CNETジャパンに、「電脳交通」なる、いわゆる「タクシーベンチャー企業」の記事が出ていた。
100年変わらないタクシー業界をDXで救う--徳島発のMaaSベンチャー「電脳交通」の挑戦
タクシー業界のDX(デジタルトランスフォーメーション…IT活用による改革)を掲げ、家業である徳島の小さなタクシー会社「吉野川タクシー」を継いでいた近藤洋祐氏が2015年に「電脳タクシー」という会社を起業している。
それにしても、吉野川タクシーというのは、いかにも「地方のタクシー会社」という感じで良い味を出している…
※日経ビジネスの記事(https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00341/080500001/)より
メジャーリーガーを目指し?アメリカに単身渡米していた近藤氏は経営が傾いていた実家のタクシー会社を立て直し、このタクシー業界の古い体質を変えようと起業したという内容である。
近藤氏はまだ30代半ばと若くイケメンで、話の内容としては、東京日本交通の川鍋一朗社長に少し似ている(会社の規模が少し違うな…)
自身が2種免許を取得し、とにかく現場から情報を集め、業界の空気を捉えたという話は興味深いところである。
また気になるのは、この記事のタイトルとなっている、
100年変わらないビジネスモデル
というところである。
この説明としては、
「タクシー事業は1912年に東京の有楽町で始まったが、タクシー業界のビジネスモデルは、それから100年以上ずっと同じで変わっていない。どういうことかというと、現金が毎日回っているので、自転車操業がずっとできてしまう。だから、現在約6000社ある国内のタクシー会社は、みんなずっと同じ課題を抱えている」
要するに、日銭を稼いでそれを運転資金にまわし、大きな改革をすることなくここまで来てしまっているということかな。
付け加えるのなら、地域の業者がつるんで、自治体(地域行政)を囲い込んで新規参入を防いできた(だから改革など必要なかったんやな)。
そこで近藤氏の立ち上げた電脳交通は、HPを見ると、主要事業は主に「クラウド配車システム(遠隔配車システム)」のようである。
配車をシステム化して、コールセンターのようなところで、ゆくゆくは全国津々浦々の配車を請け負う…それにより地方のタクシー会社には配車室はなくなる。
いろいろと問題はあるのかもしれない。
まず遠隔配車の問題としては、地域の事情を把握していない。
電話で場所を言われても、オペレーターにはよく理解出来ないということである。
アプリ上での配車ならともかく、記事にもあるように、タクシーの配車のほとんどは電話受付であり、これは恐らくこの先も大きくは変わらない(高齢者がアプリでタクシーを呼ぶ時代はまだ見えてないな)。
ただこれはスマホの位置情報が常にオープンになる時代が来れば、ある程度解決するかもしれない(予約者がどこから電話をしているか、地図上に表示されるということね)。
あと、配車室がなくなって人員コストを削減出来たとしても、法律上営業所に運行管理者はいなくてはいけない。
運行管理は遠隔管理(電話での点呼など)は認められていないので、配車がなくても営業所における管理者コストはかかる(小さな営業所は大体社長さんが配車も運行管理もしてるんやな)。
あと何より、人的コスト、配車コストなどが抑えられたとしても、
古いビジネスモデルを破って、新たな収入源を創りだす
というところが業界にとっての大きな課題(収入アップ)である。
ここは、
都市部においては広告(車両ステッカーの価値向上、アプリ広告など)
地方においては行政との連携(交通過疎地における運送計画)
などが考えられるが、同社について後者は既に取り組まれているようで、そこには注目している。
何より若い経営者がこの業界の改革に取り組んでいること、そして第2、第3の近藤氏が現れることで、業界に化学変化が起きていくことを期待しよう。
私は、近藤洋祐氏と川鍋一朗氏が混同してしまいますね。
返信削除しかし、これからの此の業界の変革を願っています。
そんな時に出てくるのがクラウト配車システム。
田舎では、住所ではなく地元固有の名称での依頼が想定されるので、オペレーターが如何に理解するかですね。
ですが、此のシステムは、良い仕組みかと思えます。
確かに日本中、都市部でも田舎でも、大きな会社も小さな会社もそれぞれ配車センターを持つのは非効率です。
削除それを集約する電脳交通のようなベンチャー企業のシステムは利用者にとっては、大変有り難いものかもしれません。
ただこれで利用者にとってタクシーの料金が下がるわけではありませんし、タクシー会社のコストはある程度削減出来ても、収入が飛躍的に伸びるわけでもない…
まだまだ遠い道のりですが、我々も含め業界を変えるため、もっと「儲けるため」にアイデアを出してがんばっていきましょう!