2026年5月12日火曜日

タクシーストーリー 第36話 帰宅

 初乗務を終えて、

家に帰ると、22時を過ぎていた

中学生の息子の部屋にはまだ電気が点いていたが、

妻の部屋の電気は消えていた

始めての乗務の日に、

遅くなったとはいえ、

22時過ぎという時間に待っていてくれなかった

軽くショックを受けるが、

タクシーという仕事に散々反対していた嫁にとっては、

当たり前と言えば、当たり前の対応やろう

冷蔵庫を開けて、

缶ビールを出し、

テレビをつける

報道ステーションのスポーツで大谷翔平のホームランを見ながら、

ソファに座り、

ビールを飲む

しあわせや

なんというか、

仕事中も一人、

家に帰っても一人、

でも、それがなんとも言えず心地よい

寂しい奴やと言われるかもしれないが、

一人でいることって、こんなにしあわせなんや

と感じた

いつも職場や家庭で、まわりの目や、空気を読んで、

こうすればまわりの人たちは満足するんやないか、

いや、少なくとも不快にはならないやろ

みたいなことを考えて生活していると、

実際自分が何をしたいかとか、

そもそも自分とは何者なのかということまで分からなくなってくる

もちろんまだ始まったばかり、

何も見えてはいないが、

こんな生活を続けていけば、見えてくるもの、

自分

を見つけられるのではないかと感じた

明日もまたがんばろ

こんなに美味いビールを飲んだことは今までなかったかもしれない


5月11日(月) 59,360 55回

あんなに忙しかったのに、

55回も乗せて、6万届かんか

まあ、そんな日もあるよ




2026年5月5日火曜日

ゴールデンウィークの売上

今年のゴールデンウィークを29日(水)からとすると、

30日(木)

2日(土)

4日(月)

と3日間仕事に出た。

明日(今日)からは3日間休みの予定

売上的には、

30日(木) 58,270

6万に届かず、

この日は休みの人も、仕事の人もいるような、中途半端な木曜日

一言で言って、悪かった

2日(土) 68,550

この日からが本格的に休みに入る人たちも多く、

ゴールデンウィークの雰囲気が出てきた

三宮界隈では動きが出てきたかな

アプリの鳴りも多かった(12回)

4日(月) 84,580

これが今日の乗務

普通に忙しかった

東灘でお祭り(だんじり)があったりして、

駅にも常時行列が出来ていたが、

夜にはアプリも鳴りまくり、

まともに晩飯も食えないような

1時2時過ぎても仕事はあったが、力尽きて入庫

まあ、がんばりました




2026年5月3日日曜日

決まった時間(5分)しか待てませんよ

 もう2時前やったかな

そのまま帰庫しようと、山幹を走ってたらアプリが鳴った

配車先は八雲通り、大安亭市場のあたり

現着するも、人の気配なし

アプリの電話機能で電話する

「お客さん、どちらにおられますか?」

「ごめんなさい、ちょっと待ってもらえます?」

女性の声やった

「いや、決まった時間(5分)しか待てませんよ」

すると、ほどなく商店街のひとつの店から、やんちゃそうな男性が出てきた

「ちょっと待ってくれへんか」

「いや、決まった時間しか待てませんよ」

もう状況的に逃げる気満々である

「すぐ来るから待っといて言うてんねん」

段々口調が強くなる

相手がイラつくほど、こっちは

もうこんな仕事いらん

と思う

逃げようと思うと、

他の年配男性が店から出てきて、

乗車してきた

「もうメーターまわして良いから」

少し迷う

メーター入れたら、もう逃げられない

しかし乗車されたら逃げようもない

メーターを入れる

そこから、5分ほどかな、

最初に電話に出た女性と、

切れ気味の若い衆、

もう一人の年配男性

と4人乗車した

「王子公園の方まで行って、レインボービル」

「わかりました」

「お兄ちゃん(運転手)、何おこってんねん」

「いえ、怒ってないですよ」

「さっき待てへん言うたやろ」

「ちょっと待って言われて、20分30分待たされることもありますから、待て言われて『はい』言うのは、新人ドライバーくらいですよ」

「金は払うやん」

当たり前やろ

「余分に払うで」

そういう問題でもない

目的地に着いて、

「2100円です」

3000円出して、

「もうええよ」

まあ、そう来るやろとは思いながら、

「ありがとうございます!」

客は勝ったと思ってるんやろな

飲みなおしの良いアテになったやろ

だからと言って、

「こんなもん(おつり)いらんわ!」

と900円を投げ返すほど若くもないし、アホでもない


5月2日(土) 68,550 39回

連休初日でよう動くやろと思ったが、

苦しい展開やったな

デーゲームの阪神戦終わり甲子園行ったが、大して仕事なし




2026年5月1日金曜日

タクシーストーリー 第35話 初めての乗務締め

 8時に出庫して、

乗務初日ということで、17時過ぎには入庫する予定やったが、

思わぬ大物が当たり(新人のうちはよくあんねん)

車庫に帰ったのは19時過ぎ、

そこからまず日報締め

今どき東京あたりでは電子日報なるものがあるらしいが、

神戸の中小業者では、まだ手書き日報である

手書き日報では、いくつか書き漏れがあり、

入庫してから、思い出しながら、抜けてる乗車を埋めていく、

メーターを締めると、

一日の乗務のジャーナル(レシートの長いやつみたいなの)が出てくるので、

そこから指数計算をする

1日の乗務距離、

実車距離

乗務回数

事後(初乗り後のメーターが上がった回数)

を入庫時の数値から、出庫時の数値を引いて差額を出す

このへんも自分で計算機で計算する

※ちなみに筆者がタクシーに乗り始めた頃は、ここで計算した乗車回数×初乗り料金(当時2キロ660円やったかな)、+事後×80円でその日の売上を計算したが、今はさすがに売り上げはジャーナルに表示されている

ここで出た売上は税込金額なので、

給料の基礎になるのは税抜き金額やから、

売上÷1.1をして、その日の売上をメモする

今度は未収金額の計算である

障害者割引や障害者チケット、

愛のチケットやローカルチケット(神戸なら兵協チケット)、

クレジット会社発行のチケット(JCBなど)、

アプリ決済や、クレジット、交通系、QR支払い、などのキャッシュレス決済(このへんは手数料を引かれる…)

それらの未集金額を合算して、

税込売上から引いて、納金額を出す

この日は高速を使ってないが、ETCなどがあれば、その金額をまた加算したりする

納金額を納金袋に入れたら、

余った現金を計算する

これが出庫前の両替金額と会わないといけないが(普通はチップがあるからプラスになるけどな)

700円足りなかった

何度も数えなおすが、

やはり足りない…

初日の売上は税込35,670円

税抜きで、32,430円

半分もらえるとして、

16,200円くらいか

日報を事務所に提出して、

入庫のアルコールチェックをして、

納金箱に納金袋を入れて、

時計を見たら21時を過ぎていた

朝7時に出勤してきて、

14時間で、時給1000円ちょっとか

最低賃金より、ややましかな

どっと疲れが出た


4月30日(木) 58,270 45回

いやぁ、45回も乗せて、

ロングもミドルもなし

どっと疲れ出たわ




2026年4月27日月曜日

雨の日曜日

 日曜出勤

タクシーも長いこと(20年以上)やってるが、

昔は日曜出勤は、

読書の時間やった

仕事がないのは分かってて、

でも、こんな良い季節は、

車内でゆっくり本が読める

これって結構良い時間で、

1日で小説1冊読めたり、

資格の勉強したり、

たまに無線で仕事が入ったり、

駅から客が乗ってきたり、

少し走ったら、コンビニでお菓子買ったりして、

またどこかに待機しながら、本を読む

1日で2万円出来たら良い方やけど、

それでも、そのゆっくりした時間にも価値があった

20年経って、

今日も日曜出勤やと、

昔の感覚で本を一冊持って出勤した、

助手席の間にその本を忍ばせて、

早め(8時前)に出庫

しかし暇なはずの朝からちょこちょこと仕事が入り、

まあ、そのうち暇になるやろ

と思いつつ、

10時頃からは仕事のペースも上がってきて、

ミドル(5千円以上)の仕事も入り、

夕方から雨が降って、

とんでもなく忙しくなり、

夜は疲れて、空いてる時間も暗がりで活字を読む気力もない

結局持って行った本は1ページも読めず

それにしても、

20年でこんなに仕事変わるかね


4月26日(日) 80,000 49回

地域も勤務も違うとは言え、

売上は20年前の約4倍になりました

ここから10年でさらに上がっていくやろな

この仕事




2026年4月22日水曜日

タクシーストーリー 第34話 乗務初日

 初日の乗務は最初の乗車(加納町から新神戸)以外、あまり覚えていない

一日わけもわからずに神戸の街をウロウロして、

ときどき乗車もあり、

公園の路肩に停めて横になったり、

気づけば2万円を少し超えていた

隔勤乗務の予定だが、初日やし日勤の時間で終えて良いと言われていた

17時を過ぎたくらいで、

そろそろ帰るか

と山幹を走っていたら、

六甲のあたりの道路脇で、手を挙げられた

おー、これで三宮行けたらラッキー

と思い車を路肩に寄せ、ドアを開けた

「阪神尼崎」

は?

三宮方面向いてるんですけど

「阪神…尼崎…ですか」

またもテッパンの行き先なのに、

一生懸命ナビで検索する

「2号線で行ったら良いですか?」

「うん、任せるよ」

新人にとって、この「任せる」はまたプレッシャーである

指示してくれた方が助かる

会話もなく、尼崎までの2号線を東に向かって走った

4,50分かかったやろか

2号線から十間の信号を南に降りたあたりで、

「あ、このへんで良いわ」

支払いは愛のチケットやった

9,300円

チケットには大手薬品会社の名前が印刷されていた

お医者さんやったんかな(高速で行けば良かったのに)

2号線をまっすぐ走っただけやけど、

なんか大きな仕事をした気分になって、

1時間弱、無言の乗車やったけど、

なんか楽しかった


4月21日(火) 63,640 52回

回数はがんばったけど、

単価悪かったな

1時過ぎは仕事なし






2026年4月20日月曜日

タクシーが嫌いなんです?

 https://x.com/taxi_nagashi/status/2045863563773055082?s=20

こちらのXの投稿だが、

考えさせられる内容である

タクシーが嫌いなんです。10年選手の方で毎日12万やられてる方からの言葉で耳を疑った。やはり長くタクシードライバーをやられていると天井が見える商売だからこそモチベーション維持が大変とのこと。極めた先に待っているのは"マンネリ"だろうか。たしかに歴長い方で売上を追ってる方は少ないと思う。

確かにタクシーというのは、

地域によって違いこそあれ、

数字(売上)という面では、

ある程度天井は見える仕事である

それは、どんな仕事でもそうやろ

というのはあるが、

億稼げるか?

と問われたら、

今どき稼げる職業もあれば、

タクシーは実際難しい

それは1対1(グループ)の仕事の中で、

決して数百万のものを売るわけではなく、

数百円、数千円から、大きくても2,3万の単価である

掛け算で、ある程度の収入の幅は見えてくる

でも逆に、数百円のサービスを密室で、1対1で売る仕事ってのも、

そんなにないんよな

そこから見えてくるもの、

うまく言えへんけど(柄にもなく日本酒飲んでるからやろ)、

ちょっと話飛ぶけど、

タクシー(という仕事)の強みって何?

と言えば、

繋がれることなんちゃうかな

同じ仕事してる人間が、

地域も、年代も、組織(会社)も超えて、

繋がることが出来る

その可能性が、

タクシーの未来なんちゃうやろか

1日売上12万か知らんけど、

嫌い(嫌)ならやめたら良いやん

もっと面白いやつらがこれから入ってきて、

この世界(業界)は変わるよ

変えてみせる


4月20日(日) 67,270 40回






2026年4月18日土曜日

タクシーストーリー33話

 頭が真っ白になる

ドライバーなら、誰もが経験したことがあるだろう

特に新人の頃、

初めての乗務、

初めての乗車、

誰もが、分かってるはずのテッパンの行き先の行き方が分からなくなる経験があるはずである

普段プライベートで運転していて、

あまり感じることのない感覚だが、

全く知らない人を乗せて、

運転するという怖さ、

これは、一度タクシーに乗らないと分からないだろう

路肩に停めたまま、

既にお客さんは乗っているのに、

ハザードをつけたまま、

しばしフリーズしていた

10秒か、20秒の間やと思うが、

とてつもなく長い間、停まっていたように感じた

「…運転手さん、大丈夫?」

客に心配されて、声をかけられる

「はい…あの…大丈夫です」

大丈夫でないのに、大丈夫と言ってしまう

新人の犯す、大きなミスのひとつである

慣れてくると、分からないときは、

分からないので、教えてもらえますか

と普通に言えるのだが、

しかし、新神戸駅を分からないと言うのもなかなか難しい

しかもまっすぐ行った道の先である

さすがに、なんとなく自分を取り戻して、

車を走らせる

新神戸の2階のロータリーは混んでいて、停めるところがない

「きゅ…900円です」

仕方なく、走行車線で停めて会計をする

パッ!パァー!!

ほどなく、後からクラクションを鳴らされる

震える手で100円の釣銭を渡し、

車を降りてトランクの荷物を降ろす

「ありがとうございました!」

後方を見ると、もう7,8台の車が詰まっている

クラクションの合唱はさらに大きくなる

急いで運転席に戻り、車を走らせた

俺、無理や…

無理やこんなの


4月17日(金) 67,370 39回



2026年4月16日木曜日

8万超え

 今日はいつものように8時半頃出庫して、

10時頃からポツポツと雨が降り始め、

午後からは本降り、

それなりによく動いた

アプリ鳴りまくったな

今月ここまで5乗務で30回弱やったのに、

今日だけで30回くらい(29回)鳴った

21時頃には6万弱まで来て、

マックでゆっくり休憩

雨も止んで、

ここからがなかなか動かんのやけど

今日は2枚あったサンチケ(GOアプリのサンキューチケット)を使ったりして、

3千くらいの仕事をコツコツ積んで、

1時半くらに、「もう一回、もう一回」と粘ってたら、

5千円口来た

締め日に久々の8万超え

気持ちよく寝れそう


4月15日(水) 80,180 47回






2026年4月10日金曜日

タクシーストーリー32話 初乗車

始めてアプリの配車を受けたのは良いが、

駅のロータリーで前後の車にぴったり挟まれてしまって、

出ることが出来ない

窓を開けて声をかけても無視され、

仕方ないから車を降りて、後の車に直接声をかけた

さっきまで車外で伸びをして変な体操をしていたおっさんは、

運転席に座っていた

「すみません、無線入ったんで、出ますんで、ちょっと後ろ下げてもらえますか」

60台くらいの白髪の目つきの悪いドライバーは、

さらに睨みを利かせて言った

「何駅ん中で無線取っとんねん」

「はい?」

「何駅中で無線取っとんねん言うとんねん!わからんのか!ボケ」

「駅の中で無線取ったらあかんのですか」

「当たり前やろ。アプリやったら普通鳴らんようになっとるやろ。お前がわざわざそれ解除しとるんちゃうか」

確かに「配車除外エリア」みたいになって、よく分からないから、「配車を受ける」というボタンを押していた

「いえ…あの…そうかもしれないですけど」

「あー、もう後ろの車来たわ。悪いけど配車キャンセルするか、それでも出たいなら何度か切り返して出たらどうや」

おっさんは嬉しそうに言う

確かに待機場に次の車は入ってきたが、

十分車を下げる時間があったにも関わらず、

その車が後ろに付けるまで、わざわざ待っていた

完全な嫌がらせや

※確かに嫌がらせではあるが、この場合駅の中でアプリ配車を受ける方も悪い

悔しいので、狭いスペースから5,6回切り返しながら、

何とか脱出した

後の車のおっさんは、また車から出て、その後ろに付けたドライバーと談笑している

やっとのことで駅から出て、

三宮の交差点を右折する

フラワーロードを北上していると、

アプリのタブレットから鈴のような音がなって、

画面に

(お客様が配車をキャンセルしました)

まじかよ

確かに配車を受けてから、もう10分以上経過している

…なんやねん

初乗車は遠い

と思った瞬間

目の前にあるローソンの前でビジネスマンらしき男性が手を挙げている

どうしよう(どうしようも何も乗せなあかんやろ)

慌てて車を左に寄せようとすると、

車線左側を走っていたバイクからクラクションを鳴らされる

慌ててまたハンドルを右に切る

もう一度車を寄せるが、手を挙げていた男性の10メートルくらい先まで行ってやっと停められた

キャリーケースを引きずって、男性がこちらへ歩いてくる

心臓はバクバクである

ドアを開ける、

「すみません、この荷物良いですか」

「あ、はい」

トランクを開けて、車を出てキャリーケースを積む

運転席に戻り、お客さんが乗車したのを確認して、

ドアを閉める

「新神戸まで」

「…わかりました」

フラワーロードを北上していたのだから、

新神戸はまっすぐ上がるだけである

しかし、このとき頭が真っ白になっていた

新神戸って、どうやって行ったら良いんやろ


4月9日(木) 68,730 33回

今日は日中観光の仕事で、

3時間2.2万ほど

7万はいきたかった

メリケンパークはまだ桜がきれいやった




2026年4月4日土曜日

タクシーストーリー31話 初乗務(出庫)

無線開局のスイッチを押して、

GOアプリもONにした

8時に車庫を出て、

湊川から山幹(山手幹線)を通り、

加納町3丁目の信号を右折して、

フラワーロードを南下、

山幹にもフラワーロードにも出勤ラッシュの人がたくさん歩いていて、

いつ手を挙げられるか、

手挙げされたら、どうやって止まるか、

一般ドライバーが聞いたら、

止まることくらい出来るやろ

と思うかもしれないが、

手挙げされて、路肩に車を寄せて止まるのはそこそこ技術の要る、

言い方を変えたら、結構危険な動きであり、

車線を走る車や、自転車、バイク

など全て確認の上、車両を左に寄せなければならない

それは実際タクシーに乗って、

歩道を歩く多くの歩行者を見て、初めてその怖さが分かるもので、

普通に運転していてイメージ出来るものではない

しかし自分の恐れとは裏腹に、全く手挙げはなかった(そら出勤で歩いてる人がタクシーに手挙げんわな)

フラワーロードを下って、

少し迷ったが、三宮東口のロータリーに入って待機した

7台目

そのまま流していても、どこを走ったら良いか分からないし、

前方と、隣車線や歩道の人波に神経を使いながら走ることに、

たった10分ほどで疲れてしまった

三宮ロータリーは乗り場が3台

プール側に4列ほどあるが、

その1列に並んだ、最後尾(4台目)に付けた

先に待機していたドライバーたちがこちらをジロジロ見ている

(なんや見ーひん顔やな)

(新人か)

冷たい、刺すような視線がいくつか飛んでくる

そのうち1台のタクシーから、60前後の坊主頭のドライバーが降りてきた

「おいおい!ぼうや。もっと詰めんかい!後ろの車が入れへんくなるやろ」

「あ…はい、わかりました」

後ろの車?って、3列空いてるやん

この時は、新入りに一言浴びせて威嚇していたなんて想像もしていなかった

とりあえず少し前に車を詰める

後にも車が並んだ

やはりその車からもドライバーが降りて、こちらをジロジロ見ている

軽く身体を伸ばしながら、何か言ったろか、みたいな雰囲気である

勘弁してくれ

こっちは、これから乗る客のこと、行き先、会話など考えるだけでもドキドキして、頭がいっぱいなのに

あんたらおっちゃんドライバーに気使ってる余裕ないねん

するとGOアプリから

チリンチリン

鈴のような音が鳴った

経験もないのに、条件反射のように「了解」ボタンを押す

配車先までの道案内が出る

フラワーロードを北にぐるっと回って、生田新道が配車先である

場所は確かに近いが、かなりまわらないといけない

早く出て回送しないと

と思ったが、さっき言われて前に車詰めてるし、

後のおっさんもぴったり付けてきてるので、

出られない

窓を開けて、

「すみません、ちょっと(このロータリーから)出たいんですけど、後下げてもらえますか」

外に出て伸びをしている後方のドライバーは、

全く無視

前の車も動かない

秋の涼しい朝やったが、

もうシャツは脂汗でびっしょりやった


4月3日(金) 61,910 43回

年度明けの金曜日

動かんかったな…

桜は満開

明日は雨(嵐?)みたいやから、今日で満開見納めかな…




2026年4月2日木曜日

タクシーストーリー㉚ 側乗について

いよいよこの物語では、

主人公?山元の初乗務である

と、その前に、

側乗(管理者が助手席に座って、実際のお客さんを乗せる研修)ってないの?

と思った方もいるやろう(いや、そんなに読んでる人おらへんで)

筆者も管理者として、何度もその側乗を助手席で体験している

その経験から、

この側乗というものは、行うべきではない

と感じた

これを側乗「研修」と呼ぶことに関して、

お客さんは、ベテランのドライバーやろうが、

新人やろうが、同じ料金を払って乗車するわけである

それが良いかどうかはまた議論はあるかもしれないが、

さすがに2名乗ってる、

しかもお客さんが使えるはずの助手席を占領して、

管理者が座ってるサービスに同じお金を払わせるのはどうやろう

タクシーというのは、

良くも悪くも、1対1のサービスである

お客さんはドライバーを選べないし、その逆も然り

それはある程度仕方ない部分はある

路上に出たら、基本全て自分の責任で営業スタイルを選択し、

お客さんと接し、

全ての交差点で、責任を持って安全確認をする

もうそれは当然「研修」などではなく、

本番である

「本番」がドライバーをすごいスピードで育てるのである

半年、いや3か月もすれば大抵にわか仕込みのドライバーは出来上がる

自分が管理者として、新人ドライバーの助手席に座るたびに、

こんなことをしていたらドライバーとしての成長が遅れる

何よりお客さんに失礼である

と感じていた

ということで、このストーリーでは敢えて側乗というステップを飛ばしている

未だこの悪しき習慣は残っているかもしれないが、

新人投手の初登板に、マウンドの横にコーチがついてきたらおかしいやろ

やめましょう


4月1日(水) 65,130 45回

朝から雨、

1日中雨で忙しかった

でも夜(0時過ぎ)は仕事なく、

伸びず



2026年3月28日土曜日

「警察呼ぶわ」

「うざい客」の話が聞きたいという若者に対して、

「神戸は本当にお客さんの質が良いわ(うざい客なんていない)」

と話した夜のことやった

深夜1時過ぎ、某駅の乗り場にて、

まず小さな女の子が声をかけてきた

「(このタクシー)乗れますか?」

おー、かわいいやないか

「はい、乗れますよ」

「今お母さんが来るから、ちょっと待ってください」

「はい」

7,8歳かな、小学校の低学年くらいの子やった

この子は乗るなりすぐに寝てしまったので関係ないが、

母親が後から乗車してきた

40前後やろか

こんな小さな子どもがいるようには見えない、髪は白髪交じりで、疲れた感じやった

「第3住宅」

一言、

「…どこの住宅ですか?」

「わからへんの?××の第3住宅」

「わかりました」

「わたし障害者やから」

障碍者手帳を提示してきた

「わかりました(1割引します)」

乗車中はほとんど会話もなく、

目的地に到着

割引のボタンを押して、

「1620円です」

「あの…メルペイで払います」

「はい、じゃあQRコード決済のボタンを押してください」

そのまま女性はスマホを見つめてフリーズしている

2分経ち、3分経ち、

まだスマホを見つめて止まっている

SNSでも見てるんか

と思ってしまうくらいに

「あの…(支払い)大丈夫ですか」

「はい?」

「わたし次(の仕事)もあるんで、早くしましょか」

これ絶対言ったらあかんやつ

ついポロっと言ってしまった

これはプロの対応ではない

なんか気が緩んだんやろな

「は?次の予約あるってこと?」

「いや…まあ…はい」

別に予約はないが、次の仕事はあるやろう

「そんなん知らんやん」

「…」

「いや、それにしても長いですよ。もう(着いてから)5分以上経ちますよ」

「そんな経ってないわ!あんたタクシー運転手のくせにちょっとくらい待てへんの?」

「運転手のくせに?」

「は?何?」

「『くせに』ってなんやねん!運転手馬鹿にしてるんか?」

つい挑発に乗ってしまった

運転手に対する差別言動は許せないが、

そもそもこっちを怒らせるための言葉で、

まんまと相手のペースにはまってしまった

「は?あんた怖いわ!反社か?…もう警察呼ぶわ」

「警察呼ぶんは勝手やけど、金払ってもらえます?」

「今払うやんか!ちょっと警察電話するから待って」

そんなこんなで警察呼ばれ、

意外とすぐ(10分くらい)来たから助かったものの

免許証の提示を求められ、

「運転手さんも言い返すから揉めるんでしょう」

「侮辱されて黙ってろ言うんですか!」

と警察とも少し言い合い

「とにかくこの人早く降ろしてくださいよ」

なんとか支払いも終えて、降ろしてもらって

「もう何でも良いわ。降ろしてもらってありがとうございます」

向こうで女はまだ叫んでたが、

最高に「うざい客」やった


3月27日(金) 72,270 44回

神戸もやっと桜が開花した

ロングミドルなしで7万超えはまあまあやな

タクシーは距離やない

回数ですよ



2026年3月26日木曜日

「今までで一番うざい客教えてください」

前回の乗務やったが、

夜某病院から乗車の若者

乗ってから、ほどなく

「あの…、話しかけても良いですか?」

「…?はい」

「あの、タクシーってどうなんかなって…いつもタクシー乗ると聞くんですよ」

「あー!そういうこと、なんでも聞いて(笑)」

こういうの聞かれるのは嬉しいが、

若い人が聞いてくれるのはなお嬉しい

「ちょっとタクシー興味あって、稼げるんですか?」

「えー…自分結構若いよね?(タメ口聞くな)」

「はい、今24歳です」

「はぁー、そのくらいの年齢なら、まず同世代の友達よりは稼げるよ」

「本当ですか?」

「その世代ならまわりは良くても(年収)400くらいやろ。この辺でも500から600はそんなに難しくないで。東京行けば1000も普通にやってるみたいやし」

「500,600って、そんなに出来たらすごいですね。それで結構自由って本当ですか」

「本当です。めちゃめちゃ自由。好きなときに仕事して、好きな時に休んで、スマホも触り放題。年齢上がればもっと稼げる仕事はいくらでもあるけど、こんなに自由な仕事はなかなかないと思うで」

「ありがとうございます。もっと興味湧いてきました」

「まあ一度乗ってみなよ」

「はい。あと、今まで一番うざい客ってどんなでした?タクシー運転手さんと話すといつもこれ聞くんですけど」

「うざい客かー 俺も大阪でも乗ってたし、ここ(神戸)より田舎でも乗ってたし、20年以上乗ってるからいくらでもネタあるけど、神戸は客層良いね。変な客ほとんんどおらへんわ」

「そうなんですか。もっと聞いてみたいですけど(笑)」

そんなところで降車していった。

また一人、有望な後輩を作ってしまった。

しかし嘘をついてしまった。

この日の夜、「最高にうざい客」を乗せることになった。

それは後日


3月25日(水) 71,970 52回

雨でめちゃめちゃ忙しかったー

深夜(0時過ぎ)は雨も上がって、さっぱりやったけど…







2026年3月20日金曜日

タクシーストーリー㉙ 初乗務(出庫前)

行き詰まっていた前職のスーパー店長の仕事を辞め、

家族(嫁)の反対を押し切り、

2種免許を取得し、

社内研修を終え、

遂に乗務員証を手にし、

初乗務を迎えることになった

10月半ばの秋晴れの日やった

朝7時に出勤し、

免許証を提示し、

アルコールチェックをする

いつもは晩酌ビール2本くらいの日課があるが、

この日の前日は休肝した

アルコールチェッカーの「ピー!」という音(問題なし)を聞いて、

緑のランプを見ながら、

「行かなあかんのや…」

少し怖くなった

「山元さんは隔勤の予定ですが、今日は初日なんで夕方17時くらいを目途に入庫してください」

「わかりました」

「何か気になることはありますか?」

「あの…配車アプリ(タクシーGO)の操作方法を聞いてなかったんですが」

「あー、あれね。配車がかかったら、鈴みたいな音がなりますから、そうしたら画面の『了解』ボタンを押してください。後はナビで配車先まで誘導してくれますから」

ぶつけ本番かよ

「…決済方法とかは?」

「お客さんが後部座席の画面で操作しますから、特に問題ありません」

問題ないわけないやろ

ほんまに大丈夫か

車庫に出て、担当車のボンネットを開ける

東京あたりではジャパンタクシーとか言う、丸っこい車が主流だが、

関西ではまだこの旧型クラウンがよく走っている

オイルやラジエーターの冷却水、バッテリーの水などチェックする

ボンネットを閉めて、ボディを濡れタオルで簡単に拭いて、

車内のマットをマットクリーナーに通す

いよいよか

無線のタブレットで「開局」ボタンを押した


3月19日(木) 67,450 47回





2026年3月14日土曜日

はまった・・・

 今日ははまったなー…

「はまった」

というと、良い意味にも取れるが、

(ドツボに)はまった

という意味である

夕方17時頃かな

新神戸行きの仕事があって、

珍しく乗り場が4,5台しかいなかったので、

降りて下から乗り場に入った

程なく、2,3分で乗車

磯上通まで、

生田川沿いの道は動かない

お客さんは訪問先に電話している

「今新神戸着きました。タクシー乗ったんで5分ほどで行けると思います」

2キロほどの場所なので、通常は5分もあれば行けるのだが、

10分以上かかったかな

「混んでますね…」

と振ると、

「新幹線が2時間40分遅れですよ。16時のアポが、17時過ぎてしまいました」

「そうなんですか」

その客が降車して、また新神戸に戻ろうとするが、GOアプリの配車で三宮駅近くへ

三宮駅を除くと、やはり5,6台しかいない

よし、入ったろ

ここで並んだが100年目

18時前に入って、

乗車が18時20分

北野俱楽部そら

1000円

朝からまあまあ粘ってたけど、

大事な18時台にこけた

俺は流しより、並びたい派やから

外れると、外れたと分かっても、逃げられなかったりする

しかし、ほんまに人の流れというのは分からんよね


3月13日(金) 59,000 39




2026年3月12日木曜日

タクシーストーリー㉘ タクセン運転者講習

 8日間の社内研修を終えて、

最後の2日間は、兵庫県タクシーセンター(タクシー協会)での研修を受講した。

三宮から南に降りて、貿易センターの横にタクシー協会はある

日程は2日間で、

2日目の午後に地理試験がある

その試験を合格して、

運転者登録証がもらえる

やはり地理試験が気になるわけだが、

地理は神戸の個人タクシーのドライバーの人が講師として講習を行った

年齢は60前後かなぁ

この講師が最低やった

「タクシー運転手なんてのはね、一日中座ってますから、とにかく身体に悪い」

「こんなものはね、ある程度の年齢になって、他にやることなくなってからやるもんですよ」

「一日の売上は大体2万、良くて3万かな※」

※神戸あたりでも日勤で4万5万は楽に出来ます

やる気なくさせるのが、この講習の目的か

社内の研修の方がずっと良かった

地理テストについても、

「地理テストですが、こんな試験ね、落ちる人いません。今から全部問題教えますから、全部覚えてください」

なんやねん、それ

やるならしっかりやってほしいわ

出来へんやつは落としたら良いやん

最初から合格させるためのテストなんて面白くもない

「これが2号線、平行して南に走ってるのが43号線、これ出ますよ」

レベル低すぎやろ

一般のドライバーでもみんな知ってるわ

「西宮を通ってる171号線(いないち)はね、昔は『西国街道』って言ったんですよ。これは兵庫の方に来たら神戸港に着いた魚や、いろんな商品を運ぶために、こう不自然に曲がってきてるんですね…」

お、面白い話やん

「これは試験には出ませんけど」

でーへんのかい!

そんなつまらない講習を終えて、

最後に簡単な地理試験※をクリアして

※神戸の地理試験は簡単だが、東京や大阪はそれなりにボリュームのある試験を受けなくてはいけない

晴れて乗務員証(運転者登録証)をゲットした

ネガティブな講習の上に試験が簡単すぎて、それほど喜びも実感もなく、

帰り際にタクセンの事務の人に

「これから頑張ってタクシー乗ろうと思ってる我々に、こんなネガティブな講習聞かせるってどういうことですか。講師変えて、講習自体もっと質を高めないと、ドライバーの質は上がりませんよ」

クレームを残して※、タクセンを去った

※筆者は実際タクセンに上のような提言をして帰りました


3月11日(水) 70,610 38回

東北の震災から15年かぁ…

http://blog.livedoor.jp/brack_cab/archives/2011-03-11.html

この頃からブログやってるんよね(2007年頃からやってるはず)

まだ30代やったんか

もう一度あの頃に戻りたい気もするし、

今からでも出来ることはたくさんある気もする





2026年3月10日火曜日

不動産まわり

11時頃やったかな

某駅から3名様の乗車

20代に見える男性が助手席に乗り、

60代くらいの女性と、30代くらいのイケメン男性が後部座席に乗った

みんな日本人と思っていたが、

後部座席の2人は英語で話している

 行き先は駅から歩いていけるくらいのマンション

「すみません、ここで待っててもらえますか。また次の物件に行くので」

不動産の内覧まわりか

助手席の男性は不動産屋の方みたい

この時期よくある仕事

悪くない

降りたときは600円のメーターが、

つけっぱなしで2000円を超え、3000円を超えたくらいで戻ってきた

「次は花隈の方にお願いします。住所は××ー✖✖」

さすが、メーターなど気にしてない

「わかりました」

場所をナビで確認する

ちょっと気になったので聞いてみた

「先ほどのマンションて人住んでるんですか?」

「いえ、まだ住んでません」

「そうですよね、出来たばかりですよね。高いんやないですか」

「まあ、それなりに」

後部座席の2人はある会社の人事の女性と、韓国系アメリカ人のエンジニアらしい。

英語の会話を聞いていると、

先ほどの物件は家賃20数万

まあまあ安いね

みたいな…

その他経費で30万超えるやん

ひとり暮らしやろ

花隈の物件は、三宮まで(徒歩で)どのくらいやろ

みたいな話をしてたので、

「would be about 20 minutes by walk(歩いて20分くらいちゃう)」

と英語で教えてあげたら、とても喜んでくれたので、

「You look like a Korean actor!(お客さん、韓国人の俳優みたいやん)」

と持ち上げた

タクシーに乗ってると、金持ちの心の掴み方はうまくなる

その後は、新港あたりのタワマンとかもまわって、

気になったので、

「(家賃)いくらくらいなんですか?」

と助手席の若いセールスさんに聞くと、

「部屋によりますが30万台ですかね…、お求めですか?(笑)」

「思ったより安いですね。考えよかな(笑)」

収入なくなってまうやろ

3件まわって、

メーター料金11,250円

ごっつぁんでした


3月9日(月) 52,410 32回

今月は苦しいながらもなんとか6万台で粘ってたけど、

崩れたなぁ

崩れた次の乗務が大事

がんばろ




2026年3月5日木曜日

タクシーストーリー㉗ 適性検査

 会社での研修を終えて、

8日目は適性検査を受けることになっていた

適性検査は午後からなので、

午前中はタクシーに乗って、

自習的に周辺を走って良いということやった

各駅の待機場や、そこへ行く抜け道などを見て復習したり、

ホテル等の入り口の確認などをした

特に新神戸のANAクラウンプラザホテルは入り方が難しく、

実際車寄せまで入ったりしてみた

昼前に会社に戻って、

「そう言えば、タクシーGOアプリの使い方を聞いてなかったんですが」

課長に質問した

「あー、あれね。配車入ったらベルが鳴るから、そうしたら了解ボタン押すだけ、あとは全部自動音声で説明入るから」

「…はい(それを見たかったんやけど)」

昼食後にまたタクシーに乗って、灘駅近くのタクシー組合の施設へ行った

そこで適性検査なるものを受けにいった

「検査」と言っても、

運転シミュレーションのようなもので、

逆走だらけの道で、対向車を避けたり、

トンネルに入った車が出てくるタイミングでボタンを押したりという、

ほとんどゲームセンターやった

あとは、画面に出てくるいろんな質問、

もう忘れてしまったな

結構たくさんの質問に答えた気がする

動体視力などの視力検査もあった

終わると、成績表が渡される

いわゆる運転適性スコアみたいなもので、

反射神経や、動作の正確性など、

いくつかの分野に分かれて100点満点のスコアが付けられる

ほぼ90点台後半の高い点数やったが、

「協調性」というところが、75点やった

タクシードライバーはみんなこの点数が低いらしい

要するに協調性がないから、社会に適応出来ず

この業界に流れてきたということなんやろか

いや違う

俺たちはみな

一匹狼なんや

収入とか、友達とか、飲み会とか、

そんなものより、

自由に生きたい

そういうことなんやないかな(個人タクシーみんなつるんでるけどな)


3月4日(水) 72,490 32回

今日は昼過ぎに毎日放送、

夕方にリッツカールトン

と2回も大阪行ったのに、

夜撃沈…

こういうの、めっちゃ悔しいわ

良いときに稼がなあかんのが、この仕事

痛いわ




2026年3月3日火曜日

追い越しはあり?

タクシーというのは面白い職種で、

市場に出ている各ドライバーが所属会社に関係なく、基本自由に利用者を奪い合うゲームである

ゲームにはもちろんルールがあるものだが、

都市を舞台にしたこのゲームに関して、

公共で定められたルールなどというものはほとんどない

各待機場所には、もちろんその場その場のルールはあるが、

それは現場のドライバーが勝手に定めたもので、

例えば、ある待機場所では

待機場所に入ったら無線やアプリ配車でのアウトはなし

なんてこともある

しかしこれは単にそこで決めているルールであり、

このルールを破ったとて、なんのペナルティもない(クラクション鳴らされまくるやろ)

※待機場所の構造上、列に並んだら抜けられないということはある

そんなルールが未だ存在するから、

駅のタクシー乗り場に山ほどタクシーが並んでるのに、

100Mほど先のイベント会場で、

アプリで呼んでもタクシーが来ない

なんてことも普通に起こる

さあ、幹線道路ではどうやろう

駅では秩序を持って、しっかり順番で並ぶ

しかし深夜の国道ではガン飛ばしで、

同じタクシーを平気で追い越していく輩(ドライバー)がいる

これは俺は結構許せない

動いているときも順番は守れ!

昨日も国道で追い越し車線から追い抜いていこうとした奴がいた

信号で止まった際に並んで、

「後ろまわれよ!」

窓を開けて、ジェスチャーで示すが、

窓も開けないし、目も合わそうとしない

おっさんなら放っておくが、

見た目20代くらいの若いドライバーやった

これから業界の秩序を作っていかないといけない若者があれではいけない

俺は約50キロの法定速度で走っていた

確かに遅い(深夜にそんな奴おらんわな)

しかしそれを70キロで抜いていき、

もし俺がそれに抜かれまいと80キロを出す

さらにそれを抜こうと100キロを出す

大阪の171なんかもそうだが、

そんなことが深夜の国道では普通になっている

全国のタクドラのみなさん、

タクシーはルールのない自由なゲームです

しかし、大きなルール(法律)は守りましょう

そういうのも、業界のイメージを変える第一歩やと思うわ


3月2日(月) 60,360  44回

先月は副業やプライベートが忙しくて、10乗務しか出来んかった

今月はがんばろー



2026年2月26日木曜日

タクシーストーリー㉖ 路上研修3

 全10日間の研修も7日目となり、

「こちらで行う研修は今日が最後になります。明日は適性検査、最後の2日は三宮の兵庫県タクシーセンターに行ってもらいます」

課長から説明があった。

「適性検査も三宮ですか?」

「貿易センタービルにナスバ(自動車事故対策機構)が入ってるので、そこで行います」

「わかりました」

すると、課長は一度営業所に入り、紙コップに水を入れて持ってきた

コーヒーやないのか…?

課長は研修用の社用車の助手席に乗り込み、エアコンの吹き出し口にドリンクホルダーを差し込み、紙コップを置いた

「さあ、今日は路上の最終点検です。行きましょうか」

「そのコップ、危なくないですか…水がこぼれそうで」

コップには水がほぼすり切れいっぱいに入れられていた

「ハハハ、わざとですよ。この水をこぼさないように運転してください。またこれは運転のテストのためですから、通常ここにドリンクホルダーを付けるのは、お客さんの目にもついて見苦しいですから禁止ですよ」

「わざと…ですか」

恐る恐る発進すると、古いタクシー用クラウン(コンフォート)である

ブン!

と強く揺れて、水がこぼれそうになる

「これでは運転できませんよ」

「それをするんです。高齢のお客様はちょっとした揺れでも身体に堪えます。小さな子どもさんは座席から落ちてケガをするかもしれません。自家用車をひとりで運転しているのとは、まったく違う運転をする必要があります」

こんなん落ち着いて運転できへんやん

というか、落ち着いて運転してたらあかんのかな

右左折は、ほぼ止まるような感じで、しかし本当に止まってしまったらまた発進時に揺れてしまう

止まるか止まらないかの繰り返し

それでもなかなかうまくいかなかった

「今どこ走ってるか分かってますか?」

課長に質問されたが、

「いえ、あの運転が…水が気になって…長田神社の近くですか」

ナビを見て答える

「運転に集中することも大事ですが、お客さんを乗せてたら、常に地理的な認識は持たないといけません。ナビだけを見て運転するのはプロではありません」

思ったより厳しいな

と、その瞬間、路肩に停められていたテスラの横から道路側に突然男性が飛び出してきた

「あっ!!」

強くブレーキを踏む

コップの水はオートマのギアの部分と、課長のズボンに大きな水滴をつけた


2月25日(水) 61,090 43回




2026年2月23日月曜日

オリンピック閉幕

 あまりタクシーと直接関係ないかもしれないが(なら書くな)

ミラノ・コルティナオリンピックが今日で閉幕となり、

今閉会式をしている

タクシーに乗ってると、深夜に帰ってくるので、

家族がいても、夜ひとりの時間があり、

ビールを飲みながら、

ヨーロッパのスポーツ、オリンピックとか、サッカーとか、

リアルタイムで観れたりする

また仕事がんばって、

金ためて、

ヨーロッパ行きたいなぁ


2月22日(日) 65,180 48回

三連休の中日で、少し期待と気合の乗務やったが、

イマイチ…



2026年2月21日土曜日

タクシーストーリー㉕ 事故を起こしたら?

 5日目の研修では、午後の座学研修で、

「今日は簡単に事故を起こしたときの説明をします」

そんなん簡単にされても困るが、

「山元さんは事故を起こしたことはありますか?」

「若い頃に車庫入れで、柱に当てたことはあります」

「そのとき、どうしましたか」

「自分で修理屋に持って行って直しました」

「保険を通さなかったわけですね」

「車両保険入ってませんでしたし」

「タクシーでも同じです。自損事故はこちらに整備士がおりますし、余程のことがなければ保険は通さず、自社で直します」

「保険には入ってるんですよね」

「もちろんです!タクシー会社の任意保険加入は義務ですから。しかし、保険に入っていたとて、小さな事故でいちいち保険通してたら会社が持ちません」

とて…

「事故は多いんですか」

「一般の運転とは違いますから。走る距離も、道も、Uターンの多さも通常運転とは格段に違います。その分事故が起きる可能性は高くなります」

「事故を起こしてしまったら、どうなるんですか」

「はい、その説明です。まず『相手のある事故』と、『相手のない事故』に分かれます。相手のない事故については、自社で直しますが、その概算の修理代の20%を負担してもらいます」

「修理代10万円なら2万円ということですか」

「その通り!その後の給料から引かれることになります。分割にも出来ますが、3回目の事故からは30~50%へ徐々に負担割合が増えます」

「そうなんですか…(自己負担あるんや)」

「しかし重要なのは、『相手のある事故』、こちらはまず相手が負傷していたら、その介助、救急車の手配、代車の手配、そして必ず警察に届けてください」

「保険を使うわけですか」

「保険を通す通さないに関係なく、後にトラブルになった際のためにも警察の届けが必要です。会社への連絡は最後です」

ということは、保険を通さないこともあるわけや

「わかりました」

「とにかく事故を起こすと慌てます。落ち着いて、この事故対策マニュアル(研修資料に入っていた)を確認しながら、ひとつひとつ対応してください」


2月20日(金) 67,270 47回




2026年2月19日木曜日

万収ダブル

 タクシーでは、いわゆる「万収」と言われる、

1万円を超える仕事がひとつのステイタスでもある

また別に、9千円を超える仕事を「ロング」と呼んだりする

これは9千円を超えると、いわゆる「遠割(9千円以上が1割引)」なるものが入るのが根拠である

最近の東ドラ(東京のドライバー)は、2万を超えるメーターをXにバンバン出してたりするが…

それでも万収は未だブランドである

今日の乗務は日中かなり動きが悪く、

こんな日は夜にでかいのが当たったりするんやなぁ

なんて軽く考えてたら、

21時頃に三木吉川13000円の万収

そして、さらに深夜1時台

六甲アイランドの高級マンション

これはでかいな

と思っていたら、

「運転手さん、とりあえず湾岸乗って、法円坂で降りてくれる?」

「わかりました(期待通りや)」

六甲アイランドの高速入口なんてすぐそこなのだが、

そこに向かう間にお客さんの電話が鳴る

これドキッとするパターンである

「うん、今から行くから。えっ?来なくて良い?」

これ、タクシーあるあるのやつ

乗ったらすぐ事情が変わって行き先変わる(または戻る)やつ

なんか恐らく奥さんが突然病院に入って向かってるようだが、

娘さんが何かの理由で「来なくて良い」と言ってるみたい

こうなったらドライバーの立場で「行きましょうよ」とは言えない

いろいろ押し問答の末に、

「もうとにかくタク乗ったから!とりあえず行くわ」

お客さん男前!

高速の入り口に入って、東神戸大橋からの夜景を見ながら安堵の息をつく

大阪日赤病院、17000円、ありがとうございました!


2月18日(水) 69,870 27回

回数すくな





2026年2月16日月曜日

タクシーストーリー㉔ 路上研修2

 研修3日目、4日目は同じように、

会社で午前中に路上研修、午後に座学研修を行った

主に課長が担当したが、

チケット等の扱い、配車アプリのシミュレーション動画は、

事務所の女性が見せてくれたりした。

路上研修は、やはりコースに沿って走っても、

なんの意味があるんやろ

という感じやったが、

新神戸駅に行ったとき、

まず2階ロータリーに入って、

「このレーンの空いてるところに停めてお客さんに降りてもらいますが、

あまり前の方に行くと空いてないと困るからな、

手前の方で降ろした方が良いよ」

「あの前の方空いてますけど」

「あそこは障害者用スペースやから、ご老人やったらあそこまで行っても良いけど」

「あー、そうですか」

「さらにその前はタクシー待機場や」

「3台くらいしかいませんね」

「ハハハ…、右の方見てみ」

右手を見ると、タクシープールに数十台の車が何列かに並んでいる

「わー…」

車をまわしながら、タクシープールを見る

「ほら、あそこにハザード焚いてる車があるやろ。あの後ろにつけるんや」

「どの列が最後尾か、ハザードで分かるわけですか」

「そういうことや。列がいっぱいになったら、次の列に行ってハザードを焚く。先頭の車は、その前がどの列か覚えとかなあかんで」

「そんなの分かるんやないですか」

「どんどん動いてるときはもちろん分かるけど、動きが止まってくると、ウトウトしてたりしてな(笑)、どこの列の次やったか分からんくなったりするんや」

「はぁー」

「最近はタクシーもよく動くようになったし、新神戸みたいなところで、そんな分からんくなるようなことはないけどな」

「他に大きな待機場所はどこかあるんですか」

「せやな。三宮の東口(北側)ロータリーや、神戸駅のロータリーもまあまあでかいな。どっちも今は工事中やけどな」

「空港はどうなんですか」

「空港はそんな待機多いことないで。ポーアイ(ポートアイランド)の最南端やからな。あそこまで回送して行くのは効率悪いし、そんなに動くこともないからな」

「遠方があるんやないですか」

「うーん…たまにはあるやろけど。大阪行くのにわざわざ神戸空港に降りんやろし。姫路やったら新幹線で行くやろからな」

「空港から三宮でも結構ありますよね」

「確かにな。3千円は軽く超えるやろから、それでも悪くないけど…分かってきたやんか」

なんか、こんな話が楽しくなってる自分に気づいた


2月15日(日) 62,000 42回





2026年2月13日金曜日

タクシーストーリー㉓ 給料計算

 社内研修初日は社長との路上研修(ドライブ)と、

午後は制服の採寸と、簡単に駐車場の停める位置や、ロッカーの使い方、事務員の紹介など会社の説明があった

研修2日目は課長が担当して、

午前中はコースに沿った路上研修、

午後は座学

と言っても、営業所の小さな食堂での研修やった

食堂には簡単な流し台と電子レンジ、冷蔵庫が置かれていて、

長机が2つ、マックスで5人くらいしか入れないサイズである

「タクシー会社の食堂なんてね、どこもこんなもんですよ」

課長が自嘲気味に言う

別に突っ込んでもないが

「今日はまず当社の給与システムについて説明します。これが一番興味あるやろ(笑)」

「はい、まあ(笑)」

食堂にはホワイトボードもあり、

「まずは基本給です」

課長はボードにまず「基本給 3000」と書き出した

「基本給は一日3000円です」

「はぁ…(少な)」

「少ないと思うやろ?」

「はい」

「山元さんは隔勤(基本1日おきに乗務する勤務形態)でしたよね。その場合1乗務で2日分働くことになるから、1乗務にすると基本給6000円になります」

ボードには「3000×2=6000」と書いている

まだ少ないな

「ここにまず営業手当が加わります。これが営業収入の35%になります」

ボードに「35%」と書く

タクシーの給料って完全歩合だと思ってたので、少し違和感があった

「隔日勤務は深夜にもはいりますから、5%の深夜手当が入ります」

深夜手当とか、%でつくんや

働いた時間とちゃうのや

「また残業が一日1000円、2日分で2000円つきます」

残業手当は固定かい(しかもバリ少ない)!

「タクシーはその日仕事の流れによって仕事時間も変わってきますから、時間いくらという付け方は通常しないんです」

と言いながら課長はボードに、「40000 50000 60000」と行を変えて書いていく

「例えば、この計算で1日の売上が40000円やと…こんな少なかったらあかんで」

6000+(40000×35%)+(40000×5%)+2000=24000

ほとんど数学の授業やん

「その日の給料は24,000円になります」

はぁー、結局売上歩合にしたらちょうど60%になる

「これが50000円やと…28000円、60000円やと32000円…」

どんどん率下がってくやん

50000なら56%、60000なら53%

「売上上げたら損やと思うやろ?」

「はい(笑)」

「それがそうではないねん。ここに、能率給というものがつきます」

ボードに「能率給」と書く

「5万を超えたら5%、6万超えたら7%」

また計算式を書いていく

「すると、5万なら30,500円、6万なら36,200円となります」

はぁー!そうすると、どちらも60%超えてくるわけや

「さらに半期で400万超えたら、半期営収の4~5%程度の寸志がもらえます。まあ20万そこそこやから賞与とも言えんけどな」

なんか分かりにくいが、とりあえずたくさん売上すれば、たくさんもらえるみたいやな

当たり前やけど

よく分かってなかったが、

研修の終わりにホワイトボードの写真を撮った

隅に何故かにやついている課長の姿が半分入ってしまった


2月12日(木) 64,270 36回

2月締め日

午前中にいきなり大阪弁天町が当たって、

今日はいけるぞ

と思ったが

夜大失速

2月80万に届かず…





2026年2月11日水曜日

「少し待ってもらえますか」

 深夜、青タン(22時)に入ったころ、

ある動物病院から配車が入った

到着報告すると、

見た目60前後の女性が、

「少し待ってもらえますか」

まじか

雨でそこそこ動いてるのに

「そんなに待てませんけど」

「ここへ行ってもらいたいんですけど」

渡された名刺を見ると、

西区の救急動物病院

2万コースやん

「わかりました」(待つんか、態度変えんな)

ご機嫌でナビセットしながら、

5分待てど、10分待てど、

来ない

15分くらいでしびれを切らして確認に行くと、

「ちょっと(猫の)呼吸器を外せないみたいなんで…キャンセルでお願いします」

2千円くれたが、

ショックを受けて通常営業へ戻る

そして、24時前、また同じ動物病院から配車

行くと、同じ女性が、

今度はすぐに乗ってきた

手には猫が入ったゲージ

行き先は変わって、女性の自宅マンション(神戸駅近く)

「どうやったんですか?」

聞くと、すすり泣きながら、

「ダメでした…夕方まで元気やったのに…もう安楽死しかないって」

「そうなんですか…」

「賢くて良い子でした…昨日も一緒に寝たのに…」

もらい泣きしそうになる

14歳やったらしい

自分も猫を飼ってるので、突然の別れはつらいやろなぁ

それでも、自分がその話を聞く相手になれたことで少し助けになったやろか


2月10日(火) 73,820 41回



2026年2月7日土曜日

「中道!」

 2月最初の金曜日

ここのところ選挙のせいか動きが悪かったが、

日中からそこそこ動いた

晩飯休憩の20時半頃までに5万を超えるペース

今日は8万いけるかな

と思ったら、

青タン(22時)から急減速

頭を抱えていた24時前

GOアプリが鳴り、

配車先へ行くと、サラリーマン風の男性2名

良い感じである

「運転手さん、甲子園口の方行ってくれる?」

「はい」

悪くないやん

「そのあと、夙川の方へ」

「…先に甲子園でよろしいんですか?」

「いや、どっちでも、好きな方で」

「それなら(手前の)夙川先に行きましょうか」

「好きなようにして」

指定されたら、遠い方先に行くのもありやけど、

「好きなように」言われて、遠回りするわけないやん

と思ったら

「運転手さん、距離縮まったな!!(爆)」

ややこしい客や

試してたんか

その後2人の会話を聞いていると、

どうやら、ゼネコンの営業と、取引先のようやった

「俺はね、✖✖の営業では右に出るものはいないと思ってますよ」

ベロベロに酔っぱらって、大手ゼネコンの名前出して煽っている

夙川に着くと、

「ここで一人居りますから」

大人しい方が降りた

わー…こっち(うるさい方)が残るか

と思っていたら、

残ったゼネコンが窓を開けて、

「あさって(選挙日)は中道、お願いしますよ!」

夜中にでかい声で選挙運動

走り出して、

「甲子園口の駅ですよね。北口か南口かどちらに付けます?」

「どっちでも良いよ」

「それなら北口(近い方)付けますね」

なんとか遠回りさせてイチャモンつけようと思ってるな

「運転手さんはどの党応援してるの?」

きたー

俺は別に政治的態度を隠す方ではないが、

ここで言ったらあかんな

「えー…どうですかね。お客さんは中道支援ですか」

「そうや」

わかってても、そこは合わせるわけにはいかない

「公明党(創価学会)ですか」

「まあ、そうや。どうでも良いけどな」

どうでも良いのに、夜中に騒ぐな

「今回は自民党が大勝みたいですね」

「それがな、危ういねん!高市なんて、あんなんアイドルやろ!」

「(アイドルって…)おばちゃんですけどね」

「国を2分する政策って、なんやねん。国民誰も分かってないやろ。運転手さん、わかる?」

「まあ、(緊縮財政に対する)積極財政ということやないですか」

「財源ないのにな。あほやろ」

「まあ、高市さんが言うには、ここで思い切って財政出動して、経済成長を誘導して税収を伸ばすということやないですか」

「そんなん無理やで」

「確かに、そう簡単ではないでしょうね。中道は何をしてくれるんですか」

「あの玉木が103万の壁言うてたやろ。あれ、ほんまにやったのは公明党なんやで」

「そうなんですか」

「そうや、みんな国民は分かってないけどな」

「わかってませんでした」

そんな話をしながら、

早く甲子園口着かないかななんて、思いながら

やっと北口に付けて

「9,100円です」

こういう客は簡単に降りない

「運転手さん、中道はな…」

そこで、神のように次の客が、

「あ、(この車)良いですか?」

「あ、ちょっと待ってくださいね!お客さん、次の方いるんですみません」

「あ、そうかごめん」

すっと降りて行った

捨てぜりふに、

「中道頼むよ!」

入れ替わりに乗ってきたお客さんの、

(この運転手中道か…)

みたいな目に何も言えなかった

俺は基本的に政治的態度は隠さない

今回は維新に入れようかな


2月6日(金) 75,270 38回

珍しく単価2000円超えた




2026年2月5日木曜日

タクシーストーリー㉒ 路上研修1

 路上研修初日、

事務所営業用のコンフォート(※トヨタの旧式タクシー専用車)の運転席に乗って、ルームミラーの角度などを、なんとなく合わせていた

少し待っていると、グレーのスウェット上下(寝間着か)の社長が助手席に乗った

「さあ、行こか」

「どのコースへ行きますか?」

「コースって…好きなとこ走ったら良いやん」

「あの…先ほど課長から、研修用コースの資料頂いたんですけど」

他の座学研修なども合わせた、A4サイズの分厚い資料を社長に見せた

「ほう…こんなもん作っとるんか」

社長はその資料をペラペラとめくりながら、興味なさそうに目を通していた

事務所で「研修」というものの内容を共有してはいないということは、分かった

「あの…この部分が路上研修用のコースになってるみたいです」

社長が見ている横から、資料の中ほどのページを指して言った

「ほう…あんた、お客さん乗って、こんな資料見ながら走るんか?」

「…いえ」

「または、お客さんがこんな紙の資料持ってきて、『このコースで走ってください』言ってくるんか?」

「そんなことはないと思いますが」

「この世界はな、必要か、必要ないか知らんけど、つまらん資料とか、そんなおもろない仕事に嫌気がさした連中が入ってくるんや」

「…はい(相手側に嫌気さされて入ってくる人の方が多いと思うけど)」

「とにかく資料なんて気にせんで良い。あんたの好きなように走りなさい」

社長は分厚いA4用紙の資料を後部座席に投げて言った

「わかりました」

「今日わしが言いたかったのはそれだけや。あんたらも今まで要らん資料とにらめっこしたり、室内に閉じ込められて仕事してたかもしらんけど、ここに来たからには自由に走れ。それがタクシーや」

灘駅の近くの営業所を出て、

六甲山に登っていった

「仕事では三宮周辺走ることが多いやろけどな、こんなんも良いやんか。ちょっとそこ入ってみ」

社長の指したところは「鉢巻展望台」と看板が出ていた

「はちまき…(変な名前)」※実際あります

看板の矢印に沿って入ると、小さな駐車場には、コンビニなどの食料のゴミが少し散らかっていた

「まあ、降りよか」

車を降りて、社長はそこらにあるゴミを少し拾っていた

狭い展望広場のようなところに行くと、

「わぁ…」

思わず言葉を失った

眼下には、神戸の街が広がっていた

ビルの少ない街並みと、神戸製鋼から上がる煙、海には太陽の光が差し、コンテナ船などが行き来している

自分が住んでいた街がこんなに美しいとは…

「これがお前らの仕事場や」

「…きれいですね」

「狭い室内でパソコンいじってたりな、取引先と電話しながら神経すり減らしたり、うざい上司に適当に返事したり、これからはそんなことする必要ない。

(眼下を指して)この仕事場で自由に走り回ったら良い。

こんな楽しい仕事ないで」

研修初日のこの風景は今も忘れない


2月4日(水) 56,550 36回

苦しい闘いが続くなぁ

回数が少なすぎる




2026年2月3日火曜日

タクシーストーリー㉑ 社内研修

 9月後半第4週の月曜に自動車学校に入校して、

翌月曜に卒業

水曜に免許試験場で学科試験をクリアして、

2種免許は10日間で取れたことになる

そして、さらに翌週の月曜日

自動車学校入校から2週間後に、

社内での研修が始まった

10月になるとさすがに暑さも和らぎ、

研修初日は好天やった

課長から研修の予定表が渡された

「社内研修は10日間、月~金の2週間になります」

「はい…長いですね」

「10日間の研修は法令で定められています。そのうち1日は適性検査、2日はタクシーセンターの登録研修に行ってもらいます」

「ここでは7日間ということですか」

「そうなります。大体午前中に路上に出てもらって道を覚えてもらいます。午前中の方が駅や病院もよく動くのでタクシーの流れも見えるはずです。

午後が座学になります。昼飯の後で眠くなるかもしれませんが、覚えることはそんなに多くないので、気楽に構えてください」

「わかりました…」

「今日は初日なので、まず簡単に外に出てみましょうか」

9時に始まって、9時半くらいになっていたやろうか

文字通り社長出勤の社長が事務所の古いドアを開けて入ってきた

「今日から研修か。天気も良いしわしが(路上研修)行こか」


2月2日(月) 72,550 44回

いよいよ2月に入って、

このところ午前中は動きが悪いが、

午後から尻上がりで良くなって、

深夜はまた悪かった

まあ良いスタートやろ






2026年1月31日土曜日

選挙とタクシー

 選挙期間に入ると、

タクシーは動かない

という都市伝説があった

しかし、

それは都市伝説ではない

ということが、経験を重ねるごとに実感として分かってきた

選挙期間に入ると、タクシー利用は間違いなく減る

何故か、

ここからは推測だが、

勘ぐりを恐れるというのはあるやろう

誰かと飲みに行ったり、

一緒に行動していると、

あー、あの人はあの党の支持者か

みたいな

あとタクシーでも露骨に選挙運動してくる団体(どことは言わないが)もあるし、

そんなんがうざいから外に出たくない

というのもあるのかもしれない

ビジネスで動く人たちも、

選挙結果によって、取引先との関係が微妙に変わったりするから、

結果が出るまで待ちたいというのもあるやろう

今日乗車したあるお客さんに聞かれた

「タクシー(業界)はどの党を応援してるんですか?」

良い質問やなぁ…

「いやぁ…どうなんですかね。タクシー協会の会長(川鍋一朗さん)の奥さんはあの中曽根元首相のお孫さんですから、自民党なんですかね」

というのは、事務方の話

実際川鍋さんのおかげかどうか分からないが、

タクシーの事務方の政治力はすごい

世界的に急速に普及したウーバーはまともに日本でビジネスが出来ないし、

あれだけ騒いでたライドシェアは、今回の選挙では全く忘れられている

ここ数年全国的にタクシー料金はどんどん上がる

要するに日本タクシーは大勝続きなわけである

しかし、タクシードライバーはドライバーとしてまとまれば、結構な影響力を持てるとも思える

日本中にタクドラは20万人以上いる言われてるんやから(創価学会は1000万人らしいけどな)


1月30日(金) 59,450 52回

選挙のせいか分からんけど、

苦しい闘いが続くなぁ

52回で6万届かんとか

単価1000円ちょっとやんか






2026年1月29日木曜日

タクシーストーリー⑳ 2種免許取得

 月曜に自動車学校を卒業して、

翌日には会社へ報告へ行った

「学科試験はいつ行きますか?」

自動車学校を卒業して免許を取れるわけではなく、

卒業後に免許試験場で学科試験をクリアして、初めて2種免許がもらえる仕組みである

「いつって…自分で試験予約するんですか?」

すると、奥に座っていた社長が割って入る

「あんたが合格したって今聞いたのに、こっちで予約出来るわけないやろ」

「あぁ…」

「昨日連絡くれてたら、なんとかしたけどな」

「申し訳ありません」

社長が事務の女性に言う

「すぐ電話してみ。まだ空いてるか?」

「はい、明日で良いですか?」

「明日…ですか?」

俺が戸惑っていると、

また社長が割って入る

「そんなん時間空けてどうすんねん。すぐに(勉強したこと)忘れてしまうで。明日空いてるんか?」

「まあ、はい」

「じゃあ、明日で聞いてみて」

また女性に言う

「わかりました」

どうやら翌日の試験予約が取れたようである

「今はオフ(シーズン)やから取れたけど、これ夏休みや春休みやったら1週間くらい待たされるで。入社も1週間遅れる言うことや」

「そうなんですか」

試験の手配などは全部会社でやってくれるものだと思っていた

無職の身で、特に用事があったわけでもなく、

翌日明石の試験場へ行って、

無事2種免許を取得出来た

試験が終わって、新たな免許が配られると、

1種と同じ大きさの免許証のはずなのだが、

ずしりと重く感じた

たかが2種免許、1種と何が違うの

なんて思ってたけど、

何かその違いが何かというのは、まだ分かってはいなかったものの

全く違う免許だということは、感覚的に強く感じた

新たに変わった写真の、自分の顔を見つめて、

「俺、なかなかイケてるやん」

と独り言をつぶやいていた


1月28日(水) 49,150 43回

いやぁ…今日はひどかった(選挙始まるとなぜか悪くなるよな)

5万切りはいつ以来やろ

まあ年末からここまでなんとか粘ってきたから、

こんなこともあるやろ

また次がんばろ




2026年1月27日火曜日

踏んだり蹴ったりの男

今日は苦しい流れやったが、

0時過ぎに吹田の仕事が当たって、

2号線で神戸に帰る途中、

甲子園あたりで、GOアプリが鳴った

甲子園口駅近くの飲み屋

車を付けると、女性が出てきて、

「すぐ乗るんで少し待ってください」

「わかりました(5分で消えます)」

ほどなくして、かなり酔った感じの、見た目50代くらいの男性が乗ってきた

女性も一緒に乗るのかと思ったら、

「ごめんな、わたしチャリやねん。運転手さん、じゃあお願いします」

「わかりました」

ドアを閉めようとすると、

「ウヮー!!」

酔った男性が変な声を出して遮る

「いいから、乗ってけ!」

しつこく男性に迫られて、仕方なく女性も乗車する

「帰るだけやで、家まで送ってや」

男は黙っている

女性はおばちゃんだが、よく見るとセクシーな感じである

男が熱を上げるのも分かる気がする

「運転手さん、2号線出て、甲子園筋南へ降りてください」

「わかりました」

すると、酔った男が、

「ほんまに帰るんか?」

「帰るで」

「なにもせーへんから」

「なにもって、なにすんねん。帰るだけやんか」

「頼むから帰らんといて」

「帰る言うてるやんか。運転手さん、そこ左」

「はい」

そんなやり取りをしながら、女性のマンション前に着いて、

結局女性は降りていった

「そんなら、運転手さん、頼んます!」

「わかりました。(車内の男へ)どちらへ?」

男は余程ショックやったらしく、うな垂れている(こういうの実際笑えるよな)

しかし、ここでキレてあたってくる輩もいるので、それよりましである

「甲子園筋…出てください」

蚊の鳴くような声で言われた

「はい?甲子園筋ですか?」

「ラーメンの…まこと屋の…ところ」

「まこと屋ですか…わたしこの辺のタクシーやないんで」

と言いながらグーグルマップで検索する

甲子園筋にまこと屋は…ない

「あの、まこと屋ってどちらの?」

「とにかく行ってください。そこ左へ」

「はい…」

甲子園球場の方まで走る

「まだ行きますか?」

「…そこ右」

「(43を)右ですね」

43に入る

「ここからどう行きますか?」

「鳴尾を右」

「鳴尾?ですか。反対ですよ」

黙っている

「お客さん、住所教えてもらえますか?」

「甲子園一番町✖✖ー…」

ナビに入れてみる

なんやねん、さっき女性が降りたとこのすぐ裏やんか

そのまま行ってたら1000円くらいやったのに、

まわりまわって、やっと到着

「5,100円です」

甲子園筋に出ろと言われたんやから、俺は悪くない

現金決済、あざす!

男性を降ろして、鳴尾筋に出ると、

まこと屋(武庫川店)あったわ


1月26日(月) 66,860 36回





2026年1月24日土曜日

タクシーストーリー⑲ 卒検(学科)

学科試験は95問の〇✖方式で、

形式は1種とほぼ同じである

文章題90問と、イラスト問題5問(配点2点)

100点満点

1種と違うのは合格ラインで、

2種は90点以上取らないといけない

実技は認定の自動車学校を卒業すればクリア出来るが、

学科試験は卒業後に免許試験場で受けなければならない

自動車学校の卒検はいわば模試であり、

本番よりやや難しめに作られている

問題もバスなどが絡んでややこしいものも多く

例えば、

乗合バスやタクシーの運転者は、交通事故などのため運行を中断したときは、代車により運行を継続するか、旅客を出発地まで送り返さなければならない。

この問題、

まず交通事故「など」って何?

とか、

交通事故したのに代車で運行出来るわけないやん

出発地まで送り返す?

そんな余裕あったら、目的地に送ったら良いやん

などという現実的な疑問

そんなことをいろいろ考えて、

常識的に判断すれば、

答えは✖やろ

と思うのだが、

実際の答えは〇なのである

または、

客待ちのタクシーは継続的に車を停止しても、運転者が運転席にいれば駐車にならない。

これ✖で、

客待ちは駐車になるということだが、

現役のドライバー、特にベテランドライバーにこの問題を問えば、

90%は〇と答えるやろう(笑)

街中駐車のタクシーだらけやんみたいな

※実際は駐車禁止エリアなどで、「客待ちタクシーを除く(タクシーは駐車可)」というところもある

要するに、過去問や模試などで、

ある程度の問題傾向を覚えてしまわないと90点以上は難しい

そんなことを1週間やってくるわけである

学科の卒検は、最終日の10時に始まり、

50分、

〇✖なので、あっという間に採点が終わった

満点やった

梶川は99点やったらしい

杉本さんと、吉川さんは1回目で基準点を取れなかったらしく、

11時から2回目の試験を受けていた

部屋に戻って、荷物をまとめていると梶川が入ってきた

「さすがやな。満点なんて年に何人もおらへん言うとったで」

「もう20年以上前ですが、1種の学科も満点でした」

「はぁー!ほんまかいな」

「やるとなったら、とことんやらないと気が済まないんで」

「ええこっちゃ」

梶川は子どもをほめるような笑顔を浮かべて、ドスンとベッドに仰向けに横たわった

「タクシーか…なんかおっさんらの仕事やと思って馬鹿にしとったけど、自分が乗ることになるとはなぁ」

これは今日本中でタクシーのハンドルを握ってる多くのドライバーが、タクシーに乗り始める頃に感じたことであろう

追試を受けた2名も2回目で合格したらしい

2回目で合格出来ないと、午後から学科の追講義を受けて翌日再受験になる

無事6人全員月曜に(入校から8日間で)帰れることになった

昼過ぎから、簡単な退校式があって、

各人帰路についた

同じ神戸の真鍋さんは車で来ているため、一緒に乗っていかないかと軽く社交辞令で言われたが、

そこまで親しい関係ではなかったし、

会社で帰りの高速バスのチケットも用意してくれてたので、丁重にお断りした

大阪組とはバスが違うため、先に来たバスに一人で乗り込んだ

「また情報送ってな」

梶川が手を振っていた

昨日の食堂交流会でみんなとラインの交換はしていた

バスに乗り込んで、コンビニで買ったバンとコーヒーを食べながら、

鳴門海峡を渡る橋から海をながめていた

濃いめのコーヒーが妙においしく感じた


1月23日(金) 78,740 45回

こんな売上は、以前は年に何回出来るかという感じやったが、

昨年11月の値上げ後は簡単に出来るようになった

1時過ぎ、西宮でGOアプリが鳴って、

飲食店から3名のサラリーマンが乗り込んで来た

「運転手さん、まず吹田行って、その後なんばの方行ってほしいねんけど」

「吹田から、なんば…ですか?」

「もう1台呼んだ方が早いかな」

「…そう思いますけど」

「ごめん、そんならそうしますわ。こいつ一人乗せて吹田までお願いします!」

「分かりました」

こんなやる気ない感じで8万近く出来るからな





2026年1月22日木曜日

タクシーストーリー⑱ 最後の夜

月曜に入校して、1週間

日曜の夕方

早めに実技の卒検を終えて、寮の食堂でテキストを広げていた

食堂と言っても、定食が出てくるわけではなく

ガスコンロや流し台、共同冷蔵庫などの一般的なキッチンがあり、

長机が3つと、パイプ椅子が雑然と並べられている

ちょっと古めの、32インチよりは少し大きいように感じるテレビでは、

大相撲秋場所の千秋楽が流れていた

横綱大の里と豊昇竜の白熱した優勝争いを、

見ている人はいない

少し離れた椅子で大阪組の岸谷さんがスマホで動画を観ていた

食堂にいたのは2名だけ

そこに梶川が金麦のビールケースを抱えて入ってきた

「いよいよ合宿も明日で終わりや。終わったらみんな家に帰るんやろから、前夜祭しよか」

後から、もう一人の大阪組の…名前が出てこないが、大阪なまりの強い年配の男が入ってきた

頭は禿げかかり、この1週間の合宿でも少し太ったと思えるような腹をしていた

もう明日からでも立派なタクシードライバーになれそうな、

ダサい匂いをプンプン出している

逃げ出そうかと思ったが、

その後ろから、もう2名、

地元徳島の吉川さんと、

同じ神戸から来てるのに、ほとんど話したこともない、真鍋さんやったかな

が入ってきた

今回一緒に合宿をしている6名が揃ったわけである

梶川が声をかけて集めたのか、

逃げるわけにもいかない空気になっていた

梶川と一緒に買い出しに行っていたらしい、(名前を)思い出したが杉本という男、

2人はテンション上がっていたようだが、

後の4名は、どうしたら良いか、

まわりをキョロキョロと様子を見ていた

「まあ、とりあえず乾杯しような」

梶川がひとりひとりの机の前にビールを置く

「このビール代は…?」

自分が聞くと、

「いやいや!気にせんでええわ。後で割り勘するから」

出してくれるわけではないのか

大体誰がこんな会に賛同した?

割り勘ということは、金払わなあかんのか…

と思いつつも、1週間とは言え、

同じ屋根の下、同じ方向を向いて生活してきたわけで、

お互い、実技卒検の感想やら、学科の過去問の話やらをして、

なんとなく盛り上がっていた

「明日の卒検が終わったら、またそれぞれ会社に戻って研修かー。つまらんなぁ」

梶川が言うと、

「研修?これだけやって、まだ会社に戻って研修があるんですか?」

吉川さんが聞く

「せやで。また研修10日間や。ここより長いで」

「はぁー…」

吉川さんの力の抜けたリアクションに全員が爆笑した

夜が更けていって、みんな部屋に戻っていった

ぎこちない関係やったが、

これからタクシードライバーになるという共通項を持った

同志たち

少し良い時間やった

空き缶やごみを段ボールにまとめて、食堂を出ていこうとしていた梶川の背中に向かって、思わず声が出た

「梶川さん、今日はありがとうございます」

嫌いだと思っていた相手に、自然とお礼を言っていた


1月21日(水) 65,090  43回



2026年1月20日火曜日

タクシーストーリー⑰ 卒検(実技)

 月曜入校で、その週の日曜日に実技の卒検があった

決められたコースをまわり、減点数が基準を超えなければ合格である

1種の試験でも通るS字やクランク、車庫入れ縦列など、

当然1種よりも厳しい基準で見られる

さらに2種のみの課題として、鋭角コースがある

これは基本切り返し1回でクリアしなくてはいけない

2回切り返せば減点、脱輪や、切り返しを3回したら失格と言われている

しかし実技については、教習を真面目に受けて入ればクリア出来るレベルであり、

正直ここで1度でも落とされるようなら(1度落とされても2度目3度目のチャンスはある)

ドライバーになる資格はない

1発勝負と思って、

減点ゼロのつもりで緊張感を持って臨んだ

実際合格すれば減点数は教えてくれないが、

教官が用紙にチェックする仕草をチラチラ見ていると、

減点されたようには思わなかった

縦列でやや入りが浅かった気もしたが、何もチェックは入れてなかったようである

実技の卒検は比較的何事もなく終わった

卒検が13時から、2名同乗で行って14時頃には終わった

せっかく徳島まで来て、遊びにも行ける時間だが、

翌日は学科の卒検

部屋に戻って昼寝して、

翌日の学科に備えて、勉強を始めた


1月19日(月) 65,910 40回

1月にしては暖かい1日

日中神戸で15度近くまで上がった

月曜日にしては健闘やろな

短い乗車が多いが、

昨年末の値上げのおかげで、地上戦でもなんとか売上作れる



2026年1月17日土曜日

タクシーストーリー⑯ 鋭角コースは何のため?

合宿の教習はタイトである

1日5,6時限ではあるが、学科の小テストは予習復習なしでは及第点が取れない

実技は日々厳しくなっていく

正直今時マニュアル車なんて乗る機会はほとんどない

しかし、教習はマニュアル車である

※今時マニュアル車のタクシーなどほぼないので、タクシーの教習もオートマ限定が多くなってきているのが現状である

坂道発進で50センチほど後退したら、

「おーい!! おい、おい! 殺す気か?」

「プロのドライバーが坂道で後ろに下がるか?」

二言目には「プロのドライバー」という言葉を使ってくる

正直その言葉にはやや違和感を感じていた

タクシードライバーになろうと思ってるだけで、プロドライバーになろうと思っているわけではない

この二つの言葉は、後に経験を積む中で徐々に近づいてくるのだが、

この頃は、全く違うものとして捉えていた

2種担当の教官は主に2名だったが、

特に下地(しもじ)という、60代くらいのハゲ教官が、厳しいというより、

嫌味っぽい感じで生徒に嫌われていた

2種には鋭角コースもある

道路がV字に切られている、現実的にありえないコースを走るわけだが、

脱輪もしたくないし、コースも目視ではよく見えないので、確実に2度切り返す

下地は黙っていた

コースを抜けると、

「もう一度戻れ」

「はい?」

「もう1回鋭角入れ言うとんねん!」

完全なパワハラである

「わかりました」

「切り返しは一回や」

「…」

もう一度コースの入ったが、

やはりうまく行かず、2度目の切り返しをする

思い切りブレーキを踏まれた

ハンドルに顔を叩きつけそうになる

「切り返し一回言うたやろ!」

元々大阪人かもしれないが、徳島での生活が長いのか、関西弁のイントネーションも微妙におかしい

そんな違和感もあって、さすがにイラっときた

「お客さんが乗ってたら、脱輪したらケガされるかもしれないので」

「はぁ?」

「切り返しでケガされることはないですよね」

言い返した

ハゲ教官はそれを聞いて、きしょい笑みを浮かべた

「お前な、よう言うたな」

「…」

「その度胸はほめたるわ」

「ありがとうございます」

「でもな、この鋭角って、なんのためにやるか分かるか?」

「…」

「実際の道路にこんなんあるか?」

「いえ、ないです」

確かにそれ思った

「これはな、Uターンの練習やねん」

「…Uターンですか」

「せや、タクシーっちゅうのは、Uターン商売や。1日に100回でもUターンせなあかん」

「100回…(大げさやろ)」

「片側1車線の道でUターンするときにな、1度でまわれんかっても、2度目で行けんかったら、対抗(車線)で飛ばしてきた車あったらどうや?」

「あぁ…」

「危なくないか?」

「…はい」

こんなハゲのおっさん教官に論破されると思わんかった


1月16日(金) 71,930 55回







2026年1月15日木曜日

90万超え

タクシーストーリーの続きもみんな楽しみにしてるやろけど(誰がやねん)

今日はこれ書かせてくれ(ご自由にどうぞ)

1月度締め日、

タクシー人生初の90万超え(涙)

えぐいよね

どうせなら区切りの100万とか言いたいところやけど、

大阪でタクシー乗り始めたのが、

23年前の2003年

隔勤で、

新人やったこともあるけど、

あの頃ちょうど小泉構造改革やらで、

タクシーが死ぬほど増えて、

地獄の値引き競争

アホな大阪は5・5割(5千円以上のメーター料金を半額にする狂気の価格設定)とか

そんなんで1乗務3万も出来ないわけよ

そのくせ走行距離のノルマは300キロ

そんなに走れるかって

長居公園ぐるぐるまわったりするわけよ

時間制限なんかもあってないようなもんやけど

それでも法定内の20時間で帰ってきたりしてると、

一月の売上が40万とか、それに届かないとか、

そんな時代にタクシー乗り始めたんですよ

その頃先輩が70万80万上げるとか、

どんな仕事してたかって、

高槻あたりの1号線ほぼ100キロ出して走ってたし、

隔勤でも24時間乗務は当たり前やったね

ドリンクホルダーに堂々と酎ハイ置いてたり…

そんなめちゃめちゃな時代やった

その後さすがに地獄の大阪からは逃げて(今は大阪も良くなったみたいやけど)、

郊外で日勤しながら、

一月50万くらいは出来るようになって、

地方は歩率低いから、

大体50%程度、

一月50万、年間売上で600万、

年収やっと300万みたいな

それでも満足してて、

徐々に売上も上がっていって、

最高で一月80万超えたことがあって、

2013年くらいかな

日勤で無理して月300時間超えて、その数字

そこから管理職になって、

10年管理職やったけど、収入も大したことないし、

何よりストレス多いし、楽しくない

コロナが終わってすぐ転職してドライバーに戻った

最初はとにかくドライバーやってるだけで楽しくて、

事故も怖かったし、

1乗務18時間でさっさと終わるし

売上なんて二の次やったけど、

それでも普通にタクシーだけで年収軽く500万超えて、

副業収入もあって、

さらに先月値上げがあって、

もう1ランク上がって、

遂に一月90万ですよ

乗務時間も250時間程度

新人の頃大阪で、300(時間)乗って40万届かんかったから、

倍どころやない

ほんまにタクシー良くなったよ

もっともっと良くしていきましょう

心からそう思った夜でした


1月14日(水) 60,900 32回



2026年1月13日火曜日

成人式の日の乗務

 3連休の最終日

正月気分の日の最終日と言っても良いかもしれない

そんな日に人は動かない

9時頃出庫して

始めての乗車が9時40分

500円

2回目が、10時30分

700円

11時のベンチマークが1万円なのだが、

11時過ぎても1200円しかない

病院もやってない

ビジネスの動きもない

寒いし(朝は神戸でも氷点下)

家でゆっくりしようという日である

しかも、正月休みの勤務合わせに出勤するドライバーは多い

需要は少なく、供給は(休日にしては)比較的多い

頼みは成人式である

11時半頃アプリが鳴って、

行き先はノエビアスタジアム!

振袖の女性と母親の乗車

「おめでとうございます!(自分に言ってんのやろ)」

ノエスタ周辺は渋滞やったが、

さすがに人の集まるところには仕事があり、

そこから少しづつ仕事は出来たものの、

仕事が少ない流れは変わらず、

20時頃の晩飯までの目標が最近は5万やったが、

今日はやっと3万超えたくらい

日付が変わる頃に芦屋へ行って、

やっと4万に届いたとき、

芦屋でGOアプリが鳴った

アンリシャルパンティエの前から、

スーツ姿の成人らしき金髪男性

「すみません、ちょっと遠いんですけど…」

テンション上がる

「泉大津の駅までお願いします」

1発メーター23000円

こんなんがあるから、タクシーはやめられへん


1月12日(月祝) 65,970 29回





2026年1月11日日曜日

「年収1000万は超えてます」

 10日深夜最後の客

1時過ぎに西宮送りの仕事があって、

えべっさん(10日戎)の夜やし、西宮流そうかとも思ったが、

もう遅いし、神戸に帰ってしまおうと思っていたところでGOアプリが鳴った

配車先はさくら夙川駅北のスナック

深夜の飲み屋は待たされることがあるので、昔はイライラすることも多かったが、

アプリ配車は5分でキャンセル出来るので、待っていてもやや気持ちの余裕がある

※5分待たなくても配車中止は出来るが、その場合はドライバーにペナルティ(ランク落ち?)があるらしいし、5分待ってキャンセル(配車中止)することで、客側はキャンセル料を請求されることになる(ドライバーにキャンセル料は入らない)

ほどなくして、店から女性が出てくる

「もう少し待ってください」

「はい、分かりました(5分経ったら消えます)」

それほど待たずに、店から酔っぱらった男性2名が出てきた

こっちは待ってるのに、おぎやはぎの小木に似た1人の男はタクシーの横で女性と抱き合ったりしている

髪が薄く小太りのもう1人は、女性と抱き合うキャラでもないようで、先に乗り込んで来た

小木似の男が乗ると、

「俺先行って良い?」

「もちろんです」

こういうとき大体二人の力関係が分かるのもタクシーの面白いところである

「えーっと、運転手さん、そこまず左曲がって」

「わかりました」

とりあえず行き先を言わずに、道の指示をするのは近場のパターンである

夙川を北に向かって走る

「マヤちゃん、相変わらずかわいいなー」

「でも、あの娘、裏ありそうですよね」

「男いるんかなー」

「そりゃ、いるでしょ」

飲み屋から出てきたサラリーマンあるある会話である

やはりというか、髪の薄い男はネガティブな対応である

「しおりちゃんは男おらへんみたいやで。いったら(アタックしたら)ええやん」

小木似の男が髪の薄い男に振る

「いや…わたしね、わかってるんですよ。感覚的に。中年のハゲを女は受け付けないって。騙されるだけですよ」

冷静な分析、俺もそう思う

「そうか」

上司かわからんけど、そこ社交辞令で否定してあげて

やがてその小木似の上司は降車する

「とりあえず夙川下って、山幹東へ走ってください。大屋町のあたりです」

「わかりました」

ハゲ男性一人になると、行き先を聞いてることもあって、黙々と深夜の川沿いを走らせた

山幹に入るころになってハゲ男性が切り出した

「あの…ちょっと聞いた話なんですけど」

「はい?」

「失礼になるかもしれませんけど、前にタクシー乗ったとき、運転手さんが年収600から700あるって言ってたんですけど、盛ってますよね?」

「えー、600くらいなら、この辺では普通やないですか。700いってたらまあまあやけど、盛ってはないと思いますよ」

「まじすか!タクシーってそんなに儲かるんですか?」

「いや、他の業界も最近どんどん収入上がってるから、それほどでもないでしょう」

直感で、この人は転職を考えてるなと感じた

「でもそれだけ(600とか700)やるとなったら、やっぱりかなりハードなんですよね」

「いや、そのくらいの数字はムキになって仕事しなくても出来ますよ。そもそもタクシーは時間制限ありますから、時間的に無理することは出来ませんから」

「そうなんですか」

「転職考えてはるんですか?」

ズバッと聞いてみた

「いや…よく分かりましたね」

「そういうの、分かりますわ。収入的には今結構あるんじゃないですか」

「1000万は超えてます」

「わかります。人間関係ですか」

「今の上司が耐えられんくて…さっきの人やないですよ」

「正直タクシー乗れば人間関係からは解放されますが、おそらくタクシー乗る気はないでしょう(笑)」

「はい、わかりますか」

「辞めて、何しようと思ってるんですか?」

「実はまだ決めてないんですよ。辞めることだけは決めてるんですが」

「今それだけ収入があるということは、それなりにキャリアを築かれてるわけですよね」

「まあそうなんですけど、今の業界(建築関係)に全くこだわりはないです」

「ご年齢教えてもらっても良いですか?(キャリアカウンセラーか)」

「54です」

「建築関係でキャリア持ちの50代前半なら、結構ありそうですね」

「そうですか」

「その収入なら、今は管理(職)に入ってる感じですか」

「その通りです」

「現場監督なんかも出来るんですよね」

「はい、もともとそっちで。資格も結構あるんですよ。現場の頃は楽しかったんですが、昇格して事務所入って、ストレスで死にそうですわ」

「それならはっきりしてますやん。その業界現場で人足りなくて困ってるのに。引く手あまたですよ。今54なら、50代前半と後半では印象違いますから、早めに判断した方が良いです」

「そうですか」

「今の職場に在籍しながら転職活動するのもありですが、辞めてハローワーク通せば再就職手当ももらえるかもですよ。その辺は話すと長くなりますが」

「プロ(のカウンセラー)みたいですね」

「わたし一応中小企業診断士の資格も持ってるんですよ」

目的地に着いた

「ありがとうございます!なんか先が開けてきたっていうか、相談して良かったです」

「そう言ってもらえたら嬉しいです」

料金は4900円やった

「あの…これ、少ないですけど」

10000円札である

チップ5000円か

まあ、年収も1000万超えてるらしいし、これだけアドバイスしたんやから、多すぎることもないか(多すぎるわ)

「あ、ありがとうございます…」

「お釣り5000円で良いです」

「あ、あ…そうですか。ありがとうございます」


1月7日(水) 58,450 38回

1月9日(金) 73,450 49回

2乗務分アップ出来てなかった

7日は苦しかったな

まあどちらも年明けで日中(特に朝)動き悪い中で、深夜はそこそこ仕事あった






2026年1月6日火曜日

タクシーストーリー⑮ 交流

 徳島ラーメンを4人で囲みながら、

ぎこちない交流会をした

特に自己紹介をするでもなく、

梶川が連れてきた2名は、

ほとんど梶川と話していて、

自分は徳島ラーメンに入っている生卵のような、

なんとなく違和感のある存在であった

「山元さんは…神戸から来られたんでしたっけ?」

もうラーメンもほとんど食べ終わる頃に、

気を使った質問が振られてきた

「はい、…吉川さんはこちら(地元)の方でしたか」

気を使ってくれたのは、同じく40代くらいの地元出身の男性だった

これからタクシードライバーになるとは思えないくらい整った顔立ちをしていた

「そうなんですよ(笑)。こんなときくらい地元を離れて羽を伸ばしたいんですが」

「ご家族もおられるんですか?」

「はい、妻がおりますが、子供が出来なくて…この田舎で妻と二人暮らしです」

「そうなんですか」

もう一人は大阪出身の60歳前後の、「いかにも」関西人であった

梶川と前職の年収やら、タクシーはどんだけ稼げるやらの話で盛り上がっていた

向かいに座っている徳島人に聞いた

「吉川さんはなんでタクシーに乗ろうと思ったんですか?」

「いや、実は前からタクシーに乗りたかったんですよ。実家は農業をしていて、手伝っていたんですが、農業をしながらでも出来ると言われたので」

「農業ですか。奥さんは反対されなかったんですか」

「反対どころか、嫁に勧められて来たんですよ」

「はぁ…奥さんに勧められて?」

「タクシードライバーかっこ良いって(笑)」

タクシーの話をして、思い切り冷たい視線を浴びせられた、あの日の夜を思い出した

タクシーがかっこ良い


1月5日(月) 68,000 41回

世間は仕事始めの乗務

病院も始まって、

久々伊丹空港も行けて

昼間はそこそこ動いたが、

夜は悪かった

帰ろうと思った2時頃に3つくらいアプリが鳴って

まあまあ(売上)作れた