夜中に山の上の病院から配車依頼があった
23時過ぎやったやろか
病院の入り口に入ると、夜間入口のところに老夫婦が待っていた
「お待たせしました」
ドアを開けると、先におじいさんが乗車してきた
元気である
「早く乗らんかい!」
後からゆっくり乗車する奥さんに向かって、軽く怒鳴る
奥さんは返事もせずに乗車する
「本山までな」
おじいさんが行き先を言う
「わかりました」
「本山南町までお願いします」
奥さんも行き先を言う
具体的な住所を伝えたかったんやろか
「今言ったとこや、余計なこと言うな!」
またおじいさんが怒鳴る
奥さんは何も言わず外を見ている
「いやー、いつまでも暑いなぁ」
これは俺に対して言っているようである
「そうですね。暑いですね」
ここんとこ一日中交わしている定番の会話を少し適当に繰り返す
「ここは夜景がきれいやなぁ…」
山の上の病院である
見ると、神戸の夜景が眼下に広がっていた
確かにきれいだった
「本当ですね」
奥さんは何も言わず窓の外を見つめていた
やがて行き先が近づくと、奥さんが
「あ、そこの信号入ってください」
「わかりました」
「次の角で良いです」
「はい、えー2300円です」
奥さんから料金を受け取る
ドアを開ける
ドアを開けても、すぐには降りない
奥さんは少し躊躇するように、
それでいて、少し安堵した表情で
「実は先ほど主人が亡くなりまして…」
「えっ?」
運転席の後ろの席に目をやると
誰もいない
「主人はあそこの夜景が好きだったんですよ」
8月3日(日) 59,350 41回
久々の日曜出勤
日曜は出たら結構上がるのだが、
今日はあかんかったな
この時期は盆前に詰めて出るドライバーが多いから(お前もやろ)、日曜でも車が多い
まあ6万ほど出来たら上出来やけど
見えてしまったんですか‥?そして会話まで‥?奥様はそれを理解されていたんですかね。ゾワっとさせていただきました(^_^;)
返信削除自分であとから読み返しても怖くなりますね…
削除タクシーって、たまにこーゆーことあるんですよ、ほんまに