「いやー、よう降ったね」
「よく降りましたね」
「道は大丈夫?」
「ところどころ滑りますけど、まだ大丈夫です」
「やっぱりプロやね、わたしら、(こんな雪道)よう運転せえへんわ」
「いやこれだけ積もると、怖がって出てこないドライバーもいますよ。安全を第一に考えるのであれば、こういう日に乗務を控えるドライバーの方が『プロ』なのかもしれません」
「そうか・・・でもあんたらがいてくれるから、わたしらも動けるし、病院にも行けるねん」
小太りで、薄いピンクのセーターを羽織っている年配のおばあさんは嬉しそうに言った。
年齢は80前後だろうか。
「こんな日は管理者の自分も現場に出られるし、雪が降ったらテンション上がりますよね。もちろん安全第一ですが」
「これから受験なんかで雪降ったら、受験生も大変やね。今年は孫が受験なんやけど」
「そうなんですか。お孫さん、そんな大きいんですね。そんな風に見えませんが(おきまりのお世辞)」
「そんなこと言われたらうれしいわ!こう見えても、孫7人おんねんで」
「そうなんですか!(そう見えますが)かわいいでしょうね」
「そら、孫はかわいいで。うちは娘ばっかりで、息子がおらへんかったからな」
「お孫さんは男の子が多いんですか」
「2人男の子やねん。一番上の子は阪大(大阪大学)行っとんねんで」
「(やっぱ男少ないな…)阪大ですか!」
「いや、大したことないんやけどな(笑)」
「いや、阪大はすごいですよ。自慢出来ますよ」
「そうか、こんなん、いろんなとこで言っとったらな、自慢や思われて敬遠されんねん。でも言いたいやろ(笑)。だから知らん人に言うねん」
「知らん人」で十分。
話を聞くだけで社会の役に立ってる?
こんな楽しい仕事はないな、と改めて感じた瞬間やった。
コロナも終わりつつあるし、これからまた最高の「知らん人」目指して、そろそろ現場に戻ろうかな。