面接は見た目80歳くらいの社長と、
課長と呼ばれている管理者の男性の2名がソファの向こう側に座って行われた
ザラザラとした、なんとも言えない古い素材のソファには、誰のものとも思えない髪の毛がそこここに付いていた
「えー…と、タクシー経験はないんですね」
履歴書を見ながら、神経質そうな課長の第一声はタクシー経験についてだった
「はい」
「いえ、構いませんよ。免許はうちが費用を負担して取得出来ますから」
3か月ほど散髪に行っていないような、中途半端に伸びた髪を触りながら、不自然な笑みを浮かべて課長は言った
「あのー…、免許を取らせてもらった場合は、何年かは縛りがあるんですか…」
「1年半です。それ以内に退社された場合は申し訳ありませんが、免許取得にかかる費用は負担してもらうことになります」
やはりそうか
「その場合の費用はいくらくらいになるんですか?…いえ、あの、当然すぐに辞めるつもりはありませんけど」
「はい、ご心配は分かります。費用は教習中に支払われる1日1万円の手当も含めて30万程度になるかと思います。入社1年を過ぎたらそれが半額になります」
30万か…
壁を見上げると、運送約款だとか、運行管理者の資格証などの類の額がバランス悪く飾られている
2年もこの会社にいるイメージが湧かなかった
タクシーはこの会社だけではない
ここはやめておこう
と思ったとき、ここまで隣で座っていただけの、白髪の社長が初めて口を開いた
「いらんよ」
「はい?」
課長が驚いたような顔で横に座っている社長に顔を向ける
「半年で辞めても、1か月で辞めても、免許の金は返さんでも良い。一度タクシー乗ってみたら良いわ。君みたいな年齢から乗り始めたら、きっとすぐに辞める気にはならんよ」
12月1日(月) 51,730 41回
いよいよ12月
初戦は惨敗やな
朝から日中の動きは悪くなかったが、
夕方から夜はひどかった
