2025年4月5日土曜日

入学式

 神戸の桜は満開!

この時期(とクリスマスシーズンかな)は、

本当にタクシー乗ってて良かった

と毎年心から思う

こんな贅沢な仕事ないよな

そこらじゅうに咲くきれいな桜を見ながら金もらえるわけだから

普通にありえへんレベルに楽しい

こんな俺も、少し前まで「管理職」という名の社会的にはある程度リスペクトされる肩書を持って、

「事務所」という名の牢獄に入れられていた

まあ過去のことは良い

ネガティブな話もやめよう(そんならタイトル変えろ)

そんな桜咲く良い季節に、駅から着物を着た女性と、明るいコートを着た娘さんが乗車してきた

そのいで立ちと、明るい笑顔で話す姿を見て、

「入学式ですか?」

若い娘さんは満面の笑みを浮かべて、

「そうなんです」

「良いですねぇ。今日は天気も良いし」

「はい、本当に」

「大学ですか?」

「専門学校です」

「そうなんですか…」

こういうとき、専門学校で何を学ぶかまで突っ込むべきやったな、と後で少し後悔した。

大学でなく、「専門学校」という響きに彼女がコンプレックスを感じていないか、これ以上聞いて良いのかと少し引いてしまった感がある。

大学なら、「何を勉強するんですか?」と聞いていたかもしれない。

それはまさに、このタクシーという仕事にコンプレックスを持っている自分とかぶるではないか。

タクシーに乗っていると相手に分かったとき、突っ込んで話を聞いてくれないと感じることがよくある。

この人しっかりしてるように見えるけど、タクシー乗ってる(底辺の仕事してる)んや

という空気

そんな空気を自分が出していたと思うと、自分にがっかりした。

しかし降り際に

「おめでとうございます」

と言うと、やはり満面の笑顔で、

「ありがとうございます!」

もちろん、この器量も良く前途ある娘さんは、コンプレックスなど微塵も感じていない。

「春らしい装いで良いですね」

「母と(色が)お揃いなんですよ」

「がんばってくださいね」

「ありがとうございます!」

恐らく彼女もタクシーという仕事に対して、蔑みや哀れみなどは微塵もなく、逆に良い印象を持ってくれただろう。

新しいスタートの日に乗車したドライバーとのちょっとした会話、彼女は一生覚えてくれるかもしれない。

こんな積み重ねがタクシーという仕事の価値、ドライバーの社会的地位を上げていくはず。

地道に行こうぜ。

手ごたえはあるんや。


4月4日(金) 48,820 43回

明るい話題とは裏腹に、ありえへんほど最悪な金曜日

株価大暴落の影響もあるんやろうか(毎日数十万損してるんやろ)

地道に行こうぜ(手ごたえはあるんか)









2025年4月3日木曜日

50年戦士

 タクシーの世界は2,3年のにわかでやたら知ったようなことを吹聴するドライバーもいれば、

50年乗っていても、謙虚な姿勢を失わないドライバーもいる

先日墓参りの仕事で、そんな先輩と一緒に仕事をさせてもらった

「この貸切って、どうやってメーター操作したら良いの?」

そんな先輩に(事務的なことを)俺が教えるような状況だったが…

俺も一応この世界20年を超えるキャリアではあるや墓参りのお客さんを待っていたとき、いろいろ話が出来た

「(ドライバーになったのは)万博の後かな、万博は忙しかったみたいやけど」

「万博って、(1970年の)前回の…生まれてませんわ」

「あの頃初乗り300円くらいやなかったかな、よう覚えてへんけど。でも、3年くらいでどんどん(初乗り料金)上がっていったわ」

「自分も(この世界)20年以上になりますけど、まともに上がったのは2年前が初めてですわ」

「そんでもな、300円そこそこで、1日50回は乗せて、よう(水揚げ)上がったよ」

「どんくらい上がりました?」

「どうやろ…それでも年収で700万はあったな」

「70年代に700万ですか。えぐいすね」

「タクシーも良い時代あったねん。今はあかんな」

「これからまた良い時代が来ますよ」


4月2日(水) 69,320 29回

4月最初の乗務

昼間は淡路観光なんかもあって、予定外の雨も降って…まあまあよく動いたな



2025年3月29日土曜日

10年付き合って(不倫して)てんで!

 前回の乗務だが、夜20時頃やろか

43沿いのコンビニへの配車

現着しても、誰もいない

コンビニから呼んで、そこにいないというのは経験上やや不自然

アプリの画面を見ると、全然違うところにアイコンがある

アプリで電話を入れる

「すみません、指定のコンビニに来てるんですけど」

「コンビニ?なにそれ?」

「…ここが配車の指定地になってるので、お客さんのいるところは…(ラブ)ホテルですか?」

「…」

「そちらに行きましょうか?」

「あんた何言ってんの?」

「そちらに行きますね」

そのラブホテル前に行くと、40~50くらいの女性がホテル前に座っている

こちらへ歩いてきた

「××さんですか?」

「どーでもいいわ、早く行って」

感じわる

目的地も指定されていたし、ちょっとむかついたから黙って運転していると、

ひとりでブツブツ言っている

「なんやねん…この10年なんやったねん!」

「あんな終わり方ある?」

「あんな背中向けて、わたし捨てられたの?」

いろいろ説明してくれている

もう見た目かなり崩れかけた女性で、

そら捨てられるやろ(ブログでしか書けへんな)

という感じやったが、

当然そんなことも言えない

かまってほしい感はガンガン来ていたので覚悟はしていたが、

やはり来た

「運転手さん、どう思う?」

聞いてたやろ前提か!

「いや…何がですか?」

「10年付き合ってて、今ゴミみたいに捨てられてん。どう思う」

確かにゴミみたいに見えます

なんて言えへんし

「長いこと付き合ってたんですね。相手さんは家族があるんですか」

「そうやで、それが何?」

「…お客さんもご家族があるんですか?」

「子供はおるけど、旦那とは一瞬で別れた」

分かるわw

「まあ、そういう関係ならどこかで終わりは来るんでしょうし(もっと良いなぐさめかたないんかい)」

「あの人は、家族じゃない人と付き合いたい言っててんで!」

「お幾つくらいの方やったんですか?」

「60過ぎ」

「随分年上?ですか。男前の方やったんですか?」

「顔めっちゃぶさいく」

「はぁ」

「わたし前の旦那と別れたときめっちゃ借金あったから」

あったから、なんやねん

そのおじさんに払ってもらってたんか

見た目だけやなく(言うな)、中身まで最低やな!

目的地に着いた

「ペイペイで払います」

QRを通すが、「残高不足です」

やばい…

「あれ、おかしいな、お兄さん見てくれる」

「あぁ、残高足りてないんで、チャージしたら良いんやないですか」

「やって」

「はぁ…」

1万円チャージしてみる

(口座に残金がありません)

やばい

「あの残高ありませんけど」

「ハハ、どうしよ。お兄さん、ちょっと飲みません?」

絶対いやや

3千円チャージしてみる

できた!

料金は2900円、ギリギリ?助かった

「決済できました。早く降りてください」

久々にスリルある、しかし終わってみれば楽しいおばちゃんやった


3月28日(金) 70,360 40回

年度末の金曜日

7万も及第点かな

2乗務連続の7万

桜も咲いて、これからやなー



2025年3月23日日曜日

もうすぐ万博

 「もうすぐ、来月から万博始まるね」

お客さんから、こんな話題を振られることは多い

万博会場の輸送が課題になっていて、ライドシェアの時間制限解除や、タクシーの営業区域の制限解除なども行われる予定である。

「タクシーが不足してるとか言われてますね」

「それはライドシェアでなんとかカバー出来るんやろ」

「…どれだけの人がライドシェアするんですかね。しかもそれらの車が、万博会場に入るという保障はあるんでしょうか」

「そら、万博のためのライドシェアやから、入るやろ」

「ライドシェアは基本個人事業者ですから、そこに入らないといけないという縛りはないと思います。万博会場は島ですし、タクシー的には非常に効率の悪いエリアになりそうです。ライドシェアの車は想定しているほど入らないのではないでしょうか」

「そんなら、タクシーが入るやろ」

「経験あるタクシーの方がそういった効率の悪いエリアは避けます。しかも外国人が多いとなれば、タクシードライバーのほとんどを占める年配ドライバーは近づきません。万博始まったらすぐに車不足でパニックになるんやないですかね」

「どうしたら良いんや」

「ライドシェアでは無理ですが、タクシーで固定給のドライバーを作るべきですね。仕事があるのは分かってる。あとは固定給で強制的に万博会場に入るように指示をする必要があります」

「タクシーで固定給なんてあるんか」

「今はほとんどありません。しかしこれからは万博会場に限らず固定給のシステムを取り入れないと車両不足は免れないでしょうね」


3月22日(土) 57,270 40回

お彼岸で、墓参りの仕事なんかもあったが、夜は静かやったな。

桜もまだまだかなー



2025年3月20日木曜日

4代目

 夜22時台やったかな。

今津駅あたりからGO配車

「ちょっとその(アプリ指定)行き先まで行って、ここまで戻ってきてもらえますか」

「わかりました」

往復の仕事は近場でも悪くない

その客は走り出すなり、いろいろとタクシーについて聞いてきた

「タクシーってどうなんですか?うちの株主さんの息子がタクシー乗ってるらしいんですけど」

「そうなんですか」

なにやらその息子が外国人と揉めて、3日の乗務停止になったとか…

「あっ、そこそこ、ここでちょっと待っていてもらえますか」

その場所は、2号線沿いの、見るからに中小企業

待っていると5分ほどで戻ってきた

「こちらはなんの会社なんですか?」

「いやー、恥ずかしながら、水道管の会社なんです」

「配管関係ですか、何も恥ずかしくないやないですか」

「一応わたしが経営者です」

「そんな感じがしたから、伺ったんです」

「そうですか(笑)、わたしが4代目なんですよ」

「へー、4代続くってすごいですね」

「2代目と3代目にはお世話になってます」

「お祖父さん、お父さんということですか?」

「いや、うちは世襲は禁止してるんで」

「えー!世襲なしに(中小企業が)4代も続いてるんですか!」

「はい、2代目と3代目が50%づつ株を保有してます」

「ということは、経営者でありながら株は持たせてもらえないと?」

「そうです。そして2代目は株は持っていても経営に口出しは出来ません」

「はー…」

「3代目は口出し出来ます」

「はぁ…ということは創業者やその家族は株を全て手放していると」

「そうです」

「わたしが退くときに2代目さんの保有株50%を引き継ぐ形になります」

「そして今の3代目は株は50%保有しても、経営に口出し出来なくなる」

「その通りです」

「面白いですね!」


3月19日(水) 66,640 36回

4月と初日

朝は六甲が雪で白くなるほどの寒さ

良く動いた

が、午後は書士の仕事で2時間抜き

まあまあでしょう



2025年3月18日火曜日

成長実感

 タクシーという仕事は決してしんどくはない

誤解を恐れずに言えば、楽な仕事だ

よく収入が低いなどと言われるが、

最近はまあまあ稼げる仕事(年収500~600万)にはなってきてるし、

それでも少ないという人もいるかもしれないが、

誰にも干渉されず、

自分のペースで仕事が出来て、

自営業のようでありながら、

面倒な青色申告もなければ、

普通にやっていればクレームを受けることもない

そんな楽な仕事でもらえる金としたら、決して悪くはない

しかし問題は、

成長実感を感じられないことである

この仕事にどっぷり浸かってしまうと、

将来のヴィジョンが描けない

それを作ることやろなぁ

この仕事のステイタスを上げるのは


3月17日(月) 58,640 41回

3月度累計 728,490 12乗務 平均 60,745

悪い時期、苦しみながらも、平均6万超え

なんとなく達成感



2025年3月16日日曜日

卒業


 卒業シーズンで、ラジオでこの曲がかかっていた。

うちの息子も卒業になるが、こんな曲は知らないかもしれない。

「この支配からの卒業」

今の子供たちに、そんな概念はないかもしれない

それだけ時代も学校も良くなっていると感じる。

しかし

「早く自由になりたかったー」

この概念は今も共有出来るものだろう。

そして、卒業しても

「これからは何が俺を縛り付けるだろう」

と歌っている。

この歌詞の通り、彼は売れっ子歌手としての名声とストレス、そして「支配」に耐えられず若くして死を遂げることになる。

俺もこの曲のど真ん中世代ではあるが、

タクシー運転手として、「本当の自由」を手に入れることが出来たと心から感じている。

しかし、その「自由」と引き換えに、地位も名誉もなく、時に世間からの冷たい目線におびえながら過ごしているところもある。

思えば職業において、自由とプライドというのはトレードオフの関係にあるのかもしれない。

仕事をするにあたって自由度の高い職業は世間的に下に見られている傾向があり、

自由がない、ストレスや責任を背負っている職業は世間的にはややリスペクトされている。

タクシードライバーとして、自由もプライドも手に入れることは出来ないのかなぁ。


3月15日(土) 65,450 46回

雨の土曜日。

回数はそれなりに稼げたが、もう少し伸ばしたかった。