2014年3月4日火曜日

タクシーストーリー③~俺がタクシー会社に行ったとき

次の日、俺はあるタクシー会社の前に立っていた。

前日に酔ってタクシーに乗って帰ったわりにはその日は早く目が覚めて、

朝から「タクシー 求人」で何度も検索していた

最初に電話した会社に面接に行こうと決めていた。

どうせ悩んでも切りがないし、どこも同じやろと・・・

ただ営業所が自宅から近い会社を探して電話してみた。

「あの・・・ネットの求人広告見たんですけど」

「・・・ネット・・・ですか?」

電話を受けた女性は、電話越しに誰かに伺いをたてていた。

(うち、ネット求人なんてしてるんですか?)

「すみません・・・ちょっと担当者に代わりますね」

「・・・はい」

代わって電話に出た男性は、恐らくその営業所の所長らしく、かなり横柄な対応やった。

「もしもし?タクシー乗りたいの?年いくつ?」

最初に電話を受けた女性から「(電話主は)若そうや」ということを聞いていたのだろう。

それにしても、いきなりタメ語はカチンときた。

「はい・・・27歳です」

また電話の向こうで声が聞こえた。

(おい、20代やって)

笑い声もかすかに聞こえた。

「27歳かぁ。若いねぇ。またどうしてタクシーに乗りたいと思ったの?」

「はい・・・あの・・・今の仕事でいろいろあって、もっと自分のペースで仕事がしたいっていうか、ブログとか見てたら『自由な仕事』なんて書いてあったんで」

鼻で笑う声が聞こえた。

「・・・ブログですか。いやぁ、若い人は見るところが違いますねぇ(笑)。まあ、とりあえず履歴書持って一度面接に来てもらえますか?」

言葉は敬語に変わったが、明らかに見下したというか、トゲのある敬語やった。

「分かりました。いつ頃お伺いしたらよろしいでしょうか?」

「あぁ、いつでもいいよ。今日空いてるの?」

「あ、はい」

「仕事は?」

「ちょっと・・・休みました」

ため息のような空気を受話器越しに感じた。

(これは、ダメやな)

「じゃあ、昼過ぎに来れる?」

「あ、はい」

信号の向こうに、タクシー会社の事務所のドアが見える。

歩行者信号が青になった。

俺はその信号を渡らずに、事務所のドアをじっと見つめていた

信号が点滅した。

赤になった。

目をつむった。

いろんなことを考えた

信号がまた青になった。

俺はその信号を渡った。

18 件のコメント:

  1. 今回のブログを拝見して、私が17年前(私、30歳)に都内のタクシー会社に面接に行った時の事を思い出しました。面接終了後に所長に『こんな業界に何年もいたらダメになるぞ!2~3年で辞めなさい』と言われ採用されました(笑)

    あれから17年、、、おかげさまで個人タクシー7年目(笑)

    2~3年で辞めなくて本当に良かったです!(辞めようと思った事は1度も有りませんでしたが…)

    こんな、気楽で自由でストレスフリーな仕事は他に思いつきません。by提灯行列

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    1. 提灯行列さん

      すみません・・・コメント見逃してました。

      >面接終了後に所長に『こんな業界に何年もいたらダメになるぞ!2~3年で辞めなさい』と言われ採用されました(笑)

      わかりますねぇ。こういう空気。
      しかし17年前は提灯行列さんのように将来個タク免許を取るような優秀な人材に「いつ辞めても良いよ」と言えるくらいに、タクシー業者もリクルート事情に余裕があったと言えるのかもしれません。

      今は状況が違います。のどから手が出るほど欲しい乗務員、どの業者も苦しんでますよ。

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  2. 目の前の信号が蒼(あえてこっち)になったら、前へ進みしかないですよね。今自分は赤信号ですが。。。

    タクシー業界のある種の幼稚さ、旧態然とした考え。でも世の中はどんどん先へ進む一方で進むのは乗務員の平均年齢の高さw

    自分は、ありだと思った業界です。今もその考えは変わりません。ただ病状的に夜勤はマズイので・・・・ならば、この資格(二種)を活かす方向があるか・・・と模索中です。

    感受性が高い方ですね。高過ぎるきらいがあるかも知れません。
    自分もそうですから

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    1. ゆーじさん

      >タクシー業界のある種の幼稚さ、旧態然とした考え。でも世の中はどんどん先へ進む一方で進むのは乗務員の平均年齢の高さw

      確かにです。
      若い人が馴染めない環境があるのは確かです。

      しかし、それは「環境」に目を向けたときの話であって、仕事そのもの、本質は実は若者向きなのかもしれません。

      そうしたことに多くの人たちが気付いていけば、やがて環境も変わっていくはずだと確信しています。

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  3. おっと、この展開は小説っぽいですね、続きが楽しみですw
    私は今年で5年目になります
    この業界については↑の方と同じ考えです。
    営業会議も品質管理や得意先接待もタイムカードすら無い個人主義の
    業務形態、しかしそのゆるさに甘えている自分があります。
    健康・安全・無違反等、自己管理に努めて行きたいです。

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    1. 流し専門さん

      コメントありがとうございます。

      >営業会議も品質管理や得意先接待もタイムカードすら無い個人主義の業務形態、

      昨今の規制強化で、タイムカード的なものは多くの業者が取り入れていると思います。都市部(指定地域)ではタコメーターで管理出来ますし。

      「営業会議、品質会議」これは今後必要になってくると言いますか、こういったことに「気付いた業者」が勝つんだと思います。
      製造業なんかと違うところは、乗務員全員が品質(運転、接客技術)を作りこんで、営業していかないといけないというところでしょう。

      一部の年配乗務員にとっては、「そんなアホなこと出来るか」と笑われるでしょうが。

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  4. タクシー会社の職場環境は?

    これも会社によって多少違いますが、全体の傾向として先輩風が強烈にまかり通っている業界です。言葉は悪いですが、いわゆる雲助的なレベルの人員が多く 現代ではちょっと見れない悪しき慣習で支配されている職場です。特に新人さんは本当に大変ですよ。私の知人で我慢の限度を超えて、先輩社員3人をボコボコにしてしまい警察沙汰になってしまった人がいました。また、運行管理の人間は基本的に運転手を人間とは見ていませんので、20代、30代の若造が平気で50代の運転手にタメ口をきいてきます。会社側は職場環境改善等には関心がなく、いかに安く運転手を使って行くか という部分に全力を上げて取り組んでいるというのが実態です。入るなら東京大手四社が良いですよ。

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    1. コメントありがとうございます。

      >これも会社によって多少違いますが、全体の傾向として先輩風が強烈にまかり通っている業界です。

      確かに、そういったところはあるかもしれません。
      しかし他の業界と違うところは、先輩だからと言って多くの場合は何かの権限があるわけでもなく、もちろん責任もなくポストもない。少し仕事に慣れてきて頑張れば、数ヶ月で態度のでかい先輩を営収で追い抜くことが出来ます。要するに収入で上に立てるわけです。

      そうならないように、「賢い先輩たち」は最初のうちに一生懸命頭を抑えるわけです。

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  5. 東京四社営業委員会は、東京都23区と武蔵野市・三鷹市を営業区域とするタクシー会社大手四社によって構成される営業組織である。構成しているのは以下の四社で、東京四社、東京大手四社などとも呼ばれる。大和自動車交通、日本交通、帝都自動車交通、国際自動車、四社は、それぞれの会社の頭文字から大日本帝国とも総称・俗称される。大東亜戦争末期の統制経済下に東京地区のタクシー会社は整理統合された後、これら四社はいずれも終戦後ほぼ同時期に設立されている。委員会は各社が営業上の相互利益を得るために組織されたもので、共通チケット・クーポン券の発行・取り扱い、ならびに無線配車での協力が行われている。車両に関しても四社カラーと呼ばれるレモンイエローに赤帯、球型行灯の統一仕様を有している。
    他には、東京無線協同組合(東京地区における大手タクシー組合)、チェッカーキャブ無線、中央無線(大和自動車交通に吸収合併)等もある。

    そして、便利なSuicaは、東京四社営業委員会のタクシーは全て利用できる。

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    1. 東京タクシーの解説ありがとうございます。

      今サイドにリンクしている、山田清機「東京タクシードライバー」という本を読んでいます。また少しずつ投稿でも紹介していこうと思っています。

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  6. なに、古典みたいな事、言ってんだ?(笑)
    世の中、進歩してんだ。
    都内大手タクシー屋なら、自動日報だよ!
    メーター 入れる 支払いボタン押す 空車ボタン押す
    それで、帰庫時にPCにアップロードすりゃ、全部出てくる(笑)
    なお、地方タクシーみたいに無線係がスピーカーで、「ガーガー、予約です。■■町の○○さんです!近くの車両、応答願います!」

    なんて、しない(笑)

    GPS連動で、オペレーターが近くの車両探し、入力すれば、「住所」 「名前」 「待ち合わせ時間」
    など、全部でてきて、ナビ通り行って、待つだけよ(笑)

    いや、本当に(笑)

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    1. ありがとうございます。

      >自動日報だよ!

      確かに手書き日報はこの時代どうかと思います。
      と言いつつ、多くの業者がまだ追いついていない状況でしょうが。

      GPSと自動日報で、乗務員が営業戦略の分析ができるようなシステムを作れば、(スポーツみたいで)より面白い仕事になっていくと思います。

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  7. 私は福井県でタクシー乗務員をやっておりますが、凄く暇な曜日も有りますが、何件も断らなければいけない忙しい曜日も有ります。
    いちいち手書きで日報を書き、アナログ無線で、非合理的な配車をしております。
    乗務員は勝手に移動したり、日報を誤魔化したりしています。
    自分の目標を稼いだら勝手に帰ったり、暇な曜日は休んだりしています。
    その結果、せっかく遠距離の電話注文が有っても断らなければいけない状況が続いています。
    この仕事は、GPS、デジタル化が必要です。

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    1. コメントありがとうございます!

      >いちいち手書きで日報を書き、アナログ無線で、非合理的な配車をしております

      わかりますねぇ・・・地方のタクシー事情。
      しかし地方には地方の楽しさがあって、ゆとりもあります。
      都市部でスポーツのような「闘い」を好むか、地方での「ゲーム」を好むかという感じでしょうか。

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  8. あえて言おう。
    高齢者の匂いがプンプンして極めてダサく、世間から見下されているこの仕事、今後伸びるのに大切さは、若々しさです。
    これからのタクシー乗務員には、お洒落が必要なんです。
    特に髪型には、気をつけましょう。
    薄毛の人は、スキンヘアにカットして渋く魅せるのも良いです。
    また、爪や手も、綺麗にしましょう。
    そして、時計もお洒落な物が必要です。
    制服も毎日アイロンをかけて、爽やかな微香も付けましょう。
    休日は睡眠をしっかり取り、顔色を良くしましょう。
    待機時は、常にスマートフォンで情報を更新しましょう。

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    1. コメントありがとうございます。

      >これからのタクシー乗務員には、お洒落が必要なんです

      良いこと言いますねぇ。
      確かに「ダサい」ドライバーが多いですから。ちょっとしたお洒落でも目立つし、もてますよ。
      特に夜中に酒が入ってタクシーに乗ってくる若い女の子なんて、ちょっと運転手が若いだけでテンションあがったりしますよね。会話も弾みますよ(場合によるけどな)。

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  9. 自分は30代で数ヶ月目のタクシー乗務員です。夜勤ではスナック・ラウンジの酔客や、ママさんやホステスを送迎する事が多いのですが、見た目も性格も雲助のクソじじいばかりのタクシー会社ですから、やはりモテますよ。自分からは話さない営業スタイルを取っているのですが、女性乗客から話し掛けてきますね。最近は携帯番号も聞かれるので、名刺に番号を手書きで書いて「特別にお教えします。」と言って、優良な女性乗客(乗客の性格が重要)にだけ渡しています。私は性交がしたいわけではなく、男性と女性の友情は凄く良いドラマを生み出す事を知っているので、交流を広げていこうと思っています。またこの仕事は女性従業員や女性オーナーの自宅まで送迎するわけで警備も期待されています。スナックやラウンジは、警察沙汰を嫌がるので、所属している労働組合やタクシー会社と協力して、ストーカーを打破した事も有りますよ。

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    1. コメントありがとうございます!

      >自分からは話さない営業スタイルを取っているのですが、女性乗客から話し掛けてきますね。

      相手に「話させる」というのは、比較的高い技術を要するのですが、乗務数ヶ月では難しいですから、恐らくよほどのイケメンなんでしょうね。

      >男性と女性の友情は凄く良いドラマを生み出す事を知っているので

      いろんなドラマを作って来られたんですね・・・今後ドライバーとしても多くのドラマを作っていくことでしょう。
      また教えてくださいね!(なんか変なこと考えてないか)

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