2026年9月8日火曜日

タクシーストーリー 第44話 「あんた、新人やね」

その日も、出勤してから、車内のマットを洗って、ボディを拭いて、

ボンネットを開けて、オイル、冷却水、バッテリー水量の点検

メーターの指数を確認して、

8時過ぎに出庫した

忙しくなるのは、9時ころからやろか

この時間は病院行きの年配の方が多い

無線が入り、

ご自宅へ迎えに行くと、

60代くらいの一人暮らしの女性が乗車してきた

「××病院まで」

「××病院ですね。わかりました。どちらのルートから行きましょうか?」

「…あんた、新人やね」

この言葉は今までも何度か言われたことはあるが、

乗務を始めて2か月ほど経つと、

後で思えば、たったの2か月なのに、

もう一人前のつもりでいた

「新人」と指摘されたことに、軽くカチーンときた

「どうしてですか?」

「病院の名前いちいち繰り返さんでも良いし、ルートなんて言わんでも自分で考えていったら良いんちゃうの?」

「いえ…ルートの確認をしないとトラブルに…」

「なったことあんの?」

「…いえ」

「なら、今はその確認をしてトラブルになってるんちゃう?疲れるわ、そういうの」

「…」

社内研修でも、タクセンの研修でも、「ルート確認は必ずするように」と言われて、素直に従っていたが、

確かに、こんなもの必要やろか

と感じた

今までも、ルートが2つ以上想定されるときは、

こっちから言う前にお客さんがルートを指定したり、

「お任せします」「好きなほうから行って」

と言われるか

その場で聞かれて、

ルートを考えるのって、場合によってはしんどいのかもしれへん

今どきナビあるやろ

運転せーへんから、タクシー乗ってんねん

みたいな

レストランに行って、メニューを注文したら

「どのように料理しましょうか」

聞かれても、

知らんやん

「疲れるわ」

わかる気がする

「申し訳ありません」

謝ると、

「ハハハ!、何が『申し訳ありません』やねん、疲れるんやって、ほんまにもう(笑)

黙って行ってくれたら良いから

話すんなら、阪神タイガースの話やら、市長の悪口やら、そんなんにしてや」

「…わかりました」

「新人やねぇ(笑)」


9月7日(月) 59,090 42回

今日は朝から涼しくて、

雨予報なのに、雨はほとんど降らず

タクシーにとっては、暑いほうが良いし、雨降ってくれたほうが良い

ダブルパンチやなぁ

悪いながらも日中はがんばったが、

夜は苦しかった





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