2026年10月19日月曜日

タクシーストーリー 第46話 「(京都まで)いくらくらいですか?」

 「すみません、先輩のお名前伺っても良いですか」

「杉本言います」

「すぎもとさんですね」

実は聞く前から名前は知っていた

会社で最も売り上げするドライバーらしく、

「84またやっとるわ」

「あいつえぐいで」

そんな、この人のいわゆる「悪口」「陰口」は車庫で飛び交っていた

84というのは、杉本さんの乗っている車両の下2桁の番号である

タクシードライバーは、特に悪口を言うときは、乗っている車両の番号や、無線番号を使うことが多い

「84って誰ですか?」

聞いたことがある

「杉本や、月に悪くても100万は上げてくるわ。この間も客が(最寄り)駅で良いって言ってるのに京都まで連れてったらしいわ(笑)」

そんなのは、さすがに話に尾ひれ付けてるんやろうと思って聞いていたが、

せっかくなので聞いてみた

「杉本さん、先週京都まで行かれたんですか?」

「ああ、行ったで」

「すごいですね!」

「なんもすごくないわ、客が行きたかったとこ行っただけや」

「そういう客に当たるのがすごいです」

「最初はな、春日野道の駅行く言うててん」

ほんまに最寄り駅やったんや…

「そんでな、『どちらまで行かれるんですか』って聞いたら、京都まで行くって」

「はぁ…」

「午前の10時すぎやったかな、お金持ちそうな女性やったし、『京都でランチにでも行かれるんですか』って聞いたら、『そうなんです』って、久しぶりに会う友人と祇園で食事するらしくて

そんでな、『今から阪急乗って祇園まで行ったら、お昼ぎりぎりですやん』

と突っ込むと、『そうなんですよ、乗り換えもあるし』

なんて話してたら、

『このままタクシーで行ったらどのくらいで行けますか?』

って言うから、来た、と思ってな

『高速使ったら、1時間くらいで行けますよ』

『(料金は)おいくらくらいですか』

『3万ほどですかね』

『それなら、お願いしましょうか』

って、

そういうのがな、タクシーのおもろいところよ

何も言わずに、言われたところ送ったらそれまで、

ちょっとした一言が、

俺の売上も、相手の生活や、ときには人生まで変えるわけよ

その一言を言えるかどうか、

その勇気で、この仕事って、つまらん1日が劇的に変わるからな」


やっぱり「プロ」って、おるんや


10月18日(日) 76,500 49回

今日は天気も良くて、

売上も良くて、

楽しかった

最高メーター5,400円で、

特に遠く行ってないけど

東遊園地でジャズフェスやってたり、

ジーライオンアリーナでカラフルピンク?のライブがあったりで、

よく動いた




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