2023年5月31日水曜日

10年ぶり

 運賃改定の日、タクシーに乗った。

初乗り700円、加算100円、メーターの上がりもきもちよ・・・利用者の方にもわかりやすいだろう(お前メーター上がるの「きもちよい」言おうとしたな)

これからはこの100円単位がスタンダードになっていくのだろうか。

もう10年ほど運行管理者のしての内勤勤務で、現場に出ることも少なかった。

たまたま今日は車両も少なく、ハンドルを握った。

昔と違って、今はライバル(車両)が少ない。

走れば仕事がある。

待つストレスが少ない。

時代は変わった…

無線が鳴る

「Yさん宅へ行ってください」

了解ボタン

懐かしいなぁ、常連のYさん

「おはようございます」

Yさん歳取ったな、しかし懐かしい。

こちらは覚えてても、お客さんは新しい(新人)運転手だと思うんやろな。

「あら、お久しぶり」

「え…覚えてるんですか!」

「声で分かったわ」

びっくりした。

10年である。

10年以上の時を経て、運転手を覚えてくれていた。

胸が熱くなった。

駅までの10分ほど、昔話をしながら

「(コロナも落ち着いたし)自分もそろそろ現場に戻ろうと思ってるんです」

そのとき次の無線が鳴った。

現実に戻された。

「駅でお客さんお待ちです」

知るか。

Yさんとの時間を邪魔されて不快だった。

「1800円です」

「今日から(料金)上がったんやね」

「そうなんです、すみません…」

駅に入っていく老いたYさんの背中を見つめながら、嬉しさ、ハンドルを握る楽しさをかみしめていた。

この業界に関わってきてよかった。

また運転手、プレイヤーとしてグランドに戻ろう。

2023年4月30日日曜日

近畿の運賃改定動向

 いよいよ明日より、京都、滋賀地域で運賃改定が実施される。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/kyoto/20230404/2010017042.html

京都市、京都府南部では、初乗り1キロ500円、加算279メートル100円となる

https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000293053.pdf

滋賀地区(大津市、滋賀北部)では、初乗り1キロ500円、加算236メートル100円となる

参考までに、

https://www.taxisite.com/far/info/13.aspx

昨年11月に全国に先立って運賃改定された東京(23区、武三地区)の料金は1096m500円、加算255メートル100円

見えてくるところは、

全国的に初乗り500円、加算100円に合わせようという流れ

近く運改が公示されるであろう、大阪地区、阪神地区もおそらくこの流れでいくのであろう(噂ではこの連休明けには公示が出るっぽいな)

まだ名古屋市(加算90円)など、流れとややずれている地域もあるが、

陸運局は今回の全国的な運改ラッシュの後、

2,3年毎に運賃改定をする

という方針も示しているらしい

この流れの中で10年くらいかけて、全国的に初乗り料金、加算料金を合わせ、営業エリアも統合を進めていくようである。

現在は全国的に初乗り料金始め、初乗り距離、加算料金、加算距離、大きな隔たりがあるが、これが徐々に統合されていくことは良い流れだと思う。

課題は地方のタクシーの少ない地域の対応だが、これも営業エリアが統合されていくことで、都市部のタクシーの多い地域から車両が流れていくことが期待出来る。

止まり木的な場所(営業所)、宿泊施設なども整備されていけば、都市部のタクシーも地方に走り、そこで気分転換をしながら?仕事が出来る。

魅力的やないか

どちらにしても、若い人たちにとって魅力ある仕事、魅力ある収入になっていくような流れが見えてきた

やっとタクシーの時代が来た

感慨深いものはある

俺もそろそろ現場に戻ろう(まだ戻ってなかったんか)


2023年3月31日金曜日

55から91?

 昨年から続いている運賃改定ラッシュの中で多分に漏れず大阪もこの夏にも再び運改が行われそうである。

この運改の流れは運転手にとっては有り難い限りで(利用者にとってはムカつくやろけどな)、ここからタクシーも大きく変わっていきそうである。

料金が上がり、運転手は減る

運転手ひとりあたり営収は飛躍的に上がる

大阪も20年続いた狂気の割引、55割が遂に終わりを告げようとしている

多くの業者は55(5000円以上5割引き)から、91(9000円以上1割引き)に申請する流れになっている

しかし…91いる?

9000円以上の遠方乗る利用者に、料金1割引くのって意味ある?

そんな遠方乗るのは自腹じゃない(会社払い)か、ちはいくらだろうがタクシー乗らなきゃ仕方ないシチュエーション(乗り越し、乗り遅れ)やろ。

1万円の遠方乗った客に百円引いてどうする?(1万から1割引くわけちゃうからな)

もう割引なしでそのままいきましょ、そのまま(ほんまあんた利用者の敵やな)

2023年2月28日火曜日

運賃改定ラッシュ

「もう最近はなんでも『値上げ、値上げ』やね。タクシーも値上げすんの?」

「いや…どうですかね(するやろ)。東京は昨年末(11月14日)に運賃改定してましたよね」

「関東は関東や!関西はそんな簡単に値上げせーへんやろ。しかも東京はもともと420円やったのが、500円になったんやろ。そもそもこっち(関西)より安いんや」

「いや、それは誤解ですよ。東京の初乗り距離は約1.1キロ(1.096キロ)で、こっち(大阪1.7キロ680円)より全然短いんですよ。惑わされたらいけません」

※大阪も「初乗り短縮」で、1.459キロ600円という料金もあるが、どちらにしても大阪の料金の方が安い(2023年2月現在)

「なんや、初乗りの距離が違うんか」

「はい。全国津々浦々、ほとんど初乗りの距離は統一されていません」

「わかりにくいな」

「仰る通りです。しかし、今年になって東京に続いて全国で運賃改定(値上げ)が行われる予定ですが、全国的に距離短(初乗り距離を縮めること)の流れになっています。数年後の次回の運賃改定では1キロで統一されるかもしれません」

「1キロ500円とか?」

「いや600円くらいですかね…」




2023年1月31日火曜日

雪の日の車内での会話

 「いやー、よう降ったね」

「よく降りましたね」

「道は大丈夫?」

「ところどころ滑りますけど、まだ大丈夫です」

「やっぱりプロやね、わたしら、(こんな雪道)よう運転せえへんわ」

「いやこれだけ積もると、怖がって出てこないドライバーもいますよ。安全を第一に考えるのであれば、こういう日に乗務を控えるドライバーの方が『プロ』なのかもしれません」

「そうか・・・でもあんたらがいてくれるから、わたしらも動けるし、病院にも行けるねん」

小太りで、薄いピンクのセーターを羽織っている年配のおばあさんは嬉しそうに言った。

年齢は80前後だろうか。

「こんな日は管理者の自分も現場に出られるし、雪が降ったらテンション上がりますよね。もちろん安全第一ですが」

「これから受験なんかで雪降ったら、受験生も大変やね。今年は孫が受験なんやけど」

「そうなんですか。お孫さん、そんな大きいんですね。そんな風に見えませんが(おきまりのお世辞)」

「そんなこと言われたらうれしいわ!こう見えても、孫7人おんねんで」

「そうなんですか!(そう見えますが)かわいいでしょうね」

「そら、孫はかわいいで。うちは娘ばっかりで、息子がおらへんかったからな」

「お孫さんは男の子が多いんですか」

「2人男の子やねん。一番上の子は阪大(大阪大学)行っとんねんで」

「(やっぱ男少ないな…)阪大ですか!」

「いや、大したことないんやけどな(笑)」

「いや、阪大はすごいですよ。自慢出来ますよ」

「そうか、こんなん、いろんなとこで言っとったらな、自慢や思われて敬遠されんねん。でも言いたいやろ(笑)。だから知らん人に言うねん」

「知らん人」で十分。

話を聞くだけで社会の役に立ってる?

こんな楽しい仕事はないな、と改めて感じた瞬間やった。

コロナも終わりつつあるし、これからまた最高の「知らん人」目指して、そろそろ現場に戻ろうかな。

2022年12月31日土曜日

いよいよタクシーの時代が来た!

 ここへ来て、本当にタクシーの時代が来た

ほんまにそう思える。

コロナは業界にとって試練だったが、それもまた業界が一皮剥けて、新しい景色を見れる。

そう感じれる1年でした。

来年こそ、タクシーを楽しみましょう!

2022年11月30日水曜日

55割の終わり

 いよいよ大阪に長く蔓延ってきたタクシー安売りの根源、「55割(5000円以上5割引き)」が終わりを告げようとしているという噂を聞く。

このブログのタイトル説明にもあるが、タクシーの適正料金の追求こそがドライバーの質を高め、延いては

タクシードライバーの社会的地位の向上

という大きなゴールにたどり着く。

ここで、「55割(ゴーゴー割)」とは何か、説明しておこう。

55割とは大阪を中心に広がっている、「メーター料金5千円以上5割引き」という思い切った(無謀な)料金割引制度である

これは誤解されがちであるが、メーター料金が5千円を超えたら全て半額になるというものではない。

メーター料金が6千円として、5千円を超えたから半額の3千円になるのではなく、5千円を超えた額(千円分)を半額にするというもので、この例なら「5千5百円になる」ということである。

上の例なら、結果的に割引率は1割にも満たない。

しかし大阪から名古屋まで行ったとしたら、約180キロ、現在の大阪の料金で加算1キロ330円としたら、55割がなければ約6万円になる。

時間として普通でも約3時間かかるが、当然渋滞もある。

タクシーは高速道路の渋滞ではメーターは上がらない。

4時間かかっても料金は同じである。

5千円以上5割引きだから6万円のメーターなら32500円になる

消費税を抜いたら3万円に届かない。

さらに帰りに高速を使って帰れば、現状多くの事業者が空車時の高速料金がドライバー負担になっている。

名古屋から高速で帰れば、7~8千円の通行料がかかり、歩率(歩合給の率)が50~60%とすれば、ドライバーにはほとんど残らないことになる。

32500÷1.1=29545(税抜き営収)

29545×0.5=14773(歩合でドライバーが受け取る額)

14773-7000=7773(帰りの高速料金を引いたドライバーの取り分)

往復で少なくとも7時間はかかるだろうから、時給1000円か、またはそれを切る程度のものになる。

下道で帰れば高速料金の負担はないが、往復で10時間を超えるほどの時間がかかり、休憩を含めたら、やはり時給1000円程度にしかならない。

大阪から名古屋までの夢のようなロング客をゲットして最低賃金である。

ドライバーになって数年は、遠くに行けるだけで実入り以上の喜びを感じるものだが、慣れてきたら感じるものは「疲労だけ」としか言えない。

また20年前の小泉政権の規制緩和によって激増したタクシー台数により、この悪しき料金体系が生まれたのだが、その頃は確かにタクシーが余っていた。

その政策云々を今更言う気はないが、

今は既にタクシーが足りない時代に入っているのである

大阪から名古屋までのロング客を乗せている間に、大阪市内ではタクシーを探す客に溢れ、乗車出来ずに困っている利用者もいる。

市内で近距離の乗車を10時間続ければ、3万円を超える営収を稼ぐのは難しくない。

もはや今、タクシーにロングの客はそれほど必要ないのである

遠くまで乗るならそれだけの料金を頂かないと、ドライバーにも業者にもメリットはない

高くて嫌なら、「乗らない」という選択をしてもらったら良いだけなのである。

しかしねぇ、タクシーに乗っている以上ロング客はいつになっても「ロマン」であることに変わりはない。

そこは金じゃないよ

という意見もあるかもしれないし、

5桁のメーターの左側が動いていくのは、ドライバーにとってのエクスタシーである

というところもあるだろう。

半額でも良いやん

この「55割」という奇妙な料金体系は、「値切りの街」大阪のドライバーが20年にわたって支えてきたもので、それがなくなりつつある今こそ、彼らにリスペクトをするときなのかもしれない。