2013年4月19日金曜日

タクシーの神様

「タクシーの神様」

タクシーに乗っていたら、

そんなアホみたいな言葉を聞くことがあるだろう。

これは別にタクシーをピカピカに磨いたら女神さまみたいにきれいになれるとか、そういう話ではない(ふる・・・)

そう、あれは先週の話だが、(何故かおばあちゃんと暮らしてたのか?)

その日は、ほんまにひどくて、

今月(4月)に入ってから、

ぐっと動きが悪くなった感じはあったが、

それにしてもひどいやろ

みたいな。

昼間は5時間半で4回4千円

これ時給にしたら、300円くらい

しかも14時半から18時まで3時間半仕事なし

夜になっても流れが悪くて

22時頃にあたった無線が、やっと2千円コース

「ありがとうございます。2,390円です」

「はい・・・それじゃ、2,500円で」

「110円のお返しですね。どうもありがとうございます。お疲れさまです」

ふー・・・と一息ついて、

信号待ちで、その千円札2枚を背広の内ポケットに入れようとしたら、

1枚が5千円札やった

4千円余分にもらっている。

一瞬考えた

状況的にチップということはありえないが、

家の前で降りたわけでもないし、

返しようがない

やっと動き出す時間帯

もう(放っといても)いいかな

悪魔のささやきが聞こえた。


「こんなひどい日なんやから、儲けも少ないやろ。もらっとき。悪い中で我慢してたご褒美や。早く駅帰って次の客乗せや」

 ・・・

気付いたらユーターンしていた

そうか、無線配車やった。

基地(無線室)に電話を入れる。

「すんません。さっきの無線配車のお客さんの電話番号教えてもらっていいですか?」

「あんた・・・こんな時間(22時過ぎ)に電話かける気か?」

「ちょっと、どうしても連絡しなきゃいけないことがあるんで

携帯番号を教えてもらって、かけてみるが

出ない

風呂でも入ってるんやろか。

しかし無線配車なので、一応名前は聞いている。

クロダさんやったな

入り組んだ住宅街の中、

しかもまさかこんなこと(金を返しに行く)なんて思っていないので、

客がどこで降りたのか、しっかり記憶していない。

それでも、その周辺を表札を見ながらグルグル回っていた

そんなに多い名前ではない。

10分ほどかかって、やっと見つけた

インターホンを押す。

「夜分遅くすみません。XX交通の運転手です。先ほどご主人がタクシーで帰宅されたと思うんですが・・・」

奥さんが表に出てくる。

「ちょっと代金を余分に頂いてしまったみたいなんで、お返しに伺ったんですが」

奥さん、きょとんとして突っ立っている。

後からご主人が出てきた

間違いなく、さっきの客であった。

「あぁ!先ほどはどうも。お支払いの際に(千円札と)間違えて5千円札を出されたみたいなんですね。4千円余分に頂いてしまったんで、お返しに伺ったんです」

呆然としている客に4千円を渡した。

「あぁ・・・これは・・・どうも」

「遅くにすみませんでした。どうもありがとうございました!」

反応から察するに、返さずとも恐らくあの客は余分に支払いをしたことに気付いていなかっただろう。

俺に対する感謝の気持ちよりも、

こいつアホやな(黙ってたらわからへんのに)

みたいな感情の方が強かったかもしれない。

でも、これでいいんや

俺は何かに勝利したような優越感に浸っていた

駅に帰ると、すでに流れは止まり、

またどっぷり悪い流れにはまって1時間以上待たされた。

24時回って、10時間近く働いて売上8千円

ありえへん数字やったが、

1万円で終わってもいい。

俺は自分に勝った

もうこの後どんな悪い結果になろうと、

今日の俺は最高だ

駅の先頭で俺は軽い笑みを浮かべていた(きも・・・)

そして待って待って乗ってきた客

50前後のサラリーマンやろか

「油坂行ってくれる」

「・・・あぶらざか・・・ですか?」

「油坂の交差点・・・知らへんの?」

「・・・はい、申しわけありません」

「近鉄奈良の近く」

「・・・なら・・・ですか?」、


こんなことあるんやね。


「タクシーの神様」ってほんまにいるんですよ

6 件のコメント:

  1. 私はつい最近ラブホテルで下車した泥酔のお客さんは
    支払1060円から
    お札を2枚もらい おつりを渡したのですが
    あとで確認したら2千円札(珍しい)が混ざってました
    悪魔のささやきが真夜中のラブホテルだしもういいかなって(笑)

    それと梅田から京橋までのおじいさん、幕の内弁当を
    忘れたみたいで流しのお客さんだし連絡の取り様が無いんでもういいかなとしっかり頂きました。
    携帯電話や財布なら必ず届ますが流しの営業主体では難しい事ってありますよね。

    今日はもう駄目だわ~っと
    あきらめかけた時の遠方で首の皮一枚助かることは
    しょっちゅうありますが
    上から誰かが見てるかなって考えたりもしています。

    ..やはり神様に生かされているのでしょうか?

    以前 滋賀県まで行きましたが
    3万に対し支払ボタンでは17000円ちょっと
    距離オーバーなのに仕事時間はたっぷり残したまま
    帰社するはめに...
    それ以来遠方は断る事もよくあります(泣)。
    5.5割の難しいところです。

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    1. ちみちみさん

      ありがとうございます!
      上の客がもし流しで乗車していたなら、見つけるのは不可能だったでしょう。そんなときは、わたしは赤い羽とかユニセフとかに募金したりします。自己満足ですが・・・

      >幕の内弁当を忘れたみたいで

      これはわたしも食べますね。高級ロールケーキの忘れ物は忘れられません(忘れ物が忘れられない・・・?)。

      >上から誰かが見てるかなって考えたりもしています

      ほんまに、思いますよね。

      >それ以来遠方は断る事もよくあります(泣)。
      >5.5割の難しいところです。

      ニューヨークなんかでは、市外(遠方)乗車は公然と割増料金を取れるらしいですが、それでも断る運転手が多いらしいです。都市部では良い時間帯のロングは効率が悪いんですよね。
      ましてや割引するというのは・・・運輸局はもっとしっかり対応してほしいと思います。

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  2. タリホー運転手2013年4月21日 19:04

    お疲れさまです!!
    私は完璧に信じています…。
    今までもブログの中で何回も登場してもらっています(笑)。

    彼はずーっと仕事ぶりやら、行動をしっかり見ていて
    たまに知らんぷりもされますが、
    「ありがとうございます!」ってお礼する事も度々です!

    アホちゃうん!って思われる人もおられるかもしれませんが、
    うちの営収100万以上いつも上げているトップ乗務員に、
    これって「タクシーの神様」のおかげですね?
    って尋ねると、
    「当たり前やん!」って素で返事されました…。

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    1. タリホーさん

      >営収100万以上いつも上げているトップ乗務員

      そんな人がいるんですか・・・わたしのところでは、100万はないことはないですが、ある時期の伝説みたいな世界です。もちろんわたしはありません。

      タクシーに乗ってる方なら分かると思いますが、この仕事ほんの10秒の違いで駅の順番は変わりますし、流しならほんの数10メートルで運命の変わる世界です。本当に信じられないようなことが度々起きますよね。

      よく思うのは、これって本当に人生に似てるんです。
      ほんのちょっと歩いている位置が違っただけで、全く違う世界があるわけです。タクシーに乗っていると、そういうときにどういう判断を下すのか、その法則が少し見えてくるような気がします。

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  3. タリホー運転手2013年4月22日 20:20

    もちろん隔勤ではありませんが、
    夜勤専門です。
    夕方18時から朝6時まで。
    月26日平均4万円。
    金曜日土曜日は6万オーバーはしょっ中で、
    12月は140万上げてました。
    私も会社から夜勤勧められてますが、真似出来ませんね。
    それもVIP予約受けているわけでもなく、
    無線と流し専門です。
    確かに夜勤というパターンが月の売上が一番取れるかも知れませんが、
    うちの会社の先輩は抜けています。
    タクシーの神様の話もよくするんですが、
    お客様の流れは電流の流れ!
    その流れさえつかめば、簡単よ!って。
    よくわからん?(驚)。

    それだけ売る先輩2人います…。

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    1. タリホーさん

      やっぱり夜勤なんでしょうが、月26日ですか・・・確かに真似出来ません。
      12月と言えど、140万は・・・きょうび東京あたりでもあり得ない数字ですね。
      秘密にしておいた方がいいですよ(笑)

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