2025年11月22日土曜日

タクシーストーリー②~「タクシーだけはやめてほしい」

 「タクシーだけはやめてほしい」

忘れもしない。

転職の決意と、タクシーに乗ってみたいという話を嫁にしたときの第一声である。

「なんで?」

「なんでって…タクシー乗ってるなんて、近所に知られたら」

「知られたら?」

「子どもたちのことも考えてあげて」

「…なんかほとんど犯罪者扱いやな」

決められた路線もレールもない。

これは後に感じたことだが、タクシーとは道路という都市の血管を流れる、社会の「血液」である。

もしタクシーがなくなれば、社会も経済も血栓だらけになる。

多くのドライバーが何を話し合うこともなく、足りないところに流れて血流を作っていく。

タクシーは街の活力なのである。

ただもちろんこの時はそこまで分かっていたわけでもない。

「タクシーの何が悪いんや?」

「……」

何が言いたいのかは分かった。

なんとなくかっこ悪い

古い車に乗って、ダサい制服とセンス悪いネクタイ、何より平均年齢高過ぎ。

高齢者の社交場は地域の公園のグラウンドゴルフか、駅のタクシー乗り場と言っても過言ではない。

そんなところに40代で入っていくのは、社会的自殺行為ではないか。

と嫁は感じるのだろう。

しかし、ここで俺の決意はより固まった。

俺が変えてやるよ。

タクシーのイメージを変えてやる。

まだ入ってもいない業界を変えようなんて、飛躍しているかもしれない。

でも俺はそう感じた。

何か大きな未来が見えてきた気がした。

※ここまではノンフィクションです


11月21日(金) 65,820 44回

日中はよく動くな。

山幹北野通り下で乗った若い男女

「岐阜から来たんですよ。神戸初めてなんです!」

嬉しそうに話してくれて、こっちもうれしくなった。

「ありがとうございます!」

金を払う方がお礼をいうサービス。

それがタクシーなんですよ。



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