2026年2月13日金曜日

タクシーストーリー㉓ 給料計算

 社内研修初日は社長との路上研修(ドライブ)と、

午後は制服の採寸と、簡単に駐車場の停める位置や、ロッカーの使い方、事務員の紹介など会社の説明があった

研修2日目は課長が担当して、

午前中はコースに沿った路上研修、

午後は座学

と言っても、営業所の小さな食堂での研修やった

食堂には簡単な流し台と電子レンジ、冷蔵庫が置かれていて、

長机が2つ、マックスで5人くらいしか入れないサイズである

「タクシー会社の食堂なんてね、どこもこんなもんですよ」

課長が自嘲気味に言う

別に突っ込んでもないが

「今日はまず当社の給与システムについて説明します。これが一番興味あるやろ(笑)」

「はい、まあ(笑)」

食堂にはホワイトボードもあり、

「まずは基本給です」

課長はボードにまず「基本給 3000」と書き出した

「基本給は一日3000円です」

「はぁ…(少な)」

「少ないと思うやろ?」

「はい」

「山元さんは隔勤(基本1日おきに乗務する勤務形態)でしたよね。その場合1乗務で2日分働くことになるから、1乗務にすると基本給6000円になります」

ボードには「3000×2=6000」と書いている

まだ少ないな

「ここにまず営業手当が加わります。これが営業収入の35%になります」

ボードに「35%」と書く

タクシーの給料って完全歩合だと思ってたので、少し違和感があった

「隔日勤務は深夜にもはいりますから、5%の深夜手当が入ります」

深夜手当とか、%でつくんや

働いた時間とちゃうのや

「また残業が一日1000円、2日分で2000円つきます」

残業手当は固定かい(しかもバリ少ない)!

「タクシーはその日仕事の流れによって仕事時間も変わってきますから、時間いくらという付け方は通常しないんです」

と言いながら課長はボードに、「40000 50000 60000」と行を変えて書いていく

「例えば、この計算で1日の売上が40000円やと…こんな少なかったらあかんで」

6000+(40000×35%)+(40000×5%)+2000=24000

ほとんど数学の授業やん

「その日の給料は24,000円になります」

はぁー、結局売上歩合にしたらちょうど60%になる

「これが50000円やと…28000円、60000円やと32000円…」

どんどん率下がってくやん

50000なら56%、60000なら53%

「売上上げたら損やと思うやろ?」

「はい(笑)」

「それがそうではないねん。ここに、能率給というものがつきます」

ボードに「能率給」と書く

「5万を超えたら5%、6万超えたら7%」

また計算式を書いていく

「すると、5万なら30,500円、6万なら36,200円となります」

はぁー!そうすると、どちらも60%超えてくるわけや

「さらに半期で400万超えたら、半期営収の4~5%程度の寸志がもらえます。まあ20万そこそこやから賞与とも言えんけどな」

なんか分かりにくいが、とりあえずたくさん売上すれば、たくさんもらえるみたいやな

当たり前やけど

よく分かってなかったが、

研修の終わりにホワイトボードの写真を撮った

隅に何故かにやついている課長の姿が半分入ってしまった


2月12日(木) 64,270 36回

2月締め日

午前中にいきなり大阪弁天町が当たって、

今日はいけるぞ

と思ったが

夜大失速

2月80万に届かず…





2026年2月11日水曜日

「少し待ってもらえますか」

 深夜、青タン(22時)に入ったころ、

ある動物病院から配車が入った

到着報告すると、

見た目60前後の女性が、

「少し待ってもらえますか」

まじか

雨でそこそこ動いてるのに

「そんなに待てませんけど」

「ここへ行ってもらいたいんですけど」

渡された名刺を見ると、

西区の救急動物病院

2万コースやん

「わかりました」(待つんか、態度変えんな)

ご機嫌でナビセットしながら、

5分待てど、10分待てど、

来ない

15分くらいでしびれを切らして確認に行くと、

「ちょっと(猫の)呼吸器を外せないみたいなんで…キャンセルでお願いします」

2千円くれたが、

ショックを受けて通常営業へ戻る

そして、24時前、また同じ動物病院から配車

行くと、同じ女性が、

今度はすぐに乗ってきた

手には猫が入ったゲージ

行き先は変わって、女性の自宅マンション(神戸駅近く)

「どうやったんですか?」

聞くと、すすり泣きながら、

「ダメでした…夕方まで元気やったのに…もう安楽死しかないって」

「そうなんですか…」

「賢くて良い子でした…昨日も一緒に寝たのに…」

もらい泣きしそうになる

14歳やったらしい

自分も猫を飼ってるので、突然の別れはつらいやろなぁ

それでも、自分がその話を聞く相手になれたことで少し助けになったやろか


2月10日(火) 73,820 41回



2026年2月7日土曜日

「中道!」

 2月最初の金曜日

ここのところ選挙のせいか動きが悪かったが、

日中からそこそこ動いた

晩飯休憩の20時半頃までに5万を超えるペース

今日は8万いけるかな

と思ったら、

青タン(22時)から急減速

頭を抱えていた24時前

GOアプリが鳴り、

配車先へ行くと、サラリーマン風の男性2名

良い感じである

「運転手さん、甲子園口の方行ってくれる?」

「はい」

悪くないやん

「そのあと、夙川の方へ」

「…先に甲子園でよろしいんですか?」

「いや、どっちでも、好きな方で」

「それなら(手前の)夙川先に行きましょうか」

「好きなようにして」

指定されたら、遠い方先に行くのもありやけど、

「好きなように」言われて、遠回りするわけないやん

と思ったら

「運転手さん、距離縮まったな!!(爆)」

ややこしい客や

試してたんか

その後2人の会話を聞いていると、

どうやら、ゼネコンの営業と、取引先のようやった

「俺はね、✖✖の営業では右に出るものはいないと思ってますよ」

ベロベロに酔っぱらって、大手ゼネコンの名前出して煽っている

夙川に着くと、

「ここで一人居りますから」

大人しい方が降りた

わー…こっち(うるさい方)が残るか

と思っていたら、

残ったゼネコンが窓を開けて、

「あさって(選挙日)は中道、お願いしますよ!」

夜中にでかい声で選挙運動

走り出して、

「甲子園口の駅ですよね。北口か南口かどちらに付けます?」

「どっちでも良いよ」

「それなら北口(近い方)付けますね」

なんとか遠回りさせてイチャモンつけようと思ってるな

「運転手さんはどの党応援してるの?」

きたー

俺は別に政治的態度を隠す方ではないが、

ここで言ったらあかんな

「えー…どうですかね。お客さんは中道支援ですか」

「そうや」

わかってても、そこは合わせるわけにはいかない

「公明党(創価学会)ですか」

「まあ、そうや。どうでも良いけどな」

どうでも良いのに、夜中に騒ぐな

「今回は自民党が大勝みたいですね」

「それがな、危ういねん!高市なんて、あんなんアイドルやろ!」

「(アイドルって…)おばちゃんですけどね」

「国を2分する政策って、なんやねん。国民誰も分かってないやろ。運転手さん、わかる?」

「まあ、(緊縮財政に対する)積極財政ということやないですか」

「財源ないのにな。あほやろ」

「まあ、高市さんが言うには、ここで思い切って財政出動して、経済成長を誘導して税収を伸ばすということやないですか」

「そんなん無理やで」

「確かに、そう簡単ではないでしょうね。中道は何をしてくれるんですか」

「あの玉木が103万の壁言うてたやろ。あれ、ほんまにやったのは公明党なんやで」

「そうなんですか」

「そうや、みんな国民は分かってないけどな」

「わかってませんでした」

そんな話をしながら、

早く甲子園口着かないかななんて、思いながら

やっと北口に付けて

「9,100円です」

こういう客は簡単に降りない

「運転手さん、中道はな…」

そこで、神のように次の客が、

「あ、(この車)良いですか?」

「あ、ちょっと待ってくださいね!お客さん、次の方いるんですみません」

「あ、そうかごめん」

すっと降りて行った

捨てぜりふに、

「中道頼むよ!」

入れ替わりに乗ってきたお客さんの、

(この運転手中道か…)

みたいな目に何も言えなかった

俺は基本的に政治的態度は隠さない

今回は維新に入れようかな


2月6日(金) 75,270 38回

珍しく単価2000円超えた




2026年2月5日木曜日

タクシーストーリー㉒ 路上研修

 路上研修初日、

事務所営業用のコンフォート(※トヨタの旧式タクシー専用車)の運転席に乗って、ルームミラーの角度などを、なんとなく合わせていた

少し待っていると、グレーのスウェット上下(寝間着か)の社長が助手席に乗った

「さあ、行こか」

「どのコースへ行きますか?」

「コースって…好きなとこ走ったら良いやん」

「あの…先ほど課長から、研修用コースの資料頂いたんですけど」

他の座学研修なども合わせた、A4サイズの分厚い資料を社長に見せた

「ほう…こんなもん作っとるんか」

社長はその資料をペラペラとめくりながら、興味なさそうに目を通していた

事務所で「研修」というものの内容を共有してはいないということは、分かった

「あの…この部分が路上研修用のコースになってるみたいです」

社長が見ている横から、資料の中ほどのページを指して言った

「ほう…あんた、お客さん乗って、こんな資料見ながら走るんか?」

「…いえ」

「または、お客さんがこんな紙の資料持ってきて、『このコースで走ってください』言ってくるんか?」

「そんなことはないと思いますが」

「この世界はな、必要か、必要ないか知らんけど、つまらん資料とか、そんなおもろない仕事に嫌気がさした連中が入ってくるんや」

「…はい(相手側に嫌気さされて入ってくる人の方が多いと思うけど)」

「とにかく資料なんて気にせんで良い。あんたの好きなように走りなさい」

社長は分厚いA4用紙の資料を後部座席に投げて言った

「わかりました」

「今日わしが言いたかったのはそれだけや。あんたらも今まで要らん資料とにらめっこしたり、室内に閉じ込められて仕事してたかもしらんけど、ここに来たからには自由に走れ。それがタクシーや」

灘駅の近くの営業所を出て、

六甲山に登っていった

「仕事では三宮周辺走ることが多いやろけどな、こんなんも良いやんか。ちょっとそこ入ってみ」

社長の指したところは「鉢巻展望台」と看板が出ていた

「はちまき…(変な名前)」※実際あります

看板の矢印に沿って入ると、小さな駐車場には、コンビニなどの食料のゴミが少し散らかっていた

「まあ、降りよか」

車を降りて、社長はそこらにあるゴミを少し拾っていた

狭い展望広場のようなところに行くと、

「わぁ…」

思わず言葉を失った

眼下には、神戸の街が広がっていた

ビルの少ない街並みと、神戸製鋼から上がる煙、海には太陽の光が差し、コンテナ船などが行き来している

自分が住んでいた街がこんなに美しいとは…

「これがお前らの仕事場や」

「…きれいですね」

「狭い室内でパソコンいじってたりな、取引先と電話しながら神経すり減らしたり、うざい上司に適当に返事したり、これからはそんなことする必要ない。

(眼下を指して)この仕事場で自由に走り回ったら良い。

こんな楽しい仕事ないで」

研修初日のこの風景は今も忘れない


2月4日(水) 56,550 36回

苦しい闘いが続くなぁ

回数が少なすぎる




2026年2月3日火曜日

タクシーストーリー㉑ 社内研修

 9月後半第4週の月曜に自動車学校に入校して、

翌月曜に卒業

水曜に免許試験場で学科試験をクリアして、

2種免許は10日間で取れたことになる

そして、さらに翌週の月曜日

自動車学校入校から2週間後に、

社内での研修が始まった

10月になるとさすがに暑さも和らぎ、

研修初日は好天やった

課長から研修の予定表が渡された

「社内研修は10日間、月~金の2週間になります」

「はい…長いですね」

「10日間の研修は法令で定められています。そのうち1日は適性検査、2日はタクシーセンターの登録研修に行ってもらいます」

「ここでは7日間ということですか」

「そうなります。大体午前中に路上に出てもらって道を覚えてもらいます。午前中の方が駅や病院もよく動くのでタクシーの流れも見えるはずです。

午後が座学になります。昼飯の後で眠くなるかもしれませんが、覚えることはそんなに多くないので、気楽に構えてください」

「わかりました…」

「今日は初日なので、まず簡単に外に出てみましょうか」

9時に始まって、9時半くらいになっていたやろうか

文字通り社長出勤の社長が事務所の古いドアを開けて入ってきた

「今日から研修か。天気も良いしわしが(路上研修)行こか」


2月2日(月) 72,550 44回

いよいよ2月に入って、

このところ午前中は動きが悪いが、

午後から尻上がりで良くなって、

深夜はまた悪かった

まあ良いスタートやろ






2026年1月31日土曜日

選挙とタクシー

 選挙期間に入ると、

タクシーは動かない

という都市伝説があった

しかし、

それは都市伝説ではない

ということが、経験を重ねるごとに実感として分かってきた

選挙期間に入ると、タクシー利用は間違いなく減る

何故か、

ここからは推測だが、

勘ぐりを恐れるというのはあるやろう

誰かと飲みに行ったり、

一緒に行動していると、

あー、あの人はあの党の支持者か

みたいな

あとタクシーでも露骨に選挙運動してくる団体(どことは言わないが)もあるし、

そんなんがうざいから外に出たくない

というのもあるのかもしれない

ビジネスで動く人たちも、

選挙結果によって、取引先との関係が微妙に変わったりするから、

結果が出るまで待ちたいというのもあるやろう

今日乗車したあるお客さんに聞かれた

「タクシー(業界)はどの党を応援してるんですか?」

良い質問やなぁ…

「いやぁ…どうなんですかね。タクシー協会の会長(川鍋一朗さん)の奥さんはあの中曽根元首相のお孫さんですから、自民党なんですかね」

というのは、事務方の話

実際川鍋さんのおかげかどうか分からないが、

タクシーの事務方の政治力はすごい

世界的に急速に普及したウーバーはまともに日本でビジネスが出来ないし、

あれだけ騒いでたライドシェアは、今回の選挙では全く忘れられている

ここ数年全国的にタクシー料金はどんどん上がる

要するに日本タクシーは大勝続きなわけである

しかし、タクシードライバーはドライバーとしてまとまれば、結構な影響力を持てるとも思える

日本中にタクドラは20万人以上いる言われてるんやから(創価学会は1000万人らしいけどな)


1月30日(金) 59,450 52回

選挙のせいか分からんけど、

苦しい闘いが続くなぁ

52回で6万届かんとか

単価1000円ちょっとやんか






2026年1月29日木曜日

タクシーストーリー⑳ 2種免許取得

 月曜に自動車学校を卒業して、

翌日には会社へ報告へ行った

「学科試験はいつ行きますか?」

自動車学校を卒業して免許を取れるわけではなく、

卒業後に免許試験場で学科試験をクリアして、初めて2種免許がもらえる仕組みである

「いつって…自分で試験予約するんですか?」

すると、奥に座っていた社長が割って入る

「あんたが合格したって今聞いたのに、こっちで予約出来るわけないやろ」

「あぁ…」

「昨日連絡くれてたら、なんとかしたけどな」

「申し訳ありません」

社長が事務の女性に言う

「すぐ電話してみ。まだ空いてるか?」

「はい、明日で良いですか?」

「明日…ですか?」

俺が戸惑っていると、

また社長が割って入る

「そんなん時間空けてどうすんねん。すぐに(勉強したこと)忘れてしまうで。明日空いてるんか?」

「まあ、はい」

「じゃあ、明日で聞いてみて」

また女性に言う

「わかりました」

どうやら翌日の試験予約が取れたようである

「今はオフ(シーズン)やから取れたけど、これ夏休みや春休みやったら1週間くらい待たされるで。入社も1週間遅れる言うことや」

「そうなんですか」

試験の手配などは全部会社でやってくれるものだと思っていた

無職の身で、特に用事があったわけでもなく、

翌日明石の試験場へ行って、

無事2種免許を取得出来た

試験が終わって、新たな免許が配られると、

1種と同じ大きさの免許証のはずなのだが、

ずしりと重く感じた

たかが2種免許、1種と何が違うの

なんて思ってたけど、

何かその違いが何かというのは、まだ分かってはいなかったものの

全く違う免許だということは、感覚的に強く感じた

新たに変わった写真の、自分の顔を見つめて、

「俺、なかなかイケてるやん」

と独り言をつぶやいていた


1月28日(水) 49,150 43回

いやぁ…今日はひどかった(選挙始まるとなぜか悪くなるよな)

5万切りはいつ以来やろ

まあ年末からここまでなんとか粘ってきたから、

こんなこともあるやろ

また次がんばろ