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2011年10月25日火曜日

10月24日(月) くもり~霜降

24日は暦の上では霜降(そうこう)というらしいが、

ここのところ霜の気配もなく、気温の高い日が続いている

仕事の方はぼちぼちやろか

昨年のデータやブログ、日記を見ると、

今年は明らかに仕事は増えている

そんな中、

この日あるビルから常連のお客さんが乗った

年齢は70過ぎ、奥さんと二人で週に4,5回はタクシーを利用して帰宅されるヘビーユーザーであったが、

ここ数週間は利用の回数がぐっと減っていて

久々にお目にかかった。

ご主人はそのビルを経営されていて、年齢のわりにとても元気な方で、

いつも身体の不自由な奥さんを介助しながら車に乗せて、

「はよ、乗らんかい!運転手さん待っとるやろ!」

「・・・いえ、構いませんよ。ゆっくり乗ってください」

車内でも奥さんが何か話そうとすると、

「お前は黙っとれ!今運転手さんと話しとんのや!」

「・・・いや、構いませんよ」

みたいな感じやったが、

奥さんの状態は会うたびに悪くなっているようで、

介護するご主人を見ているのも胸が痛んだ。

そしてこの日久々に配車先に出向くと、

「おう!・・・久しぶりやな」

「どうも、お久しぶりです」

「・・・」

いつも元気なご主人が、別人のような呆けた表情をしている。

「あの・・・、今日は奥さんは」

「いいから行って(車出して)」

「はい」

いつも車に乗ると、周りの建物や歩いている人を指してはとにかく休みなくいろんな会話を振ってくるご主人だったが、この日は無言でボーっとどこともなく見つめている。

俺も何となく状況はわかったので、無言で応じる。

家に着きかけたとき、ご主人が初めて口を開いた。

「あいつ(かみさん)、ついに入院したわ」

「・・・そうですか」

「もう(家に)帰ってくることもないやろな」

「・・・」

難病だとは聞いていたので、否定もできない。

「ああなったらな、あかんで。自分で飯も食えんし、病院で出されるもん食べたら死による思うみたいで食わんからどんどんやせてくわ」

「はぁー・・・(そういう話はよく聞きますね)」

「人間追い詰められたらな、周りのもんがみんな自分をおとしめようとしてる思うみたいやな」

「そういう心理状態って確かにあるみたいですね」

「人間なんておとしめるほど価値のあるもんちゃうけどな」

「まあ、そうかもしれませんね」

「人に優しくしたり、助けてあげたりなんてのは、結局は自分のためなんかもしれん」

「それはなんとなくわかります」

「それでええんちゃうかと思うけど」

「ぼくもなんとなくそう思います」

ご自宅の大きな屋敷の前に車をつけた。

「長い間仕事しながら介護してきて、もうヘトヘトや」

「そうでしょうね」

「これからはここで一人や、気楽なもんやで」

ご主人はいつものように代金とチップを出すと、にっこりと笑って俺の肩をポンポンと叩いた。

10月24日(月) くもり 景気60 高23 低13
営収 23,610(13,080-10,530)
17(11-6)回
10.25(5.50-4.75)時間
MAX 3,510

この日は月曜なのにゴルフ場の仕事がガンガン出ていたが、

俺は病院に入っていたので全く蚊帳の外

日曜に眼鏡をなくしてしまったので、

夕方に子供とショッピングセンターへ行って新調

まああたりも流れも悪かったけど、

月曜に17回は上出来やろ

2011年10月19日水曜日

10月18日(火) 晴 26点~100歳の重み

リンク

人はなんとなく100歳という節目を目標に生きているような気がする

少し前まではほぼ不可能だった年齢だが、

前回(2010年)の国勢調査では約4万7千人の100歳を超える高齢者が日本にはいるらしい

まあしかしこういった数字もあやしい部分もあるし、

実際はもっと少ないはずである

しかも現在では毎年2万人を超える方が100歳を迎えられて、

そしてほぼ同数の100歳高齢者が亡くなっている

そう考えると、

100歳という数字は人生のゴールテープである

と言っても過言ではないかもしれない。

常連さんで、

このゴールテープを間近にされていた方がいた

よく夫婦でタクシーを使って、スーパーから家まで往復されていたYさん

http://cooldriver.blog.eonet.jp/taxi/2009/12/post-f519.html

夫婦で90歳を超えている例は他になく、市で表彰されたらしい。

今年の春くらいからやろか

ついにご主人が施設に入られた。

施設へお見舞いへ行った帰りに、奥さんがたまにタクシーに乗られた。

「施設に入っても口が悪くてかなんわー」

「元気な証拠やないですか」

「看護婦さんが食事に『毒を入れてる』ゆうて食べへんねんで」

「はぁー・・・」

「なんでそんなことせなあかんの」

「100歳を目前にして、ナーバスになってるんですかね」

「まあね、あんなんでも何とか100までは生かせてあげたいね」

「(誕生日は)いつなんですか?」

「10月10日」

「(100を迎えるには)なんとなくいい日ですね」

そんな会話をしたのが、1ヶ月くらい前やったやろか

病院は知っていたし、10月10日はなんとなく覚えやすかったので、一度顔出してみようかと思っていたのだが・・・

この日息子さんが久々に乗られた。

息子さんと言っても、もう70歳を超える方である。

「おう!」

「どうも!お久しぶりです」

「今日もマージャンですか?」

「そうや」

「いい天気で良かったですね」

「マージャンするのに天気関係あらへん」

「良いに越したことないやないですか」

「・・・親父逝ったで」

「はい?」

「死んだわ、ついに」

「・・・」

「病院運び込まれて4日ほどや、まあ苦しまんと逝けたんちゃうか」

「・・・いつやったんすか?」

「9月の20日」

「・・・あと20日ですか」

「そう、あと20日や」

100歳を超える高齢者の数は人口比約0.03%

100人に一人到達出来るかどうかというゴールテープ

3万6千500日を生きてきて、

ゴールテープを意識し続けてきて、

あと20日

あと20日か・・・

都市部に比べてローカルの運転手の良いところは、

常連のお客さんとある程度連続した関係を持てることである

それなりに長くやっていると、いろいろと思い出深い方も多い。

99歳でもプライド高く、胸を張っておられた姿が印象的やった

自分が99まで生きられるとは思わないが、

死ぬ間際にはきっと思い出す方の一人やろう。

10月18日(火) 晴 高21 低10
営収 26,780(10,460-16,320)
12(6-6)回
13.50(7.50-6.00)時間
MAX 9,830

苦しい乗務やった

昼間から動きがイマイチで、あたりも悪く

終電待ちで17点

終電の並びで最後のチャンス

俺の順番の客を見ると、

若い女性・・・

若い女性は高い確立で近い

近かろうと通常なら若い女性の乗車はうれしいものだが、

最後はちょっと別である

しかしそれが(電車乗り越し)遠方

助かった(かわいそうやろ)