読書の秋だが、東洋経済オンラインの「流転タクシー」著者である栗田シメイさんが著書を出したと聞いては読まないわけにはいかない…
新型コロナウイルスという未曽有の感染症は、タクシー業界を蝕んだと同時に、転換の機を与えた。自動運転時代、相乗りの解禁、ドライバーの人材難。今後直面するであろう、さまざまな問題を克服するため、変化を拒んできた業界に対する試練のようなものではないかと。そして、その危機を乗り越えることで、業界は真正の強さを帯びていくだろう。
神戸でタクシー現場に戻ってきました! 運転席からの景色を最高に楽しんでいます。 いつかタクシードライバーが世間に認められる、社会的地位の高い職業になり、若者の憧れの職業になる日を夢見ています。
読書の秋だが、東洋経済オンラインの「流転タクシー」著者である栗田シメイさんが著書を出したと聞いては読まないわけにはいかない…
新型コロナウイルスという未曽有の感染症は、タクシー業界を蝕んだと同時に、転換の機を与えた。自動運転時代、相乗りの解禁、ドライバーの人材難。今後直面するであろう、さまざまな問題を克服するため、変化を拒んできた業界に対する試練のようなものではないかと。そして、その危機を乗り越えることで、業界は真正の強さを帯びていくだろう。
CNETジャパンに、「電脳交通」なる、いわゆる「タクシーベンチャー企業」の記事が出ていた。
タクシー業界のDX(デジタルトランスフォーメーション…IT活用による改革)を掲げ、家業である徳島の小さなタクシー会社「吉野川タクシー」を継いでいた近藤洋祐氏が2015年に「電脳タクシー」という会社を起業している。
それにしても、吉野川タクシーというのは、いかにも「地方のタクシー会社」という感じで良い味を出している…
メジャーリーガーを目指し?アメリカに単身渡米していた近藤氏は経営が傾いていた実家のタクシー会社を立て直し、このタクシー業界の古い体質を変えようと起業したという内容である。
近藤氏はまだ30代半ばと若くイケメンで、話の内容としては、東京日本交通の川鍋一朗社長に少し似ている(会社の規模が少し違うな…)
自身が2種免許を取得し、とにかく現場から情報を集め、業界の空気を捉えたという話は興味深いところである。
また気になるのは、この記事のタイトルとなっている、
100年変わらないビジネスモデル
というところである。
この説明としては、
「タクシー事業は1912年に東京の有楽町で始まったが、タクシー業界のビジネスモデルは、それから100年以上ずっと同じで変わっていない。どういうことかというと、現金が毎日回っているので、自転車操業がずっとできてしまう。だから、現在約6000社ある国内のタクシー会社は、みんなずっと同じ課題を抱えている」
要するに、日銭を稼いでそれを運転資金にまわし、大きな改革をすることなくここまで来てしまっているということかな。
付け加えるのなら、地域の業者がつるんで、自治体(地域行政)を囲い込んで新規参入を防いできた(だから改革など必要なかったんやな)。
そこで近藤氏の立ち上げた電脳交通は、HPを見ると、主要事業は主に「クラウド配車システム(遠隔配車システム)」のようである。
配車をシステム化して、コールセンターのようなところで、ゆくゆくは全国津々浦々の配車を請け負う…それにより地方のタクシー会社には配車室はなくなる。
いろいろと問題はあるのかもしれない。
まず遠隔配車の問題としては、地域の事情を把握していない。
電話で場所を言われても、オペレーターにはよく理解出来ないということである。
アプリ上での配車ならともかく、記事にもあるように、タクシーの配車のほとんどは電話受付であり、これは恐らくこの先も大きくは変わらない(高齢者がアプリでタクシーを呼ぶ時代はまだ見えてないな)。
ただこれはスマホの位置情報が常にオープンになる時代が来れば、ある程度解決するかもしれない(予約者がどこから電話をしているか、地図上に表示されるということね)。
あと、配車室がなくなって人員コストを削減出来たとしても、法律上営業所に運行管理者はいなくてはいけない。
運行管理は遠隔管理(電話での点呼など)は認められていないので、配車がなくても営業所における管理者コストはかかる(小さな営業所は大体社長さんが配車も運行管理もしてるんやな)。
あと何より、人的コスト、配車コストなどが抑えられたとしても、
古いビジネスモデルを破って、新たな収入源を創りだす
というところが業界にとっての大きな課題(収入アップ)である。
ここは、
都市部においては広告(車両ステッカーの価値向上、アプリ広告など)
地方においては行政との連携(交通過疎地における運送計画)
などが考えられるが、同社について後者は既に取り組まれているようで、そこには注目している。
何より若い経営者がこの業界の改革に取り組んでいること、そして第2、第3の近藤氏が現れることで、業界に化学変化が起きていくことを期待しよう。
本当なら今頃、東京のタクシーは未だかつてない「五輪特需」に潤っていたはず…
と思っていたら、それでも(無観客でも?)五輪特需なるものはあるらしい。
https://toyokeizai.net/articles/-/444295
一時的ですが、コロナ前の水準まで売り上げが戻っています
この状況で、コロナ前の水準って信じられないけど(コロナがなければ全くタクシー足りてなかったいうことやな)
栗田さん、タクシー書き続けてくれて、有り難いな
「オリンピックなんて、やめちまえば良いんや」
「何故ですか?」
「何故って、お前、当たり前やんか。コロナよ、コロナ、どんどん広がって、えらいことになるで」
「そうですか…それなら、お客さん、とりあえずマスクはしてもらえますか」
「…あ、あぁ、わかっとるわぃ」
「わたしはオリンピック、やってほしいですけど」
「はぁ?何言ってんの?」
「見たいじゃないですか」
「はぁ?お前が見たいからって、コロナが広がって、人がどんどん死んでも良いんか?」
「良いわけないですが」
「なら、なんでオリンピックやれなんて言うんや?」
「オリンピックをやって、人がどんどん死ぬとは思わないからです」
「何を根拠に?」
「いえ、失礼ですが、何を根拠にオリンピックで人がどんどん死ぬと思われます?」
「そりゃ、お前、今までどんだけコロナで人が死んでる思うてんや」
「イベントで、ですか?プロ野球やJリーグの観戦者からコロナが広がって、人がたくさん死んでますか?」
「そんなん、知らんけど…多分めっちゃ死んでるわ」
「そんな話ありませんよね。今ヨーロッパでサッカーのヨーロッパ選手権(EURO)やってますが、ヨーロッパ中を人が行き交って、国によってはスタンド満員にして、マスクもほとんどしてませんよ。ヨーロッパであの大会をやめろなんて話はそんなに(日本のオリンピックほど)出ていないみたいですけど」
「そんなん…阪神ファンには魂があるからな。コロナなんかにかからへんのや。サッカーとか、よう知らんわ」
「阪神ファンが阪神戦を楽しみにしてるのと同じように、日本中、世界中にオリンピックを楽しみにしてる人たちがたくさんいて、わたしもその一人です」
「それで人が死んでも良いんか?」
「死にませんて。ただオリンピックをやめることで死んでしまう魂はたくさんあると思います。何年もそこに向けて努力してきた選手はもちろんですが、大会に向けて準備してきた人たち、楽しみにしている人たち、多くの魂は死んでしまうでしょう」
「菅(総理大臣)があかんのや。あいつがアホやから…」
「わたしは菅さんはすごいと思いますよ。これだけの反対を押し切って、おそらくやめてしまった方が百倍楽ですよ。それでも、選手や楽しみにしている国民のために身を削って大会開催に進んでいる。すごいことだと思います」
「あんなんアホなだけや。何も分かってへん。オリンピックで裏から金が入るからがんばってるだけや」
「裏で何があるかは、我々少国民には分かりませんが…百歩譲って、いくばくかの金が入るとしても、そんなものより今のストレスの方が余程大きいでしょう。この先、それほど長くない人生、金なんて入っても仕方ありませんよ」
「いや、金や。世の中やっぱり金やで。いくつになっても同じや」
「それにしても、ネット世論というのは怖いですね…無難な方に流れていく。みんな何が良いのか、何が正しいのかなんて分からない。多くの人が言ってる方になびけば間違いないと思い、ネットを彷徨う。方向性(今回はオリンピックをやめろという流れ)が決まれば、一気にそちらへ流れます。もう少数意見は許さない…本来は少数意見を言える場がネットだと思うんですが」
「ネットとか、よく分からんわ。オリンピックやめたら、それで良いんや」
「それで、お客さんにとって何か良いことがあるんですか?何かをやめるということは間違いなく残念で、二度と戻ることはありません。ネガティブな方向へ世の中が進み、ネガティブな意見がマジョリティになるのも、すごく残念なことです」
「なんか横文字ばかり並べられたら、よく分からんわ」
「『オリンピック』も横文字ですよ」
「そうなんか…?よう分からんわ」
「とにかく、無事オリンピックが行われたら楽しみましょうよ。ポジティブにみんなが笑顔になることが何より健康なことです。きっと、いろいろ良くなりますよ」
ちょっと前の記事だけど、タクシーの休業について、
飲食店は休業要請があって、協力金も支払われる(それで良いとは言わないが)けど、タクシーは雇調金(雇用調整助成金)か、休業支援金・給付金に頼るしかない。
飲食業は休業している。
会社関係は、テレワークなんかで、なるべく動かない。
需要は絶望的に減っている中でも、タクシーを必要としている人はいる
しかし、雇調金や休業支援金を使えば、仕事をしなくてもいくらかの金はもらえる。
極端な話、コロナ前の全てのタクシーが出たら会社は持たない。
だからと言って、全てのタクシーが休業したら、利用者は困る。
そこで上の記事のドライバーのように、出て行って、多くのドライバーが休業してるから出来ないこともないけど、やはり疲れ果てる。
チキンレース(※)のようなもので、このままだと、長く走ったもの、がんばったものが損をする(死ぬ)みたいな世界になってる
※相手の車や障害物に向かい合って、衝突寸前まで車を走らせ、先によけたほうを臆病者とするレース。
残念だけど、タクシーは淘汰される段階なのかな。
このコロナという「ふるい」から残ったものだけが、次の世界を見れる。
今回のコロナ禍で俺も結構考え方が変わった
若い人たちにこの世界に入ってきてもらいたいと思ってたけど、それは難しいのかなと。
コロナ前は、業界が変わっていくことで(今までほとんどいなかった)若い連中を迎え入れられると思ってた。
でも、ちょっと今は無理。
がんばっている人ほど損をする
信じたくないけど確かにそういう世界で、タクシー業界だけではないかもしれないが、病巣は深い。
ここから立て直すのは大変だなぁ。
正直諦めかけてる自分もいる。
でも上の記事で一つ、この業界の光も感じた。
「ただ、運転席と後部座席の間にビニールカーテンを吊るすことはしなかった」
少し感動した。
記事にもあるように、確かにビニールカーテンは事故リスクを高める。
でもそれだけじゃない。
乗客との壁を作ってしまったら、この仕事の光がなくなる
この業界、まだ捨てたもんじゃないと思わせてくれる一文だった。
突然だが、良い企業とはということを考えてみる。
良い企業とは、利益を多く稼ぐ企業だろうか。
その答えは、恐らくイエスである。
しかし、良い企業を創ろうとしたとき、利益を多く稼ごうという目的でそれが達成されるだろうか。
その答えは、恐らくノーである。
要するに、良い企業とは、多くの利益を稼ごうとしていなかったのに、結果的に多くの利益を稼ぎ、その結果その従業員に多くの配分(給料)をし、そしてその消費者に多くの付加価値を与えている企業である。
それなら、その素晴らしい企業の最初は一体何を目的にしているのだろうか?
それはまず自分(創業者)が楽しむこと。
そして自分が楽しむことが、結果社会にとってプラスになっていることが最も重要な要件である。
それをタクシーにあてはめてみると、
タクシーという事業自体が社会の役に立つことはいうまでもない。
人々は移動を必要としていて、電車やバス、自家用車はあるものの、その状況でこれらの手段が利用できないときには、タクシーが必要であり、そういった状況は人々が普段思っている以上に多い。
だからその手段を社会に与えようという想いを持ってタクシー事業を始めた人物は、日本に限らず、その国の社会の中で成功し、恐らく多くの利益を得ていることだろう。
しかし逆に、タクシーという事業が「儲かる」と思ってこの業界に進出した人物は恐らく失敗して、この競争社会の中で痛い目に遭っている。
上に挙げた例においての違いは何かというと、恐らく地方、田舎と都市部または都市部においてもタクシーが足りない地域、または足りなかった時代ということになるのであろう。
要するに、タクシーの足りない時代、地域にその事業を始めた業者(人物という言い方をしても良いのかもしれないが)は成功し、逆に既にタクシーという交通手段が流通し、足りていて、そこにプラスで乗っかって、その場合値段を下げて、始めた業者は失敗している、または今はまだ存在しても今後消えていく存在になるだろう(ある会社のこと言ってないか?)。
この話を「今」に持ってくるならば、このコロナ禍の中で既に耐えられず撤退していった業者もあるが、国の補助制度(雇用調整金)に必要以上に乗っかって生き残っている業者もある。
もちろん、苦しい中で乗務員を守ることは重要である。
しかし、この状況下でもタクシーを必要としている人たちは間違いなく存在している。
この苦しい状況下でも、数少ないのかもしれないが、その「タクシーを必要としている人たち」にしっかりと向き合い、その人たちのために国の補助制度を必要最小限にとどめ、タクシーを走らせる業者、またはドライバーこそが生き残るのではないのだろうか。
そして、そのような会社、苦しみながら走り続けるドライバーを多く持つ会社こそがタクシー業界における「良い企業」であり、このコロナ禍が終わった時に残っている企業ではないだろうか。
ちょっといやらしい話にはなるが…(ならやめとけ)
タクシーを研究する上で、
「金にならない分野」と、
「金になる分野」
がある。
いわゆる「金にならない分野」とは、
事故を減らすシステム
なのかな。
言うまでもなく、タクシー業界において最も重要な分野ではあるものの、ここに投資する意識は薄いのかもしれない。
どの業者にも社内には運行管理者なるものがいて、事故を減らす努力をしている
コストをかけて新たなシステムを構築したところで、それにより事故がなくなることは考えづらく、そこにコストをかけるくらいなら事後的な保険に投資した方が効率的?と考えられていると取れる。
逆に「金になる分野」とは、
従来は、タクシードライバーを募るリクルートサイトであった
しかしコロナ禍において、現状ドライバー求人は手詰まり感がある上そこにコストをかけるほど業界には余裕はない。
需要喚起が難しい状態の中では、コストを削るという一般的なロジックになる
まずは人件費を削るという面においては、雇用調整助成金などもある中で現状のドライバーを削るわけにはいかない。
人件費を減らすには高齢ドライバーなどの退職を既読スルーして(なんやその表現)、新たな求人をしないことでドライバーを減らすこと。
そしてタクシーにおいて人件費の次に大きなコストとなっているのが燃料費である
ここを減らすにあたっては、既にハイブリッドカーの導入により実施されている上に、
EVタクシーの導入が大きな転換期となる
例えば今「EVタクシー」と日本語で検索すると、最も上位に来るのが下の2012年の9年も前のサイト
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1201/26/news023.html
EVタクシーに対する5社の問題意識は2点にまとめられる。1つは、航続距離に制約があり、LPG(液化天然ガス)車と同等の流し走行が困難であること、次に充電や充電待ちに要する時間のロスだ。問題解決策の実効性を確認するのが、今回の実証試験の目的である。
①航続距離の制約、②充電スタンドや充電時間の問題
2021年になった今、この2点の問題は解決されているのだろうか。
未だ解決されていないとして、その見通しは立ちつつあるのだろうか。
次回以降で検証していこう(なんの番組や?)