2018年12月24日月曜日

タクシー漫才 「メリークリスマス!」

「こんばんは どちらまで(行かれますか)?」

「とりあえず、真っすぐ行って」

「…はい、で、どちらまで?」

「いいから真っすぐ行けや あとは言うから」

「分かりました…(こういうのろくな事ないねんな)」

「なんや、そのふて腐れた態度は! 真っすぐ行け言うんが気に入らんのか! そうか、言ってやるわ、行き先を!」

「…(なんやねん、行き先言うくらいで、その力み方 普通やろ)」

「俺の行き先はなぁ!『ウォーターゲート』や!」

「あぁ…はい」

「『あぁ』やないやろ!分かってんのか?運ちゃん。ナビ入れろよ」

「ナビ?ですか カーナビ?」

「当たり前やろ!行き先言われたらナビ入れるんがタクドラの務めやろ!」

「(…ホリエモンか)いや、ウォーターゲートって、六甲のラブホテルですよね? (ナビ入れるまでもなく)トンネル越えて、道沿い…」

「おい、こら! 今なんつった? ラブホとか言うなよ! 黙ってナビ入れろ言うてんやろ!」

「…分かりました(なんやねん、こいつ)」

「動画撮ってツイッター投稿すんぞ」

「…(ホリエモンか、ほんまに)」

「俺がな、いや男がな、どんな気持ちでその行き先言ってる思っってんねん」

「確かに、いろんな想像してしまいますよね」

「言うなー! お前ほんまになめとんか?こら」

「いや、男がクリスマスイブにひとりでラブホとか、どんなんかなーなんて」

「言うな!言うな!言うなー! お前今『ひとり』言うたな?」

「ひとりですやん」

「わー!あーーー!(頭抱える)」

「(マジやばいわ)」

「…来んねん」

「え?(声小さくて聞こえへん)」

「(声を荒げて)だから、来んねんて!女が!約束してんねん!」

「あー、そうなんですか。良いですねぇ(ラジオから、山下達郎の『クリスマスイブ』が流れる)」

「おーーーい!!!ラジオ消せ!すぐに消せー!」

「え?ラジオですか? うるさいですか?」

「うるさいから消せ」

「あーこの曲ですか 『きっと君は来ない』ってところですね 大丈夫、来ますよー」

「当たり前やろ! 語尾伸ばすな!」

「でも駅とかで来ないならともかく、ラブホで待ってて来ないって最悪っすよね(笑)」

「あー!!!笑ったー!お前今笑ったな? 警察呼ぶぞ、こら」

「そんなんで警察呼ばれたら、動画ツイッターに投稿しますよ」

「ホリエモンか、こら! 逆やろ!」

「てことは、来ないかもしれないってことですね?」

「…何言うてんねん」

「あの、『大きな玉ねぎの下』みたいなやつですか? 『ペンフレンドのー♪』みたいな」

「…(同じ世代やな)そんなんや 出会い系サイトや」

「いや、文通と出会い系サイトなら健全度がかなり違いますよ」

「…お前、俺、客やぞ」

「一度も会ってないんですか?」

「… あぁ」

「一度も会ってないのに、クリスマスイブにラブホで待ち合わせですか(笑)」

「笑うな!笑うなー!!」

「すみません」

「…自分が一番よく分かってんねん このルックスで、女寄り付くわけないって」

「そうですよねー」

「否定せんかー! 俺、客やぞ、こらー!」

「すみません」

「だから、ぶつけ本番ならいけるかもしれへんて…今日に賭けてんねん」

「きっと来ますよ もうそろそろ着きますよ」

「…」

「駐車場車入れて良いですか?」

「あぁ…」

「怖いんですか?」

「怖いことないけど…」

「わたしが見てきましょうか?」

「ええの?」

「良いですよ」

「頼むわ (あんたイケメンやし)もしおったら何もせんと戻ってきてや」

「当たり前やないですか」

「ありがとうな」

「いえいえ(面白そ) ここまで5,620円です」

「あぁ、1万円で…釣りええよ」

「ありがとうございます」




「…帰って来ーへんな、あの運ちゃん」

「お待たせしました!」

「おぉ…お…、おったんか?」

「はい 結構かわいい子でした」

「何もしてへんやろな?」

「もちろんです(ライン交換したけど) 話だけつけてきました」

「話?」

「部屋代込みで3万円です」

「???」

「最初は部屋代別で3万要求してました わたしが話つけてきました」

「あぁ…(そういうことか) ありがとうな」

「3万円払って来たんで、ここでもらえますか? 直接支払ったら雰囲気台無しですやんね」

「あー、気ぃ使ってくれてありがとう はい、3万」

「ありがとうございます 楽しんで来てください」

「あぁ…、ありがとう」

「いえいえ、動画投稿せんといてくださいね」

「何の動画や?」

「いえ…いろいろ」

「あぁ…(よく分からんけど)」

「メリークリスマス!」

1 件のコメント:

  1. 面白いクリスマスですね。
    私もラブホ送迎に何度も遭遇しておりますが、こんなに面白い場面はなかったですね。

    返信削除