「タクシーの神様」
タクシーに乗っていたら、
そんなアホみたいな言葉を聞くことがあるだろう。
これは別にタクシーをピカピカに磨いたら女神さまみたいにきれいになれるとか、そういう話ではない(ふる・・・)
そう、あれは先週の話だが、(何故かおばあちゃんと暮らしてたのか?)
その日は、ほんまにひどくて、
今月(4月)に入ってから、
ぐっと動きが悪くなった感じはあったが、
それにしてもひどいやろ
みたいな。
昼間は5時間半で4回4千円
これ時給にしたら、300円くらい
しかも14時半から18時まで3時間半仕事なし
夜になっても流れが悪くて
22時頃にあたった無線が、やっと2千円コース
「ありがとうございます。2,390円です」
「はい・・・それじゃ、2,500円で」
「110円のお返しですね。どうもありがとうございます。お疲れさまです」
ふー・・・と一息ついて、
信号待ちで、その千円札2枚を背広の内ポケットに入れようとしたら、
1枚が5千円札やった
4千円余分にもらっている。
一瞬考えた
状況的にチップということはありえないが、
家の前で降りたわけでもないし、
返しようがない
やっと動き出す時間帯
もう(放っといても)いいかな
悪魔のささやきが聞こえた。
「こんなひどい日なんやから、儲けも少ないやろ。もらっとき。悪い中で我慢してたご褒美や。早く駅帰って次の客乗せや」
・・・
気付いたらユーターンしていた
そうか、無線配車やった。
基地(無線室)に電話を入れる。
「すんません。さっきの無線配車のお客さんの電話番号教えてもらっていいですか?」
「あんた・・・こんな時間(22時過ぎ)に電話かける気か?」
「ちょっと、どうしても連絡しなきゃいけないことがあるんで」
携帯番号を教えてもらって、かけてみるが
出ない
風呂でも入ってるんやろか。
しかし無線配車なので、一応名前は聞いている。
クロダさんやったな
入り組んだ住宅街の中、
しかもまさかこんなこと(金を返しに行く)なんて思っていないので、
客がどこで降りたのか、しっかり記憶していない。
それでも、その周辺を表札を見ながらグルグル回っていた
そんなに多い名前ではない。
10分ほどかかって、やっと見つけた
インターホンを押す。
「夜分遅くすみません。XX交通の運転手です。先ほどご主人がタクシーで帰宅されたと思うんですが・・・」
奥さんが表に出てくる。
「ちょっと代金を余分に頂いてしまったみたいなんで、お返しに伺ったんですが」
奥さん、きょとんとして突っ立っている。
後からご主人が出てきた
間違いなく、さっきの客であった。
「あぁ!先ほどはどうも。お支払いの際に(千円札と)間違えて5千円札を出されたみたいなんですね。4千円余分に頂いてしまったんで、お返しに伺ったんです」
呆然としている客に4千円を渡した。
「あぁ・・・これは・・・どうも」
「遅くにすみませんでした。どうもありがとうございました!」
反応から察するに、返さずとも恐らくあの客は余分に支払いをしたことに気付いていなかっただろう。
俺に対する感謝の気持ちよりも、
こいつアホやな(黙ってたらわからへんのに)
みたいな感情の方が強かったかもしれない。
でも、これでいいんや
俺は何かに勝利したような優越感に浸っていた
駅に帰ると、すでに流れは止まり、
またどっぷり悪い流れにはまって1時間以上待たされた。
24時回って、10時間近く働いて売上8千円
ありえへん数字やったが、
1万円で終わってもいい。
俺は自分に勝った
もうこの後どんな悪い結果になろうと、
今日の俺は最高だ
駅の先頭で俺は軽い笑みを浮かべていた(きも・・・)
そして待って待って乗ってきた客、
50前後のサラリーマンやろか
「油坂行ってくれる」
「・・・あぶらざか・・・ですか?」
「油坂の交差点・・・知らへんの?」
「・・・はい、申しわけありません」
「近鉄奈良の近く」
「・・・なら・・・ですか?」、
こんなことあるんやね。
「タクシーの神様」ってほんまにいるんですよ
タクシーに乗っていたら、
そんなアホみたいな言葉を聞くことがあるだろう。
これは別にタクシーをピカピカに磨いたら女神さまみたいにきれいになれるとか、そういう話ではない(ふる・・・)
そう、あれは先週の話だが、(何故かおばあちゃんと暮らしてたのか?)
その日は、ほんまにひどくて、
今月(4月)に入ってから、
ぐっと動きが悪くなった感じはあったが、
それにしてもひどいやろ
みたいな。
昼間は5時間半で4回4千円
これ時給にしたら、300円くらい
しかも14時半から18時まで3時間半仕事なし
夜になっても流れが悪くて
22時頃にあたった無線が、やっと2千円コース
「ありがとうございます。2,390円です」
「はい・・・それじゃ、2,500円で」
「110円のお返しですね。どうもありがとうございます。お疲れさまです」
ふー・・・と一息ついて、
信号待ちで、その千円札2枚を背広の内ポケットに入れようとしたら、
1枚が5千円札やった
4千円余分にもらっている。
一瞬考えた
状況的にチップということはありえないが、
家の前で降りたわけでもないし、
返しようがない
やっと動き出す時間帯
もう(放っといても)いいかな
悪魔のささやきが聞こえた。
「こんなひどい日なんやから、儲けも少ないやろ。もらっとき。悪い中で我慢してたご褒美や。早く駅帰って次の客乗せや」
・・・
気付いたらユーターンしていた
そうか、無線配車やった。
基地(無線室)に電話を入れる。
「すんません。さっきの無線配車のお客さんの電話番号教えてもらっていいですか?」
「あんた・・・こんな時間(22時過ぎ)に電話かける気か?」
「ちょっと、どうしても連絡しなきゃいけないことがあるんで」
携帯番号を教えてもらって、かけてみるが
出ない
風呂でも入ってるんやろか。
しかし無線配車なので、一応名前は聞いている。
クロダさんやったな
入り組んだ住宅街の中、
しかもまさかこんなこと(金を返しに行く)なんて思っていないので、
客がどこで降りたのか、しっかり記憶していない。
それでも、その周辺を表札を見ながらグルグル回っていた
そんなに多い名前ではない。
10分ほどかかって、やっと見つけた
インターホンを押す。
「夜分遅くすみません。XX交通の運転手です。先ほどご主人がタクシーで帰宅されたと思うんですが・・・」
奥さんが表に出てくる。
「ちょっと代金を余分に頂いてしまったみたいなんで、お返しに伺ったんですが」
奥さん、きょとんとして突っ立っている。
後からご主人が出てきた
間違いなく、さっきの客であった。
「あぁ!先ほどはどうも。お支払いの際に(千円札と)間違えて5千円札を出されたみたいなんですね。4千円余分に頂いてしまったんで、お返しに伺ったんです」
呆然としている客に4千円を渡した。
「あぁ・・・これは・・・どうも」
「遅くにすみませんでした。どうもありがとうございました!」
反応から察するに、返さずとも恐らくあの客は余分に支払いをしたことに気付いていなかっただろう。
俺に対する感謝の気持ちよりも、
こいつアホやな(黙ってたらわからへんのに)
みたいな感情の方が強かったかもしれない。
でも、これでいいんや
俺は何かに勝利したような優越感に浸っていた
駅に帰ると、すでに流れは止まり、
またどっぷり悪い流れにはまって1時間以上待たされた。
24時回って、10時間近く働いて売上8千円
ありえへん数字やったが、
1万円で終わってもいい。
俺は自分に勝った
もうこの後どんな悪い結果になろうと、
今日の俺は最高だ
駅の先頭で俺は軽い笑みを浮かべていた(きも・・・)
そして待って待って乗ってきた客、
50前後のサラリーマンやろか
「油坂行ってくれる」
「・・・あぶらざか・・・ですか?」
「油坂の交差点・・・知らへんの?」
「・・・はい、申しわけありません」
「近鉄奈良の近く」
「・・・なら・・・ですか?」、
こんなことあるんやね。
「タクシーの神様」ってほんまにいるんですよ