまにそんな”エディオンの園”みたいな仕事を探してるんなら・・・」
「”エデンの園(楽園)”ですか?」
「そうそう、そのエディオンや。
そんなアホなこと考えてるんやったら、タクシーは言うたら”失楽園”やな」
「失楽園?」
「人生の途中で、ヘビにだまされて禁断の実を食べてしまった人間の来るところや」
そっちか・・・(これこそ”俗”で行ってほしかったな)。
そのとき何故か俺は思った。
タクシーに乗ってみよう
タクシーの運転席に。
何も見えなくなってる今の状況で。
何かが見える気がしたから。
2014年2月18日火曜日
タクシーストーリー~俺がタクシーに乗ったわけ①
「大体”もやし”なんてもんは安過ぎるんや。
スーパーで一袋いくらで売ってるか知ってるか?
38円やで。
折り込み広告でセールなんてした日にゃ30円や。
30円やで、わかるか?
製造原価が”ただ”でも一袋の儲け30円や。
そんなんやっていけへんで。」
この運転手うぜぇ・・・(38円も30円も大して変わらへんし)
その日俺は久々にタクシーに乗っていた。
しかも乗りたくて乗っていたわけではない。
付き合っている女と晩飯を食っているときに、ちょっとしたことで口論になり、
店に彼女を置いたまま、会計もせずに飛び出し、
ケータイで連れを呼んで、飲み直したのは良いが、
飲み過ぎて終電に間に合わず、
仕方なくタクシーに乗って家まで帰ることになった
駅に並んでいるタクシーはなくて、
呆然としていたときに、ロータリーに入ってきたタクに乗り込んだ。
疲れ果てて、タクシーの後部座席に座ったときは、「助かったー(この人神様や)」と思ったが・・・
行き先を告げると、頭の禿げかかったドライバーは気持ちの悪い笑みを浮かべた。
「XXヶ丘ね・・・5千円以上出るけど大丈夫?」
なんやこのおっさん、若いと思ってバカにしとるんか。
「・・・はい」
「あぁ、そう。無理せんと着いてから、お母さんに頼んでも良いからね」
・・・感じ悪い。
気分悪いわ。
そんな俺の気持ちをよそに、
ドライバーは空気を読まずに延々と話し続けた
お前の話なんて聞いてへんから。
こっち、それどこやないから。
頼むから黙ってくれ。
スーパーで一袋いくらで売ってるか知ってるか?
38円やで。
折り込み広告でセールなんてした日にゃ30円や。
30円やで、わかるか?
製造原価が”ただ”でも一袋の儲け30円や。
そんなんやっていけへんで。」
この運転手うぜぇ・・・(38円も30円も大して変わらへんし)
その日俺は久々にタクシーに乗っていた。
しかも乗りたくて乗っていたわけではない。
付き合っている女と晩飯を食っているときに、ちょっとしたことで口論になり、
店に彼女を置いたまま、会計もせずに飛び出し、
ケータイで連れを呼んで、飲み直したのは良いが、
飲み過ぎて終電に間に合わず、
仕方なくタクシーに乗って家まで帰ることになった
駅に並んでいるタクシーはなくて、
呆然としていたときに、ロータリーに入ってきたタクに乗り込んだ。
疲れ果てて、タクシーの後部座席に座ったときは、「助かったー(この人神様や)」と思ったが・・・
行き先を告げると、頭の禿げかかったドライバーは気持ちの悪い笑みを浮かべた。
「XXヶ丘ね・・・5千円以上出るけど大丈夫?」
なんやこのおっさん、若いと思ってバカにしとるんか。
「・・・はい」
「あぁ、そう。無理せんと着いてから、お母さんに頼んでも良いからね」
・・・感じ悪い。
気分悪いわ。
そんな俺の気持ちをよそに、
ドライバーは空気を読まずに延々と話し続けた
お前の話なんて聞いてへんから。
こっち、それどこやないから。
頼むから黙ってくれ。
2014年2月4日火曜日
タクシー新法と大阪の5・5割引
先月27日いよいよ話題の「タクシー新法」が施行されたわけだが、
正確には「新法」ではなく、従来通りの
「タクシー業務適正化特別措置法」の改正施行
という形になる(なんかようわからんな)。
今回の改正ポイントは、
①特定地域(及び準特定地域)における事実上の同一地域同一運賃の実現
②(認可運賃の改正による)消費増税の価格転嫁
③地域協議会での需給調整
ということになるだろうか。
まず上の「特定地域(又は準特定地域)」とは、
条文には「供給過剰の・・・(または供給過剰になりつつある)」などの文言はあるものの、
全国の大都市、及び一定規模以上(概ね人口10万人以上)の地方都市
と捉えて良いだろう。
まあ難しいことや細かいことを言っていたら読む気もなくなるだろうから(面倒臭くなってきたな)、
ざっくり言うと、今回の特措法改正で行政のやったことは
要するに②の消費税の価格転嫁への誘導だけ
みたいな感じである。
まあこれだけでも行政が誘導しなければ、なかなか進まないやろから評価は出来るが、
それによって報道で「過剰規制」やら何やら言われるのは甚だお門違いと言いたい
誤解を恐れずに言えば、
どうせいろいろ言われるのであれば、この機会に本当に
「過剰規制」と言われても良いくらいの規制をしてくれ
ということである。
公共交通機関に規制をかけるのは、安全や秩序を保つためには当然であり、
またタクシーに対する価格規制や数量規制は、各先進国も当たり前のように実施している。
しかし量的規制に関しては、現在ドライバーの高齢化は着々と進んでおり、
行政による規制などなくても、タクシー(ドライバー)は減っていく状況にある
そういった中で、今回の規制の最も大きな問題点は、
長距離割引に明確な規制が与えられなかったことである
昨年11月に法案が議会を通過して、この年明けに施行されるという流れの中で、
特にこの近畿(大阪)において、
異常な長距離割引(5・5割)に当然行政のメスが入るもの
と業界各方面で期待されていたのだが、
結果的には最終コーナーで(行政が)失速してしまったという感じである。
大阪及び京都の一部における5・5割引(5千円以上5割引)についての近畿運輸局の考え方は、
2分の1を超える利用者に影響しない料金(だから行政が規制する必要はない)
ということのようである。
ここで5・5割が実際は「2分の1を超える利用者」に影響することを説明しよう
今後のタクシー業界が直面する最も大きな問題は何か
そこを行政も、恐らく多くのタクシー関係者も理解していない。
最も大きな問題は、
「供給過剰」ではなく、「供給不足」になっていくことである
タクシードライバーの平均年齢は、厚生労働省が22年に出しているデータでは56.8歳になっているが、
団塊世代から、その上のドライバーがほとんどで、
年々ほぼ1歳に近いレベルで上昇している
そして直近26年1月末の大阪(タクセン)のデータでは、
法人ドライバーの平均が60.7歳、個人では65.2歳
ど真ん中の労働者が年金をもらっているのである
既に各地でドライバー不足は顕在化しているが、
最も多い団塊世代が2017年にはいよいよ70代に突入し、
数年後には急速にタクシーが不足することが予測される
各タクシー業者を始めとする業界関係者はもちろん、
行政もタクシードライバーの確保と稼働率の向上のためにタッグを組んでいかないと、
高齢化によって増加する需要をカバー出来なくなる。
そこで「5・5割引」とは何か
なぜこんな異常な価格が生まれたのか
をおさらいしよう。
時は2002年(西暦とか平成とかごっちゃに使うな)、
小泉構造改革に世が沸いていた時代にタクシーの規制緩和が行われた。
当時は団塊世代が50代半ば、管理職世代の最もコストの高い世代にあった時代である
企業は社内の組織改革と人件費削減のために、
このダブついた世代をリストラや早期退職で削っていた。
中にはもちろん優秀な人材もいたわけだが、
その漂流者たちに、タクシーという選択肢を与えたのが02年規制緩和であった
多くの業界が人を減らそうという時でも、常に増やしたい
それがタクシー業界である。
(失業率を抑えたい)政府の思惑通りタクシーはじゃんじゃん増えた
そして供給が溢れかえってくれば、
当然価格競争に陥るのが経済のセオリーであり、
そのセオリーにどっぷり浸かってしまったのが大阪だったわけである(東京は踏みとどまったけどな)
そしてどうせ車が余って遊んでるなら、二束三文で良いからどんどん長距離を走らせろ
そう考えた大阪のある業者は、
メーター5千円以上半額
というとんでもない割引システムを打ち出し、
その後各業者は泣く泣く追随せざるを得なかった。
これはよく誤解されるが、
メーター料金が5千円を超えた時点で、それ以上の料金を割り引くもので、
メーター6千円が3千円になるわけでなく、5千5百円になるだけ
という多くの利用者にとって関係ない、あまり魅力もない、
誤解によるトラブルを生みやすい割引システムである
このブログにも何度も書いているが、
タクシーで長距離を乗る利用者というのは、安いから乗るわけではない
終電に遅れたり、乗り過ごしたり、彼氏とけんかしたり彼女にふられたりして(よくわからんな)
やむを得ずに乗るか
または、接待や会社の経費など
自分の懐(ふところ)と関係ないか
大きくわければこの2つである。
どちらも価格が選択の大きな要素にならないどころか、
後者の接待などにおいては、「高い方が都合が良い」場合もあるわけである。
それでもタクシーが溢れている時代は大きな混乱はなかった。
大阪の運転手はあまりテンションの上がらない5・5割の長距離乗車を淡々とこなしていた
が規制緩和から12年、状況は大きく変わり
02年緩和世代の多くは年金とのダブルインカムで(ちなみに俺は緩和世代だが団塊ジュニアで年金は遠い・・・)、
神経すり減らして長時間乗務する必要もなく、悠々とタクシーで小遣い稼ぎをしている。
原発廃止を唱えて都知事選を奔走する小泉さんなど、乗車拒否されるかもしれない(きわどいギャグ使うな)
若い運転手は未だそれほど入ってこない
今後も街を走るタクシーはどんどん減っていきますよ
それでもまだ大阪(の業者)は5・5割を続けますか?
遠くまで時間をかけて大安売りしている間に、
市内の病院では高齢者が、
駅では1分でも早く帰ってソチ五輪を観たいサラリーマンが、
繁華街では近場で健全に酒を飲んでいる若者が、
タクシーを探しているんですよ。
それでもまだごく少数の長距離利用者のために、
多くの、2分の1以上の「本当にタクシーを必要としている利用者」を犠牲にしますか?
長距離乗車はタクドラのロマンです。
たまにでいいんです。
2乗務に1回でもいいんです。
高くてもいいんですよ
ピリピリとした空気の中で冷や汗かいて、万札をゲットするのが我々の技術であり、
その達成感は運転席に座ったものしかわからない
プレミアムモルツは高いから売れるんです(例えおかしくなってきたぞ)。
今回は確かに行政に裏切られたかもしれない。
しかし5・5割を始めたのも自分たちなのだから、
何とか自分たちでこの危険な火を消さなあかん
若い人たちにとって魅力ある職業にするために、
業界の方々の英断に期待します。
最初から「足並み揃えて」なんて無理です。
どの業者が「(本当にタクシーのことを)わかってるか」なんです
今回の法改正、消費増税、どっちにしたって文句言われるんですよ。
この機会に「正常」を取り戻しましょう、中途半端はやめましょう。
やるなら今でしょ(ふる)
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