2022年5月31日火曜日

タクシー固定給考察 まとめ

 ここまでいろいろと(面白くもない)計算をしてきたが、とにかくやってみないことには分からない。


これはなんでも同じことである。


やってみたところで想定出来る結果を「成功」と「失敗」に分けることで、リスクを測ることが出来る。


「成功」について考える。


業界としては「成功」したときに得られる利益よりも、やらなかったときに失うものを考えないといけない。


言わずもがな、タクシー業界は人手不足に喘いでおり、超高齢化業界の今後はさらなるドライバーの減少が予想される。


完全歩合制というのは、車両が余っているときに成り立つビジネスモデルである。


頑張る人は頑張って、そうでない人はそれなりに。生活出来なければ自然とやめていくやろ、みたいな緩い縛りではもはや需要を満たすことが出来なくなってきた。


歩合制のもとでは、仕事のあるなしを調査や経験で予測して動くのはドライバーであり、管理側は「効率的な配車」を考える必要はない。


要するに、無駄だらけなのである


GPSによる車両検知のシステムだったり、走行履歴や時間の計算などが比較的安価に出来るようになった昨今においては管理における費用対効果の向上が期待出来る。


経験や勘に基づいて無暗に街を流したり、シートを倒して延々と客待ちの列に並ぶこともない。


仕事のあるところに効率的に車両をまわし、余裕のある時間帯に休憩させる。


労働時間は大幅に減り、収入が増える。


低収入に喘ぎ、低収入が故に蔑まれ、人材の質が低下していくという業界の負のスパイラルを抜ける兆しが、固定給制導入の成功でようやく見えてくるのである。


今固定給制を導入しなければ、高齢ドライバーが徐々に去ってゆき、若手ドライバーは入っては来ても、数年で出ていくことになるだろう。


単身日暮らしの中年以降のドライバーが若手に「一生懸命働くことの無意味さ」を懇々と説き、業界の「やる気」を削いでいく。


犠牲者は利用者であり、日々タクシーを必要としている人たちは「タクシーを待つ」ことが当たり前になり、需給のアンバランスから値段はどんどん上がっていく。


ただ固定給の導入が必ず成功するという確証はもちろんまだない。


それはまだ時機尚早かもしれない(失敗するかもしれない)、という懸念である。


簡単に言えば、ある程度、例えば月給30万程度の固定給をドライバーに支払っても、業者にそれに見合う収入がなく、早晩行き詰まるというシナリオである。


長いこと完全歩合制に浸かっていた既存のドライバーは、「もらったら、その分働かないとい」という、いわば当たり前の感覚がない。


この給与体系のドラスティックな改革については、当然全ての労働者(ドライバー)を入れ替えることは出来ないのだから、その改革の過程では、多くの既存ドライバーを相手にしなければならない。


これは正直大変な作業である。


この長い完全歩合制の歴史によって築かれた業界の悪しき慣習はそう簡単には拭えない。


業界を変えるのは、10年、いや20年かかるかもしれない。


それでもやらなきゃいけない。


タクシーというものがなくなることはないかもしれないが、将来は、少なくとも地方では、公共で管理される「送迎」の仕事になるのかもしれない(それも多分固定給やろ)。


都市部と地方では大きく違ってくるんやろな…


都市部においても、固定給の業者があり、歩合制の業者もある


歩合制の業者においては1000万プレイヤーの夢があり、固定給制の業者では今までになかったチームワークで繋がる世界がある。


未だエキサイティングな業界の将来を夢見てやまない「おっさん」がいる


さあ、あなたもいっしょに夢を見ましょう(きも)


2 件のコメント:

  1. >公共で管理される「送迎」の仕事
    この仕事は、利益を追求していないので、白ナンバー車でも良いと思えます。
    更には高齢化が顕著な現状に、成りて不足。

    経営陣が新型コロナ禍後の方向性を模索せずにきたツケでしょう。

    >エキサイティングな業界の将来
    こんな未来を描くべきかと思えます。

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    1. ありがとうございます。
      「公共の(との)関わり」は今後の業界の未来を描く上では避けては通れないところです。
      旧態依然の経営者は、公共がどこまで助けてくれるか(補助金)、何をしてくれるか、未だ様子を見ている状況です。
      その間に時代は進み、ドライバーは減っていく。状況はどんどん変わっていきます。
      利用者が悲鳴(タクシーがない)を上げるまで、業界も、行政も変わらないかもしれません。

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