2025年10月4日土曜日

「隔勤が好きなのですか?」

 以前コメント欄で、

https://cooldriver-in-kansai.blogspot.com/2025/09/blog-post_12.html

「隔勤が好きなのですか?」

という質問を頂いた

好きです

感覚的に好きというのは簡単だが、

隔勤について考えている人のために、具体的に考えてみよう

理由としてはまず

①休みが多い

隔勤は大抵月12または13乗務である

月の半分どころか、6割程度が休めるわけである

この時間を使って副業も出来るし、趣味を存分に楽しむことも出来る

俺も実際副業でも稼いでいる

実際の乗務は18~20時間になるのでがっつりだが、

俺の場合は朝8~26時(深夜2時まで)を基本にしていて、

日報締めて帰ったら3時半から4時くらいにはなるが、

明け(翌日)は9時頃には起きる

ほぼ1日まるまる使える

②丸1日の客層を見ることが出来る

タクシーの客層は様々で、それは地域や時間帯によっても変わってくる

朝は病院通いのご老人が多く

午後になると買い物客や、ビジネスマンの利用も増える

夕方はまたビジネス含む他地域から来た客が飲食に動いたりして、

深夜になると若者の利用が多くなる

そんな様々な街の姿を見ることが出来るのは楽しい

③意外と健康に良い

気がする

2日サイクルでまわっているので、慣れたら身体のリズムは出来る

仕事は楽しいし、次の日は必ず休みになるから何よりストレスが少ない


ただ昨今隔勤は減ってきている

隔日勤務というのは、元々タクシー会社が車両を最も効率的に使える勤務体系だった

A乗務員が丸1日乗って、翌日はB乗務員が丸1日乗る

日勤乗務員が10時間や11時間乗るのに比べて、1台が毎日20時間近く動くわけやから、車両ごとの稼ぎが倍近くになる

と言っても、そんなのは今は昔

乗務員が減っている中で、車両は余っている状況である

俺の車も結局俺が明けの日は空いてることが多い

2日に1回しか動かなければ、逆に非効率で、日勤の方が稼ぐということになる

将来的にはなくなっていく勤務かもしれない…


10月2日(金) 56,070 46回

月明けで厳しいとは思っていたが、

予想通り苦しい金曜やった



2025年10月2日木曜日

「わたし、脳腫瘍なんです」

午前中は流れが悪く、イライラしていたところで無線が入った

配車先は駅近くの病院

まあ(行き先)近くやろ

と思って向かう

着くと、男女2名が入口前で待っていた

60代くらいやろか

「お待たせしました」

「とりあえず水道筋の方向かってくれる?」

「分かりました」

「そこで彼女のスマホ取ってきて、そこから…」

そこから?

「運転手さん、あいな自然公園って分かる?」

「藍那ですか!北区のですか?」

「多分そうちゃうかな。今彼岸花がきれいに咲いてるみたいで、写真撮りに行きたいと思って」

「ちょっと見ますわ」

グーグルマップで検索すると、「あいな里山公園」というのがある

https://kobe-kaikyopark.kkr.mlit.go.jp/

7,8千円は出そうやな…

ややテンション上がる

水道筋のマンション近くに停めて、女性だけ降りてスマホを取りに行った

車内で男性と二人で待つ

「今日は天気も良くて、気持ち良さそうですね」

やや遠方へ行く客だからではないが、社交辞令を言う

「少し暑いかもしれませんね」

「そうですねぇ、山の上だからこっち(市内)より涼しいかもしれませんよ」

「運転手さん、わたしね、実は脳腫瘍なんですよ」

「えっ?」

「今年の5月に医者に宣告されて、もう年内生きられるかどうか」

「…」

「今日は特別に外出許可もらって、彼女とその公園の花を見に行きたいと思いまして」

彼女?奥さんではないのか

「元気そうに見えますけど」

「そうでしょう?でも、いつどうなるか分かりませんよ。もしかしたら、このタクシーの中でポックリなんてことも(笑)」

「…」

女性が戻ってくる

「運転手さんといろいろ話してたんや」

「…そう」

「運転手さん、じゃあそこ(里山公園)まで向かってもらえますか?」

「わかりました」

少し前まで真夏日が続いていたが、10月に入ってもう空はすっかり秋めいている

俗に言う「秋晴れ」である

公園で花を見るなんて、本当に気持ち良いやろな

道中もいろいろ話しながら行った

「5月にこの病気が分かるまでは警備員してたんですよ。泊まりのシフトがあったりして、結構厳しい仕事でしたよ」

警備員というと、タクシーと共に世間から蔑まれている現場仕事として共感する部分がある

すると女性が、

「その前は塾講師をしてたんやんね」

「そうなんですか」

「そうなんですよ。でも両親が病気になって、いつ病院から連絡があるか分からないから塾の仕事は辞めたんです。講義中に電話出られませんから」

「はぁ…そうですよね」

男性は警備員という仕事を卑下している感じはなかったが、女性が「警備員なんかではない」と言いたげな印象を受けた

家庭の事情で仕事を辞めて、厳しい職業に就かなければならなかったということか

夫婦でなければ、この二人の関係は何なんだろう

途中郵便局に寄ったりして、メーターは1万円を超えていた

「久しぶりに緑を見るなぁ。病院では寝て起きて、白い壁の毎日ですから(笑)」

俺はしょっちゅう緑を見ているとは言え、秋晴れの山地のドライブは気持ち良いものである

目的地の公園に着いた

看板を曲がると、

ゲートが閉まっていた

(休園日)

うせやん

後部座席も固まってるのを感じる

グーグルマップで場所を確認したときに、なぜそこ(休園日)まで確認しなかったんやろう

遠方乗車にテンション上げて、ドライバー失格や

ルームミラーを見ることも出来ない

「どうしましょうか?」

しばし沈黙の後に、

「もうここで降ろしてください」

男性は覚悟を決めたように言った

「ここで、ですか」

男性は女性に向かって

「外からでも少しは見えるやろ。ゲート超えて入っても良いし…運転手さん、今の聞かなかったことにして」

聞かなかったも何も、歩くのもままならない病人なのに、ゲート超えるとか出来るわけないし、こんなとこで降りても…

しかし、この二人を見て、これ以上自分が入り込むのはやめた方が良いと感じた

タクシーというのは、時に乗客の人生に深く入り込むが、降車と共に終了してリセットしなければならない

タクシーの性(さが)とでも言おうか、そこにこだわりはある

「こんなとこで降りてしまって良いの?」

女性はやや心配している

「もう(2度と一緒に)来れないよ」

話の中で聞いたが、男性は2週間前に意識を失って倒れてるそうである

次の外出はもうないということやろか

迷ったが、二人を降ろして、その場から去った

帰り道で少し涙が込み上げてきた

彼の人生を想い、リセット出来なかった

来年の年明けを迎える頃、おそらく彼はもうこの世にいない

せめてこの秋晴れの下、ヒガンバナを見せてあげたかった

俺にはどうにも出来ない想いに、悔しさと人生の儚さ、

運というもの

格差があるとすれば、そこなのかもしれない

彼があの公園を彼女と二人で外から眺め、少しでも幸せを感じることを祈らずにはいられない


10月1日(水) 57,570 35回





2025年9月30日火曜日

ナイトライフ?

 月曜の夜は動きが悪い

昼間から夕方までがんばって、今日も夜はゆっくりしようと思っていたら、

結構良かった

六甲アイランドで客をおろしたら、大柄なパキスタン人が近寄ってきた

三宮のお店のカードを渡される

「(そこまで)ハウマッチ?」

「あー、5,6サウザンド…マイトビーモア」

「ディスカウント?」

「ノーディスカウント!」

「オー…」

そんな感じで乗ってきた

乗ってきたら片言の英語でこっちに何か言っている

「ナイトライフ、ナイトライフ」

「??」

「ガール、OK?」

三宮に行けば女の子がいるか?ということを聞きたいのだろうか

「イヤ!メニーガールズ インサンノミヤ」

そんな感じで納得したようである

結局5千円程度

なんとなく喜んでいたようである

そこで6万超えて、2時近く

思ったより出来たー、かえろー

と思って、車庫まで戻ってきてアプリのスイッチを切ろうとしたら

GOが鳴った

…迷ったが、まあ行こかと思って取る

配車先に着くと、

「ちょっと遠いけど良いですか?」

大阪神山町

良いときはそんなもんである

この仕事は平均的に稼ごうとするより、稼げるときにとことんやっておくのが基本である


9月29日(月) 71,570 46回




2025年9月27日土曜日

タクシーはゲームだ

敢えて言おう

タクシーはゲームだ

大人が、都市を舞台にして思い切り遊ぶ

そして少なからず収入も得られるゲームである

これを言うと、

なんやお客さんの命預かってるのに、お前ら遊んでるんか

と怒られそうだが、

釣りが大好きで思い切り楽しんでる人と、

釣りが特に好きでもないけど、仕事で義務的にやってる人と、

前者も仕事だとしたら、何かいけないだろうか

車の運転が好きで楽しんでる人と、

好きでもないけど、仕事だから仕方なく運転してる人と、

どちらが安全だろうか

という話である

だから敢えて言う

タクシーはゲームだ

そしてゲームにはトラップがいくつもある

横断歩道で死角から来た歩行者を見逃してしまった

そして、また反対の死角にパトカーが…

ゲームにはペナルティがつきものだ

だから面白いんや(苦しいな)


9月26日(金) 66,110 47回

反則金の9000円を取り返すべくあがいたが、7万に届かず

チップは3000円超えたが、手放しで喜べない、ほろ苦い乗務やった



2025年9月25日木曜日

辞めるしかないやろ

 朝の洗車時、車庫で整備士さんが車の修理をしていた。

タクシー会社は大手を除けば、20~40台くらいの会社が多い。

それには理由があって、40台を越えると運行管理者を1名追加して選任しなければならない。

40台なら1名で済むのに、45台にしたら事務所に2名置いておかないといけない(大抵やることはない)という非効率が生じるため、40台以下というのが一つの基準である。

また営業所には整備士も必ず必要になる。

中小業者では営業所を一人で担当することが多い。

タクシー車両は1年毎に車検を受けないといけないので、40台でも盆や正月を除けばほぼ毎週車検になる。

当然事故や故障も常に入ってくるため、整備士は忙しい。

しかも孤独である。

修理している車両を見て、声をかける。

「この車、どないしたんですか」

「(また)事故やねん」

分かってはいるが、

「××さんの車ですか」

「信号無視で、出会い頭らしいわ。相手ベンツやって」

「はぁー…」

俺もかつては管理者をやっていたので、事故対応のことを考えるとぞっとする(やめて良かったな)。

「××さんはどうなったんですか」

「そら、こんだけやったら辞めるしかないやろ。今回だけやないしな」

そうやろなー

ええ人やったけど、脳梗塞で何度か入院してるとか言ってたし、普通にやばいよな。

タクシーが足りないから地理試験をなくすとか、免許なしのライドシェアを認めるとか…何か方向性が違うよな。

ドライバーが減っても、配車システム等を高度化することによって供給を増やすことは出来るし、そういう高度なシステムを使いこなせる人材に高い報酬を与えることで、さらにレベルが上がっていくはず。

そんな日が来ることを信じて、まずは自分が健康であることを願う…


9月24日(水) 55,310 42回



2025年9月23日火曜日

2人で6万

 夜、駅近くの飲食店から配車があった

あまり聞いたことない店やと思ったら、

行ってみると、見るからに新しい店やった

飲食店に行くと、グーグルマップで口コミなどチェックする

見ると口コミ数は少ないものの4.3と評価も高い

そしてびっくりしたのは、料金欄

(¥10,000以上)

そんなことをしながら待っていたら、

店から、見た目70代の老夫婦が出てきた

店員は外まで出てきて、タクシーを見送る

「××公園の方行って」

「わかりました」

「いやー、よく食べたな」

ご主人が奥さんと話している

「良さそうな店ですね」

俺が口をはさむ

ネットの口コミでなく、生の声を取りにいく

「え?…良い店なんか?」

主人が奥さんに振る

「え?評判は良いよ」

他人事のようやな

「運転手さん、正直言ってな、俺に言わせたら(あの店100点満点の)40点や」

えー、口コミ4点台なのに

「そんな…ネットの口コミはまあまあ高いですよ」

「それはそれや、(天ぷらの)油があかん。安いの使ってるわ」

そんなことないやろ

「舌が肥えてはるんですね。(あの店)口コミだけでなく、お代も高そうですが…」

「そうか?」

「ネット情報ですが」

「今日の支払いは(夫婦)2人で6万ほどや」

「…(まじか)」

そんな話をしながら、夫婦の自宅に着く

「1300円です」

「はいはい、これ2千円ね」

6万の食事してきた人がお釣りとらへんやろ

と思いながら、一応釣りを取るふりをする

大抵釣りを出そうとしたら、

「(釣り)良いよ」

と降りていくパターンである

しかし絶対取らんやろと思っても、釣りを出す素振りをするのが大事である

しかし、何も言わない

「(釣り)700円ですねー」

「はい、ありがとう」

取るんかい!


9月22日(月) 71,940 48回

涼しくなってきたなー

夜は祝日前やったこともあって、まあまあ大きいのが2,3当たった




2025年9月18日木曜日

不安になることはある

 長いことタクシー屋やってるが、

不安になることはある

最近は少なくなったけど、

10年前20年前なんか、まだ若かったし

タクシー乗ってたら間違いなく楽しいけど、

これで俺一生やっていけるんやろか

なんて思うことはしょっちゅうあった

仕事に波があるから、

それが面白さでもあるんやけど、

それでもなんとかかんとか、ここ(50代)までやってきたんよね

今でもタクシーは楽しくてたまらんけど、

これから入ってくる若い人たちのためにも、

なにか出口は必要なんやろな

※「出口」というのはタクシーを辞めるということでなく、タクシーの延長線上で、観光タクシーや、企業の御付きドライバー、副業などで従来のタクシードライバーより収入や格を高めていく道筋のことである


今日も昼間はそこそこ動いてたものの、

0時頃になったらパタッと途切れて、

駅で寝落ちて、

起きたら1時過ぎやった

本を読み始めて、

気づいたら2時近く

俺何やってんやろ

思うわ

駅前の飲み屋から流れてきた若者、

神やと思ったわ

忙しいときは

「あー…酔っ払いかー」

なんて思うこともあるけど、

やはりお客様は神様です(なんやねん、そのまとめ方)


9月17日(水) 51,510 48回

10月度初日

苦しいスタートや…

大体48回で5万円て、単価いくらやねん(1073円です)