2022年2月28日月曜日

タクシー固定給考察②

 タクシーの固定給を語る前に現在のタクシー業界の一般的な給与体系をおさらいしよう。

この業界では、よくA型、B型、C型賃金などと表現される。

https://www.drivers-work.com/column/knowledge/salary/

A型とはいわゆる、固定給+歩合給、この固定給の割合というのはあまり示されないのだが、シミュレーションとして固定給を20万と設定しよう。

仮に営収40万円までを固定給の保障水準としよう。

40万円以下の営収でも20万の給与が保障されるということになるが、実際は業界特有の「アシキリ」などの制度もあって、都市部の業者で額面通りもらえるかというと怪しいところだが…

昨今は最低賃金保障などというタクシー業界には無縁であった「保障制度」も加わり、週40時間労働として(タクシーは「みなし休憩時間」がとてつもなく多い業界ではあるが)、4週で160時間、残業的なものも含め月にして仮に200時間としても、全国平均の最低賃金が現在930円だから、18万6,000円となり、上の水準は最低賃金を上回るということになる。

さらに固定給水準(40万)を超えた分に関して60%の歩合給がつくとすると、営収60万として、

20(固定給)+20(固定給水準を超えた額)×60%=32

額面給与は32万円ということになる。

次にB型賃金になるが、これは我が道を行くタイプ(血液型か)…違った、いわゆる「完全歩合制」なるものと言われる。

歩率60%tとすると、営収60万を上げたとすれば単純に額面給与は36万となり、上のA型賃金よりも有利になるが、30万しか出来なかったとすると18万しかもらえず、A型を下回る。

もう一つ、C型賃金について、これはいわゆる「リース制」と言われるもので、会社から営業車両を借りて営業するというニューヨーク式のものである(MKの勢いが衰えて、今の日本では消えつつあるけどな)。

車両のリース代や燃料費、修理代なども全て自己負担として、仮にある月の「費用」が20万とする。

営収が60万上がっていたら、手元に残るのは40万となり、A型やB型を大きく上回る。

しかし営収30万しかなければ、手元に10万となり、とても生活出来ない水準になってしまう。

さらにAB型などと言われる、「固定給+歩合給+賞与」などというモデルもあるが、これは仮に営収60万として、A型モデルから、

固定給20万+(水準を超えた額の)20万×50%=30万

さらに営収の5%は賞与にまわり、

基礎額5万+半期営収360万×5%=23万

要するに賞与23万(年2回として46万)となる。

この場合は年収にして360+46=406、406万円となり、年間営収が60×12の720万だから、1年換算の歩率としては約64%となる。

ここまでA型、B型、C型とどんどん歩率が高くなっていく、要するに稼げば稼ぐほどに収入は上がるが、昨今のコロナ禍で営収が上がらない、稼げない状況下ではどんどんと不利になっていくシステムである。

A型のもっと手前、要するに固定給の割合が高くなるシステムはないのか、そこを今後考えていくということになる(うさん臭いな)。