「今まではどんな仕事してたんですか?」
考えてみれば、相手にとっては一番重要な質問であるが、
面接もそろそろ終わりかと思ったときに、社長が問いかけてきた
ここまでは、課長がクシーの仕事や教習の内容などの説明を一方的に説明するのを聞いていた感じであった
回答は少しは用意していた
「今まではスーパーでの仕事が長かったです。基本はレジ打ちや品出しですが、最終的には店長として仕入れや値付けなども行っていました」
「そこまで任されたら、それなりにやりがいもあったんやないですか」
「はい。自分なりにはやりがいを感じていた部分もありますが、そこに対する評価はほとんどなかったですし、ミスに対する突っ込みは容赦なかったです」
「店長として、下のもんの責任も負わされたりするんやろな」
「はい、その通りです」
「楽しくなかったか」
「まあ、…はい」
「収入は?履歴書には書いてないか」
隣に座っている課長に振る
「はい、記載ありません」
課長が事務的に答える
「給料はどのくらいもらってたんですか?」
聞きにくい質問なんだろうが、社長はストレートに聞いてきた
「はい…年収は400万を少し超える程度ですが…収入面でそれほど問題はなかったんですが」
「ハハハ!収入に問題ないのに辞める奴はおらんよ。ストレスの大きい仕事でも、それなりの収入があれば、人は我慢するもんや。もちろん限度はあるけどな。聞いたところ、あなたが今の職場で感じているストレスは、悪いけど一般企業で中間管理職が感じている『普通の』ストレスやろな」
ズバっと言うな
このくらいから、少しづつこの社長に信頼というか、リスペクトを感じ始めていた
「そうなんでしょうか…、そうなんでしょうね」
「給料が少なすぎたいうことや」
社長が笑顔を振ってきたので、こちらもぎこちない笑顔を返した
「まあ、心配せんでも良い。あなたが今もらっているくらいなら、(タクシーで)それを下回ることはないやろ」
白髪の社長はもう一度笑顔を振ってきた
「あなたにとって、タクシーの仕事はきっと楽しくて仕方ないやろな」
今度は笑顔を返すことは出来なかった
12月5日(金) 67,550 48回
12月最初の金曜日
少しは期待して出たものの、
やはりというか、
12月はじめは良くない
20年以上この業界にいると、分かってはいても12月という響きに期待してしまい、
そのギャップにショックを受ける
まあまあ、だんだんと上げてくるやろ

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