2022年3月31日木曜日

タクシー固定給考察③

 固定給について考える前に、現状の歩合給またはリース制について検証しているが、前回の投稿をまとめると、

A型賃金 基本給(20万)+歩合給(営収60%)※営収40万を基本給水準とする

B型賃金 歩合給(営収60%)のみ

C型賃金 リース制(1か月20万乗務員払い)

AB型賃金 基本給(20万)+歩合給(営収50%)+賞与(営収5%)※A型と同じ

()は各賃金体系の1例

上の各賃金体系において1か月の営収が60万(都市部においては平均的な営収水準)とすると、1か月の賃金は、

A型賃金 32万

B型賃金 36万

C型賃金 40万

AB型賃金 33万(賞与基礎額を除く)

となる。

こう見ると、当然C型のリース制が最も良さそうには見える(リース制の裏には車両の修理費や、燃料費、事故時の保険まで乗務員負担だったりすることもあるが)が、この2年のコロナ禍である。

それまで決して難しくなかった営収水準になかなか届かないという状況が続いている。

仮に1か月の営収が40万として、上の賃金体系にあてはめると、

A型賃金 20万

B型賃金 24万

C型賃金 20万

AB型賃金 22万(賞与基礎額を除く)

となり、ここに場合によっては雇用調整金や最低賃金保障が付け足されることになる。

どちらにしても、10万または20万も月額給与が変動しては生活設計も立てられない。

ここに安定を求める若者が入ってこないという、業界の大きな問題が深く絡んでいる。


若者が入ってこない=業界の未来が見えない


高度経済成長期を支えた団塊世代や、その後に続く世代(しらけ世代?)など、

「稼ぐが勝ち(価値)」

という考え方から、ゆとり世代や、さとり世代と呼ばれる今の若者は、

物欲がなく、稼ぐことより「自分の時間」、「仕事よりプライベート」を大切にする世代である

この価値観というのは、タクシーの仕事に「合っている」と言える

ただプライベートを充実するためには、多くはなくとも、「そこそこの」収入を「安定して」得る必要がある

収入面、または「賃金体系」として、「合わない」となってしまう

そもそも上の例(営収60万)において、会社側に残る金額を計算すると、

A型賃金 28万

B型賃金 24万

C型賃金 20万

AB型賃金 27万(賞与基礎額を除く)

となる。

会社側はここから運行管理やオペレーターの給与、燃料費、事故負担などをするわけだが、

20代の「仕事よりプライベート」を大切にする若者が満足するであろう水準である30万の固定給とした場合、

会社に残るのは30万

上のどの賃金より多く残るわけである。

さらに言えば、今の若者は「稼げば稼ぐほど実入りが増える」という価値観を、ある意味「醜い」と捉える世代である。

要するに、今の歩合給を彼らに課すると1か月50万ほどしか上げてこないかもしれない。

しかし精神的な安定、チームとしての目標、やりがいさえ与えれば、

彼ら(若者)は働くのである

もしかしたら同じ環境(市場の利用者の数)において、彼らは70万ほど上げてくることも非現実的ではない。

どうでしょう、タクシー経営者の方々

これからは固定給しか勝たん

と思いませんか。

2 件のコメント:

  1. これからの給与体系を如何にするか。
    難しい課題ですね。

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    1. わたしたちの決めることではないですが(^_^;)
      業界から若者が消えてから動いたのでは余計にコストがかかるのは間違いないですね。

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