2021年12月31日金曜日

詰まるところ、目指すところは「固定給制」なのかもしれない

 今年もコロナ禍に見舞われた1年だったが、雇用調整金による休業あり、最低賃金で働かざるを得ないドライバーも多かったかもしれない。

そんな中、ふと

そもそもタクシー業界の(ほぼ)完全歩合制は労働者のモチベーションを上げるために効果的なのだろうか?

という疑問が浮かんだ。

答えはノーである

このタクシーの歩合制こそが、多くの労働者のモチベーションを逆に下げ、サボタージュにつながり、ひいては市場に出回るタクシーの稼働数を下げ、利用者の不便を招いている。

タクシーの歩合制とは、要するに完全インセンティブ制であり、インセンティブに関連する記事をいくつか見ていると、

一歩間違えると逆効果に!インセンティブ制度がもたらす功罪

https://www.desknets.com/media/workshift25/

うまく制度設計を行わないと、インセンティブを得られる社員とそうでない社員が明確に分かれてしまい、下手をするとインセンティブを得られない社員のモチベーションが下がってしまいます。

的を得ている。

インセンティブに効果なし

もし結果を出せばもっと報奨金を支払う、と言われたら、あなたは自分のやり方を変えますか。

過去、この質問を成功されている社長の方々に何度もしましたが、彼らの答えはいつでも"NO"でした。あなたも同じように答えるのではないでしょうか。


実際インセンティブに業界の効率を上げる効果はあまりないのである。

タクシーの歩合制は経営者側のコストを下げるために、またそれにより際限なく乗務員を雇用するためにほとんどの業者で当たり前のように採り入れられていたが、最低賃金制や労働時間の規定が厳しくなり、ドライバー不足が常態化しつつある昨今、歩合制を続けていては業界の未来はない。

来年はタクシーの、もちろん”ささやかなインセンティブ”歩合はつけた上での「固定給制」について研究してみよう(お前が研究して何か変わるのか?)。


2021年11月29日月曜日

未来のタクシーの話(面接編)

 「まず何故タクシーに乗りたい、タクシー業界に関わりたいと思いましたか?」

2種免許に関する確認の後、面接の最初の質問は予想した通りのものだった。

大学生が就職活動でタクシー会社へ面接に来るのは珍しいのかもしれない。

「はい。この業界に可能性を感じています。これからはスマホでどんどんと新しいシステムが出来てタクシーとつながったり、自動運転も実現される未来がもうすぐそこに来ています」

あえて「(来ていると)思います」という表現を使わず、断定的に未来を語ってみた。

左に座っている面接官は白髪、薄毛の見た目60代で、部長のような貫禄も感じる。

その横に座って、メモを取っているだけのような男性は40代くらいに見える。

面接室に入るときの笑顔が印象的だった。

「うーん…自動運転が実現されたら、運転手いらなくなっちゃうよ」

想定していた質問のひとつだった。

「自動運転を操縦するオペレーターも必要になるはずです。タクシーは路線バスみたいに決められたルートを走るわけではありませんから、機械室でオペレーターが操縦するイメージを持っています。そんなオペレーターになりたいです」

部長らしき面接官は難しい顔をして聞いていた。

少し間を空けて、ペンの先端で紙にトントンと軽く叩きながら、

「ということは、君は現在のタクシーを運転する、したいという気持ちはあまりないのかな」

この質問も想定していた。

そもそも最初から、「運転が好きです。だからタクシー運転手になりたいです」とストレートに言えば、それで普通に決まりきった面接のやりとりを終えて、自分の年齢から言っても問題なく内定をもらえたのかもしれない。

しかし、未来の話がしたかった。

本当にこの業界に興味があったし、それを分かってほしいという気持ちは強かった。

ある意味、それでおかしな奴だと思われて内定がもらえなければそれで良いと思っていた。

「タクシー運転手にはなりたいです。もちろん簡単ではないと思いますが、何年かかけて、一人前のドライバーになりたいです。ただ生涯ドライバーをする気は正直ありません。今からタクシーの形は変わっていくと考えているので、その将来に期待してここにいます」

見た目部長は少し馬鹿にしたような笑いを浮かべて、となりの若い面接官を見た。

大きなマスクをしている見た目40代の面接官は、そちらは見ずに違う種類の笑みを浮かべていた。

「面白いですね」

部長に言ったのか、自分に言ったのか分からないような少し小さな声で、若い方の面接官はつぶやいた。

「ただゲームじゃないんだから、操縦室でオペレーターが車を動かすってのはないんじゃないかな。そこで車両を動かすなら、そもそも『自動運転』ではなくなってしまうし、1台だけ動かすなら運転席に座ってたら良い。操縦室にいたら、事故になったときはそのドライバーの身は安全だけどね(笑)」

「だから、複数の車両を動かすんですよ。今ならドライバーは1台しか動かせないですけど、1人で複数…5台とか、6台、もしかしたら数十台の車両を動かせたらすごいですよね!」

部長はもう相手にしてられないと思ったのか、もう聞いてもいなかったのか、資料をめくりながら恐らく話とは関係ないメモをしていた。

終始優しい笑顔を浮かべていた見た目40代の面接官は、少し厳しい表情になった。

「それは危なすぎるよ。安全が全て、合理化、効率化の前に当然ながら安全が第一だから。それが我々の仕事、君ももしこの業界に入るのなら、安全を犠牲にした未来の夢なんてありえないから、それは肝に銘じた方が良いですよ」

「そ、そうですね」

少し強い口調で言われて、勢いに押されてしまった。

夢を語り始めたら、もっといろいろあったが、「安全かどうか」という現実を突きつけられると潰えてしまう夢もある。

「ただ君の描いている自動運転のオペは難しいかもしれないが、決まったルートを走る複数の自動運転車をオペ室で管理するという業務はありえるかもしれない」

「決まったルートですか…それならバスと同じですよね」

「そうだね。基本的にはバスに近い感覚かもしれない。ただ、通勤時間帯以外にあの大きな車両(バス)が道を占拠して、毎日決められた時間に走る必要があるだろうか」

「必要ない…ですよね」

「一概に不要とは言い切れないけど、地域の状況によっては日中でも空のバスが決められたルートを多量の排気ガスを出して走っているということも少なくない」

「路線バスこそ自動運転に代わっていくんじゃないですか。ルートは決まってるわけですし」

「もちろん、そういう考え方もあるけど、多くの乗客を乗せて走るバスについては導入には時間がかかると思うよ。いろいろな課題があるけど、先に触れた安全面(事故が起きた際の損害が大きい)もその一つだね」

「自動運転なら、バスジャックって誰を襲ったら良いんですかね(笑)」

「バスとタクシーを合わせたような、それでいて安全面の課題も少ない形が自動運転車の導入当初として考えられる。具体的には決まったルートを走る少数しか乗れない、そして速度が非常にゆっくりしか走らない車両。『グリスロ』と言われいてるものだけど、知ってるかな」

「聞いたことあります。グリーンスローモビリティですよね」

「そう!例えば、基幹駅からA地点、B地点、C地点へ行って、同じルートを折り返してくるグリスロXがあり、もう一つはA地点、C地点を通り円形にルートを取るグリスロY、kの二つの車両は15分から20分くらいの周期で時刻表なしで動き続ける。そしてC地点は例えば集合住宅地の中心で、そこからワゴン型の乗り合いタクシーで自宅まで行ける」

「はい。なんとなくイメージ出来ます」

「そんなモデルを、まあ恐らく市だったり県の交通課みたいなところと、そういう絵を描いて、地域の交通をデザインしていく。そんな時代になるんじゃないかな」

「現実的にはいろいろと問題ありそうですね」

「その通り(笑)そんな簡単なもんじゃないよ。最初は乗る人もいないし、儲かる話じゃない。そんな中で結局タクシーはなくならないし、乗り手は少なくなっていく。広告なんかのシステムが確立されたら、今よりずっと儲かる、ドライバーの収入が高くなる時代が来ると思ってます」

「結局ドライバーですか。そこに持っていきたかったんですね(笑)」

話の間スマホをずっといじっっていた部長は、子どもの夢物語がやっと終わったという表情で一息ついて、次の質問へ移った。

「それで、2種の自動車学校へはいつ頃から行けそうですか?」

2021年10月31日日曜日

ミスタータクシー 渡辺博道氏

 自民党ハイタク議連事務総長「ミスタータクシー」千葉6区渡辺博道氏が当選確実出たみたい…(なんの話?)

宣言解除も苦境「タクシー」政治から見た根本問題

渡辺さんは千葉でタクシー会社の経営もしておられた国会議員、渡辺さんが8回目?の当選かな。

小泉政権タクシー規制緩和で業界はひどい目に遭ったが、自民党にもタクシーの分かる議員がいる。

なかなか良いこと言うやん。
高齢(71歳)やけど、永田町でも若い後継者を多く作って、政治(立法、行政)の世界からも業界を変えていってほしいね。
当選おめでとうございます。


2021年9月30日木曜日

コロナ禍を生き抜く タクシー業界サバイバル

読書の秋だが、東洋経済オンラインの「流転タクシー」著者である栗田シメイさんが著書を出したと聞いては読まないわけにはいかない…

期待通りというか、自信持って勧められる内容やった(なにげにアソシエイトリンク貼り付けんな)。

主には栗田さんが「流転タクシー」で書いてきた内容をまとめたものだが、このシリーズの始まりを見ると、昨年の4月…本当にコロナで傷んだ業界を取材されていたことを実感した。

本を読めば分かるが、栗田さんはこのコロナ禍でもとにかく足をつかって、現場のドライバーに会って取材されている。

面白い(有用な?)情報があると思えば、連絡する(俺にも何度か直接連絡くれたし)。会いに行く。

「記者なら当たり前やろ」

という人もいるかもしれないが、会いに行くのは有名人でも、財界人でもなく、

タクシードライバーなのである

内容は読んでもらうとして…(もう少し詳しく教えろ)

第一章 緊急事態宣言と東京のタクシー

この時期に東京のタクシーがどれだけ打撃を受けたか

第二章 壊滅した成田空港タクシー

成田で稼いでたドライバーさんの話、外国人が入ってこないから落差激しいよね

第三章 群雄割拠、乱世きわめる大阪タクシー

大阪名物?格安タクシーワンコインドームのドライバーさんのブログも紹介されてる↓


第四章 トヨタ経済圏とタクシー

名古屋って、昔からタクシーの稼げる街と聞くけど、やはりトヨタとの関係が大きいのかな。

第五章 ロイヤルリムジン、600人一斉解雇騒動その後

ロイヤルリムジン問題ね…栗田さんは金子健作社長への独占取材もされてる(金子社長のブログとかあんのか)

第六章 タクシー配車アプリは業界の救世主か、破壊者か

個人的にはどちらでもないと思うなぁ、これで利用のパイを劇的に増やせるわけではない気はする。しかし今後重要な広告のプラットフォームにはなると期待している。

第七章 年収1000万円、スーパードライバー達の仕事術

これはドライバー読者にとって最も興味ある章やろね…こういう人たちは実名でマスコミとかに出てきたら良いねんな(残念ながら仮名やな)

第八章 ドライバー経験を基にしたユニークな生き方

タクドラから弁護士になった的場守夫さん(この人新聞で見たことあるわ)

タクシー乗りながら議員になった下田大気(ひろき)さんの話も出てる(フェイスブック友達やんな)


彼の著書も読んだし(古いやろ)

同じくタクシードライバーから議員になった宮坂裕之さんの話も面白い(この人は知らんかったな)

第九章 人生を強く切り開く女性ドライバー達

これからはどんどん女性に入ってきてほしいよねぇ…(何が目的や)

歌手を目指す當山りえさん、応援します!(健全か)


第十章 新卒ドライバー達の、とらわれのない業界観

新卒ドライバーねぇ…まだまだ難しいのかな。この辺は課題山積。

第十一章 外国人ドライバーは人手不足解消の希望となるか

なります! 規制緩和賛成! 岸田さん頼むぞ(妙に力入ってんな…小泉竹中の規制緩和は勘弁やけどな)

芸能人?のバルビーシンさんの話も面白い。


栗田さんの「流転タクシー」シリーズは毎回読んでるが、最初は正直タクシーを暗い業界として見ていた部分はあったと思う。

それでも、業界の今、そのままを描こうと取材をされている中で、彼なりに業界の未来への光のようなものを見つけて、そこにフォーカスしていくというシフトを感じている。

あとがきの最後の部分を書き写させていただく

新型コロナウイルスという未曽有の感染症は、タクシー業界を蝕んだと同時に、転換の機を与えた。

自動運転時代、相乗りの解禁、ドライバーの人材難。

今後直面するであろう、さまざまな問題を克服するため、変化を拒んできた業界に対する試練のようなものではないかと。

そして、その危機を乗り越えることで、業界は真正の強さを帯びていくだろう。

さらに書き続けてもらうことで、その光はもっとはっきりとしたものになるのではないか。

時間はかかるだろうが…

次の記事も期待してます!!

2021年8月31日火曜日

電脳交通?

 CNETジャパンに、「電脳交通」なる、いわゆる「タクシーベンチャー企業」の記事が出ていた。

100年変わらないタクシー業界をDXで救う--徳島発のMaaSベンチャー「電脳交通」の挑戦

タクシー業界のDX(デジタルトランスフォーメーション…IT活用による改革)を掲げ、家業である徳島の小さなタクシー会社「吉野川タクシー」を継いでいた近藤洋祐氏が2015年に「電脳タクシー」という会社を起業している。

それにしても、吉野川タクシーというのは、いかにも「地方のタクシー会社」という感じで良い味を出している…


※日経ビジネスの記事(https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00341/080500001/)より

メジャーリーガーを目指し?アメリカに単身渡米していた近藤氏は経営が傾いていた実家のタクシー会社を立て直し、このタクシー業界の古い体質を変えようと起業したという内容である。

近藤氏はまだ30代半ばと若くイケメンで、話の内容としては、東京日本交通の川鍋一朗社長に少し似ている(会社の規模が少し違うな…)

自身が2種免許を取得し、とにかく現場から情報を集め、業界の空気を捉えたという話は興味深いところである。

また気になるのは、この記事のタイトルとなっている、

100年変わらないビジネスモデル

というところである。

この説明としては、

「タクシー事業は1912年に東京の有楽町で始まったが、タクシー業界のビジネスモデルは、それから100年以上ずっと同じで変わっていない。どういうことかというと、現金が毎日回っているので、自転車操業がずっとできてしまう。だから、現在約6000社ある国内のタクシー会社は、みんなずっと同じ課題を抱えている」

要するに、日銭を稼いでそれを運転資金にまわし、大きな改革をすることなくここまで来てしまっているということかな。

付け加えるのなら、地域の業者がつるんで、自治体(地域行政)を囲い込んで新規参入を防いできた(だから改革など必要なかったんやな)。

そこで近藤氏の立ち上げた電脳交通は、HPを見ると、主要事業は主に「クラウド配車システム(遠隔配車システム)」のようである。

配車をシステム化して、コールセンターのようなところで、ゆくゆくは全国津々浦々の配車を請け負う…それにより地方のタクシー会社には配車室はなくなる。

いろいろと問題はあるのかもしれない。

まず遠隔配車の問題としては、地域の事情を把握していない。

電話で場所を言われても、オペレーターにはよく理解出来ないということである。

アプリ上での配車ならともかく、記事にもあるように、タクシーの配車のほとんどは電話受付であり、これは恐らくこの先も大きくは変わらない(高齢者がアプリでタクシーを呼ぶ時代はまだ見えてないな)。

ただこれはスマホの位置情報が常にオープンになる時代が来れば、ある程度解決するかもしれない(予約者がどこから電話をしているか、地図上に表示されるということね)。

あと、配車室がなくなって人員コストを削減出来たとしても、法律上営業所に運行管理者はいなくてはいけない。

運行管理は遠隔管理(電話での点呼など)は認められていないので、配車がなくても営業所における管理者コストはかかる(小さな営業所は大体社長さんが配車も運行管理もしてるんやな)。

あと何より、人的コスト、配車コストなどが抑えられたとしても、

古いビジネスモデルを破って、新たな収入源を創りだす

というところが業界にとっての大きな課題(収入アップ)である。

ここは、

都市部においては広告(車両ステッカーの価値向上、アプリ広告など)

地方においては行政との連携(交通過疎地における運送計画)

などが考えられるが、同社について後者は既に取り組まれているようで、そこには注目している。

何より若い経営者がこの業界の改革に取り組んでいること、そして第2、第3の近藤氏が現れることで、業界に化学変化が起きていくことを期待しよう。








2021年7月31日土曜日

東京は五輪特需?

 本当なら今頃、東京のタクシーは未だかつてない「五輪特需」に潤っていたはず…

と思っていたら、それでも(無観客でも?)五輪特需なるものはあるらしい。


実は「五輪特需」で潤うタクシー、その内情と不安

https://toyokeizai.net/articles/-/444295


一時的ですが、コロナ前の水準まで売り上げが戻っています


この状況で、コロナ前の水準って信じられないけど(コロナがなければ全くタクシー足りてなかったいうことやな)


栗田さん、タクシー書き続けてくれて、有り難いな

2021年6月30日水曜日

オリンピックなんて

「オリンピックなんて、やめちまえば良いんや」

「何故ですか?」

「何故って、お前、当たり前やんか。コロナよ、コロナ、どんどん広がって、えらいことになるで」

「そうですか…それなら、お客さん、とりあえずマスクはしてもらえますか」

「…あ、あぁ、わかっとるわぃ」

「わたしはオリンピック、やってほしいですけど」

「はぁ?何言ってんの?」

「見たいじゃないですか」

「はぁ?お前が見たいからって、コロナが広がって、人がどんどん死んでも良いんか?」

「良いわけないですが」

「なら、なんでオリンピックやれなんて言うんや?」

「オリンピックをやって、人がどんどん死ぬとは思わないからです」

「何を根拠に?」

「いえ、失礼ですが、何を根拠にオリンピックで人がどんどん死ぬと思われます?」

「そりゃ、お前、今までどんだけコロナで人が死んでる思うてんや」

「イベントで、ですか?プロ野球やJリーグの観戦者からコロナが広がって、人がたくさん死んでますか?」

「そんなん、知らんけど…多分めっちゃ死んでるわ」

「そんな話ありませんよね。今ヨーロッパでサッカーのヨーロッパ選手権(EURO)やってますが、ヨーロッパ中を人が行き交って、国によってはスタンド満員にして、マスクもほとんどしてませんよ。ヨーロッパであの大会をやめろなんて話はそんなに(日本のオリンピックほど)出ていないみたいですけど」

「そんなん…阪神ファンには魂があるからな。コロナなんかにかからへんのや。サッカーとか、よう知らんわ」

「阪神ファンが阪神戦を楽しみにしてるのと同じように、日本中、世界中にオリンピックを楽しみにしてる人たちがたくさんいて、わたしもその一人です」

「それで人が死んでも良いんか?」

「死にませんて。ただオリンピックをやめることで死んでしまう魂はたくさんあると思います。何年もそこに向けて努力してきた選手はもちろんですが、大会に向けて準備してきた人たち、楽しみにしている人たち、多くの魂は死んでしまうでしょう」

「菅(総理大臣)があかんのや。あいつがアホやから…」

「わたしは菅さんはすごいと思いますよ。これだけの反対を押し切って、おそらくやめてしまった方が百倍楽ですよ。それでも、選手や楽しみにしている国民のために身を削って大会開催に進んでいる。すごいことだと思います」

「あんなんアホなだけや。何も分かってへん。オリンピックで裏から金が入るからがんばってるだけや」

「裏で何があるかは、我々少国民には分かりませんが…百歩譲って、いくばくかの金が入るとしても、そんなものより今のストレスの方が余程大きいでしょう。この先、それほど長くない人生、金なんて入っても仕方ありませんよ」

「いや、金や。世の中やっぱり金やで。いくつになっても同じや」

「それにしても、ネット世論というのは怖いですね…無難な方に流れていく。みんな何が良いのか、何が正しいのかなんて分からない。多くの人が言ってる方になびけば間違いないと思い、ネットを彷徨う。方向性(今回はオリンピックをやめろという流れ)が決まれば、一気にそちらへ流れます。もう少数意見は許さない…本来は少数意見を言える場がネットだと思うんですが」

「ネットとか、よく分からんわ。オリンピックやめたら、それで良いんや」

「それで、お客さんにとって何か良いことがあるんですか?何かをやめるということは間違いなく残念で、二度と戻ることはありません。ネガティブな方向へ世の中が進み、ネガティブな意見がマジョリティになるのも、すごく残念なことです」

「なんか横文字ばかり並べられたら、よく分からんわ」

「『オリンピック』も横文字ですよ」

「そうなんか…?よう分からんわ」

「とにかく、無事オリンピックが行われたら楽しみましょうよ。ポジティブにみんなが笑顔になることが何より健康なことです。きっと、いろいろ良くなりますよ」

2021年5月31日月曜日

がんばっている人ほど損をする

 ちょっと前の記事だけど、タクシーの休業について、

休業決断のタクシー運転手 給付金申請月11万円 「頑張っている人ほど損をする」

飲食店は休業要請があって、協力金も支払われる(それで良いとは言わないが)けど、タクシーは雇調金(雇用調整助成金)か、休業支援金・給付金に頼るしかない。

飲食業は休業している。

会社関係は、テレワークなんかで、なるべく動かない。

需要は絶望的に減っている中でも、タクシーを必要としている人はいる

しかし、雇調金や休業支援金を使えば、仕事をしなくてもいくらかの金はもらえる。

極端な話、コロナ前の全てのタクシーが出たら会社は持たない。

だからと言って、全てのタクシーが休業したら、利用者は困る。

そこで上の記事のドライバーのように、出て行って、多くのドライバーが休業してるから出来ないこともないけど、やはり疲れ果てる。

チキンレース(※)のようなもので、このままだと、長く走ったもの、がんばったものが損をする(死ぬ)みたいな世界になってる

相手の車や障害物に向かい合って、衝突寸前まで車を走らせ、先によけたほうを臆病者とするレース。

残念だけど、タクシーは淘汰される段階なのかな。

このコロナという「ふるい」から残ったものだけが、次の世界を見れる。

今回のコロナ禍で俺も結構考え方が変わった

若い人たちにこの世界に入ってきてもらいたいと思ってたけど、それは難しいのかなと。

コロナ前は、業界が変わっていくことで(今までほとんどいなかった)若い連中を迎え入れられると思ってた。

でも、ちょっと今は無理。

がんばっている人ほど損をする

信じたくないけど確かにそういう世界で、タクシー業界だけではないかもしれないが、病巣は深い。

ここから立て直すのは大変だなぁ。

正直諦めかけてる自分もいる。

でも上の記事で一つ、この業界の光も感じた。

「ただ、運転席と後部座席の間にビニールカーテンを吊るすことはしなかった」

少し感動した。

記事にもあるように、確かにビニールカーテンは事故リスクを高める。

でもそれだけじゃない。

乗客との壁を作ってしまったら、この仕事の光がなくなる

この業界、まだ捨てたもんじゃないと思わせてくれる一文だった。

2021年4月29日木曜日

良い企業とは

突然だが、良い企業とはということを考えてみる。

良い企業とは、利益を多く稼ぐ企業だろうか。

その答えは、恐らくイエスである。

しかし、良い企業を創ろうとしたとき、利益を多く稼ごうという目的でそれが達成されるだろうか。

その答えは、恐らくノーである。

要するに、良い企業とは、多くの利益を稼ごうとしていなかったのに、結果的に多くの利益を稼ぎ、その結果その従業員に多くの配分(給料)をし、そしてその消費者に多くの付加価値を与えている企業である。

それなら、その素晴らしい企業の最初は一体何を目的にしているのだろうか?

それはまず自分(創業者)が楽しむこと。

そして自分が楽しむことが、結果社会にとってプラスになっていることが最も重要な要件である。

それをタクシーにあてはめてみると、

タクシーという事業自体が社会の役に立つことはいうまでもない。

人々は移動を必要としていて、電車やバス、自家用車はあるものの、その状況でこれらの手段が利用できないときには、タクシーが必要であり、そういった状況は人々が普段思っている以上に多い。

だからその手段を社会に与えようという想いを持ってタクシー事業を始めた人物は、日本に限らず、その国の社会の中で成功し、恐らく多くの利益を得ていることだろう。

しかし逆に、タクシーという事業が「儲かる」と思ってこの業界に進出した人物は恐らく失敗して、この競争社会の中で痛い目に遭っている。

上に挙げた例においての違いは何かというと、恐らく地方、田舎と都市部または都市部においてもタクシーが足りない地域、または足りなかった時代ということになるのであろう。

要するに、タクシーの足りない時代、地域にその事業を始めた業者(人物という言い方をしても良いのかもしれないが)は成功し、逆に既にタクシーという交通手段が流通し、足りていて、そこにプラスで乗っかって、その場合値段を下げて、始めた業者は失敗している、または今はまだ存在しても今後消えていく存在になるだろう(ある会社のこと言ってないか?)。

この話を「今」に持ってくるならば、このコロナ禍の中で既に耐えられず撤退していった業者もあるが、国の補助制度(雇用調整金)に必要以上に乗っかって生き残っている業者もある。

もちろん、苦しい中で乗務員を守ることは重要である。

しかし、この状況下でもタクシーを必要としている人たちは間違いなく存在している。

この苦しい状況下でも、数少ないのかもしれないが、その「タクシーを必要としている人たち」にしっかりと向き合い、その人たちのために国の補助制度を必要最小限にとどめ、タクシーを走らせる業者、またはドライバーこそが生き残るのではないのだろうか。

そして、そのような会社、苦しみながら走り続けるドライバーを多く持つ会社こそがタクシー業界における「良い企業」であり、このコロナ禍が終わった時に残っている企業ではないだろうか。

2021年3月31日水曜日

EVタクシー研究①

 ちょっといやらしい話にはなるが…(ならやめとけ)

タクシーを研究する上で、

「金にならない分野」と、

「金になる分野」

がある。

いわゆる「金にならない分野」とは、

事故を減らすシステム

なのかな。

言うまでもなく、タクシー業界において最も重要な分野ではあるものの、ここに投資する意識は薄いのかもしれない。

どの業者にも社内には運行管理者なるものがいて、事故を減らす努力をしている

コストをかけて新たなシステムを構築したところで、それにより事故がなくなることは考えづらく、そこにコストをかけるくらいなら事後的な保険に投資した方が効率的?と考えられていると取れる。

逆に「金になる分野」とは、

従来は、タクシードライバーを募るリクルートサイトであった

しかしコロナ禍において、現状ドライバー求人は手詰まり感がある上そこにコストをかけるほど業界には余裕はない。

需要喚起が難しい状態の中では、コストを削るという一般的なロジックになる

まずは人件費を削るという面においては、雇用調整助成金などもある中で現状のドライバーを削るわけにはいかない。

人件費を減らすには高齢ドライバーなどの退職を既読スルーして(なんやその表現)、新たな求人をしないことでドライバーを減らすこと。

そしてタクシーにおいて人件費の次に大きなコストとなっているのが燃料費である

ここを減らすにあたっては、既にハイブリッドカーの導入により実施されている上に、

EVタクシーの導入が大きな転換期となる

例えば今「EVタクシー」と日本語で検索すると、最も上位に来るのが下の2012年の9年も前のサイト

https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1201/26/news023.html

EVタクシーに対する5社の問題意識は2点にまとめられる。1つは、航続距離に制約があり、LPG(液化天然ガス)車と同等の流し走行が困難であること、次に充電や充電待ちに要する時間のロスだ。問題解決策の実効性を確認するのが、今回の実証試験の目的である。

①航続距離の制約、②充電スタンドや充電時間の問題

2021年になった今、この2点の問題は解決されているのだろうか。

未だ解決されていないとして、その見通しは立ちつつあるのだろうか。

次回以降で検証していこう(なんの番組や?)

2021年3月3日水曜日

カラオケでタクシー料金支払い?

 カラオケでタクシー料金支払い?

ちょっと前(2018)の記事だが、Singing(歌って)タクシー料金を支払うという面白いタクシーがフィンランドにある(あった?)ようである。

今はコロナ禍でタクシー車内で歌を歌うなんてことはご法度だが…(お前昔空車時歌いまくってたやろ)

こういうの、良いな

ドライバーがその歌声に満足すれば、料金は取らない(満足出来なかったら普通に請求するわけやな)

しかし、注目すべきはこの「カラオケタクシー」、EVだからこそ(静かな車内だからこそ)出来るという

EVタクシーって、乗車する側にとってなんのメリットがあんの?

と思っていたが、静かな車内ってやっぱり違うんやろな

EVの充電時間や航続距離が伸びてくれば、EVタクシーこれから増えてくるかも

2021年2月28日日曜日

タクシー乗車にはマスク着用を

 

Let's discuss taxis

これは今回のコロナ騒動で話題になった話だが、

マスクなしの乗客は乗車拒否出来る

これは飲食店の全面禁煙に少し似ている話で、

例えばたまたまマスクを忘れて、電車にもバスにも乗れず、タクシーを利用とする客を拒否するということで

せっかくのタクシー需要を捨てるわけである

要するに、たばこを吸いたいから飲食店に入ろうとする客を断ち切るのと似ていて、

それによって喫煙者の潜在需要を失う反面、

嫌煙者の需要を増加させるかもしれない

同じような話(?)で、

マスクを持たない客を失う反面、

コロナ恐怖症の乗客を増加させ、

何よりドライバーを守るというと大げさかもしれないが、

こんな流れが続いて、

タクシーに乗るときは必ずマスクを着用しないといけない

ということになれば、

タクシードライバーの労働環境は間違いなく向上することになる

…そうか、これで良いんやんな

今回コロナによりタクシー業界はとてつもなく痛み、苦しんでいるが

長い目で見て、コロナ騒動はこの業界の地位をあげるかもしれない(大げさやろ)

いや、最悪かと思っても、良いこともあるんですよ(それでもマスクせーへんおっさんおんねんな…)

2021年2月12日金曜日

バレンタインデーの酸っぱい話

 あの日はすごく寒くて、車のエアコンのつまみを最強にしたけど、それでもアクセルを踏む足は冷たかった。

数日前に降った雪がところどころまだ残っていて、橋の上を走ると、キラキラと光る白い光がスリップの恐怖を募らせた。

駅に入ると数人の客が並んでいた。

その先頭に立っていたのが、若い女性だったことに少し落胆した。

一般的に男にとって女性の乗客は歓迎に思うのだが、実際のところ女性は消費者として賢く(森さん意識して言葉選んだな…)、特に夜は近場でも安全のためにタクシーを利用することが多い。

本来は避けたいと思いがちな「酔っぱらいのおっさん」こそが、夜のタクドラにとっては上客なのである(金持ってるし、金銭感覚なくなってるからな)。

そんなことを言っていても仕方がなく、当然のことながら列の先頭から乗車してもらうことになる。

「…こんばんは」

「こんばんは。どちらまで?」

「あの…学園都市の方へ」

「学園…ですか?(えらい遠方やんか)」

女性は長い髪が顔を覆っていて見えにくかったが、20代前半で今で言えばYOASOBIの幾田りら似の童顔だった。

自分も40近いおっさんだったので、20代の女性との会話も戸惑うものがあり、遠方なら遠方でそれなりに緊張感がある(酔っぱらいのおっさんの接客は慣れてるからな)。

(何かありましたか?)

これは女性に限らず、タクシーの車内において禁句とされている質問である。

何も聞かずに、ただ言われた目的地に黙って行けば良い。

そうしているタクドラも多いだろう。

でも俺は聞きたい…

彼女の雰囲気は、何かを纏っていた。

もちろんいきなりそんな質問は出来ない、どこかでそういう方向へ持っていこう(聞けなかったら聞けないで、金さえもらえたら良い話やしな)。

そんな風に思いながら、右にウインカーを出してアクセルを踏んだ。

乗車してから当分の間、彼女は何も言わず下を向いていた。

髪が顔を覆っていたが、それは「何かあったんやろな」と思わざるをえないオーラを出していた。

トンネルに入ったときに、フロントガラスに反射した光で彼女が下を向いてスマホをいじっているのが分かった。

誰かとライン交換でもしているのだろうか。

おっさんが口を挟む隙はなかった。

高速を降りて、乗客に言われたアバウトなエリアから、詳細な目的地確認へ移る。

通常ならここが乗客に対する(必要ない)質問をするチャンスでもある。

詳細な目的地は自宅の詳細な住所になることが多く、乗客のプライベートに運転手が入り込んでいく瞬間である。

「駅で…学園都市の駅で良いです」

あぁ、これあかんやつや。

家まで送らせてくれへん。

これ、狙ってた女の子送ってく時、

「駅で降ろして」

言われた時の落胆に似てる(お前仕事してるんちゃうの?)

もちろんドライバーなので、言われた通りに車を走らせないといけない。

「ロータリーで良いですか?」

「はい」

酔っぱらいのおっさんなら駅で降りてくれて、しっかり金払ってくれたら安心である。

家の前まで送って行って、深夜に奥さんが金持って出てきて修羅場に遭遇するのは御免である。

しかしここで、何も突っ込んだ話もせず彼女と別れるのも辛い。

と言いつつも、タクシードライバーは1日に何度もの別れを繰り返している。

「ありがとうございます」

その頃はまだ珍しかったクレジットカード決済で清算し、自動ドアを開ける。

そのときである。

「運転手さん、すみませんけど…ていうか、いえ、あの…これ良かったら食べてください」

「えっ?」

それはグレーの包装紙に包まれた小さな箱であった。

女性は逃げるように車から降りていった。

駅に並んでいる待機タクシーに睨まれながらも、その包装紙をすぐに開けたい衝動にかられ、リボンをほどいた。

中には手作りらしきチョコレートと、付箋のような紙にメモが添えられていた。

(××くん、迷惑だと思わないで。深く考えなく良いから(笑) 受け取ってくれてありがとう)

そこに書かれていた言葉をしばし見つめていた。

そうか、今日はバレンタインデーか…

若いって良いな。

またこれからいろんな恋が出来るよ(ゴミ箱代わりのおっさん、何イキってんの?)


2021年1月27日水曜日

タクドラ ウィズ タトゥー

 


これもなかなか面白い…

https://www.independent.co.uk/news/world/chinese-cab-drivers-taxi-remove-tattoos-b669196.html

中国の蘭州(Lanzhou ランツォ?)なるところで、タクシードライバーのタトゥーを手術で取り除くような条例(directive 通達?)が出たらしい。

ドライバーがタトゥーをしていたら、乗客がストレスを感じるとか

中国では2008年の北京オリンピックを境に欧米文化が流入して、タトゥーをする若者が増えたらしい。

しかし世論調査では、3000人の女性利用者において、タトゥーを入れたドライバーを「受け入れる」と答えた人が850人、「受け入れない」と答えた人が1000人に上ったとか(850人はオケなんやね)。

記事にもあるが、アジア、特に日本ではタトゥー(刺青)は、犯罪とのつながりが深いという偏見を持たれている。

しかし手術までして、タトゥーを取り除けと言われたら、普通ドライバーやめるよね(日本にもいるよな、長袖着て刺青隠してるドライバー)。

またはそれでもやめられないというのなら、それだけ生活に困窮しているわけで、そんな人たち、ドライバーに大金かけて手術して、若き日に身体に刻んだ勲章を取り除けというのは、まさに人権侵害ではないか(力入ってんな)。

タトゥー、刺青入れてるドライバーがいても良いやないか

そんな自分らしさを持ってる人たちがタクドラになってる。

そういった誇りを持った業界なんです(お前絶対タトゥー入れてるやろ)。


2021年1月26日火曜日

心臓発作?

なかなか面白い…


シドニーのタクシードライバーが空港から近場の乗車に嫌気がさして、乗車途中に心臓発作を装い、乗客を降ろしたというニュース


そこまでするか…

(リンク先の)動画では、乗客のおばちゃんが演技と分かっているのか、キレている。

「あんたアカデミー賞もんやな!」

乗車拒否ならともかく、もう既に乗ってしまった客を途中で降ろしてどうすんのやろ?

しかもこの乗車は11.5マイル(約18キロ)とのことで、日本の料金なら6~7千円ほど出る乗車である。

空港待ちのドライバーはどこも1発狙いなんやろな

1日数回しかない乗車で、万コロ狙い、中途半端な距離の乗車がショックやったのかも。

こんなことを繰り返していたらしい上のドライバーはFired(クビ)になったとか…

しかしこのコロナ禍で、空港張り付きのドライバーとかどうしてんのやろ?