2022年10月31日月曜日

タクシー料金について

 来月14日より、東京地区でタクシーの運賃改定(値上げ)が行われる。

現在初乗り1.052キロで420円のところ、1.096キロで500円に、加算メーターは現在233メートルで80円のところ、255メートルで100円となる。

そもそも1.052とか、1.096ってなんなん?

とも思うが、陸運局の人たちが一生懸命「原価計算」とやらをした結果らしい。

目的は分かりにくくすること

と思われても仕方がないような料金体系ではある。

タクシー料金について、よく「初乗り料金」が議論されるが、そもそも地域によって「初乗り距離」もバラバラであることは意外と知られていない。

東京が420円とか、500円とか地方(多くは600円台)より安いわけではなく、東京は初乗り距離が短いため、表面上初乗り料金が安く見えるのである。

タクシー料金において重要なのは、加算距離である

距離料金自体は加算距離で計算出来る。

例えば今回の東京の料金は255メートルで100円なので、

1000(1キロ)÷255(加算距離)×100(加算料金)≒392.15...(1キロあたり料金)

1キロ約392円と計算出来る

従来の料金で上の計算をすると、1キロ約343円になるので、14%程度の値上げになる。

この10月に消費者物価上昇率が3%に達したと大騒ぎしている中で、タクシー料金の上昇率は非常に大きいと言わざるをえない。

ちなみに1キロ392円なら「初乗り料金」とは何なのか?

392(1キロあたり料金)×1.096≒429.63

初乗り距離の料金は本来約430円となる。

500(初乗り料金)-430(距離料金)=70

70円の差額は何かと言うと、これがいわゆる「乗車料金」ということになる

乗車料金は英語では、「flag fall(フラッグフォール)」または、「flag down(フラッグダウン)」などと言い、要するに「(乗車出来ますよという)旗を降ろす」ことを表す。

ただ日本においては、この乗車料金という言葉自体がない

初乗り料金はわずかな乗車料金と初乗り距離の料金を含んだ料金であり、そのこと自体にほとんどの利用者は気づいていないし、重要性も感じていない。

ちなみに今回の東京の乗車料金は従来の約60円から約70円に10円ほど上がるだけである。

海外の料金設定においては、この乗車料金が利用者の乗車の判断材料となる。

日本の料金体系において隠されているこの「乗車料金」は、あまり値上がりしない

従来の初乗り距離を少し超える距離、例えば1.08キロほどを乗車した場合は料金は500円で変わらないということになり、14%もの大きな値上げをするにも関わらず、利用者に値上がり感を感じさせない絶妙なマジックとなっているのである。

そもそも日本においてタクシーという乗り物自体、非常に高い

乗ろうか、乗らまいか、迷うような状況であれば当然乗らない選択肢を取るのが自然である。

乗らなければならないような状況に置かれている(追い詰められている)からこそ、タクシーに乗るのである

多くの場合、そこに価格等々の判断材料なんてもの自体が存在しないのである。

これからもタクシー乗務員の減少を止めることは出来ず、供給が追い付かない中で、料金のさらなる上昇も避けられない。

しかしタクシーという乗り物は、そこに競争がなければ、今の倍の料金になっても利用がなくなることはない。

今後我々はその原資を、乗務員、車両、システムの質の向上に効率良くつぎ込み、この業界の姿を変えていくことが出来るか。

面白い時代がやってきたと感じる(利用者は面白くもなんともないやろ)