2018年3月29日木曜日

タクシーストーリー~ぼくがタクシーを選んだ理由②

忘れもしない、面接の日はまだ肌寒くて、これから何か新しいことを始める期待感と、

何かどうしようもなく心に引っかかるものを胸に抱えて

会場の事務所に向かった。

「心に引っかかるもの」とは、

本当にタクシーで良いんだろうか

という漠然とした思いだった。

「タクシーに乗りたい」

「めっちゃ楽しそう」

という気持ちの裏に何かタクシーに対する暗いイメージがあったことは否定出来ない。

まだ20代、他の可能性も十分に求められる時期である。

ただその暗いイメージはなかなか心の中で具体的に固まることはなく、

一体何故世間がタクシーというものに暗いイメージを添付するのかが結局分からなかった

面接会場の事務所が信号の向こう側に見えた。

赤信号で止まっている間、道の向こう側に見えるタクシーの事業所を見据えていた。

青信号になっても動かずに止まって、少し考えた。

俺は間違っていないやろか…

信号はまた赤になった。

次の青信号で俺は歩を進めた。

若かったのだろうか。

俺がイメージを変えてやる

とまでは思っていなかったかもしれないが、迷いのない歩を力強く進め、信号を渡った。

2018年3月22日木曜日

タクシーストーリー~ぼくがタクシーを選んだ理由①

厳しい冬を超えて、暖かい風がなんとなく心をいやしてくれる。

めっちゃ前向きだったわけでもない

だからと言って、後ろ向きに生きてもいない。

運転が好きだし、地図を見るのは得意だった。

タクシーという仕事が楽しそうに思えた

若い頃から海外を放浪して、学歴も職務経験もほとんどないが、コミュニケーション能力は高い方だ。

どちらにしても、学歴とか経験とかいう世界に俺は入りたくなかった。

海外を放浪した後は、またこのどうしようもなく奇妙で、また魅力的な街、大阪を放浪してみようとこの世界に入ってきた。