2026年4月10日金曜日

タクシーストーリー32話 初乗車

始めてアプリの配車を受けたのは良いが、

駅のロータリーで前後の車にぴったり挟まれてしまって、

出ることが出来ない

窓を開けて声をかけても無視され、

仕方ないから車を降りて、後の車に直接声をかけた

さっきまで車外で伸びをして変な体操をしていたおっさんは、

運転席に座っていた

「すみません、無線入ったんで、出ますんで、ちょっと後ろ下げてもらえますか」

60台くらいの白髪の目つきの悪いドライバーは、

さらに睨みを利かせて言った

「何駅ん中で無線取っとんねん」

「はい?」

「何駅中で無線取っとんねん言うとんねん!わからんのか!ボケ」

「駅の中で無線取ったらあかんのですか」

「当たり前やろ。アプリやったら普通鳴らんようになっとるやろ。お前がわざわざそれ解除しとるんちゃうか」

確かに「配車除外エリア」みたいになって、よく分からないから、「配車を受ける」というボタンを押していた

「いえ…あの…そうかもしれないですけど」

「あー、もう後ろの車来たわ。悪いけど配車キャンセルするか、それでも出たいなら何度か切り返して出たらどうや」

おっさんは嬉しそうに言う

確かに待機場に次の車は入ってきたが、

十分車を下げる時間があったにも関わらず、

その車が後ろに付けるまで、わざわざ待っていた

完全な嫌がらせや

※確かに嫌がらせではあるが、この場合駅の中でアプリ配車を受ける方も悪い

悔しいので、狭いスペースから5,6回切り返しながら、

何とか脱出した

後の車のおっさんは、また車から出て、その後ろに付けたドライバーと談笑している

やっとのことで駅から出て、

三宮の交差点を右折する

フラワーロードを北上していると、

アプリのタブレットから鈴のような音がなって、

画面に

(お客様が配車をキャンセルしました)

まじかよ

確かに配車を受けてから、もう10分以上経過している

…なんやねん

初乗車は遠い

と思った瞬間

目の前にあるローソンの前でビジネスマンらしき男性が手を挙げている

どうしよう(どうしようも何も乗せなあかんやろ)

慌てて車を左に寄せようとすると、

車線左側を走っていたバイクからクラクションを鳴らされる

慌ててまたハンドルを右に切る

もう一度車を寄せるが、手を挙げていた男性の10メートルくらい先まで行ってやっと停められた

キャリーケースを引きずって、男性がこちらへ歩いてくる

心臓はバクバクである

ドアを開ける、

「すみません、この荷物良いですか」

「あ、はい」

トランクを開けて、車を出てキャリーケースを積む

運転席に戻り、お客さんが乗車したのを確認して、

ドアを閉める

「新神戸まで」

「…わかりました」

フラワーロードを北上していたのだから、

新神戸はまっすぐ上がるだけである

しかし、このとき頭が真っ白になっていた

新神戸って、どうやって行ったら良いんやろ


4月9日(木) 68,730 33回

今日は日中観光の仕事で、

3時間2.2万ほど

7万はいきたかった

メリケンパークはまだ桜がきれいやった




2026年4月4日土曜日

タクシーストーリー31話 初乗務(出庫)

無線開局のスイッチを押して、

GOアプリもONにした

8時に車庫を出て、

湊川から山幹(山手幹線)を通り、

加納町3丁目の信号を右折して、

フラワーロードを南下、

山幹にもフラワーロードにも出勤ラッシュの人がたくさん歩いていて、

いつ手を挙げられるか、

手挙げされたら、どうやって止まるか、

一般ドライバーが聞いたら、

止まることくらい出来るやろ

と思うかもしれないが、

手挙げされて、路肩に車を寄せて止まるのはそこそこ技術の要る、

言い方を変えたら、結構危険な動きであり、

車線を走る車や、自転車、バイク

など全て確認の上、車両を左に寄せなければならない

それは実際タクシーに乗って、

歩道を歩く多くの歩行者を見て、初めてその怖さが分かるもので、

普通に運転していてイメージ出来るものではない

しかし自分の恐れとは裏腹に、全く手挙げはなかった(そら出勤で歩いてる人がタクシーに手挙げんわな)

フラワーロードを下って、

少し迷ったが、三宮東口のロータリーに入って待機した

7台目

そのまま流していても、どこを走ったら良いか分からないし、

前方と、隣車線や歩道の人波に神経を使いながら走ることに、

たった10分ほどで疲れてしまった

三宮ロータリーは乗り場が3台

プール側に4列ほどあるが、

その1列に並んだ、最後尾(4台目)に付けた

先に待機していたドライバーたちがこちらをジロジロ見ている

(なんや見ーひん顔やな)

(新人か)

冷たい、刺すような視線がいくつか飛んでくる

そのうち1台のタクシーから、60前後の坊主頭のドライバーが降りてきた

「おいおい!ぼうや。もっと詰めんかい!後ろの車が入れへんくなるやろ」

「あ…はい、わかりました」

後ろの車?って、3列空いてるやん

この時は、新入りに一言浴びせて威嚇していたなんて想像もしていなかった

とりあえず少し前に車を詰める

後にも車が並んだ

やはりその車からもドライバーが降りて、こちらをジロジロ見ている

軽く身体を伸ばしながら、何か言ったろか、みたいな雰囲気である

勘弁してくれ

こっちは、これから乗る客のこと、行き先、会話など考えるだけでもドキドキして、頭がいっぱいなのに

あんたらおっちゃんドライバーに気使ってる余裕ないねん

するとGOアプリから

チリンチリン

鈴のような音が鳴った

経験もないのに、条件反射のように「了解」ボタンを押す

配車先までの道案内が出る

フラワーロードを北にぐるっと回って、生田新道が配車先である

場所は確かに近いが、かなりまわらないといけない

早く出て回送しないと

と思ったが、さっき言われて前に車詰めてるし、

後のおっさんもぴったり付けてきてるので、

出られない

窓を開けて、

「すみません、ちょっと(このロータリーから)出たいんですけど、後下げてもらえますか」

外に出て伸びをしている後方のドライバーは、

全く無視

前の車も動かない

秋の涼しい朝やったが、

もうシャツは脂汗でびっしょりやった


4月3日(金) 61,910 43回

年度明けの金曜日

動かんかったな…

桜は満開

明日は雨(嵐?)みたいやから、今日で満開見納めかな…




2026年4月2日木曜日

タクシーストーリー㉚ 側乗について

いよいよこの物語では、

主人公?山元の初乗務である

と、その前に、

側乗(管理者が助手席に座って、実際のお客さんを乗せる研修)ってないの?

と思った方もいるやろう(いや、そんなに読んでる人おらへんで)

筆者も管理者として、何度もその側乗を助手席で体験している

その経験から、

この側乗というものは、行うべきではない

と感じた

これを側乗「研修」と呼ぶことに関して、

お客さんは、ベテランのドライバーやろうが、

新人やろうが、同じ料金を払って乗車するわけである

それが良いかどうかはまた議論はあるかもしれないが、

さすがに2名乗ってる、

しかもお客さんが使えるはずの助手席を占領して、

管理者が座ってるサービスに同じお金を払わせるのはどうやろう

タクシーというのは、

良くも悪くも、1対1のサービスである

お客さんはドライバーを選べないし、その逆も然り

それはある程度仕方ない部分はある

路上に出たら、基本全て自分の責任で営業スタイルを選択し、

お客さんと接し、

全ての交差点で、責任を持って安全確認をする

もうそれは当然「研修」などではなく、

本番である

「本番」がドライバーをすごいスピードで育てるのである

半年、いや3か月もすれば大抵にわか仕込みのドライバーは出来上がる

自分が管理者として、新人ドライバーの助手席に座るたびに、

こんなことをしていたらドライバーとしての成長が遅れる

何よりお客さんに失礼である

と感じていた

ということで、このストーリーでは敢えて側乗というステップを飛ばしている

未だこの悪しき習慣は残っているかもしれないが、

新人投手の初登板に、マウンドの横にコーチがついてきたらおかしいやろ

やめましょう


4月1日(水) 65,130 45回

朝から雨、

1日中雨で忙しかった

でも夜(0時過ぎ)は仕事なく、

伸びず



2026年3月28日土曜日

「警察呼ぶわ」

「うざい客」の話が聞きたいという若者に対して、

「神戸は本当にお客さんの質が良いわ(うざい客なんていない)」

と話した夜のことやった

深夜1時過ぎ、某駅の乗り場にて、

まず小さな女の子が声をかけてきた

「(このタクシー)乗れますか?」

おー、かわいいやないか

「はい、乗れますよ」

「今お母さんが来るから、ちょっと待ってください」

「はい」

7,8歳かな、小学校の低学年くらいの子やった

この子は乗るなりすぐに寝てしまったので関係ないが、

母親が後から乗車してきた

40前後やろか

こんな小さな子どもがいるようには見えない、髪は白髪交じりで、疲れた感じやった

「第3住宅」

一言、

「…どこの住宅ですか?」

「わからへんの?××の第3住宅」

「わかりました」

「わたし障害者やから」

障碍者手帳を提示してきた

「わかりました(1割引します)」

乗車中はほとんど会話もなく、

目的地に到着

割引のボタンを押して、

「1620円です」

「あの…メルペイで払います」

「はい、じゃあQRコード決済のボタンを押してください」

そのまま女性はスマホを見つめてフリーズしている

2分経ち、3分経ち、

まだスマホを見つめて止まっている

SNSでも見てるんか

と思ってしまうくらいに

「あの…(支払い)大丈夫ですか」

「はい?」

「わたし次(の仕事)もあるんで、早くしましょか」

これ絶対言ったらあかんやつ

ついポロっと言ってしまった

これはプロの対応ではない

なんか気が緩んだんやろな

「は?次の予約あるってこと?」

「いや…まあ…はい」

別に予約はないが、次の仕事はあるやろう

「そんなん知らんやん」

「…」

「いや、それにしても長いですよ。もう(着いてから)5分以上経ちますよ」

「そんな経ってないわ!あんたタクシー運転手のくせにちょっとくらい待てへんの?」

「運転手のくせに?」

「は?何?」

「『くせに』ってなんやねん!運転手馬鹿にしてるんか?」

つい挑発に乗ってしまった

運転手に対する差別言動は許せないが、

そもそもこっちを怒らせるための言葉で、

まんまと相手のペースにはまってしまった

「は?あんた怖いわ!反社か?…もう警察呼ぶわ」

「警察呼ぶんは勝手やけど、金払ってもらえます?」

「今払うやんか!ちょっと警察電話するから待って」

そんなこんなで警察呼ばれ、

意外とすぐ(10分くらい)来たから助かったものの

免許証の提示を求められ、

「運転手さんも言い返すから揉めるんでしょう」

「侮辱されて黙ってろ言うんですか!」

と警察とも少し言い合い

「とにかくこの人早く降ろしてくださいよ」

なんとか支払いも終えて、降ろしてもらって

「もう何でも良いわ。降ろしてもらってありがとうございます」

向こうで女はまだ叫んでたが、

最高に「うざい客」やった


3月27日(金) 72,270 44回

神戸もやっと桜が開花した

ロングミドルなしで7万超えはまあまあやな

タクシーは距離やない

回数ですよ



2026年3月26日木曜日

「今までで一番うざい客教えてください」

前回の乗務やったが、

夜某病院から乗車の若者

乗ってから、ほどなく

「あの…、話しかけても良いですか?」

「…?はい」

「あの、タクシーってどうなんかなって…いつもタクシー乗ると聞くんですよ」

「あー!そういうこと、なんでも聞いて(笑)」

こういうの聞かれるのは嬉しいが、

若い人が聞いてくれるのはなお嬉しい

「ちょっとタクシー興味あって、稼げるんですか?」

「えー…自分結構若いよね?(タメ口聞くな)」

「はい、今24歳です」

「はぁー、そのくらいの年齢なら、まず同世代の友達よりは稼げるよ」

「本当ですか?」

「その世代ならまわりは良くても(年収)400くらいやろ。この辺でも500から600はそんなに難しくないで。東京行けば1000も普通にやってるみたいやし」

「500,600って、そんなに出来たらすごいですね。それで結構自由って本当ですか」

「本当です。めちゃめちゃ自由。好きなときに仕事して、好きな時に休んで、スマホも触り放題。年齢上がればもっと稼げる仕事はいくらでもあるけど、こんなに自由な仕事はなかなかないと思うで」

「ありがとうございます。もっと興味湧いてきました」

「まあ一度乗ってみなよ」

「はい。あと、今まで一番うざい客ってどんなでした?タクシー運転手さんと話すといつもこれ聞くんですけど」

「うざい客かー 俺も大阪でも乗ってたし、ここ(神戸)より田舎でも乗ってたし、20年以上乗ってるからいくらでもネタあるけど、神戸は客層良いね。変な客ほとんんどおらへんわ」

「そうなんですか。もっと聞いてみたいですけど(笑)」

そんなところで降車していった。

また一人、有望な後輩を作ってしまった。

しかし嘘をついてしまった。

この日の夜、「最高にうざい客」を乗せることになった。

それは後日


3月25日(水) 71,970 52回

雨でめちゃめちゃ忙しかったー

深夜(0時過ぎ)は雨も上がって、さっぱりやったけど…







2026年3月20日金曜日

タクシーストーリー㉙ 初乗務(出庫前)

行き詰まっていた前職のスーパー店長の仕事を辞め、

家族(嫁)の反対を押し切り、

2種免許を取得し、

社内研修を終え、

遂に乗務員証を手にし、

初乗務を迎えることになった

10月半ばの秋晴れの日やった

朝7時に出勤し、

免許証を提示し、

アルコールチェックをする

いつもは晩酌ビール2本くらいの日課があるが、

この日の前日は休肝した

アルコールチェッカーの「ピー!」という音(問題なし)を聞いて、

緑のランプを見ながら、

「行かなあかんのや…」

少し怖くなった

「山元さんは隔勤の予定ですが、今日は初日なんで夕方17時くらいを目途に入庫してください」

「わかりました」

「何か気になることはありますか?」

「あの…配車アプリ(タクシーGO)の操作方法を聞いてなかったんですが」

「あー、あれね。配車がかかったら、鈴みたいな音がなりますから、そうしたら画面の『了解』ボタンを押してください。後はナビで配車先まで誘導してくれますから」

ぶつけ本番かよ

「…決済方法とかは?」

「お客さんが後部座席の画面で操作しますから、特に問題ありません」

問題ないわけないやろ

ほんまに大丈夫か

車庫に出て、担当車のボンネットを開ける

東京あたりではジャパンタクシーとか言う、丸っこい車が主流だが、

関西ではまだこの旧型クラウンがよく走っている

オイルやラジエーターの冷却水、バッテリーの水などチェックする

ボンネットを閉めて、ボディを濡れタオルで簡単に拭いて、

車内のマットをマットクリーナーに通す

いよいよか

無線のタブレットで「開局」ボタンを押した


3月19日(木) 67,450 47回





2026年3月14日土曜日

はまった・・・

 今日ははまったなー…

「はまった」

というと、良い意味にも取れるが、

(ドツボに)はまった

という意味である

夕方17時頃かな

新神戸行きの仕事があって、

珍しく乗り場が4,5台しかいなかったので、

降りて下から乗り場に入った

程なく、2,3分で乗車

磯上通まで、

生田川沿いの道は動かない

お客さんは訪問先に電話している

「今新神戸着きました。タクシー乗ったんで5分ほどで行けると思います」

2キロほどの場所なので、通常は5分もあれば行けるのだが、

10分以上かかったかな

「混んでますね…」

と振ると、

「新幹線が2時間40分遅れですよ。16時のアポが、17時過ぎてしまいました」

「そうなんですか」

その客が降車して、また新神戸に戻ろうとするが、GOアプリの配車で三宮駅近くへ

三宮駅を除くと、やはり5,6台しかいない

よし、入ったろ

ここで並んだが100年目

18時前に入って、

乗車が18時20分

北野俱楽部そら

1000円

朝からまあまあ粘ってたけど、

大事な18時台にこけた

俺は流しより、並びたい派やから

外れると、外れたと分かっても、逃げられなかったりする

しかし、ほんまに人の流れというのは分からんよね


3月13日(金) 59,000 39