昼前に無線が入った
よく利用する高齢の女性である
俺もこの道22年、大抵のややこしい客はこなせる経験はあるが、
この女性は苦手である
現地に着いても、まずなかなか出てこないことが多いのだが、
今日は珍しく、すぐに出てきた
「暑いですねー」
この時期お決まりの、普通の会話をする
そんな中でも、こちらは何かしら警戒しながら話している
とにかくドライバーに対する嫌がらせ
というか、ドライバーを怒らせるのが趣味のようなおばあさんである
わかっていても、その挑発に負けてしまうことが多い
基本ドライバーが嫌なこと
①配車先で待たされる
②停めにくい場所(駐停車禁止エリアなど)で降りようとする
③車内の会話が面倒くさい(「あんた初めてやね」など…初めてでもないのに、わざと言ってくる)
そんなことをしっかりわきまえているおばあさんなのである
今回は何もなかったな…
「そこの銀行のところで停めてくれる?」
「はい、2200円になります」
「1200円ね」
「…」
いつも同じところに乗る客である
料金を間違えるわけがない
「2200円です」
「えっ?2200円?えっ?」
「…」
何が「えっ?」や
「2200円ね…えー…」
カバンを開けて、小銭を探す
「えーっと、100円、200円…これで良い?」
答えようがない
「あといくら?」
それ聞く?
「…2000円です」
「えーっと、はい、1000円ね」
「…」
「これで良い?」
ここまで5分ほど、一体何を考えてるんやろ
「お金が足りないんですか?」
金には困っていないような高齢女性である
恐らく嫌がらせやろう
高齢になって一人で暮らしていると、タクシードライバーでもからかって、怒らせるのも楽しみのひとつなのかもしれない
後で考えたら、そういった冷静な受け方も出来るが、
まだ午前中で忙しい時間帯である
こんな感じで支払いボタン押してから10分くらい経ったところで、半分キレかかってきた
「(支払いに)どんだけ時間かけるんですか!お金がないなら、そう言ってくださいよ!そこに銀行あるから下ろしてきたら良いでしょう!」
「なんなの?何を怒ってるのあんた」
ばあさんのペースにはまってしまった
相手はこうなれば(こっちが怒りだしたら)、楽しくて仕方ないのだろう
銀行で金を下ろして払うというので、銀行まで一緒に入っていくと、
ATMの前で、
「キャッシュカードがないわ、窓口で下ろすから待っといてもらえる?」
窓口では多くのお客さんが待っている
ここまで来て、全て計算されていたことに気づいた
銀行に来るのにキャッシュカードを持っていないわけがない
財布ごと忘れてきたならともかく、高齢のおばあさんが千数百円の現金だけ持って出かけるわけがない
「もうよろしいわ」
車に戻ると、アプリの配車が入っていた
ボタンを押すのが一瞬遅れて、配車を逃した
数時間後に無線が入った
「××号、Tさんより連絡あり、未収分は後日乗車したときに支払うそうです」
おばあさん、会社に連絡入れてくれたらしい
「運転手に怒鳴られた」というクレームと一緒に
7月16日(水) 62,790 56回
7月度締め日
朝の大雨は午前中には上がって、今年初めてセミの声を聞いた
上のようなこともありながら、気持ち切らさずなんとか事故なくがんばった
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