2026年1月17日土曜日

タクシーストーリー⑯ 鋭角コースは何のため?

合宿の教習はタイトである

1日5,6時限ではあるが、学科の小テストは予習復習なしでは及第点が取れない

実技は日々厳しくなっていく

正直今時マニュアル車なんて乗る機会はほとんどない

しかし、教習はマニュアル車である

※今時マニュアル車のタクシーなどほぼないので、タクシーの教習もオートマ限定が多くなってきているのが現状である

坂道発進で50センチほど後退したら、

「おーい!! おい、おい! 殺す気か?」

「プロのドライバーが坂道で後ろに下がるか?」

二言目には「プロのドライバー」という言葉を使ってくる

正直その言葉にはやや違和感を感じていた

タクシードライバーになろうと思ってるだけで、プロドライバーになろうと思っているわけではない

この二つの言葉は、後に経験を積む中で徐々に近づいてくるのだが、

この頃は、全く違うものとして捉えていた

2種担当の教官は主に2名だったが、

特に下地(しもじ)という、60代くらいのハゲ教官が、厳しいというより、

嫌味っぽい感じで生徒に嫌われていた

2種には鋭角コースもある

道路がV字に切られている、現実的にありえないコースを走るわけだが、

脱輪もしたくないし、コースも目視ではよく見えないので、確実に2度切り返す

下地は黙っていた

コースを抜けると、

「もう一度戻れ」

「はい?」

「もう1回鋭角入れ言うとんねん!」

完全なパワハラである

「わかりました」

「切り返しは一回や」

「…」

もう一度コースの入ったが、

やはりうまく行かず、2度目の切り返しをする

思い切りブレーキを踏まれた

ハンドルに顔を叩きつけそうになる

「切り返し一回言うたやろ!」

元々大阪人かもしれないが、徳島での生活が長いのか、関西弁のイントネーションも微妙におかしい

そんな違和感もあって、さすがにイラっときた

「お客さんが乗ってたら、脱輪したらケガされるかもしれないので」

「はぁ?」

「切り返しでケガされることはないですよね」

言い返した

ハゲ教官はそれを聞いて、きしょい笑みを浮かべた

「お前な、よう言うたな」

「…」

「その度胸はほめたるわ」

「ありがとうございます」

「でもな、この鋭角って、なんのためにやるか分かるか?」

「…」

「実際の道路にこんなんあるか?」

「いえ、ないです」

確かにそれ思った

「これはな、Uターンの練習やねん」

「…Uターンですか」

「せや、タクシーっちゅうのは、Uターン商売や。1日に100回でもUターンせなあかん」

「100回…(大げさやろ)」

「片側1車線の道でUターンするときにな、1度でまわれんかっても、2度目で行けんかったら、対抗(車線)で飛ばしてきた車あったらどうや?」

「あぁ…」

「危なくないか?」

「…はい」

こんなハゲのおっさん教官に論破されると思わんかった


1月16日(金) 71,930 55回







0 件のコメント:

コメントを投稿