2025年6月14日土曜日

駅の「ルール」

 これは意外と一般の利用者には知られていない話だが、

大きな駅のタクシー乗り場、もちろん空港や大きな病院も然りだが、乗り場には「ローカルルール」が存在する。

これはどういうことかと言うと、

並び方や並ぶ順番、乗り場への入り方などなどである

これを知らずに新人ドライバーが乗り場に入ると、どうして良いか分からず(特にプールにタクシーが複数列で並んでるときなどは、どこに並べば良いか分からない)

少しするとスキンヘッドや、汚いジャンパーを着た「主(ぬし)」たちに囲まれることになる

JRの駅などはJRのステッカーを貼った車両じゃないと入ってはいけないとか、

地域によって、駅に入る車両の制限をしているところや、業者ごとに割り振っている場合もある(A社5台、B社5台・・・など)

まず乗り場は大体前に3台から4台の車両が並び、

その後方のプールに列を作って並ぶ、プールは最後方の車両がハザードを焚くなどのケースが多い

このプールに入ってしまうと、ルール的にも物理的にも、無線等で抜け出すことが出来なくなる

またプールがない、またはスペースが十分でない乗り場は、外で路駐をしながら順番を待つ形になるが、この場合もどこに待つかは決められている

というか、その駅にいるドライバー仲間で勝手に決めているのである

例えば駅から東側の道の路肩に待機車が並び、乗り場やプールが空いたら待機車先頭が左折入庫していくなどのルールがあれば、

当然西側から来た車両が右折で乗り場に入るのはタブーとなる

わざわざぐるーっと大回りしてこないといけないわけだ

タクシーがそんな風に大回りして駅の乗り場に向かっているときに

駅の乗り場では客が行列を作っているなんてこともよくあるのである

確認してからまわったら良いやんと言われるかもしれないが、

乗り場がどのような状況なのかは分からないし、

ドライバーとしては習慣化している行動はなかなか変えられない

そんな中、昨日ある駅に待機していたら、ドライバー同士で大声で揉めているシーンに出くわした(こんなことは特に珍しくもないのだが)

見ると、若いドライバーが年配のおじいちゃんドライバーに食って掛かっている

「ぼく何か悪いことしましたか!納得いきません!」

「しつこいねん!お前はなんやねん!もうここに(乗り場)入ってくんな!」

そんな「排除行為」を堂々と叫んでいた

このおじいちゃんドライバーは言うまでもなく、この乗り場の「主」のひとりである

そのうちベテランの個人タクシーの主たちが車から降りてきて、その若者を囲む

「理不尽なことも受け入れなあかんのがこの仕事やで」

なんていうたしなめ方やろう・・・

乗り場に客が現れても、知らん顔でみな騒いでいる

俺は窓を開けて、その劇場を楽しんでいたが、

「お客さんやで!」

一応客が来たことは伝える(商店の店員なら全員クビやな)

なぜ助けにいかないか?

俺がいったところで揉め事が収まるほど存在感のある人間ではないし(いつもそこの乗り場にいるわけちゃうからな)、

明日にも倒れそうなおじいちゃんドライバーたちに囲まれている威勢の良い若いドライバーに危険性は微塵も感じなかった

そんなときに限って乗り場はなかなか動かず、

30分くらい劇場を楽しんだあと、800円の乗車

失意を抱え、スタンドに向かうと、その若いドライバーと偶然会った

「大変やったな」

「ほんまになんなんですか、あれ。自分らがルール、ルールいう癖に、自分は平気でルール違反するんですよ」

「(怒らせるために)わざとやってんねん」

「そうなんですか」

「みんなでルール守ってたら、ルールさえ守ったらどんどん乗り場に入る車が増えるやろ。だから、わざと混乱を起こして入りにくくさせんねん」

「アホみたいですね」

「いくつなん?」

「23です」

「23かー!若いなぁ!俺も一応20代からタクシー乗ってるけど」

「そうなんですか(笑)」

「これに懲りずに(あの乗り場)がんがん入っていきよ」

「わかりました(笑)」


6月13日(金) 59,200 45回

年金フライデーで期待したが(なんやねん、その造語)

夕方から急失速やった

最後入庫前にアプリ鳴って

大逆転来るか

と思ったら、ラブホテルの配車で迷わず配車キャンセル



2025年6月12日木曜日

行き先を言わない客

 タクシー運転手と利用者の会話というのは、その「行き先」を背景に成り立っていると言っても良い

その行き先へのルート

そこまでかかる時間

その行き先、またはそこへ行くことが持つストーリー

病院へ行くなら、病気の話だったり

仕事が終わって家に帰るなら、仕事の話、家にいる家族の話

などなど

そんなことが分かったのは、

行き先を言わない客に出会ったからである

20代やろか、一見普通に見える女性(普通やないゆうことやな)

「どちらへ行かれます?」

「・・・」

まあ、このくらいはある

近いから言いづらいとか、

酔っぱらって、行き先がすぐに出てこないとか

しかし、この女性はそんなんではなかった

ただ大荷物を抱えて乗り込んできた

荷物というか、買ってきたもの

赤ちゃん用のおむつ大パックを4つくらいと

対照的なミニカップラーメンを袋にも入れずに抱えて乗り込んできた

赤ちゃんはいない

「どちらへ行かれますか?」

何度か聞いているうちに、こっちも声が荒くなってくる

「・・・」

「こっちも仕事してるんで、行き先決まってないなら降りてください!」

行き先を言わない客がこんなに腹立つとは思わなかった

「今何時ですか?」

「・・・22時半過ぎですけど(行き先と関係ないやろ!}

「この近くに温泉ありますか?」

「日帰り温泉はありますけど、もうすぐ(23時で)終わりますよ」

「そうですか}

「三宮まで行けば、泊まれるところもありますけど」

「天然温泉ですか?」

「天然温泉じゃないといけないんですか?」

「はい」

「・・・」

一応調べて、元町のドーミーインが「天然温泉」と書いてるから、そこまで行った

「こちらでよろしいですか?」

「・・・ちょっと予約出来るか聞いてくるんで、待っててもらえますか?」

「・・・はい」

待てども出てこないので、中を覗くと受付に女性はいた

チェックインの手続きしてるんやろか(その前にタクシー支払いしろ!)

まあまあ部屋数もあるホテルなので、水曜の夜に満室とも思えない

やっと女性が戻ってきた

「えー、ここまで5200円です」

「ここから大阪まで行ってもらえますか?」

「はい?」

「同じ系列のホテルが淀屋橋にあるんですけど、そこまで行ってほしいんです」

「はぁ・・・」

「その前にちょっと寄ってほしいところがあるんですけど」

「(まじかよ・・・)どちらですか?」

「そこの快活クラブに寄ってほしいんです」

「はぁ」

ドーミーインから快活クラブはすぐ近くなので、車をまわす

「こちらで待っといたらよろしいですか?」

「すぐ戻ってきます」

すぐ戻ってこない

心配になって快活クラブへ入っていく

狭い道に駐車してる車を心配しながら、2階の受付まで行くと、

スタッフはいない

インターホンでどこにいるか分からないオペレーターと話す

「今入っていった女性が・・・(分かるわけないか)」

急いで車に戻って、警察に電話する

警察に電話で説明していると、

「あっ、戻ってきました」

女性が戻ってきた

また大量の荷物を抱えている

きっとこの快活クラブで生活していたんやろう

「じゃあ(大阪まで)行きますか」

「下道で行ってください」

「え?大阪まで下道ですか?」

「あとそこのセブンイレブンに寄ってもらえますか?」

「・・・」

セブンイレブンに入ると、何か食料を買ってきて、車内で食べている

食べ終わると、

「セブンイレブン寄ってもらえますか?」

「はい?」

そんなことを繰り返し、3回目で駐車場で待っていたときに、大阪の車を見つけて

「大阪まで帰るお客さんなんやけど、変わってもらえる?」

「はい!良いですよ」

少し話すと、1か月の新人ドライバーらしい(ベテランならなんか裏あるやろって疑うよな普通)

ラッキーやった

というわけで、不審な客から解放され、1万強の料金も現金回収出来た

あー、(精神的に)疲れたわ


6月11日(水) 64,920 38回



2025年6月5日木曜日

「ママさよなら」

 今日はGOアプリ配車が一度しかなかった

こんなんは初めてかも(機械がおかしかったんちゃうか)

その一度の配車

配車先のマンション下で待っていても、なかなか出てこない

【到着しましたが、お客様が見当たりません】

というメッセージを送信する(このメッセージ何気に効くやんな)

すると、やっと客らしき親子がマンションから小走りに車に向かってきた

30前後の女性(母親)と、5,6歳?のかわいい女の子(娘)

しかし母親は切れ気味

「早くしなさい!何してんの!」

切れてる親を横目に冷静な娘

「痛いねん」

「何が痛いの!早く乗りなさい!」

「こんにちは」

修羅場っぽい雰囲気を感じながら、一応あいさつする

行き先(芦屋)はアプリで既に指定されていた

「急いでください」

「・・・」

こういう要求には返事をしかねる(散々待たしといてな)

その後はまた母親のヒステリックな娘への攻撃が続く

「シートベルトしなさいよ!そんなことも出来ないの!」

「痛いねん」

「どこが痛いの!もう行くのやめよか?」

「いやや、行きたい」

どうやらダンススクールに行くためにタクシーを呼んだらしい

「行きたいって、あんたのせいでもう遅刻や、ほんまにあんたのそういうとこ大嫌いや!」

よう自分の娘に「大嫌い」とか人前で言うよな

「・・・」

「もうあんたパパのところ言ったらええやん」

「・・・」

娘さんがこの年齢(5,6歳)でもう両親は離婚してる感じ

見てたら分かるわ

「今日もその話(父親のところへ預ける話?)しててん」

「誰とそんな話したん?」

冷静な娘

「いろんな人とや!あーイラつくわ!」

最低な親や

こういうの、こっちもめちゃストレスやな

急いでくれ言われたから、ちょっとショートカットしようと思った道が一本手前で、

結果的に遠回りになった

「ほら、あんたのせいで道間違えられたやん」

娘さんのせいではない

「どうしてくれるんですか」

「早めにメーター切ります(違法やんか)」

「あー、もう5時や、遅刻や、もう(家に)帰ろか」

嫌な女や、ほんまに(お前も道間違えんなよ)

目的地に着くと、

「早くドア開けて」

それだけ言って、母親は娘を置いて足早に降りて行った

娘は荷物をゆっくり背負って、

すでに背中が見えなくなりつつある母親に、

「ママさよなら」

と小さな声で呟きながら、降りて同じ方向に歩いていった

最後の一言が耳に残った(さよならしたいんやろな)


6月4日(水) 47,360 37回

前回良かった(8万超え)と思えば、

今日はその半分ほどしか出来ず

常にアップエンダウン(Up and Down)

それがこの仕事のつらさであり、

面白さでもある



2025年6月3日火曜日

「おかま掘られてん!」

 深夜1時、K病院へ迎えに行くと、

「悪いけど、阪南まで行ける?」

こういうとき、「いや、無理です」というドライバーはいるのだろうか

逆に「近いけど、大丈夫ですか?」という質問も同様だが

「はい、大丈夫ですよ」

「あと、ちょっとその前に寄ってほしいところあるんやけど」

「はい、どちらですか?」

「実はおかま掘られてん!2トントラックがブレーキなしで突っ込んできて、前に停まってた10トントラックに挟まれてな」

「よく生きてましたね…」

「その事故現場見てみたいから」

事故現場へ行くと、まだ警察がウロウロしていた。

被害者の男性が警察と話に雨の中降りて行った。

戻ってくると、

「ちょっと警察署来てほしい言われたわ」

まずい。このまま警察行ったら何時間かかるか分からん…

急いで降りて行って、

「お客さん、ケガして疲れてるんで早く帰りたいそうです」

そう伝えて、急いで現場を去ってきた。

阪南市まで、メーター3万超え

雨の中疲れたけど、無事帰ってこれて良かった。


6月2日(月) 84,220 43回



2025年5月29日木曜日

万博

 2025大阪万博

やっと行けた

10時前かな、今日初めてのGOアプリが鳴って、

配車先に着いて、「現着」ボタンを押すと、

AI音声が行き先をアナウンスする

「エキスポ2025 第一ターミナル」

エキスポ?

万博やん!

天気も良いし、テンション上がった

乗車したのは、30代くらいの若い夫婦と3,4歳の小さな娘さん

「もう全然(バスの)予約が取れなくて」

タクシーを予約されたらしい

ベビーカー乗せて電車も嫌だったようで、

神戸からタクシーで約1万円

タクシーは西ゲートの最寄りのターミナルに付けれる

電車で入る東ゲートは長蛇の列らしいし、

タクシーと同じ西ゲートに入るバスも予約が必要、

それもひとり2千円とかして(尼崎から万博のバスの料金)

小児でも同じ料金

そう考えると、タクシーお得やんな

なんかあーゆーイベントの空気って良いな

また行きたい(これが最初で最後やろ)


5月28日(水) 57,580 39回

午前中から万博あたって好調やったのに、

夜に向かってじりじり失速していった・・・

今月ちょっと苦しい展開やな




2025年5月27日火曜日

だからタクシーは面白い?

 月曜の夜の動きは悪い

深夜23時過ぎのこと

駅に並び、30分くらいでやっと鼻番(先頭)に、

そこで、

チリンチリン!

GOアプリが鳴る

ボタンを押すと、住所が出る

西××5丁目

駅からそれほど遠くない

駅の列を先頭から出て、数百メートル走ると、

「配車はキャンセルされました」

画面にメッセージが流れる

ふざけやがって…

怒りの矛先もなく、駅へ戻る

また後ろに並んで、やっと鼻番に、

チリンチリン!

ボタンを押す

配車先が出る

まさかの西××5丁目

同じやつやん!

カチーンときて、「配車中止(ドライバーからのキャンセル)」をした

ちなみに配車中止なんて、ほとんどすることない

このときは、ほんまに頭に血が上った

その後はさっぱりで、

・・・

駅から乗ってきた男女が車内で喧嘩しまくって、

「俺に注意すんな!お前は黙ってろ!」

「あー、腹立つ!ちょっとここで止めてください!」

女性が先に車から降りて、

元々の行き先だったラブホテルの手前で寂しく男がひとりで降りていった

そんな乗車を最後に営業所へ帰る

同僚と、

「今日は悪かったですねぇ」

なんて話をしながら、

「そう言えば、GOで西××5丁目の配車なかった?」

「ありましたよ」

「どこまで行きました?」

「大阪、中津」


5月26日(月) 49,310 30回

午前中は観光タクシーもあって、まあまあ好調やったのに、

夜で沈んだわ



2025年5月25日日曜日

雨の日の乗務

 今日は予報通り、朝から雨が降り、時折突風混じりの強い雨を挟んでとにかくほぼ一日中雨が降っていた。

雨の日は怖い

一応タクシー業界でのキャリアは20年を超えるが、

29歳から大阪でタクシーに乗り始め、

地方都市に移り、

30代は乗務員

40代は管理者

そして50代、また神戸でタクシーの運転席に戻ってきた

そんな中、タクシーに乗り始めた新人の頃2度ほど事故を経験している

そこから管理者時代もたまにタクシーに乗ることはあったものの、

20年以上無事故で乗り切ってきた

しかし昨年の雨の日、

約20年ぶりに事故をしてしまった

詳しくはまた書くが、

30代の若い頃タクシーに乗っていた時と、

今50代でタクシーに乗っている感覚として、

スピードは落ちている(落としている)が、

それは半分意図的にやっている部分もあるので、

明らかに違う部分はやはり、

雨の日のまわりの見え方

正直見えない…

若い頃は感じなかった

これはどうやって克服すべきか、

まだ答えは出ていない(休めばええやん)


5月24日(土) 73,210 63回

雨でよく動いた

ほぼ休憩も取らず

63回は自己ベスト