2026年8月1日土曜日

タクシーストーリー第41話 事故②

後方にいたのは、タクシーやった

見たことないタクシーやけど

軽く当たっただけなのに、前方のフェンダー部分が大きく凹んでいた

やってもうた…

思ったより冷静やった

相手もタクシーやったが、

年配の運転手やったから、冷静に対応してくれた

普通なら、タクシーに当たったらそこで営業停止になるし、

会社からも、その時間補償してもらえるはずもないし、

キレられても、おかしくないし、

まあ、テンションはともかく

普通キレる

それが冷静に対応してもらえたことは良かったのかもしれないが、

結局そのドライバーさんは大きな損失を被っているわけで、

あとで考えて、本当に申し訳なくなったが、

そのときは、事故のショックでそこまで気が向かなかった

当然そこでは謝罪しているものの、

自分もドライバーとして、まだ日も浅く、

それがどれほど相手のドライバーに対して申し訳ないものだったのか、

その心が入ってなかったのかなと、強く反省している

その場では、研修で教わった

自己救援ネットなるものに電話をした

「ちょっと今長田のあたりなんで、30分くらいかかるけど、相手さんもそこにいてもらうように言っといてや」

さすがにそれは…

ただでさえ迷惑かけてるのに、

先に警察が到着したので、

雨の中、何も悪くない相手のドライバーも現場検証に付き合って頂いて、

連絡先等も交換して、

「わし、まだおらなあかんかな」

相手のドライバーさんに聞かれて、

「…いえ、大丈夫やと思います」

「ほんなら、いくで」

「はい、本当にご迷惑かけました」

当然後で到着した、救援ネットの担当者に怒られる

「相手さんにおってもらうように言ったやろ。保険の対応があんねんけど」

「申し訳ありません。相手さんも次の仕事があるので」

「そんなん分かっとるわ。それでもおってもらわな困んねん」

この人もやはりドライバーの気持ちは分かってないな

と思いつつ、

自分がたった1か月程度で、相手のドライバーの気持ちが分かったことに

少し誇らしく思った

事故は本当につらい

しかし、この経験を今後に活かすしか、今の自分には出来ない

今はとてもポジティブには考えられないけど

いつか、この経験があったから、

そのときの自分があると思えるように、

タクシードライバーとして、ほんまに胸張れるように、

明日から

いや、次の乗車から、

緊張感持って、

がんばろう

まだ新人で売上のことばかり考えていた

それは違う

ということが分かっただけでも、

相手の方には本当に迷惑かけたけど、

良かったと思えるように





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